51 / 67
第六章・御使いの秘密
51・更なる秘密
その鮮やかな朱色の玉を、震える手で取り出した。
すると辺りは眩しい光に包まれて…
──怪我が…治ったのか?
自分の身体のその変化に愕然としながら、震える指で包帯を解く。傷が…ない!!
あれだけの痛みを抱えていたのに、何事も無かったかのように傷痕が消えていた!
触っても全く痛くない…何だ?何が起きたんだ…
暫く茫然と立ち尽くしていたが、ハッとしてキリエの元に戻る。すると、キリエの身体から残り火のように先程よりも小さな光の玉が一つ飛び出した。その玉が自分の持っている朱色の玉に吸い込まれていく。
──い、癒やしの力が戻るのか?この玉に…?
「ハハッ…アハ、アハハッ!そんな馬鹿な!」
笑いながらも後から後から止め処なく涙が流れ続ける。
──何の為にキリエは死ななければならなかったのか?
こんな物が…こんな玉があるのだったら、キリエが死ぬ事なんてなかっただろう?
あんなにお役目後に苦しんで、それでも力を使って…そんな酷い思いをする必要あったのか…?
この玉で、跡形もなく消える傷の為にキリエは死んだのか──!
女神アイリス…キリエはあなたの下僕として、一生懸命役目を務めて来ました。なのに何故こんな酷い仕打ちを?
一生あなたを恨みます!
◇◇◇◇
御使い長の話す余りにも悲哀な経験に一堂は静まり返る…
そして御使い長は、更に衝撃の真実を語る。
「これは御使いや癒やしの力で助けられた人々が亡くなった時に、力だけがその身体から飛び出しこの玉に戻ってくる。この御神体の玉には何十年、もしくは何百年分ほどの癒やしの力が詰まっている」
ショックを受けて黙り込んでいるスリジャに御使い長はフフンと鼻で笑い、信じられないだろう?自分の存在意義を疑ってしまうだろう?そう声を掛ける。
「私はこの力を少しづつ取り出し、この歳まて御使い長を続けてきた…。それは私利私欲なんかじゃない!あの人が…あの愛しい人が救ってくれた命だからだ!」
だけど…今回はどうだ?
「お前だよ、スリジャ。お前だけが何故先に知らされる?命が危うい事を…。キリエと何が違うというんだ?そう思ったらもう我慢ならなかった…。もうこんな役目一切止めさせてやる!」
──神殿など滅びていまえばいいんだ!!
哀しい怒りが女神アイリスに…そして神殿そのものに向いている!その余りの狂気、それに気圧されて…
だけどきっとそれだけじゃない筈だ!あの優しい声をスリジャは思い出していた…役を辞してから一度は忘れてしまったけれど、あの慈愛に満ちた女神アイリスの声を…
この状況を何とかしなければ…でもこの人は今何を言ったところで、狂気に囚われて一切耳に入らないだろう…一体どうしたらいいんだ!?
その時突然、凛とした声がそこに響く。
「御使い長、もう止めるんだ!」
その聞き覚えのある声に皆が振り向く。そこにはアラン王子が!そして何故かアランの右の鎖骨には赤いアイリスの花が浮かんでいて…
それを見たスリジャは慄いた!…何故?何故アラン王子にアイリスの花が!?
御使い長は不敵な笑みを浮かべながら、更に驚くべきことを言った。
「これはこれは御使い長様。お久しぶりですね?」
すると辺りは眩しい光に包まれて…
──怪我が…治ったのか?
自分の身体のその変化に愕然としながら、震える指で包帯を解く。傷が…ない!!
あれだけの痛みを抱えていたのに、何事も無かったかのように傷痕が消えていた!
触っても全く痛くない…何だ?何が起きたんだ…
暫く茫然と立ち尽くしていたが、ハッとしてキリエの元に戻る。すると、キリエの身体から残り火のように先程よりも小さな光の玉が一つ飛び出した。その玉が自分の持っている朱色の玉に吸い込まれていく。
──い、癒やしの力が戻るのか?この玉に…?
「ハハッ…アハ、アハハッ!そんな馬鹿な!」
笑いながらも後から後から止め処なく涙が流れ続ける。
──何の為にキリエは死ななければならなかったのか?
こんな物が…こんな玉があるのだったら、キリエが死ぬ事なんてなかっただろう?
あんなにお役目後に苦しんで、それでも力を使って…そんな酷い思いをする必要あったのか…?
この玉で、跡形もなく消える傷の為にキリエは死んだのか──!
女神アイリス…キリエはあなたの下僕として、一生懸命役目を務めて来ました。なのに何故こんな酷い仕打ちを?
一生あなたを恨みます!
◇◇◇◇
御使い長の話す余りにも悲哀な経験に一堂は静まり返る…
そして御使い長は、更に衝撃の真実を語る。
「これは御使いや癒やしの力で助けられた人々が亡くなった時に、力だけがその身体から飛び出しこの玉に戻ってくる。この御神体の玉には何十年、もしくは何百年分ほどの癒やしの力が詰まっている」
ショックを受けて黙り込んでいるスリジャに御使い長はフフンと鼻で笑い、信じられないだろう?自分の存在意義を疑ってしまうだろう?そう声を掛ける。
「私はこの力を少しづつ取り出し、この歳まて御使い長を続けてきた…。それは私利私欲なんかじゃない!あの人が…あの愛しい人が救ってくれた命だからだ!」
だけど…今回はどうだ?
「お前だよ、スリジャ。お前だけが何故先に知らされる?命が危うい事を…。キリエと何が違うというんだ?そう思ったらもう我慢ならなかった…。もうこんな役目一切止めさせてやる!」
──神殿など滅びていまえばいいんだ!!
哀しい怒りが女神アイリスに…そして神殿そのものに向いている!その余りの狂気、それに気圧されて…
だけどきっとそれだけじゃない筈だ!あの優しい声をスリジャは思い出していた…役を辞してから一度は忘れてしまったけれど、あの慈愛に満ちた女神アイリスの声を…
この状況を何とかしなければ…でもこの人は今何を言ったところで、狂気に囚われて一切耳に入らないだろう…一体どうしたらいいんだ!?
その時突然、凛とした声がそこに響く。
「御使い長、もう止めるんだ!」
その聞き覚えのある声に皆が振り向く。そこにはアラン王子が!そして何故かアランの右の鎖骨には赤いアイリスの花が浮かんでいて…
それを見たスリジャは慄いた!…何故?何故アラン王子にアイリスの花が!?
御使い長は不敵な笑みを浮かべながら、更に驚くべきことを言った。
「これはこれは御使い長様。お久しぶりですね?」
あなたにおすすめの小説
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後
結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。
※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。
全5話完結。予約更新します。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。
※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中