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81.ナルミ・エスタニアの初陣-2
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ナルミ達ブラッド騎士団は、徐々に騎士の数を減らして行く。
ワーウルフを五体倒す頃には、百人いた騎士達も、第一小隊の騎士が十六人、第二小隊が三十三人、合わせても四十九人となっていた。
その四十九人の騎士達で、無傷の者はナルミを入れても、六人しかいなかった。
それ程、ワーウルフの攻撃力は強いと言う事だ。
「怪我が深い者は、中央へ移動させろ! 足元に気を付けろ! 左からくるぞ~!」
第二小隊の小隊長が、その都度指示を与えて行く。
戦闘中は、分かりきった事でも声に出して指示しないと、直ぐ死に繋がる事態に成りかねない。
周りの地面には、傷つき倒れている騎士や、血だまりが至る所に在り、足を取られる事もしばしば起きていた。
「一匹後に回りました! 気を付けて~!」
中央に居たナルミが、一匹のワーウルフを見付ける。
そのワーウルフは、隠れるように後方に回り、騎士に襲い掛かって来る。
ナルミは、後方のワーウルフに意識を集中していた。
「ナルミ様危ない!」
後方に気を取られていたナルミに、一匹のワーウルフが、横から騎士の壁を飛び越えてナルミを狙う。
騎士達もナルミを守ろうとするが、ワーウルフの跳躍力は高く、ナルミの頭上から黒く鋭い爪が襲い掛かる。
「キャッ~!」
ナルミは、思わず手で顔を覆う。
騎士の誰もが、ナルミの死を確信した。
ナルミ自身も、一瞬の内に亡くなった母の事を、走馬灯のように思い浮かべた。
そした、母の元に召される事を、ナルミも覚悟した。
その時、何処からともなく覆面姿の男が現れ。
一太刀でワーウルフの首を切り落とすのであった。
「「「おおぉ~!」」」
騎士達も目の前で起きた事に、驚きが隠せなかった。で
自分達が、多大な犠牲を出しながら倒したワーウルフを、いとも簡単に目の前で倒されたのだ。
驚かない方がおかしい。
ナルミは、自分の横に転がるワーウルフに気付き、放心状態となっている。
「大丈夫か? おい!」
響は、ナルミの肩を揺すり、正気を取り戻させる。
戦闘中とは言え、放心状態となるのも無理はない。
死んだと思った自分が、無傷で生きている。
ナルミは両手を開き、手の震えを押さえようと、気持ちを落ち着かせようとする。
そして、覆面姿の響に気付くのであった。
「貴方は、どなたですか?」
ナルミは、助けて貰った礼を言うのも忘れて、響に問うのだった。
「そんな事より、武器を取れ!」
響も戦闘に慣れて来たのか、冷静に周りの状況を見ている。
ナルミが、武器を取るのを確認すると、騎士を飛び越えてワーウルフに向かって行く。
「ナルミ様、ご無事ですか? あの者は、何者ですか! タンバの者でしょうか?」
ナルミに駆け寄った騎士が、矢継ぎ早に自分の聞きたい事を、ナルミに投げ掛ける
「………分かりません」
響の後姿を目で追いながら、その身体能力の高さに驚くナルミだった。
響は、足の速いワーウルフに負ける事なく。
ワーウルフの後ろを取ると、背中に一太刀浴びせる。
その横の窪みに隠れていたワーウルフが、響の不意を突いて飛び掛かる。
しかし、ワーウルフは眉間を撃ち抜かれて、その場に倒れ込む。
ティスかぁ~。
響は、背筋に寒気を感じる。
響が目を逸らした隙を突き、先程背中を切り付けられたワーウルフが、体制を立て直し響に襲い掛かる。
それを、響は体を左に避けてかわすと、ワーウルフの首を狙って、刀を振ろうとした時。
「響~聞いとくれよ~。ティスの奴がねぇ~。アタイを店でこき使うんだよ~。酷いと思わないかい?」
響の背中に急にメイド服姿で、姿を現したクロエは、響の首に両腕を巻き付けてしがみ付いて来る。
クロエがしがみ付いた事で体制を崩した響は、ワーウルフに後ろを取られてしまう。
そこに、ワーウルフの鋭い爪の攻撃が入った。
その一撃は、クロエの尻に入りメイド服が切り裂かれる。
「何するんだい、痛いじゃないかい!」
クロエは、振り向きざまワーウルフの顔面に、『ダ-クブロ-』を打ち込む。
それと同時に、クロエの頭を掠めてワーウルフの眉間に風穴があく。
「ひぃ~!」
ティスのクリスタルガンから放たれた一発だった。
今のって、ワーウルフを狙ったんだよなぁ~?
