Good day ! 3

葉月 まい

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仲間との交流

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「うん!いいんじゃない?とっても素敵」
「そうですか?ありがとうございます!」

2日後、出勤すると恵真は川原に交流会のお知らせを見せた。

日時は川原が調整して会議室を押さえてくれた、5月26日の午後1時からと決まった。

「じゃあこれを添付して、全社員にメールを送りましょう。シフトの関係で今回来られなくても、また次回にご参加くださいって書いて」
「分かりました」

恵真はパソコンの前に座り、早速全社員に向けて一斉送信する。

簡単なご挨拶文と、文末に送信者として
『広報課  藤崎 恵真』
と書いて送ると、不思議に思ったのか、しばらくして顔見知りの数人が広報課を覗きに来た。

「あ!ほんとに藤崎さんだ!どうしたの?」

恵真も良く知っているCAの数人が、制服姿で声をかけてくる。

「最近フライト一緒にならないから、不思議だったの。広報課に移動?そんな訳ないわよね」
「あ、えっと…」

ここまで来て、隠していても仕方ない。
恵真は妊娠している事を話す。

「えー?!そうなのね。おめでとうー!」
「佐倉キャプテンも喜んでるでしょうね」
「いやーん、お二人の赤ちゃん!楽しみー」

皆は大きな声で盛り上がる。
恵真は、周りを気にして声を潜めた。

「あ、はい。ありがとうございます。そういう訳でして、しばらく乗務停止となりました。その間、時々広報のお仕事をお手伝いさせて頂きます。よろしくお願いします」
「そうなのね。でもお二人の赤ちゃんなら、絶対可愛いわよねー」
「予定日はいつ?」

またしても盛り上がる皆に、恵真はヒヤヒヤしながら小声で話す。

「えっと、予定では11月の初旬に産まれると思います」
「そっかー!楽しみねえ。産まれたら教えてね」
「写真、楽しみにしてるね!」

あ、はい、とタジタジになる恵真に、じゃあねーと明るく手を振って、CA達は去っていった。

そんな彼女達の情報発信は、電光石火の速さだったのだろう。

次々と色んな人が恵真に会いに来て、口々におめでとうー!と笑いかける。

その度に恵真は、
ありがとうございます。
しばらくは広報で…
予定日は…
と、同じセリフを何度も繰り返していた。



その日はずっとそんな調子で仕事にならず、恵真は昼前に自宅に戻る。

昼食のあと昼寝をしてから、ソファでくつろいでいると、久しぶりに彩乃から電話がかかってきた。

「恵真さん!お久しぶり。お元気?」
「お久しぶりです!彩乃さん。はい、元気にしています」
「良かったー!あのね、真一さんからさっき電話で聞いたの。恵真さん、おめでたなんですってね」

ああ…と、恵真は苦笑いする。

「もう野中さんにも伝わったんですね。すみません。野中さんと彩乃さんには、私から直接お話したかったんですけど」
「って事は、やっぱり本当なの?」
「はい。まだ4ヶ月なので、安心出来る段階ではないのですけど」
「そうなのね!実は私も今妊娠してるの」

ええー?!と恵真は大きな声を出してしまう。

「そうなんですね!おめでとうございます!」
「ふふ、ありがとう!恵真さんと一緒なんて、なんだかとっても嬉しい」
「私もです。彩乃さん、予定日は?」
「11月2日なの。もうすぐ妊娠5ヶ月に入るところよ。そろそろ恵真さん達にもお知らせしようと思ってたの」
「11月2日なんですね。私も同じ頃になるかも」

すると、え?と彩乃は戸惑った声で言う。

「恵真さんの方が少し先になるんじゃない?」
「いえ、37週で帝王切開で産むことになっているので」
「そうなの?もう決まってるのね。37週で?それって…」
「実は双子なんです」
「ええー?!双子ちゃんなのね!」

いつも落ち着いている彩乃が、珍しく興奮している。

「うわー、素敵!あ、でも恵真さんは大変よね。体調は大丈夫?」
「はい、今のところは。つわりも軽くてトラブルもなくて」
「それは良かったわ。私はもう酷いつわりで、毎日ぐったりしてたの。ようやく最近落ち着いたのよ」
「そうなんですね。彩乃さんの方が大変そうです。お大事にしてくださいね」

