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フィオナの決意
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「フィオナ?」
次の日。
アーサーに乗って王宮に向かったフィオナは、門扉のそばにいた近衛兵に話してユーリを呼んでもらった。
すぐに駆けつけたユーリは、驚いたようにフィオナに尋ねる。
「どうしたの? なにかあった?」
「ユーリさん、少しお話をさせていただけませんか?」
「ああ、もちろん。どうぞ、入って」
「はい、ありがとうございます」
いつもの客間で向かい合うと、フィオナは真剣にユーリに切り出した。
「ユーリさん。前国王は、預言者の方の水晶がわたくしを映し出したとおっしゃいました。ユーリさんはその方をご存じですか?」
「バギラ様のこと? もちろん知っているよ。この国で一番長老の、神の言葉を伝える預言者なんだ」
「そうなのですね」
「バギラ様がどうかした?」
「はい、あの……。無礼を承知でお願いいたします。わたくしをそのバギラ様に会わせていただけませんか?」
え?とユーリは怪訝な面持ちになる。
「フィオナが、バギラ様に?」
「はい。どうしてもお尋ねしたいことがあるのです。もしお目通り願えなければ、せめて伝言だけでもお伝えいただけませんか?」
「会うのは問題ないと思うけど、一体どんな話がしたいの?」
「教えていただきたいのです。王家の呪いを解く方法を」
ハッとユーリは目を見開いた。
「それは、つまり……。君が?」
「はい。もし本当にわたくしに巫女としての力があるのなら、わたくしはその力の全てを使い果たしてでも、ルシアス様の命をお守りしたいのです」
言葉を失っているユーリに、フィオナは真剣な眼差しで訴える。
「お願いします、ユーリさん。どうすればルシアス様にかけられた呪いを解けるのか、その預言者の方ならなにかご存じかもしれません。ほんの小さな手がかりだけでもいいのです。どうか、わたくしをその方に会わせてください。お願いいたします」
深々と頭を下げると、やがてユーリが小さく息を吐いた。
「分かった。俺からルシアス様に話して、バギラ様をここに呼んでいただく」
「本当ですか!?」
フィオナはパッと表情を明るくする。
「ああ。でもまずは、ルシアス様に許可をいただかなければ。フィオナはここで待っていてくれる? なんとかルシアス様を説得してみせるよ」
「はい、よろしくお願いいたします」
祈るような思いで、フィオナは部屋を出て行くユーリを見送った。
◇
「フィオナ」
「ルシアス様!」
しばらくして客間に現れたルシアスに、フィオナは驚いて立ち上がる。
「突然このように押しかけまして、申し訳ありません」
「いや、構わない。座って」
「はい、失礼いたします」
ルシアスに続いて、フィオナももう一度ソファに座る。
浅く腰掛けたルシアスは、両腕を膝に載せて正面からフィオナを見つめた。
「ユーリから聞いた。バギラに会いたいと言ったそうだな?」
「はい。不躾なのは承知しておりますが、どうしても、ひと目だけでもお会いしたいのです」
「それはなぜだ? バギラに会って、なにを聞きたい?」
黙っている訳にもいかないと、フィオナは思いきって顔を上げる。
「畏れながら、ルシアス様にかけられた呪いを解く方法を知りたいのです。どんな些細なことでも構いません。ほんの少しでも、なにかの手掛かりが掴めたらと。わたくしには、その方に頼るしか術がないのです」
真剣に訴えると、祈るような気持ちでギュッと両手を握りしめ、フィオナはひたすらルシアスの返事を待った。
しばしの沈黙のあと、ルシアスは短く答える。
「だめだ」
フィオナはすぐさま顔を上げた。
「なぜですか?」
「そなたに巫女の力を使わせる訳にはいかない」
