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93.地下牢の中に
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地下牢の中に、ナルミ・エスタニアの姉、タ-ニャ・エスタニアが幽閉されていた。
薄汚く薄暗い牢獄の中で、薄汚れたドレスを着ていたとは言えナルミのその姿は、不似合いではあったものの、彼女の美貌までを隠す事は出来なかった。
帝都で、帝国近衛騎士として皇帝に使えていたナルミだったが、その美貌に惹かれる者は多く。
その中には、第二王子のトリニド・ガズールも含まれていた。
トリニドは、自分の地位を利用して、ナルミに再三に渡り求婚の申し出をしたが、ナルミはこれを断り続けていた。
そんなナルミだったが、皇帝と第一王子が続けて病になり、城の奥に引き籠ってから直ぐに、トリニドによって捕らえられた。
その後、トリニドが皇帝代理となり、何処からともなくトリニドが引き連れて来たズルガが、侯爵に取り立てられると、この国の情勢が変わって来た。
ズルガが権勢を振るうようになってから、トリニドに物言う者のこと如くの貴族が、改易になるか処刑されてしまった。
ナルミも当初は、奥向きの部屋に捕らえられて居たもののが、トリニドにあまりにもなびかない事に、業をにやしたトリニドが、ナルミを牢獄に閉じ込めたのだ。
そして、何時しか牢獄の見張りは居なくなり、ナルミの見張りはオークにとって代わっていた。
毎日、目の前で囚人の死骸に食らい付く、そんなオーク達を目の当たりにしていたナルミの精神が、崩壊するのも後わずかであった。
「大丈夫ですか?」
「神様………………」
暗い牢獄の中で、体から光を放つ響の顔を見たナルミは、意識を失った。
「一旦、連れて帰るかぁ」
響は、城の探索を一旦やめて、ナルミを抱き抱えると『レオン』へと帰還した。
「クロエさん! 響さんから自重するように、言われましたよね!」
「自重してるよ! だから、殴り倒すだけで、殺してないだろ! だけど! コイツは別だ!」
ティスとクロエは、通信機でやり取りしながら、子供達を連れて行こうとする騎士達と戦っていた。
ティスは、後方からクリスタルガンをスナイプモ-ドにして、クロエの援護をしてる。
言うまでも無いが、クリスタルガンの出力は、当たっても身動きが取れなくなる程度にまで抑えている。
そんな戦いの中、この騎士達の中にひと際強い者達がいた。
クロエは他の騎士とは違い、その騎士達には一切の手加減をしなかった。
「砕け散れ!」
クロエは、ナックルダスターをはめた手で、騎士の腹を思い切り打ち抜いた。
クロエのナックルで殴られた騎士は、腹に風穴が空き、隣の家の壁を破って息絶えていた。
「ちょっと! やりすぎじゃない!」
「アイツの姿を、ご覧よ!」
ティスはクロエが倒した騎士を、クリスタルガンのスコ-プを覗き込んで見てみると、その騎士の姿は、毛もくじゃらなワーウルフの姿に変わっていた。
騎士達の中に、騎士に化けたワーウルフが紛れ込んでいたのだ。
それも、騎士達を束ねる長として………。
「そう言う事ですか………しかし、兵の数が増えたわね」
ティスは、事情を納得するとすぐさま、援護射撃を始める。
だが、騒ぎを聞き付けた騎士達が、クロエの周りに集まりだして、その数を増やして行くのだった。
亜空間ベース『レオン』のメディカルルームに、タ-ニャ・エスタニアを抱き抱えた響が、『空間移動』で現れる。
「ブル-、メディカルポッド空いてる?」
メディカルルームに居たメイド服姿、シルバ-ショ-ヘア-のブル-に響は声をかける。
ブル-は、ティス専属の二人いるメイドロイドの一人である。
「はい、響様。一つ空いております」
ブル-は振り返り響の姿を確認すると、驚きもせず左側のポッドを示した。
響が、メディカルポッドにタ-ニャを寝かせると、ブル-はタ-ニャの衣服を脱がして行く。
薄汚れた衣服を脱がされたタ-ニャの体は、やつれてはいるものの均整のとれた体をしていた。
「響様! 女性の裸をそんなに、まじまじと見るものではありませんよ!」
「はい! それじゃぁ。後は頼んだよ!」