そのあとも、妊娠の話題で盛り上がる。

「そろそろお腹がぽっこりしてきて、マタニティーウェアを買いに行かなきゃって思ってるの」
「私もなんです。やっぱり双子だからか、少し早く大きくなるみたいで」 
「それはそうでしょうね。だって赤ちゃん二人お腹にいるんだもの」
「彩乃さん、どこのお店に買いに行くんですか?」
「えっとね、大きなショッピングモールの中に、赤ちゃんとママのグッズのお店があるの。今度真一さんのオフの日に、車で連れて行ってもらおうと思って。そこなら何でも揃ってるし、店内も広いから混まないかなって」
「へえー、いいですね」

恵真はそのショッピングモールの場所を詳しく教えてもらう。

「私も大和さんに連れて行ってもらいます」
「ええ、そうね。じゃあ私が行ったあと、どんな様子だったか、またお知らせするわね」
「はい、ありがとうございます」

そしてお互い、お大事にと言って電話を切った。



夜になり、帰宅した大和に、恵真は彩乃から電話があった事を話す。
 
「それでね、彩乃さんもおめでたなんですって」
「ああ、俺もさっき野中さんから聞いたよ。恵真もおめでたなんだろう?って声かけられてね」
「そうだったんですか。それで彩乃さんは11月2日が予定日なんですって」
「へえー。それならもしかすると、同じ日に産まれるかもね」
「ふふ、そうかもしれないですね。彩乃さんもそろそろお腹が大きくなってきたから、マタニティーウェアを買いに行くって、良いお店を教えてもらったんです」
「ふうん、どこのお店?」

恵真は、彩乃から聞いたショッピングモールを説明する。

「開店時間に合わせて行けば混んでないし、何でも揃ってるお店みたいです」
「そっか。じゃあ恵真もそこに買いに行く?そろそろ必要な物も増えてくるでしょ?」
「はい。マタニティーウェアだけでなく、お腹に塗るクリームとか、腹帯とかも用意したくて」
「そうだよね。じゃあ、俺がオフの日に一緒に車で行こう」
「いいんですか?」
「もちろん。当たり前だろう?って言うか、俺が行きたい」

あ…、と恵真は、苦虫を噛み潰したような顔になる。

(もしや大和さん、赤ちゃんグッズを見たら、またメロメロ節が炸裂するんじゃ…)

いや、必ず炸裂する。

恵真が真顔で頷いていると、どうかした?と大和が聞いてくる。

「い、いえ!何でも。じゃあ、大和さんの都合のいい日にお願いします」
「うん。いつでもいいよ。俺、今月から乗務日数減ったから、オフの日たくさんあるし」
「そうでしたね。あ!じゃあ、彩乃さんの都合を聞いてみてもいいですか?もし日程が合えば、現地集合で一緒にお店を見て回りたいです」
「ああ!いいね。野中さんのオフに合わせて一緒に行こう」
「はい!」

その方が絶対楽しいはず!と、恵真は嬉しさに笑顔になった。



そしてまた健診の日がやって来た、

大和は、傍目にも分かりやすくウキウキしている。

「恵真、今日からだよな?お腹のエコーになるの」
「はあ、おそらく…」

恵真は自信なさげに返事をする。

確証はないが、今日からお腹の上からの超音波検査になり、つき添いの大和も一緒に見られるはずだった。

大和は受付で待つ間も、恵真が誕生日に贈った手帳をニヤニヤと見返している。

「あれから2週間かあ。おちびちゃん達、大きくなったかなー?」

こういう時の大和は、横から何を言っても耳に入らない。

恵真は心得たように、黙って隣に座っていた。

やがて、佐倉さーんと名前を呼ばれ、大和が張り切って、はい!と立ち上がる。

「こんにちは!よろしくお願いします!」
「こんにちは。ご主人、気合い入ってますね。じゃあ佐倉さん。前回から2週間経ちましたが、何かありましたか?」
「いえ、特には。少しずつ仕事を始めたところです。と言っても午前中だけですし、通勤は車とタクシーにしています。身体に無理なくやっていますし、何より良い気分転換になっています」
「そう!それなら良かったわ。血液検査や尿検査も異常は見られません。じゃあエコーしますね。このベッドに横になって、お腹を出してください」
「はい」