「そんな……。お願いです、どうかお話だけでも」
「だめだと言ったはずだ」
「ルシアス様!」
涙が込み上げる。
だが泣いてはいけないと、懸命に堪えた。
うつむいて気持ちを整え、フィオナは大きく息を吸い込んでから、ルシアスを真っ直ぐ見据えた。
「承知いたしました。これ以上、国王陛下のお手を煩わせる訳にはまいりません。わたくしが一人でご挨拶にまいります。それでは陛下、わたくしはここで。失礼いたします」
立ち上がって深々とお辞儀すると、ルシアスは驚いたように口を開く。
「待て、フィオナ。一体どうするつもりだ?」
すると扉の横に控えていたユーリが、わざと大きな声でひとりごちた。
「あーあ、心配だなあ。フィオナはなんとしてでも、バギラ様を探し出して会うんだろうなあ。ルシアス様の知らないところで、バギラ様とどんな話をするんだろう? そのあとフィオナがどこかに姿を消してしまったら? あーもう、居ても立ってもいられないなあ」
うぐっとルシアスは言葉に詰まる。
「フィオナから目を離さない方がいいんじゃないかなあ。せめて一緒に話を聞いた方がいいと思うんだけど、そんなこと俺の口からは言えないか……」
「言ってるだろうが!」
「あれ、聞こえました? 失礼しました、心の声がもれてしまって。どうぞお気になさらず。じゃあ行こうか、フィオナ。門の外まで送るよ」
扉を開けてフィオナを促すユーリに、ルシアスは「待て!」と手を伸ばした。
◇
「初めまして、バギラ様。わたくしはフィオナ・アーヴィングと申します」
「ほう。そなたがシャーマンの末裔である、生命の巫女か」
その後王宮に呼ばれたバギラと、フィオナは初めて顔を合わせた。
二人の様子を、ルシアスとユーリが見守る。
「水晶に映し出された時はごく普通の娘に見えたが、こうして会ってみると不思議な感覚になる。そなたの祖先と我が祖先は、同じ血筋を分けたと言われているからな」
「そうなのですか?」
「いにしえまで遡ればな。授かった力は違えど、神の遣いとして人間界に生を受けた者同士だから」
そこまで言うと、バギラは、ん?と首をひねった。
「そなた、なにか持っておるか?」
え?と、フィオナは自分の姿を見下ろす。
「あ、これでしょうか?」
そう言って、ブラウスの中にしまっていた水晶の首飾りを取り出した。
「おお、それはもしや……」
まじまじとフィオナの首飾りを見つめると、バギラも袖の中から布に包んだ水晶を取り出す。
すると二人の水晶が共鳴するように、ほのかに青く輝いた。
「なんと!」
バギラは、信じられないとばかりに目を見開く。
「間違いない。そなたの水晶と私の水晶は、同じところで掘り出されたもの。神の御許で眠っていた水晶だ」
「神の御許、ですか?」
「ああ。ここアレクシア王国のはるか北、隣国にまたがる聖なる山のことだよ」
「聖なる山……。そこに神様が眠っていらっしゃるのですか?」
「古き言い伝えではな。だが、誰もその山に登ることはできない。森に迷い込んだように、道がふさがっているそうだ」
フィオナはうつむいて考えを巡らせると、バギラに核心を突く質問をした。
「バギラ様、王家にかけられた呪いを解く方法をご存じですか?」
バギラは静かに首を振る。
「残念ながら、私にはなにも。どんなに水晶に語りかけても、手掛かりすら掴めなかった」
「そうですか……」
落胆したものの、フィオナはすぐにまた顔を上げた。
「バギラ様。その聖なる山に行けば、なにか分かるかもしれません。わたくし、行ってみます」
「なんと、そなた一人でか? 無茶な。あの山に行くには、馬で何日もかかる。その上、近づくだけで迷路に入り込んだようにさまよい続けると聞いた。そなただけでは危険すぎる」
「ですが、それしか方法はないのです。それにこの水晶は、その聖なる山に眠っていたものなのですよね? もしかしたら、この水晶が導いてくれるかもしれません」
