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穏やかな日々
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戌の日の安産祈願も済ませ、7月5日に無事に妊娠6ヶ月目に入った。
経過も順調で、恵真は無理なく楽しく仕事を続けており、心身ともに充実した日々を送っていた。
「おっ、恵真!」
「伊沢くん」
その日の勤務を終えて帰ろうとした時、オフィスで久しぶりに伊沢と会った。
伊沢は恵真のお腹に目を向ける。
「おおー、だいぶ大きくなってきたな」
「うん。さすがに重くなってきたの」
「双子だもんな。体調は平気なのか?」
「お陰様で今のところ順調よ。あ、そうだ。伊沢くんに渡したいものがあるんだ」
「へえ、何?あ、立ち話もなんだから、座るか」
そう言って、すぐ近くのラウンジのベンチに座る。
恵真はバッグの中の書類ケースから封筒を一枚取り出すと、伊沢に渡した。
「何?これ」
「開けてみてくれる?」
伊沢は見当がつかない様子で、首をかしげながら封筒を開けた。
「ん?カード?」
そう言いながら二つ折りのカードを開く。
「うわー!これ、あの時の?凄い!」
驚いて食い入るように見ているのは、恵真と大和の結婚式の日、飛行機の前で撮った集合写真だった。
恵真はその写真データをプリントし、きれいなフォトフレームカードに入れて、お礼の言葉を添えていた。
「迫力あるなー。それに佐倉さんも恵真も、すんごくキマってる。いい写真だなー。こずえにも見せるよ」
「ありがとう!」
ふふっと恵真は思わず微笑む。
「伊沢くん、こずえちゃんとは順調なんだね。新しく住むお部屋は見つかった?」
「あー、探してるんだけどさ、なかなか二人のオフが合わないんだよ。一緒に内覧行きたいのに行けなくて、そうこうしてるうちに他の人に決められちゃってさ」
「そっか。確かにタイミング難しそうだね」
「そうなんだよ。しかもこずえは、別に今の部屋のままでいい、とか言うしさ」
恵真は少し含み笑いをする。
「でも伊沢くんは、ちゃんと新居を構えたいんだよね?」
「そりゃあな。やっぱりケジメは大事だろ?今のままだと、ほんとに俺、こずえに拾われた子犬になるからさ」
あはは!と恵真は、おかしそうに笑う。
「相手はあの男前のこずえだからな、俺も相当頑張らないと。今はまだこずえにWilcoって頭が上がらないけど、必ず機長になって、こずえにも頼られる男になるよ」
へえ、と恵真は感心する。
「伊沢くん、なんだかとってもかっこ良くなったね!」
「そう?ま、弱音吐くと、こずえにバシッて背中叩かれるからな。嫌でも気合い入るよ」
「ふふ、ほんとにお似合い。伊沢くんとこずえちゃんの幸せな報告、楽しみに待ってるね」
「おお、任しとけ!恵真の出産報告も、楽しみにしてるからな」
「うん!」
二人は笑顔で頷き合った。
◇
「あら!いいじゃない。可愛いわね」
第二回子育て交流会での話題をお便りとしてまとめていた恵真は、川原に仕上がりをチェックしてもらっていた。
「今回は手書きなのね」
「はい。パソコンで打ってみたら、なんだか味気ない気がして」
「そうね。こっちの方が温かみがあっていいと思うわ」
「ありがとうございます」
イラストも手描きで、あちこちに飾ってある。
皆から寄せられた育児グッズやベビーシッター会社、親子カフェの情報を、恵真は実際に検索してイラスト付きで解説し、ホームページアドレスも載せていた。
『なんでも伝言板』というコーナーも作り、
2歳の女の子のお洋服、譲ります
1回しか着ていないものや、新品もあります
と書いて可愛く囲った。
