NineRing~捕らわれし者たち~

吉備津 慶

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45.ダンジョン捜索4 公爵に似た遺体

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 クロエは、ミノタウロスの繰り出す攻撃を避けながら、隙を見付けては、ミノタウロスを殴り倒している。

 この戦い方は、魔王軍幹部がよくやる戦い方で、格下の相手を精神的に追い込み、徐々に『敵わない』と言った、恐怖心を植え付けて楽しむ、ドエスな戦い方なのだ。

 「ほら、こっちだよ~」
 ミノタウロスの攻撃を避けて、膝に蹴りを入れる。

 ミノタウロスは、腰くだけになり、前のめりで崩れ落ちて行く。
 
 「ダークアロ-!」

 クロエは、羽を広げて飛びあがり、空中で静止したかと思うと、手の平に持った五寸釘状の鉄串に、黒炎を纏わせてミノタウロスに向けて投げ付けた。
 その鉄串は、起き上がろうとするミノタウロスの右目に刺さり、のた打ち回り暴れ始める。



 響は一人、飛ばされて開けた穴から、クロエの様子を見ていた。

 ダ-クブローの応用かなぁ~
 『ダークアロ-』…………何で教えなかったんだ? 
 後で、深く問い詰めよう!

 戦いを楽しんでいるクロエを見て、ミノタウロスとの戦いは、クロエに任せて、響はこの小部屋を、調べる事にする。
 まずは、認識カラーの光量を上げ、辺りを照らす。
 そこには、整然と並ぶ武器防具のたぐいの物から、魔法書、歴史書、古地図等が本棚に並んでいた。

 響が奥に進むと、大小二十個程の宝箱と箱が二つある。

 宝箱の中には、金銀財宝、魔石、コア、賢者の石、魔核、オーブ等が入っていた。
 二つの箱の中には、スクロールらしき巻物が、ギッシリと入っていた。
 その横には、テ-ブルと椅子。
 そして、ベッドが一つあり、ベッドの上には白骨化した遺体が横たわっていた。
 その姿は、何処となくアリシアの父、マクマオン・シ-ドル公爵に似ていた。
 武器防具の錆付きからしても、かなり昔の物のように感じられた。

 響は、テ-ブルの上に置かれた本を手に取り読み始めると、どうやらこの本は、白骨遺体の彼が書いたダイアリーだったようだ。



 このダンジョンに潜って八年が経つ、四十階層を拠点に五十階層まで行ったが、五十階層のキングワ-ムには、何度挑んでもかなわなかった。
 しかし今日、青いオーブを奴に投げ付けて分かった事だが、奴は水に弱いようだ。



 奴が水に弱いのは分かった。
 色々と武器を手に入れて、試してみたがどの武器も通用しない…………



 やったぞ! 
 ドワーフから手に入れた、水属性の『魔石』と『魔核』を、エンチャントした槍が、奴の体に刺さった。
 水属性の『魔石』『魔核』と、青いオーブを集めなくては…………



 何かが足らない…………『魔石』『魔核』だけでは、奴に傷を負わせる事しか出来ない。
 誰かに、相談してみるしかないか。



 不覚を取ってしまった。
 公爵が敵の回し者だとは…………



 傷が悪くなるばかりだ。
 心残りは、君を復活させる事が……出来なかった……
 だが、もうすぐ君に会う事が出来る。
 アリシア


 「アリシアだと!」
 響は、ダイアリーの最初のペ-ジを開き直す。



 「ふっ~ 楽しませてもらったよっ!」

 クロエは、ミノタウロスの溝内に、止めの一撃を入れる。
 クロエは、手加減したつもりらしいが、ミノタウロスの溝内には、大きな風穴が空いていた。

 「リーダー、クロエには逆らえないね……」

 「そうだな……飲んでる時は特に気を付けないと……」

 ア-リンとジュリアンは、仁王立ちで立っているクロエを、恐怖の眼差まなざしで見つめていた。
 モカは、ア-リンの後ろでクロエと目線を合わさない様に、隠れていた。

 「ん? 響は、どこに行ったんだい?」

 「「「…………」」」

 クロエに聞かれた三人は、無言で開けられた穴を指さした。

 「何してんだい、手助けにも来ずに、寝てたのかい?」

 クロエが穴を覗くと、響が穴から出て来る。

 「リーダー、中にお宝が沢山あるよ」

 響は、武器防具、金銀財宝以外の全ての物を、琴祢に回収させていた。
 遺体もである。

 「俺に任せろ!」

 何を任せるのかは分からないが、ジュリアン達三人プラス、クロエが穴の中に走り込んで行く。


 
 琴祢、回収した物は分解せずに保管しといてくれ、後で色々と試したいから。
 それと、回収した魔法書、歴史書、古地図、その他、ダイアリーも、全部読み込んでデ-タべ-スを作ってくれ。
 後は使えそうな魔法とか有るかもしれないから、内容を分析して教えて欲しい。


 分かったよ! マスター、機密だねぇ。


 そうだ、機密だ。


 響が機密にした理由は、魔法書その他の本を、持って行かれたくなかった事と、ダイアリーにアリシアに関する内容が、含まれていたからだ。

 「この剣すごい! ちょっと錆びてるけど、これ魔剣だよ」

 「こっちも凄いですよ。この弓、今までよりも飛距離が出そう! この矢じりにも……水魔法?」
 モカとア-リンは、武器と防具に夢中である。

 「金貨と銀貨が……いっぱいだぁ! これで、金に困らなくても済む……」
 ジュリアンが抱える小さな宝箱には、大小さまざまな大きさの、金貨と銀貨が詰まった宝箱が二つあった。

 そして、その横ではクロエが、宝箱からネックレスやリングと言った宝石類を付けて、ご満悦な表情を浮かべていた。

 マスター、この先に居る魔物を倒すには、今の装備じゃ無理みたいだから。
 今、ティスがドワーフのおじさん達に、新しい武器を作ってもらっているので、時間を潰して居て、だって。

 分かった! ゆっくり、食事でもするよ…………

 楽しそうにしている皆をよそに、響はテ-ブルに向かい、食事の支度をし始める。
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