タ-ニャの体に見惚れていた響は、ブル-に言われるまで気付かなかった。
決して、嫌らしい気持ちで見ていたのではない。
気まずい気持ちのまま、響はメディカルルームを出て行くのであった。
響が、メインコントロールルームに入って行くと、琴祢が慌ただしく通信している音声が、誰も居ないメインコントロールルーム内に響いていた。
「琴祢、子供達の座標を計算して、レオンに転送して! 敵がこれ以上増えないうちに………」
その声は、ティスであった。
援護射撃をしながら状況を判断して、『これ以上子供達を放っては置けない』と判断したのだろう。
「琴祢さん! 王都サリュースに、魔物や死人の集団が攻め込んで来ました! 王都警備隊と冒険者の皆で防いでいますが、このままでは何時までもつかわかりません! どなたかの救援を頼めませんか?」
慌ただしく連絡して来たのは、ア-リン・リドルであった。
響達がガズール帝国に向かってから、王都サリュースの警備に付いていたのだ。
そこに、魔物達の襲撃が発生したと言う事らしい。
今、王都では、戦の為に男達は駆り出され、僅かな警備兵と二百足らずの冒険者しか居なかったのである。
「琴祢! 何が起きているんだ?」
「マスタ-! 戦の隙を突いて、王都サリュースに魔物の集団が押し寄せて来たみたい。現在、王都内で警備隊及び冒険者達と交戦中だよ」
「王都内? 城壁が破られたのか?」
「違うよ! 何処からか密かに入り込んだようだよ」
王都の内部に、魔物を引き入れた奴がいるようじゃな。
魔王ベルランスの言葉から、響は悪魔ガルニアと内通者が、本格的に動き出したのであろう事を、考えていた。
「それと、マスタ-………クロエとティスも、危ないみたいだよ!」
「………」
いつもの事ではあるが、琴祢のしゃべり方には緊張感が全く無いのであった。
「琴祢。フェスタ-騎士団のアリス団長に連絡を取って、魔物の鎮圧協力を頼んでくれ。騎士団の準備が整ったら、ア-リン達か冒険者組合のマリア組合長と連絡を取って、騎士団を転送するんだ。それと、いつものように子供達を、直ぐに『レオン』に転送してくれ。人手が必要なら、ウルム公爵にたのめ」
「マスタ-は、どうするの?」
「ティスとクロエを、助けに行く!」
響は、琴祢に指示を言い残して、その場から姿を消すのであった。
薄汚く薄暗い牢獄の中で、薄汚れたドレスを着ていたとは言えナルミのその姿は、不似合いではあったものの、彼女の美貌までを隠す事は出来なかった。
帝都で、帝国近衛騎士として皇帝に使えていたナルミだったが、その美貌に惹かれる者は多く。
その中には、第二王子のトリニド・ガズールも含まれていた。
トリニドは、自分の地位を利用して、ナルミに再三に渡り求婚の申し出をしたが、ナルミはこれを断り続けていた。
そんなナルミだったが、皇帝と第一王子が続けて病になり、城の奥に引き籠ってから直ぐに、トリニドによって捕らえられた。
その後、トリニドが皇帝代理となり、何処からともなくトリニドが引き連れて来たズルガが、侯爵に取り立てられると、この国の情勢が変わって来た。
ズルガが権勢を振るうようになってから、トリニドに物言う者のこと如くの貴族が、改易になるか処刑されてしまった。
ナルミも当初は、奥向きの部屋に捕らえられて居たもののが、トリニドにあまりにもなびかない事に、業をにやしたトリニドが、ナルミを牢獄に閉じ込めたのだ。
そして、何時しか牢獄の見張りは居なくなり、ナルミの見張りはオークにとって代わっていた。
毎日、目の前で囚人の死骸に食らい付く、そんなオーク達を目の当たりにしていたナルミの精神が、崩壊するのも後わずかであった。
「大丈夫ですか?」
「神様………………」
暗い牢獄の中で、体から光を放つ響の顔を見たナルミは、意識を失った。
「一旦、連れて帰るかぁ」
響は、城の探索を一旦やめて、ナルミを抱き抱えると『レオン』へと帰還した。
「クロエさん! 響さんから自重するように、言われましたよね!」
「自重してるよ! だから、殴り倒すだけで、殺してないだろ! だけど! コイツは別だ!」
ティスとクロエは、通信機でやり取りしながら、子供達を連れて行こうとする騎士達と戦っていた。