「じゃあこれをPDFにして配信しましょう。あ、三回目の交流会の日程も決まったら、合わせてお知らせしてね」
「はい、分かりました」
恵真はデスクで作業を終わらせると、その日は退社する事にした。
「ではお先に失礼致します」
「お疲れ様。気をつけて帰ってね」
「はい」
挨拶をしてオフィスを出る。
広報課のお手伝いをするようになってから、色々な人が恵真を覚えてくれ、気さくに声をかけてくれる。
皆すれ違いながら、身体に気をつけてね!と気遣ってくれ、その度に、ありがとうございますと頭を下げながら、廊下を歩く。
すると前から野中が歩いて来るのが見えた。
「お!藤崎ちゃん」
「野中さん!お疲れ様です」
「お疲れ。今、帰り?」
「はい」
「そうなんだ。俺達ちょうどキャプテンミーティングが終わったところでさ。良かったら社食でお昼一緒に食べない?」
そう言って野中は、うしろを振り返る。
「おーい、佐倉!藤崎ちゃんいるぞ」
え?と恵真が野中のうしろに目をやると、何人かのキャプテンに混じって大和の姿があった。
恵真を見て、少し驚いている。
「佐倉、社食行こうぜ。藤崎ちゃんもいい?」
「あ、はい!でも大丈夫ですか?キャプテンの皆様と一緒じゃなくても」
「もうミーティングは終わってるから大丈夫。それに俺、次のフライトまで時間あるんだ」
「そうなんですね。ではご一緒させてください」
三人でそれぞれ注文してから席に着く。
恵真が社食を利用するのは、久しぶりだった。
「藤崎ちゃんも、だいぶお腹大きくなってきたな」
「はい。彩乃さんも同じくらいですか?」
「うん、そうかも。胎動が激しくて、時々イタターッて言ってる」
「男の子ですものね。元気いっぱいですね」
すると野中は、そうなんだよー、男の子!と言って目尻を下げる。
「やっぱりさあ、さり気なく飛行機アピールしちゃうよな。いや、いいんだよ!別にどんな仕事を選んでもさ。元気で好きに生きてくれればそれでいい。けどさ、やっぱりちょーっと期待しちゃう訳よ。飛行機、いいですよ?パイロット、いかがですか?みたいに」
産まれる前から熱弁を振るう野中に、恵真は思わず苦笑いする。
だが大和は、真剣な顔で身を乗り出した。
「やっぱりそう思いますか?思っちゃいますよね?いや、いいんですよ。どんな職業を選んでくれても。うんうん。でも、すこーし憧れちゃいますよね?親子でパイロットって」
「だよな。でも、すこーしだぞ?」
「分かります。ほんのちょーっとですよね?」
意見が通じ合う二人に、恵真はもう黙っているしかない。
(今度、彩乃さんとおしゃべりしようっと)
恵真は心の中で、きっと気持ちが分かり合えるであろう彩乃と、また電話で話そうと決めた。
「そう言えばさ、ベビーカーとかチャイルドシートはもう買った?」
ようやく普段の口調に戻って野中が聞く。
「まだなんですよ。私もどんどんお腹が大きくなって動きづらくなっちゃうから、そろそろ買いに行かないと、と思ってたところで」
「彩乃もそう言ってた。じゃあまた、あの店で一緒に選ばないか?」
「えっ、いいんですか?!」
「ああ。彩乃も藤崎ちゃんと会いたがってたし、喜ぶと思う」
やったー!と恵真が大和に笑いかけると、大和も微笑み返してくれる。
「佐倉、俺のオフに合わせてもらってもいいか?」
「もちろんです」
「じゃあ彩乃にも話しておくよ。また連絡する」
「はい!よろしくお願いします。楽しみー!」
恵真は待ち切れないとばかりに、ワクワクする。
(帰ったら早速、買うものをリストアップしよう)
そのあとも楽しくおしゃべりしながら、恵真は久しぶりの社食でのランチを満喫した。
◇
その日の夜。
恵真は彩乃から、お買い物どうぞよろしくね。来週の月曜日でもいいかしら?とメッセージをもらい、大丈夫です。楽しみにしています!と返信する。