危ねぇ~!
「響~助けとくれよ~!」
チュン! チュン! チュン!
響に助けを求めて、駆け寄ろうとするクロエの周りに、銃弾が次々と打ち込まれる。
クロエが、銃弾を避ける姿は、高速でタップダンスを踊っているようであった。
よし、ほっとこう!
係り合うと面倒そうなので、響はワーウルフ退治に専念する事にする。
次のワーウルフを切り付けた時、響の刀は折れてしまう。
流石に、三体目ともなると耐久力が、もたなかったようだ。
それを見たワーウルフも、ここぞとばかりに反撃して来る。
響は、コ-トから『ショットガン』を取り出す。
撃鉄を上げてワーウルフの胸に銃身をむけ、トリガ-を引く。
『ショットガン』から撃ち出された弾は、ワーウルフの胸に無数の穴を開け。
ワーウルフは、その場で絶命する。
残り二体のワーウルフは、ブラッド騎士団の騎士達が倒していた。
しかし、犠牲も多く第一小隊、第二小隊合わせても三十一人しか、生き残っていなかったのだ。
クロエを見ると、まだティスに弄ばれている。
「琴祢、アクラ族長を転送してくれ」
ワーウルフを全て退治した事を確認した響は、アクラ族長を呼び寄せるのであった。
ワーウルフを五体倒す頃には、百人いた騎士達も、第一小隊の騎士が十六人、第二小隊が三十三人、合わせても四十九人となっていた。
その四十九人の騎士達で、無傷の者はナルミを入れても、六人しかいなかった。
それ程、ワーウルフの攻撃力は強いと言う事だ。
「怪我が深い者は、中央へ移動させろ! 足元に気を付けろ! 左からくるぞ~!」
第二小隊の小隊長が、その都度指示を与えて行く。
戦闘中は、分かりきった事でも声に出して指示しないと、直ぐ死に繋がる事態に成りかねない。
周りの地面には、傷つき倒れている騎士や、血だまりが至る所に在り、足を取られる事もしばしば起きていた。
「一匹後に回りました! 気を付けて~!」
中央に居たナルミが、一匹のワーウルフを見付ける。
そのワーウルフは、隠れるように後方に回り、騎士に襲い掛かって来る。
ナルミは、後方のワーウルフに意識を集中していた。
「ナルミ様危ない!」
後方に気を取られていたナルミに、一匹のワーウルフが、横から騎士の壁を飛び越えてナルミを狙う。
騎士達もナルミを守ろうとするが、ワーウルフの跳躍力は高く、ナルミの頭上から黒く鋭い爪が襲い掛かる。
「キャッ~!」
ナルミは、思わず手で顔を覆う。
騎士の誰もが、ナルミの死を確信した。
ナルミ自身も、一瞬の内に亡くなった母の事を、走馬灯のように思い浮かべた。
そした、母の元に召される事を、ナルミも覚悟した。
その時、何処からともなく覆面姿の男が現れ。
一太刀でワーウルフの首を切り落とすのであった。
「「「おおぉ~!」」」
騎士達も目の前で起きた事に、驚きが隠せなかった。で
自分達が、多大な犠牲を出しながら倒したワーウルフを、いとも簡単に目の前で倒されたのだ。
驚かない方がおかしい。
ナルミは、自分の横に転がるワーウルフに気付き、放心状態となっている。
「大丈夫か? おい!」
響は、ナルミの肩を揺すり、正気を取り戻させる。
戦闘中とは言え、放心状態となるのも無理はない。
死んだと思った自分が、無傷で生きている。
ナルミは両手を開き、手の震えを押さえようと、気持ちを落ち着かせようとする。
