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69.覆面姿の男
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五十体程の死人の群れが冒険者組合の建物を取り囲み、入口の扉へと押し寄せて来る。
冒険者組合の二階の窓からは、冒険者二人が死人の群れに向けて、弓矢を立て続けに射かけている。
その死人の群れの後ろには、死人を率いる男がアックスを持ち、その腕の筋肉は盛り上がり固い針金のような毛は、並みの冒険者の剣や矢であれば跳ね返してしまう。
その男は、ワーウルフであった。
冒険者組合の扉がきしみ。今にも止め金が外れそうである。
「扉が破られるぞ!」
冒険者組合の一階で待ち受ける冒険者五人は、槍を構えて身構える。
受付の女性三人は逃げ遅れて、二階の会議室で息を潜めて、『こんな時に組合長は、何処に行ったのよ!』と、姿のないマリア組合長の悪口で恐怖心を押さえていた。
一階の扉は破られ死人達が押し寄せて来る。
「五人じゃ無理だ!」
「俺達しかいないんだ! 持ちこたえろ~」
五人の冒険者達は、入って来る死人達を懸命に食い止める。
その時、覆面姿の男が両手にブロードソードを持ち、死人の群れの中に飛び込んで来る。
覆面姿の男は、死人の首を躍るようにブロードソードで斬って行く。
ブロードソードには反りが無い為、普通は押し斬るように斬るのだが、この男の剣を振るスピ-ドは、尋常では無く速いため、死人達は成す術もなく次々と倒されて行く。
「お前は何者だ!」
目の前で倒されて行く死人達を見て、思わずワーウルフは吠える。
覆面姿の男は、冒険者組合の入り口に押し寄せていた死人二十体を倒し、ワーウルフと対峙する。
冒険者組合の中に居た五人の冒険者も、外に出て来て覆面姿の男に加勢する。
「あんた、強いな。組合長の知り合いか?」
覆面姿の男は、冒険者の問いかけに頷いて返答をする。
そこへ、呼び寄せられた冒険者達が、死人の群れに襲い掛かると、辺り一帯が乱戦模様となってしまう。
冒険者達も先の戦いを参考に、死人との戦い方を確立して、死人に引けを取る事は無くなっていた。
しかし、ワーウルフは別格で、冒険者五人で取り囲み隙を突こうとしても、ワーウルフが振り回すアックスの剣圧に押されて近づけない。
そこに飛び込んだ覆面姿の男は、ワーウルフの繰り出すアックスを受け流して、ワーウルフの肩にブロードソードで斬り付ける。
だが、死人を倒した事でブロードソードの切れ味が落ちたのか。ワーウルフの毛に覆われた体の防御力が高いのか。ブロードソードで負わせた傷は、致命傷を与える事は出来なかった。
覆面姿の男は、両手に持ったブロードソードを投げ捨てると、コ-トの中から一振りの反りの有る剣を取出して、ワーウルフを睨み付ける。
「お前の剣では、儂を倒す事は出来ん! この体は鋼をも跳ね返すからなぁ~!」
ワーウルフは、覆面姿の男の攻撃を退けた事で、気を良くしたようだった。
ワーウルフがアックスを振り被り、覆面姿の男目がけて振り下ろす。
覆面姿の男は、振り下ろされたアックスを、左前に前進する事で避けると、剣を居合抜きで鞘から引き抜き、ワーウルフの首を一撃で切り落とす。
やっぱり日本刀は切れ味が違うなぁ~!
ブロードソードは一種類の鋼で鍛えるが、日本刀は最低四種類の鋼を用途に応じて、合わせて鍛えている為、強度・切れ味共に優れた剣であった。
「よし! こいつで最後だ!」
「おい、覆面の人は何処に行った?」
「さっきまで、そこにいたんだが………」
ワーウルフを倒したその後の戦いは、冒険者達の圧勝であった。
頭が居なくなった事で、死人の群れの統率が取れなくなり、冒険者達の連携の取れた攻撃が殲滅の決め手となった。
「琴祢、冒険者組合の方は片付いた。向うの様子はどうなっている?」
響は、走りながら覆面を外す。事が終わり組合から逃げるように姿を消したのは、敵に素性を悟られないようにする事と、響の能力が冒険者達にもまだ知られていないからだ。
今、響の能力が知られると言う事は、他国からの警戒心や疑念を招き、敵対して来る事もある為でもある。
この事に付いては、マリア組合長達との話し合いの結果でもあった。
「あいつら、アリシアに化けたクロエを連れてったよ。マリア組合長の方も、人質の救出に成功したから大丈夫だよ!」
「琴祢、クロエの追跡の方はどうだ?」
「バッチリ映ってるから、見失う事は無いよ」
ここモ-グズ大陸の上空にも、ヒビキアイランドと同じく、衛星軌道上に静止衛星三機が設置済で、夜間でも暗視機能搭載型である為、地上の映像がハッキリと映っていた。
ヒビキアイランドで、最初に設置した静止衛星には、暗視機能を琴祢が付け忘れて、夜間映像が真っ暗で見えなかったと言う事があり、静止衛星を回収改良して再設置し直す出来事があった。
普通であれば回収と言う、幾ら費用が掛かるか分からない事はせず、新しく造り直して打ち上げるのだが、打ち上げ費用が最低でも二百億近く掛かる事を考えると、琴祢が行う転送は安上がりで夢のような方法だった。
「この辺りまで来ればもういいか………琴祢、レオンに転送してくれ!」
建物の陰に隠れた響は、辺りに人影が無い事を確認して、琴祢とコンタクトを取る