ウキウキした気分のまま、恵真はベッドに入った。
照明を落としてから、大和も隣で横になる。
恵真はサイドテーブルに置いてある、大和からのクリスマスプレゼントのスノードームに手を伸ばした。
昼寝をする時や、ソファでくつろぐ時に、よくこのオルゴールを聴いている。
ネジを目一杯巻いてから、恵真はスノードームを逆さにした。
雪の舞う中、男の子と女の子がツリーの周りを踊るように、くるくると回り始める。
しばらく二人で見つめていると、ふと大和が恵真に尋ねた。
「恵真。この『ラベンダーズ ブルー』の歌、何番まであるの?」
「えーっと、確か4番までかな?」
「ふうん。歌ってみて?」
「えっ!やだっ!前に歌ったもん」
「だって前は、少ししか歌ってくれなかっただろ?」
(歌いながら寝ちゃったもんな)
思い出した大和は、笑いを堪える。
「ね、ほら。他の歌詞も知りたいから。それにお腹の赤ちゃん達だって、きっとママの子守唄を聴きたがってるよ」
「え…、そうかな?」
「そうだよ!ね、ほら」
そう言われれば仕方ない。
恵真は、全部は覚えてないですよ?と断ってから、小さく口ずさみ始めた。
「Lavender's green, dilly, dilly, lavender's blue.
If you love me, dilly, dilly, I will love you.
Let the birds sing, dilly, dilly, and the lambs play.
We shall be safe, dilly, dilly, out of harm's way.
I love to dance, dilly, dilly, I love to sing.
When I am queen, dilly, dilly, you'll be my king.
Who told me so, dilly, dilly, who told me so?
I told myself, dilly, dilly, I told me so」
オルゴールの音色に合わせて口ずさむ恵真の透き通った歌声は、優しくて美しい。
うしろから恵真を抱きしめながら、大和はうっとりと聴き惚れた。
その時、恵真のお腹に手を当てていた大和が、あ!と声を上げる。
「恵真、今赤ちゃん動いたよな?」
「ええ、動きました」
「やっぱり!ママの子守唄が聴こえたんだなあ。喜んでるよ、きっと」
「そうだといいですけど」
「産まれたら、このオルゴールにどんな反応するかな?楽しみだな」
「そうですね」
振り返った恵真が、ふふっと大和に笑いかける。
大和は身体を起こすと、恵真の頬に手を添えてじっと瞳を覗き込んだ。
オルゴールの音色がだんだんテンポを落とし、ゆっくりと最後の音が鳴り響く中、大和は愛おしそうに恵真に優しくキスをした。
◇
「ベビーベッドはね、私は結局ほとんど使わなかったの。ちゃんと呼吸してるか気になっちゃうし、添い寝して寝かしつける方が楽だったから。リビングの一角の和室にお布団敷いて、ほぼずっとそこで寝かせてたかな」
なるほど、と恵真は頷く。
彩乃達との買い物の前に、恵真は交流会で知り合った双子ママの佐々木に電話で相談していた。
「レンタルしてもいいかもね。やっぱり使わないと思ったら、引き取りに来てくれるから」
「そうなんですね。じゃあ、購入するのはやめておきます」
「あとベビーカーはね、双子用の横並びのを買ったんだけど、縦に二人並ぶベビーカーの方が良かったかもって思った。横に幅取るから、狭いスーパーだとレジも並べないし、駅の改札も通れないの。今はきっと色々改良されたいいものがあるかもしれないけどね」