恵真が靴を脱いでベッドに横になると、大和がソワソワと動き出す。

「はーい、ご主人。気が早い。まだ座ってる」

年輩のベテラン助産師に両肩を掴まれ、椅子に座らされる大和を見て、恵真は思わず吹き出してしまう。

恵真がシャツをめくると、助産師はお腹の下の方にタオルをかけてくれた。

「では、お腹にゼリーを塗りますね。少し冷たいですよ」
「はい」

そしていよいよ、先生が機械を恵真のお腹の上に当て始めた。

少しずつ動かして何枚か静止画を撮っているが、モニターの画面はこちらからは見えない。

恵真がドキドキしながら待っていると、やがて先生はにっこり笑って画面の向きを変えた。

「順調ですよ。一緒に見てみましょう」
「はいっ!」

大和が大きな声で返事をする。

「ご主人、もう少し近くにどうぞ」
「え、いいんですか?」
「あ、さすがにそこは近すぎ!ここまでよ」

モニターにかじりつこうとする大和を、先生が真顔で押し戻す。

大和は緊張した面持ちで、恵真の手を握ってきた。

「はい、じゃあよく見ててね。ほら、これが赤ちゃん達。二人並んでるでしょう?」
「わあ!可愛いな。動いてる動いてる。あ!もしかしてこっち見てる?お手々が!手を振ってるぞ、恵真」
「大和さん、あの、私モニターが見えないの」
「あ!ごめん」

慌てて大和がモニターから離れると、恵真にも小さな赤ちゃんの様子が見えた。

「うわあ、可愛い!ちゃんと頭とお手々がはっきり分かりますね」
「そうね。身長は6cm、頭の大きさは2cmくらいで、二人とも標準の大きさよ。栄養の偏りもないみたいだし、よく動いて元気いっぱいね」
「良かった…」

ホッとした途端、恵真は思わず涙が込み上げてきた。

やはり毎日気を張って、心配しながら過ごしているからだろう。

二人の元気な姿を見ると、ママ、大丈夫だよ!と言われているような気持ちになる。

恵真は、心の底から愛しさが溢れてきた。

「可愛いな。早く会いたい。元気に大きくなってね」

モニターに映る二人に、恵真は優しく笑いかけた。



「恵真さーん!お久しぶり」
「彩乃さん!お久しぶりです」

3日後。
野中のオフの日に、四人はショッピングモールの中にあるお店で落ち合った。

恵真は彩乃と手を取り合って、互いの妊娠を喜び、お腹に手を当てて大きさを比べる。

「わー、同じくらいね」
「ほんと。すこーしポッコリしてきましたよね」

二人ともペタンコのシューズにワンピースで、見た目は妊婦とは分からないが、これからは日に日にお腹も膨らんでくるだろう。

「凄いわねー、こんなに色んな種類のマタニティーウェアがあるのね」
「あ、このチュニックとパンツの組み合わせ、いいですね。動きやすそう」
「ほんと!お腹が大きくなってもこのパンツなら苦しくなさそう。それにこのゴムの部分、腹帯の代わりにもなるわね」
「確かに!お腹が安定しそうですね」 

二人でワイワイと楽しく選んでいく。

気づくと、さっきまで近くにいた大和と野中の姿が見えない。

「あら?どこに行っちゃったのかしら、二人とも」

広い店内を見回すと、新生児コーナーで肩を並べて見入っている大和と野中の後ろ姿があった。

「うわっ、見ろよ佐倉。この肌着の小ささ。可愛いったらないな!」
「ほんとですよ。もう天使の服にしか見えません!」
「こーんな小さな赤ちゃんが産まれてくるんだぞ?」
「フニャフニャで柔らかくて、可愛いに決まってますよね!」

大の男が二人で寄り添い、ほわわーんと宙を見つめている。

近づいて声をかけようとしていた彩乃と恵真は、顔を見合わせて首を振り、他人のフリをして離れていった。



「ふふふ、結局ほとんど同じ物買っちゃったわね」
「ええ。もうほぼ全部ペアルックですよね」

ひとしきり買い物を終え、休憩がてらカフェでお茶を飲む。

「ね、恵真さんは、赤ちゃんどっちがいい?男の子?女の子?」
「うーん、どちらでもいいです。特に聞かないつもりですし」
「じゃあ、産まれてからのお楽しみにするの?」
「はい。彩乃さんは?」
「んー、迷ってるの。知りたいような、知りたくないような。男の子だと、早ければ次の健診で分かるかもしれないんだって」
「そうなんですね!」

恵真は頬に手を当てて考える。

「男の子だったら野中さんに似て、ひょうきんな性格なのかなー」
「おい、藤崎ちゃん。俺の印象って、まず最初がひょうきんなのか?しかも、ひょうきんって言い方、今どき変だぞ?」