そして、覆面姿の響に気付くのであった。
「貴方は、どなたですか?」
ナルミは、助けて貰った礼を言うのも忘れて、響に問うのだった。
「そんな事より、武器を取れ!」
響も戦闘に慣れて来たのか、冷静に周りの状況を見ている。
ナルミが、武器を取るのを確認すると、騎士を飛び越えてワーウルフに向かって行く。
「ナルミ様、ご無事ですか? あの者は、何者ですか! タンバの者でしょうか?」
ナルミに駆け寄った騎士が、矢継ぎ早に自分の聞きたい事を、ナルミに投げ掛ける
「………分かりません」
響の後姿を目で追いながら、その身体能力の高さに驚くナルミだった。
響は、足の速いワーウルフに負ける事なく。
ワーウルフの後ろを取ると、背中に一太刀浴びせる。
その横の窪みに隠れていたワーウルフが、響の不意を突いて飛び掛かる。
しかし、ワーウルフは眉間を撃ち抜かれて、その場に倒れ込む。
ティスかぁ~。
響は、背筋に寒気を感じる。
響が目を逸らした隙を突き、先程背中を切り付けられたワーウルフが、体制を立て直し響に襲い掛かる。
それを、響は体を左に避けてかわすと、ワーウルフの首を狙って、刀を振ろうとした時。
「響~聞いとくれよ~。ティスの奴がねぇ~。アタイを店でこき使うんだよ~。酷いと思わないかい?」
響の背中に急にメイド服姿で、姿を現したクロエは、響の首に両腕を巻き付けてしがみ付いて来る。
クロエがしがみ付いた事で体制を崩した響は、ワーウルフに後ろを取られてしまう。
そこに、ワーウルフの鋭い爪の攻撃が入った。
その一撃は、クロエの尻に入りメイド服が切り裂かれる。
「何するんだい、痛いじゃないかい!」
クロエは、振り向きざまワーウルフの顔面に、『ダ-クブロ-』を打ち込む。
それと同時に、クロエの頭を掠めてワーウルフの眉間に風穴があく。
「ひぃ~!」
ティスのクリスタルガンから放たれた一発だった。
今のって、ワーウルフを狙ったんだよなぁ~?
危ねぇ~!
「響~助けとくれよ~!」
チュン! チュン! チュン!
響に助けを求めて、駆け寄ろうとするクロエの周りに、銃弾が次々と打ち込まれる。
クロエが、銃弾を避ける姿は、高速でタップダンスを踊っているようであった。
よし、ほっとこう!
係り合うと面倒そうなので、響はワーウルフ退治に専念する事にする。
次のワーウルフを切り付けた時、響の刀は折れてしまう。
流石に、三体目ともなると耐久力が、もたなかったようだ。
それを見たワーウルフも、ここぞとばかりに反撃して来る。
響は、コ-トから『ショットガン』を取り出す。
撃鉄を上げてワーウルフの胸に銃身をむけ、トリガ-を引く。
『ショットガン』から撃ち出された弾は、ワーウルフの胸に無数の穴を開け。
ワーウルフは、その場で絶命する。
残り二体のワーウルフは、ブラッド騎士団の騎士達が倒していた。
しかし、犠牲も多く第一小隊、第二小隊合わせても三十一人しか、生き残っていなかったのだ。
クロエを見ると、まだティスに弄ばれている。
「琴祢、アクラ族長を転送してくれ」
ワーウルフを全て退治した事を確認した響は、アクラ族長を呼び寄せるのであった。
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