これもまた、なるほど、と恵真は頷く。
「抱っこ紐はどうされましたか?双子用の物もあるみたいなんですけど」
「ああ、抱っこ紐はね。最初は一人用のを二つ買ったの。ほら、夫と私で一人ずつ抱っこしたり、一人はベビーカーに乗せて、ぐずってる子を抱っこしたり出来るでしょ?それに新生児のうちは、横に寝かせて抱っこしたいし」
「確かに」
「それで、生後7か月頃に双子用の抱っこ紐を買ったの。前後で二人を同時に抱っことおんぶが出来て、単独でも使えるものがあって」
「あ、カタログで見ました。海外のメーカーのものですよね?」
「そう。腰のベルトもしっかりしてて、思ったより楽だったわよ。実際に店頭で使ってみてから買ったの」
「じゃあ、私もそれを検討してみます」
恵真はメモを取りながら、熱心に耳を傾けた。
「佐々木さん、本当にありがとうございました!とっても助かります」
「いいえ。またいつでも電話してきて。あ、今度の交流会は海外フライトで残念ながら欠席なの。お便り楽しみにしてるわね」
恵真は、はい!と笑顔で返事をした。
◇
そして翌週の月曜日。
恵真と大和は、例の赤ちゃんグッズのお店で彩乃や野中と落ち合った。
「わあっ!恵真さんの方がお腹大きいわね。さすがは双子ちゃん」
「そうなんですよー。まだ6ヶ月なのにこの大きさ。この先どうなるんでしょう」
「本当ね。でも私は今7ヶ月だけど、産むのはきっと恵真さんとほぼ同じ頃よね?」
「あ、そうですね」
「ええ。だからゴールは同じだと思って、一緒に頑張りましょ!」
「はい!」
手を取り合う二人を、大和と野中も微笑ましく見守る。
皆で早速、大型のベビーグッズのコーナーを覗いた。
「あ、大和さん!これだと思う。話してた、トラベルシステムのベビーシート」
恵真は、メモを手に大和に説明する。
ベビーシート・ベビーカー・ベビーキャリーの3役をこなす、新生児から使えるシートだった。
車のベビーシートとしても使えるが、寝ている赤ちゃんを起こすことなくシートごとベビーカーに付け替えられ、更には室内に運び込んでベビーキャリーとしても使える優れものだ。
「へえー、凄いな。こんな多機能なのがあるんだ」
大和は実際に、取り外したり付け替えたりしながらしきりに感心する。
「何年も使える物ではないので、レンタルや中古でもいいと思うんですが」
恵真がそう言うと、即座に大和は首を振る。
「いや、新品を買おう。衛生面を考えて真っさらな方がいいし、何より大事な赤ちゃんの命を守るシートだ。中古で不具合があったら、大変だ」
そうか、確かにその通りだと恵真も納得する。
早速レジに行き、自宅に配送してもらうよう頼んで会計を済ませる。
あとは彩乃と一緒に、抱っこ紐や授乳クッション、哺乳瓶、赤ちゃんの肌着や、授乳服も選んだ。
「おむつは、実際に産まれてから産院で使ってみて、合うものを退院前にネットで注文するのがいいみたい」
「そうですね。じゃあひとまずこれくらいでしょうか?」
「ええ。あっ!恵真さん、これ見て。育児日記!」
「本当だ。可愛い日記!写真もたくさん貼れるんですね」
「私、これ買うわ」
「私も買います!使うのが楽しみ」
「実際はてんやわんやで、ゆっくり書いてる暇なんてないかも?」
声のトーンを落とす彩乃に、確かに…と恵真も真顔になる。
「でもそれも良い思い出よね。書ける時はたくさん書こうっと」
「そうですよね」
二人はにっこり笑って、仲良くレジに向かった。
買い物のあとは、四人でカフェに入る。
「ねえ、恵真さんと大和さんの結婚式の写真、見せてもらえない?今、持ってる?」
彩乃が身を乗り出して聞いてくる。
「あ、えっと…」
