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59.女の絆
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響はアリシアに状況を説明し終えると、サラダを作りパスタを茹でて、辛子明太とマヨネ-ズを混ぜたソ-スを作り、アリシアと食事を始める。
「まぁ! 美味しい。こんなパスタ初めて食べました!」
「レシピ本は幾らでもあるから、試してみるといいよ」
今の自分がアストラル体で、実態を持たないと言われた時には、落ち込んでいたが、響の言う再生強化が出来れば元に戻れると知り、アリシアは希望を取り戻していた。
その顔には笑顔が戻り、響との二人の一時を楽しんでいた。
「響さんがリングを持っていれば、これからもこうして会えるんですね!」
嬉しそうにアリシアは、響を見つめて来る。
「それなんだけど、さっき話したようにアリシアには、氷属性の精霊の力がある。だけど今はレベルが低く魔素量が少ないため、その能力が出せないんだ。それに、俺の中には魔王ベルランスがいる。リングが九つ揃うまでは、誰かに託して別々にしようと思っているんだ」
「………………」
アリシアは、捨てられるとでも感じたのか、目を閉じうつ向いてしまう。
今のこの幸せが続き、響と共に歩めるとでも思っていたのであろう。
響の一言で、黙り込んでしまう。
響は焦った。
「あぁ~、ちょっと勘違いしないでね………もう会えない訳じゃないんだから。それに君を託すのは、ティスだから」
「えっ!」
アリシアは、驚いたように顔を上げる。
嫌なのか、嬉しいのかは分からないが………
「ティスさんとまた会えるんですか?」
喜んでいるようだ!
アリシアは、ソファ-に深く座り直し、足を組み、天を仰ぎ見る。
響には、この死語にも近い『乙女心』と言う感情の起伏と変化が、理解出来なかった。
「ティスならいいの………かなぁ? ところでアリシア、ティスなんだけど………」
響は、ティスの今の状況を事細かくアリシアに伝えた。
ティスの悲しみを消すには、アリシアと会い、話をする事が一番の近道である事を………
「ですが響さん、私には氷属性の魔法知識も、魔法を発動させるだけの魔素容量も足りていません。それに、ティスさんは魔素すら持っていません!」
「それは、大丈夫! 魔法の知識は俺の中にある。それに数は少ないが『魔素クリスタル』て言う、魔素を溜めこんでおける道具もある」
「えっ! その様な物を、お持ちなんですか………」
「どゎ~!」
アリシアのくい付きに驚いた響は、ソファ-に倒れ込む。
さっきまでの良い雰囲気は何だったんだぁ~?
ソファ-から起き上がった響は、アリシアに魔法の知識を言葉で伝える。
魔王ベルランスのように一瞬で伝える方法もあるが、アリシアに抑制する術がないためその方法を使うと、アリシアの全てを知ってしまう事になる。
人それぞれ他人には知られたくない事は、多々ある物だ。
響は、それを良しとしなかったのだ。
『魔素クリスタル』に付いては、腐食したガ-ディアンを『原子分解保存』した時に出来た副産物で、ティスと琴祢が調査した結果、魔素を充填出来る事が分かったのだ。
「それじゃぁ、ティスをここに来させるから、後は頼んだよ!」
響は、立ち上がり右手を上げて、扉に向かう。
このまま消えて戻る事も出来るが、ただ扉があるから出て行くだけなのだ。
「………本当に、また………会えるんですよね………信じていいんですよね?」
響の後ろから胸に回された手は、白くか細いが震えながらも、確りと響を掴んで離さなかった。
その手に込められた力こそ、アリシアの響に対する愛情表現なのだが、異性とあまり付き合ったことが無い響にとっては、アリシアが怖がっているとしか捉えていなかった。
響が目を開けると、昨夜と同じ態勢でティスはそこに居た。
ティスの頭に置かれた手に、魔力を集中して眠りの魔法を掛ける。
これで、とうぶんの間は寝たままだ。
「琴祢、ティスを寝かせるから、部屋の鍵を開けてくれ!」
「ティスの部屋には、今ア-リンさんが寝ているよ」
「それじゃぁ、俺の部屋の鍵を開けてくれ! それと、俺の服と装備を用意させてくれ」