「それはそうだが……。とにかくそなた一人では危なすぎる」
その時、またしてもユーリが声を張る。
「俺ってこう見えて、ルシアス様に負けず劣らずのイケメンだって、侍女の間でもてはやされてるんですよねー。背格好も似てるし、髪の色が違うだけ。ヅラさえあればルシアス様にそっくりで、影武者にはうってつけ。それに幼い頃から一緒にいたおかげで、ルシアス様のお考えは手に取るように分かるし。しばらく留守にされても、俺が執務を代われば、なんとかなっちゃうと思うんですよねえ」
ジロリとルシアスはユーリを横目で睨んだ。
「ユーリ、なにが言いたい?」
「フィオナを一人で行かせるなんて、俺の知ってるルシアス様なら絶対にさせませんよねってことです」
「もちろん、そんなことはさせはしない。フィオナを止めてみせる」
「無理ですよ」
「なに!?」
するとバギラも頷いた。
「国王陛下。我ら神の遣いの使命感は、そんなにたやすいものではありません。この水晶を授けられたフィオナも、神に認められ、大きな力を秘めているのです。きっと神のご加護のもと、呪いを解く手掛かりへと導かれるでしょう。それに陛下、あなた様に残された時間は短い。フィオナが呪いを解く術を知っても、ここへ戻って来るのに時間を要せば、その前に陛下の命の灯火は消えてしまいます。フィオナと一緒に行かれた方がよろしいかと」
視線を落として考え込むルシアスに、ユーリが真剣に向き直る。
「一番大切な人を守れなくて、国を守れるとお考えですか? 国王陛下」
顔を上げたルシアスに、ユーリはしっかりと頷いてみせた。
「行ってください、ルシアス様。あなたにはこの先もずっとずっと、この国を守っていただかなければ。ですからどうか、諦めないで立ち向かってください。この国のみんなの為に」
じっとユーリと視線を合わせてから、ルシアスはゆっくりと頷いた。
「分かった。ユーリ、留守を頼む」
ユーリはスッと姿勢を正して声を張る。
「御意」
そして想いを込めるように、深々とルシアスに頭を下げた。
次の日。
アーサーに乗って王宮に向かったフィオナは、門扉のそばにいた近衛兵に話してユーリを呼んでもらった。
すぐに駆けつけたユーリは、驚いたようにフィオナに尋ねる。
「どうしたの? なにかあった?」
「ユーリさん、少しお話をさせていただけませんか?」
「ああ、もちろん。どうぞ、入って」
「はい、ありがとうございます」
いつもの客間で向かい合うと、フィオナは真剣にユーリに切り出した。
「ユーリさん。前国王は、預言者の方の水晶がわたくしを映し出したとおっしゃいました。ユーリさんはその方をご存じですか?」
「バギラ様のこと? もちろん知っているよ。この国で一番長老の、神の言葉を伝える預言者なんだ」
「そうなのですね」
「バギラ様がどうかした?」
「はい、あの……。無礼を承知でお願いいたします。わたくしをそのバギラ様に会わせていただけませんか?」
え?とユーリは怪訝な面持ちになる。
「フィオナが、バギラ様に?」
「はい。どうしてもお尋ねしたいことがあるのです。もしお目通り願えなければ、せめて伝言だけでもお伝えいただけませんか?」
「会うのは問題ないと思うけど、一体どんな話がしたいの?」
「教えていただきたいのです。王家の呪いを解く方法を」
ハッとユーリは目を見開いた。
「それは、つまり……。君が?」
「はい。もし本当にわたくしに巫女としての力があるのなら、わたくしはその力の全てを使い果たしてでも、ルシアス様の命をお守りしたいのです」
言葉を失っているユーリに、フィオナは真剣な眼差しで訴える。
「お願いします、ユーリさん。どうすればルシアス様にかけられた呪いを解けるのか、その預言者の方ならなにかご存じかもしれません。ほんの小さな手がかりだけでもいいのです。どうか、わたくしをその方に会わせてください。お願いいたします」