恵真はバッグを膝に載せて中を探った。
「実は、これを野中さんにお渡ししようか迷ってて…」
そう言って、伊沢に渡したのと同じフォトフレームカードを取り出した。
「え?どれ」
野中は受け取ると、カードを開いた。
「わあっ!凄い…」
野中と一緒にカードを見た彩乃が、口元を押さえて息を呑む。
「お二人とも、とっても素敵!お似合いねえ。それに飛行機をバックにこんなにたくさんの方が…。なんて良いお写真なの」
「藤崎ちゃん、ありがとう!どうして渡すかどうか迷ってたの?」
野中が顔を上げて恵真を見る。
「それは、あの。上司の方に、私達のプライベートな写真をお渡ししても、ご迷惑なだけかなと思って…」
「そんな事ある訳ないよ。ありがとう!」
「恵真さん、大和さん、ありがとうございます!真一さんもかっこいい制服姿で写ってるし、大事に飾らせてもらいますね」
恵真はホッとして頷いた。
経過も順調で、恵真は無理なく楽しく仕事を続けており、心身ともに充実した日々を送っていた。
「おっ、恵真!」
「伊沢くん」
その日の勤務を終えて帰ろうとした時、オフィスで久しぶりに伊沢と会った。
伊沢は恵真のお腹に目を向ける。
「おおー、だいぶ大きくなってきたな」
「うん。さすがに重くなってきたの」
「双子だもんな。体調は平気なのか?」
「お陰様で今のところ順調よ。あ、そうだ。伊沢くんに渡したいものがあるんだ」
「へえ、何?あ、立ち話もなんだから、座るか」
そう言って、すぐ近くのラウンジのベンチに座る。
恵真はバッグの中の書類ケースから封筒を一枚取り出すと、伊沢に渡した。
「何?これ」
「開けてみてくれる?」
伊沢は見当がつかない様子で、首をかしげながら封筒を開けた。
「ん?カード?」
そう言いながら二つ折りのカードを開く。
「うわー!これ、あの時の?凄い!」
驚いて食い入るように見ているのは、恵真と大和の結婚式の日、飛行機の前で撮った集合写真だった。
恵真はその写真データをプリントし、きれいなフォトフレームカードに入れて、お礼の言葉を添えていた。
「迫力あるなー。それに佐倉さんも恵真も、すんごくキマってる。いい写真だなー。こずえにも見せるよ」
「ありがとう!」
ふふっと恵真は思わず微笑む。
「伊沢くん、こずえちゃんとは順調なんだね。新しく住むお部屋は見つかった?」
「あー、探してるんだけどさ、なかなか二人のオフが合わないんだよ。一緒に内覧行きたいのに行けなくて、そうこうしてるうちに他の人に決められちゃってさ」
「そっか。確かにタイミング難しそうだね」
「そうなんだよ。しかもこずえは、別に今の部屋のままでいい、とか言うしさ」
恵真は少し含み笑いをする。
「でも伊沢くんは、ちゃんと新居を構えたいんだよね?」
「そりゃあな。やっぱりケジメは大事だろ?今のままだと、ほんとに俺、こずえに拾われた子犬になるからさ」
あはは!と恵真は、おかしそうに笑う。
「相手はあの男前のこずえだからな、俺も相当頑張らないと。今はまだこずえにWilcoって頭が上がらないけど、必ず機長になって、こずえにも頼られる男になるよ」
へえ、と恵真は感心する。
「伊沢くん、なんだかとってもかっこ良くなったね!」
「そう?ま、弱音吐くと、こずえにバシッて背中叩かれるからな。嫌でも気合い入るよ」
「ふふ、ほんとにお似合い。伊沢くんとこずえちゃんの幸せな報告、楽しみに待ってるね」
「おお、任しとけ!恵真の出産報告も、楽しみにしてるからな」
「うん!」
二人は笑顔で頷き合った。
◇
「あら!いいじゃない。可愛いわね」
第二回子育て交流会での話題をお便りとしてまとめていた恵真は、川原に仕上がりをチェックしてもらっていた。
「今回は手書きなのね」