野中がすかさずツッコミを入れる。

「そうですか?でもきっと明るくてみんなに好かれる、ひょうきんな男の子でしょうねえ」
「だーかーら、変だってば!」

あはは!と皆で笑い合う。

「いやー、でも楽しみだな。産まれたら一緒に遊ばせましょうよ」

大和がそう言うと、野中は真顔になる。

「佐倉。もしうちの子が女の子でお前の子が男の子だとしたら、たとえお前の息子でも絶対嫁にはやらんぞ」
「何言ってるんですか。こちらこそですよ。もし逆にうちが女の子なら、いくら野中さんのところでも、絶対嫁には行かせません」
「って言うか、嫁になんて、そんな…」
「そうですよ。どんなやつのところにだって、絶対嫁になんか…」

二人は妙にセンチメンタルな表情で、眉をハの字に下げてうつむく。

恵真と彩乃は顔を見合わせ、呆れてやれやれと苦笑いした。



「えー、それでは第一回子育て交流会を始めたいと思います」

会議室に集まった社員達を前に、司会の川原が話し出す。

5月26日。
社内のコミュニティ立ち上げの第一弾として、いよいよ1回目の子育て交流会が開かれていた。

「皆様、今日はお忙しい中、ようこそお集まりくださいました。この会では、職種や年齢、経験や性別なども一切関係なく、子育てについてのおしゃべりや情報交換、お悩み相談など、とにかく自由にお話してもらえればと思っています。1回目の今日は、自己紹介から始めましょう。ではまず、藤崎さんから」

はい、と恵真は立ち上がる。

「副操縦士の藤崎です。現在妊娠4ヶ月で乗務停止中の為、広報課で川原さんのお手伝いをさせて頂いてます。初めての妊娠でしかも双子なので、戸惑う事も多く、皆様から色々教えて頂ければと思っています。どうぞよろしくお願い致します」

すると拍手よりも早く、
「え、藤崎さんの赤ちゃん双子なの?」
「待って、誰か双子ママいたわよね?」
「あ、はーい!私です。じゃあ次は私が自己紹介しますね」
と、きれいな女性が立ち上がった。

「初めまして。客室乗務員の佐々木です。4歳の男の子の双子がいます。私も藤崎さんと同じく妊娠判明と同時に空を飛ばなくなり、子どもが2歳になった時に復帰しました。当時はもう、それはそれは毎日壮絶で、どうやってこなしていたのかほとんど覚えておりません。あはは。主人が一般企業の営業職で、男性の育休なんてあってないようなものだったので、全く頼れませんでした。でもこの会社は男性社員にも、産休や育休が充実しています。藤崎さん、是非佐倉キャプテンを頼ってくださいね。それと、困った事があったらいつでも私に相談してください。あ、シフトは代わってあげられませんよ?私、操縦出来ないので」

皆も、あはは!と笑う。

「操縦以外なら、何でもお手伝いします。私も散々職場のみんなに助けてもらったから、その分、次の人達のお手伝いで恩返ししたいと思ってるの。だから何でも言ってね」
「はい!ありがとうございます。とても心強いです。よろしくお願い致します」

恵真は立ち上がって頭を下げる。

「いいですね。こんなふうに繋がってもらうのが、この会の目的でもあります。皆さん、今後とも育児の輪を広げていってくださいね」

川原が笑顔で言い、皆も頷く。

そのあとも、自己紹介の度に、あ!私もです!と同じ境遇の人が手を挙げ、連絡先を交換し合った。

同じ年齢の子どもがいる、同じ地域に住んでいる、実家が遠くて夫も頼れない、など、共通の話題で盛り上がる。

話は尽きることなく、あっという間に時間になった。

「名残惜しいですが、今日はこの辺で。第二回もすぐに企画しますね。今日来られなかった方も、次回は参加してもらえるといいなと思っています」

川原の締めの言葉で、皆は立ち上がる。
それぞれ、じゃあまた次回ね、と口にして部屋を出ていった。

「んー、いい感じじゃない?ね?藤崎さん」
「はい!私もとっても楽しかったです。先輩ママのお話はどれもためになりますし、もっともっと聞きたいです」
「そうね。また来月も開催しましょう」
「はい!」

恵真は早速今日の話をまとめて、お便りとして発行する事にした。

(よし、お便り作りも頑張るぞ!)

気合いを入れて、会議室をあとにした。
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