NineRing~捕らわれし者たち~

吉備津 慶

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87.デュース攻防戦3

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 アクラとナルミ達ブラッド騎士団三十一名は、響の『メテオブレイク』が着弾するのを、待っていたかのように、 『メテオブレイク』の着弾後、魔物の死骸が転がる中に、転送されて来た。

 「アクラ様、これは………デュースに、何故、魔物が………それに、この魔物の死骸の数は、何なんですか?」

 「これ程までに多くの魔物が、押し寄せるとは………私にも分かりません」

 アクラも、魔物がデュースに押し寄せる理由は分からなかった。
 しかし、魔物の死骸に付いては、響が倒したであろう事は、容易に理解していた。
 そして、ナルミには悪いが、嘘を付いた。
 現在、響の所で世話になっている以上、当然の振る舞いとも言える。

 「あれは、アクラ様の手の者ですか?」

 アンリ小隊長の、目の前を駆け抜けながら、モンタナ達がショットガンで魔物達を倒して行く。
 ショットガンの発射音と威力は、魔物やアンリ達を驚かせるのに、十分な効果を持っていた。

 「はい、そうでございます」

 アクラも実戦でショットガンが、これ程威力を発揮するとは、思ってもいなかった。

 そんな、アクラとナルミ達を見付けた魔物達は、纏まりもなく立ち向かって来る。

 「隊列を組め~軍旗を掲げよ!」

 魔物の接近に、いち早く気付いたのはアンリ小隊長だった。

 「天より下されし輝く雷を、汝らに与えん! 『ライトニング』」

 ナルミは、アンリ小隊長達の後ろで、両手を広げ父ゾンネルに教えられた詠唱を唱える。
 右手の指輪が光り、ナルミ達に向かって来る魔物の頭上に雷が落ちる。
 雷の威力は、父ゾンネルに及ばないものの、十匹程の魔物を即死させる。

 「何だ。今の雷は~!」

 魔物と戦っていた響も、後方に落ちた雷に驚く。

 雷属性を持った術者が、居るようだな。それに、まだ覚醒していないが、カンナの気を感じる。

 カンナ………?

 そうだ、あの術者は、リングの持ち主だ。

 「本当か~!」

 響も、思わず声を上げてしまう。
 まさか、こんな所でリングの持ち主と、出くわすとは思っても見なかった。
 魔王ベルランスも、ナルミに会った時には気付かなかったが、リングを使った事で存在に気付いたようだ。

 「ゾンネル様が、戻られたのか?」

 「いや、あの旗指物は………ナルミ様だぁ~ナルミ様が、戻られたぞ~」

 「「「「おぉぉ~~~!」」」」

 先程の隕石が、何者の仕業なのか分からなかったが、雷と旗指物でナルミだと知ると、戦う町の男達の間に歓喜が広がる。

 「ナルミ様、後を~」

 戦闘中の騎士の一人が、ナルミの後ろを指さし叫ぶ。
 そこには、左腕と右足を失くしたアイスウォ-カ-が、這いつくばっていた。
 三人の騎士が、ナルミとアイスウォ-カ-の間に割って入る。
 そして、アイスウォ-カ-との間を詰めて行く。

 「うそでしょ! 第一王子が何で、アイスウォ-カ-に………」

 ナルミは、病だと聞かされていた第一王子の、変わり果てた姿に驚くのであった。

 「一斉に掛かるぞ!」

 三人の騎士は、手負いのアイスウォ-カ-に、一斉に斬りかかる。
 だが、アイスウォ-カ-の持っていた槍の穂先が一瞬早く、三人の騎士達は倒されてしまう。
 そして、その槍が次に狙うのは、ナルミであった。
 しかし、片腕片足のアイスウォ-カ-の動きは遅く、近付きさえしなければ脅威では無いように感じられる。

 「貴方は………」

 そんな、ナルミの目の前に、割って入ったのは響であった。

 「ここは、私にお任せ下さい」

 響は、ナルミの前に立つと、アイスウォ-カ-に向かって、ゆっくりと歩いて行く。

 あの槍には気を付けよ。触ると氷付くぞ!

 ああ、分かってる。マエラさんの足を、奪ったやつだからなぁ。

 響は、魔王ベルランスの忠告を聞きながら、コタン村でアイスウォ-カ-に、襲われた時の事を思い出していた。
 あの時、マエラの足を奪った槍は、現在、琴祢が解析中だ。
 だだ一つ、分かった事があった。
 それは、手持ちの武器に『ダ-クオ-ラ』を掛ける事で、武器の強度を上げる事が出来ると言う事だった。
 だが、いい事があれば、悪い事もある。『ダ-クオ-ラ』を掛ける事で、武器の切れ味が極端に落ちると言う事だった。

 響は、右手で刀を抜き『ダ-クオ-ラ』を掛ける。
 アイスウォ-カ-の繰り出した槍を刀で受け止めると、左手で魔剣を抜きアイスウォ-カ-の首を、呆気なく切り落とすのだった。

 「凄まじい、手練れですな!」

 「そうですね………」

 ナルミの警護に駆け戻った騎士の一人が、響を見て驚きの声を上げる。
 そんな二人の横を、馬に乗った響が駆け抜けて行く。

 「これはもう使えん!」

 切れ味の落ちた刀をしまい、アイスウォ-カ-の持っていた槍に持ち帰る。
 アイスウォ-カ-が持っていた時には、冷気を帯びていた槍も、響が手にすると穂先が、黒炎に包まれ包まれて燃え上がる。

 ほぅ~。魔剣と同じく、属性効果を引き出す槍か………なれば、我も手を貸してやろう。

 手を貸す?

 魔王ベルランスが、『自分から手を貸す』と言う事に、不安を感じる響だったが、自分の持っている槍の形状が、見る見る内に大刀へと変わって行く。

 「なに~、物質変換なのか~?」

 何を言っておる。錬金術の応用スキルを使って、形状を変換しただけだ。もう、お主にも理解出来るであろう。

 「………………これって、色々と使えるなぁ」

 魔王が、響の体を通してスキルを使った事で、響にもそのスキル内容が、瞬時に理解出来ていた。
 そして、素材さえあれば、色々な物が作れる事に、わくわくするのだった。
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