深々と頭を下げると、やがてユーリが小さく息を吐いた。
「分かった。俺からルシアス様に話して、バギラ様をここに呼んでいただく」
「本当ですか!?」
フィオナはパッと表情を明るくする。
「ああ。でもまずは、ルシアス様に許可をいただかなければ。フィオナはここで待っていてくれる? なんとかルシアス様を説得してみせるよ」
「はい、よろしくお願いいたします」
祈るような思いで、フィオナは部屋を出て行くユーリを見送った。
◇
「フィオナ」
「ルシアス様!」
しばらくして客間に現れたルシアスに、フィオナは驚いて立ち上がる。
「突然このように押しかけまして、申し訳ありません」
「いや、構わない。座って」
「はい、失礼いたします」
ルシアスに続いて、フィオナももう一度ソファに座る。
浅く腰掛けたルシアスは、両腕を膝に載せて正面からフィオナを見つめた。
「ユーリから聞いた。バギラに会いたいと言ったそうだな?」
「はい。不躾なのは承知しておりますが、どうしても、ひと目だけでもお会いしたいのです」
「それはなぜだ? バギラに会って、なにを聞きたい?」
黙っている訳にもいかないと、フィオナは思いきって顔を上げる。
「畏れながら、ルシアス様にかけられた呪いを解く方法を知りたいのです。どんな些細なことでも構いません。ほんの少しでも、なにかの手掛かりが掴めたらと。わたくしには、その方に頼るしか術がないのです」
真剣に訴えると、祈るような気持ちでギュッと両手を握りしめ、フィオナはひたすらルシアスの返事を待った。
しばしの沈黙のあと、ルシアスは短く答える。
「だめだ」
フィオナはすぐさま顔を上げた。
「なぜですか?」
「そなたに巫女の力を使わせる訳にはいかない」
「そんな……。お願いです、どうかお話だけでも」
「だめだと言ったはずだ」
「ルシアス様!」
涙が込み上げる。
だが泣いてはいけないと、懸命に堪えた。
うつむいて気持ちを整え、フィオナは大きく息を吸い込んでから、ルシアスを真っ直ぐ見据えた。
「承知いたしました。これ以上、国王陛下のお手を煩わせる訳にはまいりません。わたくしが一人でご挨拶にまいります。それでは陛下、わたくしはここで。失礼いたします」
立ち上がって深々とお辞儀すると、ルシアスは驚いたように口を開く。
「待て、フィオナ。一体どうするつもりだ?」
すると扉の横に控えていたユーリが、わざと大きな声でひとりごちた。
「あーあ、心配だなあ。フィオナはなんとしてでも、バギラ様を探し出して会うんだろうなあ。ルシアス様の知らないところで、バギラ様とどんな話をするんだろう? そのあとフィオナがどこかに姿を消してしまったら? あーもう、居ても立ってもいられないなあ」
うぐっとルシアスは言葉に詰まる。
「フィオナから目を離さない方がいいんじゃないかなあ。せめて一緒に話を聞いた方がいいと思うんだけど、そんなこと俺の口からは言えないか……」
「言ってるだろうが!」
「あれ、聞こえました? 失礼しました、心の声がもれてしまって。どうぞお気になさらず。じゃあ行こうか、フィオナ。門の外まで送るよ」
扉を開けてフィオナを促すユーリに、ルシアスは「待て!」と手を伸ばした。
◇
「初めまして、バギラ様。わたくしはフィオナ・アーヴィングと申します」
「ほう。そなたがシャーマンの末裔である、生命の巫女か」
その後王宮に呼ばれたバギラと、フィオナは初めて顔を合わせた。
二人の様子を、ルシアスとユーリが見守る。
「水晶に映し出された時はごく普通の娘に見えたが、こうして会ってみると不思議な感覚になる。そなたの祖先と我が祖先は、同じ血筋を分けたと言われているからな」
「そうなのですか?」
「いにしえまで遡ればな。授かった力は違えど、神の遣いとして人間界に生を受けた者同士だから」
そこまで言うと、バギラは、ん?と首をひねった。
「そなた、なにか持っておるか?」