「了解! メイドロイドに持って行かせるネ!」
響は立ち上がり、ティスの頭を自分の横顔に寄り添わせ、その両手の中に抱き抱える。
その体は、思ったよりも軽く柔らかい。
響は、ティスの頭が離れない様に気を付けながら、自分の部屋にティスを運んで行く。
ティスをベッドに寝かせると、メイドロイドが響の服と装備を持って、部屋に入ってくる。
響が着替え始めると、そのメイドロイドは、ティスの所に行き靴を脱がした後、服を脱がせ始める。
響は壁に向き直り、着替えを済ませて装備のチェックをして行く。
しかし、そんな響の目の奥には、ティスの白くふくよかな胸の画像が、深く刻み込まれていた。
メイドロイドが部屋を出て行くのを、知らせるかのように扉が閉まる音がする。
ベッドで横になるティスを見詰めると、体のラインが分かる薄手の服に着替えていた。
響はベッドに近づき、ティスの足元に畳まれている掛布を、胸の上まで上げて体のラインを隠す。
手の指からリングを一つ外すと、ティスの右手を掛布から取出し、薬指に押し込んで行った。
そして、ティスの金色の前髪をかき分けて、響は自分の額を付けるとゆっくりと目を閉じる。
そこには、コテ-ジの玄関先で立ち尽くす。
黄色いワンピ-スに黒いベルト、白いパンプス姿のティスが、戸惑いながら立っていた。
「ティス………」
響は、ティスの後ろから声をかけると、ティスは驚いたように振り向き、響に抱き着いて泣きじゃくる。
まだ何も説明していないのだから、こうなるのは予想していたが、次の言葉がかけずらい。
「ティス、よく聞いて………この扉の向こうに、アリシアが居る。事情はアリシアに聞いて欲しい………いいね?」
顔を上げたティスの流す涙は、先程とは少し違って見えるのは錯覚かもしれないが、響は扉を開きティスの背中を押してやる。
「アリシア、後は頼むよ………」
二人は、顔を見たとたん、走り寄り抱き合っていた。
「まぁ! 美味しい。こんなパスタ初めて食べました!」
「レシピ本は幾らでもあるから、試してみるといいよ」
今の自分がアストラル体で、実態を持たないと言われた時には、落ち込んでいたが、響の言う再生強化が出来れば元に戻れると知り、アリシアは希望を取り戻していた。
その顔には笑顔が戻り、響との二人の一時を楽しんでいた。
「響さんがリングを持っていれば、これからもこうして会えるんですね!」
嬉しそうにアリシアは、響を見つめて来る。
「それなんだけど、さっき話したようにアリシアには、氷属性の精霊の力がある。だけど今はレベルが低く魔素量が少ないため、その能力が出せないんだ。それに、俺の中には魔王ベルランスがいる。リングが九つ揃うまでは、誰かに託して別々にしようと思っているんだ」
「………………」
アリシアは、捨てられるとでも感じたのか、目を閉じうつ向いてしまう。
今のこの幸せが続き、響と共に歩めるとでも思っていたのであろう。
響の一言で、黙り込んでしまう。
響は焦った。
「あぁ~、ちょっと勘違いしないでね………もう会えない訳じゃないんだから。それに君を託すのは、ティスだから」
「えっ!」
アリシアは、驚いたように顔を上げる。
嫌なのか、嬉しいのかは分からないが………
「ティスさんとまた会えるんですか?」
喜んでいるようだ!
アリシアは、ソファ-に深く座り直し、足を組み、天を仰ぎ見る。
響には、この死語にも近い『乙女心』と言う感情の起伏と変化が、理解出来なかった。
「ティスならいいの………かなぁ? ところでアリシア、ティスなんだけど………」
響は、ティスの今の状況を事細かくアリシアに伝えた。
ティスの悲しみを消すには、アリシアと会い、話をする事が一番の近道である事を………
「ですが響さん、私には氷属性の魔法知識も、魔法を発動させるだけの魔素容量も足りていません。それに、ティスさんは魔素すら持っていません!」
「それは、大丈夫! 魔法の知識は俺の中にある。それに数は少ないが『魔素クリスタル』て言う、魔素を溜めこんでおける道具もある」
「えっ! その様な物を、お持ちなんですか………」
「どゎ~!」
アリシアのくい付きに驚いた響は、ソファ-に倒れ込む。
さっきまでの良い雰囲気は何だったんだぁ~?