ティスは、後方からクリスタルガンをスナイプモ-ドにして、クロエの援護をしてる。
言うまでも無いが、クリスタルガンの出力は、当たっても身動きが取れなくなる程度にまで抑えている。
そんな戦いの中、この騎士達の中にひと際強い者達がいた。
クロエは他の騎士とは違い、その騎士達には一切の手加減をしなかった。
「砕け散れ!」
クロエは、ナックルダスターをはめた手で、騎士の腹を思い切り打ち抜いた。
クロエのナックルで殴られた騎士は、腹に風穴が空き、隣の家の壁を破って息絶えていた。
「ちょっと! やりすぎじゃない!」
「アイツの姿を、ご覧よ!」
ティスはクロエが倒した騎士を、クリスタルガンのスコ-プを覗き込んで見てみると、その騎士の姿は、毛もくじゃらなワーウルフの姿に変わっていた。
騎士達の中に、騎士に化けたワーウルフが紛れ込んでいたのだ。
それも、騎士達を束ねる長として………。
「そう言う事ですか………しかし、兵の数が増えたわね」
ティスは、事情を納得するとすぐさま、援護射撃を始める。
だが、騒ぎを聞き付けた騎士達が、クロエの周りに集まりだして、その数を増やして行くのだった。
亜空間ベース『レオン』のメディカルルームに、タ-ニャ・エスタニアを抱き抱えた響が、『空間移動』で現れる。
「ブル-、メディカルポッド空いてる?」
メディカルルームに居たメイド服姿、シルバ-ショ-ヘア-のブル-に響は声をかける。
ブル-は、ティス専属の二人いるメイドロイドの一人である。
「はい、響様。一つ空いております」
ブル-は振り返り響の姿を確認すると、驚きもせず左側のポッドを示した。
響が、メディカルポッドにタ-ニャを寝かせると、ブル-はタ-ニャの衣服を脱がして行く。
薄汚れた衣服を脱がされたタ-ニャの体は、やつれてはいるものの均整のとれた体をしていた。
「響様! 女性の裸をそんなに、まじまじと見るものではありませんよ!」
「はい! それじゃぁ。後は頼んだよ!」
タ-ニャの体に見惚れていた響は、ブル-に言われるまで気付かなかった。
決して、嫌らしい気持ちで見ていたのではない。
気まずい気持ちのまま、響はメディカルルームを出て行くのであった。
響が、メインコントロールルームに入って行くと、琴祢が慌ただしく通信している音声が、誰も居ないメインコントロールルーム内に響いていた。
「琴祢、子供達の座標を計算して、レオンに転送して! 敵がこれ以上増えないうちに………」
その声は、ティスであった。
援護射撃をしながら状況を判断して、『これ以上子供達を放っては置けない』と判断したのだろう。
「琴祢さん! 王都サリュースに、魔物や死人の集団が攻め込んで来ました! 王都警備隊と冒険者の皆で防いでいますが、このままでは何時までもつかわかりません! どなたかの救援を頼めませんか?」
慌ただしく連絡して来たのは、ア-リン・リドルであった。
響達がガズール帝国に向かってから、王都サリュースの警備に付いていたのだ。
そこに、魔物達の襲撃が発生したと言う事らしい。
今、王都では、戦の為に男達は駆り出され、僅かな警備兵と二百足らずの冒険者しか居なかったのである。
「琴祢! 何が起きているんだ?」
「マスタ-! 戦の隙を突いて、王都サリュースに魔物の集団が押し寄せて来たみたい。現在、王都内で警備隊及び冒険者達と交戦中だよ」
「王都内? 城壁が破られたのか?」
「違うよ! 何処からか密かに入り込んだようだよ」
王都の内部に、魔物を引き入れた奴がいるようじゃな。
魔王ベルランスの言葉から、響は悪魔ガルニアと内通者が、本格的に動き出したのであろう事を、考えていた。
「それと、マスタ-………クロエとティスも、危ないみたいだよ!」
「………」
いつもの事ではあるが、琴祢のしゃべり方には緊張感が全く無いのであった。
「琴祢。フェスタ-騎士団のアリス団長に連絡を取って、魔物の鎮圧協力を頼んでくれ。騎士団の準備が整ったら、ア-リン達か冒険者組合のマリア組合長と連絡を取って、騎士団を転送するんだ。それと、いつものように子供達を、直ぐに『レオン』に転送してくれ。人手が必要なら、ウルム公爵にたのめ」
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