え?と、フィオナは自分の姿を見下ろす。
「あ、これでしょうか?」
そう言って、ブラウスの中にしまっていた水晶の首飾りを取り出した。
「おお、それはもしや……」
まじまじとフィオナの首飾りを見つめると、バギラも袖の中から布に包んだ水晶を取り出す。
すると二人の水晶が共鳴するように、ほのかに青く輝いた。
「なんと!」
バギラは、信じられないとばかりに目を見開く。
「間違いない。そなたの水晶と私の水晶は、同じところで掘り出されたもの。神の御許で眠っていた水晶だ」
「神の御許、ですか?」
「ああ。ここアレクシア王国のはるか北、隣国にまたがる聖なる山のことだよ」
「聖なる山……。そこに神様が眠っていらっしゃるのですか?」
「古き言い伝えではな。だが、誰もその山に登ることはできない。森に迷い込んだように、道がふさがっているそうだ」
フィオナはうつむいて考えを巡らせると、バギラに核心を突く質問をした。
「バギラ様、王家にかけられた呪いを解く方法をご存じですか?」
バギラは静かに首を振る。
「残念ながら、私にはなにも。どんなに水晶に語りかけても、手掛かりすら掴めなかった」
「そうですか……」
落胆したものの、フィオナはすぐにまた顔を上げた。
「バギラ様。その聖なる山に行けば、なにか分かるかもしれません。わたくし、行ってみます」
「なんと、そなた一人でか? 無茶な。あの山に行くには、馬で何日もかかる。その上、近づくだけで迷路に入り込んだようにさまよい続けると聞いた。そなただけでは危険すぎる」
「ですが、それしか方法はないのです。それにこの水晶は、その聖なる山に眠っていたものなのですよね? もしかしたら、この水晶が導いてくれるかもしれません」
「それはそうだが……。とにかくそなた一人では危なすぎる」
その時、またしてもユーリが声を張る。
「俺ってこう見えて、ルシアス様に負けず劣らずのイケメンだって、侍女の間でもてはやされてるんですよねー。背格好も似てるし、髪の色が違うだけ。ヅラさえあればルシアス様にそっくりで、影武者にはうってつけ。それに幼い頃から一緒にいたおかげで、ルシアス様のお考えは手に取るように分かるし。しばらく留守にされても、俺が執務を代われば、なんとかなっちゃうと思うんですよねえ」
ジロリとルシアスはユーリを横目で睨んだ。
「ユーリ、なにが言いたい?」
「フィオナを一人で行かせるなんて、俺の知ってるルシアス様なら絶対にさせませんよねってことです」
「もちろん、そんなことはさせはしない。フィオナを止めてみせる」
「無理ですよ」
「なに!?」
するとバギラも頷いた。
「国王陛下。我ら神の遣いの使命感は、そんなにたやすいものではありません。この水晶を授けられたフィオナも、神に認められ、大きな力を秘めているのです。きっと神のご加護のもと、呪いを解く手掛かりへと導かれるでしょう。それに陛下、あなた様に残された時間は短い。フィオナが呪いを解く術を知っても、ここへ戻って来るのに時間を要せば、その前に陛下の命の灯火は消えてしまいます。フィオナと一緒に行かれた方がよろしいかと」
視線を落として考え込むルシアスに、ユーリが真剣に向き直る。
「一番大切な人を守れなくて、国を守れるとお考えですか? 国王陛下」
顔を上げたルシアスに、ユーリはしっかりと頷いてみせた。
「行ってください、ルシアス様。あなたにはこの先もずっとずっと、この国を守っていただかなければ。ですからどうか、諦めないで立ち向かってください。この国のみんなの為に」
じっとユーリと視線を合わせてから、ルシアスはゆっくりと頷いた。
「分かった。ユーリ、留守を頼む」
ユーリはスッと姿勢を正して声を張る。
「御意」
そして想いを込めるように、深々とルシアスに頭を下げた。
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