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15.亜空間べ-ス『レオン』

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 ナイトベアーは原子分解保存。騎士の遺体は棺に入れて保存。女騎士は個室のベッドで、当面目が覚めない様に寝かされている。
 俺、ティスさんとクロエの三人、いや琴祢を入れた四人で、今までの経緯いきさつについて、事細かく話し合った。
 今後に付いては、女騎士から話を聞くのと、遠隔ドローンを飛ばし、情報収集を行う。
 情報収集と言っても、座標設定が中心となる。
 簡単に言えば、地図の作成だ。
 騎士達を見れば、この世界の地図の精度がどのぐらいなのか、ある程度想像がつくのだ。

 話し合いが終わり、メインコントロールルームを出て、響はティスに案内されながら説明を受けるが、その空間の広さに驚愕する。
 メインコントロールルームを出て、直ぐの空間の広さは、戦艦のドック並みの広さがある。
 そして、両サイドに色々な施設の入り口が配置され、全体の広さが想像もつかないほどだ。

 「ここにあるのが、原子分解保存装置です。何でも原子に分解して、ストックルームで保存しておけます。そして、このオートモジュールジェネレーターの生産ラインで、何でも作れます。材料が揃っていればの話ですが。」

 「へぇ~! すごいですねー それじゃあクリスタルガンなんかも、造れますか?」

 響は、置いて来たクリスタルガンの事が、本当に心残りだったのであろう。

 「残念ですが、材料がこの世界に無いので造れません」

 「そうですか……」

 ストックルームも、かなり広さがあるようだったが、警備の関係で入る事が出来なかった。
 中には色々な資源材料と、設定前のガ-ディアンが千体に、メイドロイドが二十体格納されているとのことだった。
 ティスさんが、亜空間ベース設定のために連れて来ていた。
 整備用ガ-ディアン十体と、メイドロイド二体がいたので、格納されているガ-ディアンと、メイドロイドが、どのような物なのかと言う事は、容易に察しがついた。

 「このメイドロイドは、掃除・洗濯・料理作りから、夜のおともまで何でもこなす能力があります」

 「はい、まだ未成年なんで……」

 ティスさんが言った後半の説明に、動揺して変な返答を返してしまった響は、そっとメイドロイドから、目を逸らすのであった。

 だけど、設定が済んだら帰るはずだったのに、こんな事に巻き込んで、何とか出来たらいいんだけど……

 この他にも、メディカルルーム、食堂、居住区、設定前の亜空間ブロック等があった。
 メディカルルームには、響も使ったカプセル状のメディカルポッドが二つ設置してあり、前と比べるとかなり小規模だ。
 食堂は、小規模な調理スぺ-スに、ロングテ-ブルに二十席の椅子がある。
 居住区も二十部屋それぞれに、ベッド、シャワールーム、トイレなどがある。
 ただその中のひと部屋、響の部屋だけは、一流ホテルのスイートルーム並みの設備と広さが有り、なぜか大浴場まで作られていた。
 亜空間ブロックは、設定前なので入れなかった。

 「マスター、夕食の準備が出来たよ」

 琴祢は、響と会えたことで、更に馴れ馴れしく懐いてくる。響も声だけだが、離れている妹達に懐かれているようで、悪い気はしなかった。

 「了解! 琴祢、直ぐに行くよ。 ティスさん」

 「ティスとお呼び下さい。マスター」

 先程の会議で、響の呼び名をマスターに統一する事が、決まっていた。

 「先に、やっているよ! マス~ターァ」

 「お前、朝からもう飲んでるのか?」

 「二千年ぶりの酒なんだ、大目に見ておくれよ!」

 クロエはワイングラスを片手に、熊肉の赤ワイン煮込みを、二皿既にたいらげている。

 「あの……この肉は?」

 響は、先程ナイトベアーの毛皮を、見付けていた。

 「はい、ナイトベアーの肉です」

 「やっぱり・・・・・・」

 熊肉のイメージとしては、ほとんどの人が『臭い』『固い』と思っている事であろう。響もそのイメージをいだいている一人だ。
 テ-ブルに置かれた皿には、熊肉の他にニンジン、ジャガイモが、添えられている。
熊肉にナイフを入れてみると、肉が崩れるように柔らかく、口に入れると、繊維と繊維の間のコラーゲンが、プルンとしたっ食感を感じさせる。
 匂いの方も、丁寧な下処理がされているせいか、臭いと言った感じは全くしなかった。

 響は、朝食をすませ。亜空間ベース『レオン』を出ようとしたが、やはり出る事は出来なかった。そこで、昨日と同じようにクロエをリングに戻し試してみると、あっさりと元居た林の中へと転送された。やはりクロエと一緒でないと出入り出来ないようだ。
 見通しの開けた所に移動して、響はクロエから魔法のレクチャーを受けるため、琴祢にあたを索敵してもらい、安全を確認した。

 今日は、『魅了』の他に、『ダ-クショット』『ダ-クオ-ラ』を教えてくれるらしい。手本としてクロエが、見せてくれるが、『魅了』は響には効かなかった。
 クリスタルエネルギーの防御が効いているようだ。
 響は、こちらに連れて来られて、二体のナイトベアーを倒した事で、スキル『無詠唱むえいしょう』を獲得していた。
 『魅了』を、見よう見まねでやってみたが、なかなか難しく上手くいかない。相手が.クロエだからなのだろうか。
 『ダ-クショット』は、あの巨大トカゲを一撃で倒した破壊力がある。『無詠唱むえいしょう』で使ってみると、いきなり目の前の木に穴が開いた。琴祢が、クロエをモニタリングして、響に解析データ-をリンクしていたから、初めてでも使えたようだ。

 琴祢から実験依頼が来る。
 それは、MPに亜空間エネルギーを、『混ぜてみたらどうか』という事だ。
 試しに、亜空間エネルギーの調節を琴祢に任せて、少しずつ混ぜて発動してみると、破壊力はどんどん上がっていき、軽く大岩も粉砕してしまう。
 出来ることが分かったので。これ以上やっても、仕方がないので次に移る。

 防御魔法『ダ-クオ-ラ』を大岩にかけて、『ダ-クショット』をクロエに撃たせる。大岩は砕け散り、響のかけた『ダ-クオ-ラ』は、やぶられる。やはり、普通にやるとクロエの方が、魔法の威力は強いようだ。
 『ダ-クオ-ラ』に亜空間エネルギーを混ぜてみると、クロエの『ダ-クショット』は、はじかれた。
 クロエ達の魔法の威力は、亜空間エネルギーを、使わない限り、自分のレべルを上げる以外、強くする方法はないようだ。
 そして、防御装備を持つ響にとって、この魔法は自を守るよりも他者を守る魔法となりそうだ。

 「クロエ、他に使える魔法は無いのか?」

 「今は、それだけだねぇ……ほんとに・・・・・・」

 『今は』か…… クロエの奴、何か隠しているな! 

 右上を見つめてるし……
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