「了解~! て言うか、マスタ-自分で戻って来れるよね~」
「………そうでした」
響は、魔王のスキル空間移動『テレポート』を使い、亜空間ベース『レオン』に戻るのであった。
冒険者組合の二階の窓からは、冒険者二人が死人の群れに向けて、弓矢を立て続けに射かけている。
その死人の群れの後ろには、死人を率いる男がアックスを持ち、その腕の筋肉は盛り上がり固い針金のような毛は、並みの冒険者の剣や矢であれば跳ね返してしまう。
その男は、ワーウルフであった。
冒険者組合の扉がきしみ。今にも止め金が外れそうである。
「扉が破られるぞ!」
冒険者組合の一階で待ち受ける冒険者五人は、槍を構えて身構える。
受付の女性三人は逃げ遅れて、二階の会議室で息を潜めて、『こんな時に組合長は、何処に行ったのよ!』と、姿のないマリア組合長の悪口で恐怖心を押さえていた。
一階の扉は破られ死人達が押し寄せて来る。
「五人じゃ無理だ!」
「俺達しかいないんだ! 持ちこたえろ~」
五人の冒険者達は、入って来る死人達を懸命に食い止める。
その時、覆面姿の男が両手にブロードソードを持ち、死人の群れの中に飛び込んで来る。
覆面姿の男は、死人の首を躍るようにブロードソードで斬って行く。
ブロードソードには反りが無い為、普通は押し斬るように斬るのだが、この男の剣を振るスピ-ドは、尋常では無く速いため、死人達は成す術もなく次々と倒されて行く。
「お前は何者だ!」
目の前で倒されて行く死人達を見て、思わずワーウルフは吠える。
覆面姿の男は、冒険者組合の入り口に押し寄せていた死人二十体を倒し、ワーウルフと対峙する。
冒険者組合の中に居た五人の冒険者も、外に出て来て覆面姿の男に加勢する。
「あんた、強いな。組合長の知り合いか?」
覆面姿の男は、冒険者の問いかけに頷いて返答をする。
そこへ、呼び寄せられた冒険者達が、死人の群れに襲い掛かると、辺り一帯が乱戦模様となってしまう。
冒険者達も先の戦いを参考に、死人との戦い方を確立して、死人に引けを取る事は無くなっていた。
しかし、ワーウルフは別格で、冒険者五人で取り囲み隙を突こうとしても、ワーウルフが振り回すアックスの剣圧に押されて近づけない。
そこに飛び込んだ覆面姿の男は、ワーウルフの繰り出すアックスを受け流して、ワーウルフの肩にブロードソードで斬り付ける。
だが、死人を倒した事でブロードソードの切れ味が落ちたのか。ワーウルフの毛に覆われた体の防御力が高いのか。ブロードソードで負わせた傷は、致命傷を与える事は出来なかった。
覆面姿の男は、両手に持ったブロードソードを投げ捨てると、コ-トの中から一振りの反りの有る剣を取出して、ワーウルフを睨み付ける。
「お前の剣では、儂を倒す事は出来ん! この体は鋼をも跳ね返すからなぁ~!」
ワーウルフは、覆面姿の男の攻撃を退けた事で、気を良くしたようだった。
ワーウルフがアックスを振り被り、覆面姿の男目がけて振り下ろす。
覆面姿の男は、振り下ろされたアックスを、左前に前進する事で避けると、剣を居合抜きで鞘から引き抜き、ワーウルフの首を一撃で切り落とす。
やっぱり日本刀は切れ味が違うなぁ~!
ブロードソードは一種類の鋼で鍛えるが、日本刀は最低四種類の鋼を用途に応じて、合わせて鍛えている為、強度・切れ味共に優れた剣であった。
「よし! こいつで最後だ!」
「おい、覆面の人は何処に行った?」
「さっきまで、そこにいたんだが………」
ワーウルフを倒したその後の戦いは、冒険者達の圧勝であった。
頭が居なくなった事で、死人の群れの統率が取れなくなり、冒険者達の連携の取れた攻撃が殲滅の決め手となった。
「琴祢、冒険者組合の方は片付いた。向うの様子はどうなっている?」
響は、走りながら覆面を外す。事が終わり組合から逃げるように姿を消したのは、敵に素性を悟られないようにする事と、響の能力が冒険者達にもまだ知られていないからだ。
今、響の能力が知られると言う事は、他国からの警戒心や疑念を招き、敵対して来る事もある為でもある。
この事に付いては、マリア組合長達との話し合いの結果でもあった。
「あいつら、アリシアに化けたクロエを連れてったよ。マリア組合長の方も、人質の救出に成功したから大丈夫だよ!」
「琴祢、クロエの追跡の方はどうだ?」
「バッチリ映ってるから、見失う事は無いよ」
ここモ-グズ大陸の上空にも、ヒビキアイランドと同じく、衛星軌道上に静止衛星三機が設置済で、夜間でも暗視機能搭載型である為、地上の映像がハッキリと映っていた。
ヒビキアイランドで、最初に設置した静止衛星には、暗視機能を琴祢が付け忘れて、夜間映像が真っ暗で見えなかったと言う事があり、静止衛星を回収改良して再設置し直す出来事があった。
普通であれば回収と言う、幾ら費用が掛かるか分からない事はせず、新しく造り直して打ち上げるのだが、打ち上げ費用が最低でも二百億近く掛かる事を考えると、琴祢が行う転送は安上がりで夢のような方法だった。
「この辺りまで来ればもういいか………琴祢、レオンに転送してくれ!」
建物の陰に隠れた響は、辺りに人影が無い事を確認して、琴祢とコンタクトを取る
「了解~! て言うか、マスタ-自分で戻って来れるよね~」
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