ソファ-から起き上がった響は、アリシアに魔法の知識を言葉で伝える。
魔王ベルランスのように一瞬で伝える方法もあるが、アリシアに抑制する術がないためその方法を使うと、アリシアの全てを知ってしまう事になる。
人それぞれ他人には知られたくない事は、多々ある物だ。
響は、それを良しとしなかったのだ。
『魔素クリスタル』に付いては、腐食したガ-ディアンを『原子分解保存』した時に出来た副産物で、ティスと琴祢が調査した結果、魔素を充填出来る事が分かったのだ。
「それじゃぁ、ティスをここに来させるから、後は頼んだよ!」
響は、立ち上がり右手を上げて、扉に向かう。
このまま消えて戻る事も出来るが、ただ扉があるから出て行くだけなのだ。
「………本当に、また………会えるんですよね………信じていいんですよね?」
響の後ろから胸に回された手は、白くか細いが震えながらも、確りと響を掴んで離さなかった。
その手に込められた力こそ、アリシアの響に対する愛情表現なのだが、異性とあまり付き合ったことが無い響にとっては、アリシアが怖がっているとしか捉えていなかった。
響が目を開けると、昨夜と同じ態勢でティスはそこに居た。
ティスの頭に置かれた手に、魔力を集中して眠りの魔法を掛ける。
これで、とうぶんの間は寝たままだ。
「琴祢、ティスを寝かせるから、部屋の鍵を開けてくれ!」
「ティスの部屋には、今ア-リンさんが寝ているよ」
「それじゃぁ、俺の部屋の鍵を開けてくれ! それと、俺の服と装備を用意させてくれ」
「了解! メイドロイドに持って行かせるネ!」
響は立ち上がり、ティスの頭を自分の横顔に寄り添わせ、その両手の中に抱き抱える。
その体は、思ったよりも軽く柔らかい。
響は、ティスの頭が離れない様に気を付けながら、自分の部屋にティスを運んで行く。
ティスをベッドに寝かせると、メイドロイドが響の服と装備を持って、部屋に入ってくる。
響が着替え始めると、そのメイドロイドは、ティスの所に行き靴を脱がした後、服を脱がせ始める。
響は壁に向き直り、着替えを済ませて装備のチェックをして行く。
しかし、そんな響の目の奥には、ティスの白くふくよかな胸の画像が、深く刻み込まれていた。
メイドロイドが部屋を出て行くのを、知らせるかのように扉が閉まる音がする。
ベッドで横になるティスを見詰めると、体のラインが分かる薄手の服に着替えていた。
響はベッドに近づき、ティスの足元に畳まれている掛布を、胸の上まで上げて体のラインを隠す。
手の指からリングを一つ外すと、ティスの右手を掛布から取出し、薬指に押し込んで行った。
そして、ティスの金色の前髪をかき分けて、響は自分の額を付けるとゆっくりと目を閉じる。
そこには、コテ-ジの玄関先で立ち尽くす。
黄色いワンピ-スに黒いベルト、白いパンプス姿のティスが、戸惑いながら立っていた。
「ティス………」
響は、ティスの後ろから声をかけると、ティスは驚いたように振り向き、響に抱き着いて泣きじゃくる。
まだ何も説明していないのだから、こうなるのは予想していたが、次の言葉がかけずらい。
「ティス、よく聞いて………この扉の向こうに、アリシアが居る。事情はアリシアに聞いて欲しい………いいね?」
顔を上げたティスの流す涙は、先程とは少し違って見えるのは錯覚かもしれないが、響は扉を開きティスの背中を押してやる。
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二人は、顔を見たとたん、走り寄り抱き合っていた。
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