「はい。パソコンで打ってみたら、なんだか味気ない気がして」
「そうね。こっちの方が温かみがあっていいと思うわ」
「ありがとうございます」
イラストも手描きで、あちこちに飾ってある。
皆から寄せられた育児グッズやベビーシッター会社、親子カフェの情報を、恵真は実際に検索してイラスト付きで解説し、ホームページアドレスも載せていた。
『なんでも伝言板』というコーナーも作り、
2歳の女の子のお洋服、譲ります
1回しか着ていないものや、新品もあります
と書いて可愛く囲った。
「じゃあこれをPDFにして配信しましょう。あ、三回目の交流会の日程も決まったら、合わせてお知らせしてね」
「はい、分かりました」
恵真はデスクで作業を終わらせると、その日は退社する事にした。
「ではお先に失礼致します」
「お疲れ様。気をつけて帰ってね」
「はい」
挨拶をしてオフィスを出る。
広報課のお手伝いをするようになってから、色々な人が恵真を覚えてくれ、気さくに声をかけてくれる。
皆すれ違いながら、身体に気をつけてね!と気遣ってくれ、その度に、ありがとうございますと頭を下げながら、廊下を歩く。
すると前から野中が歩いて来るのが見えた。
「お!藤崎ちゃん」
「野中さん!お疲れ様です」
「お疲れ。今、帰り?」
「はい」
「そうなんだ。俺達ちょうどキャプテンミーティングが終わったところでさ。良かったら社食でお昼一緒に食べない?」
そう言って野中は、うしろを振り返る。
「おーい、佐倉!藤崎ちゃんいるぞ」
え?と恵真が野中のうしろに目をやると、何人かのキャプテンに混じって大和の姿があった。
恵真を見て、少し驚いている。
「佐倉、社食行こうぜ。藤崎ちゃんもいい?」
「あ、はい!でも大丈夫ですか?キャプテンの皆様と一緒じゃなくても」
「もうミーティングは終わってるから大丈夫。それに俺、次のフライトまで時間あるんだ」
「そうなんですね。ではご一緒させてください」
三人でそれぞれ注文してから席に着く。
恵真が社食を利用するのは、久しぶりだった。
「藤崎ちゃんも、だいぶお腹大きくなってきたな」
「はい。彩乃さんも同じくらいですか?」
「うん、そうかも。胎動が激しくて、時々イタターッて言ってる」
「男の子ですものね。元気いっぱいですね」
すると野中は、そうなんだよー、男の子!と言って目尻を下げる。
「やっぱりさあ、さり気なく飛行機アピールしちゃうよな。いや、いいんだよ!別にどんな仕事を選んでもさ。元気で好きに生きてくれればそれでいい。けどさ、やっぱりちょーっと期待しちゃう訳よ。飛行機、いいですよ?パイロット、いかがですか?みたいに」
産まれる前から熱弁を振るう野中に、恵真は思わず苦笑いする。
だが大和は、真剣な顔で身を乗り出した。
「やっぱりそう思いますか?思っちゃいますよね?いや、いいんですよ。どんな職業を選んでくれても。うんうん。でも、すこーし憧れちゃいますよね?親子でパイロットって」
「だよな。でも、すこーしだぞ?」
「分かります。ほんのちょーっとですよね?」
意見が通じ合う二人に、恵真はもう黙っているしかない。
(今度、彩乃さんとおしゃべりしようっと)
恵真は心の中で、きっと気持ちが分かり合えるであろう彩乃と、また電話で話そうと決めた。
「そう言えばさ、ベビーカーとかチャイルドシートはもう買った?」
ようやく普段の口調に戻って野中が聞く。
「まだなんですよ。私もどんどんお腹が大きくなって動きづらくなっちゃうから、そろそろ買いに行かないと、と思ってたところで」
「彩乃もそう言ってた。じゃあまた、あの店で一緒に選ばないか?」
「えっ、いいんですか?!」
「ああ。彩乃も藤崎ちゃんと会いたがってたし、喜ぶと思う」
やったー!と恵真が大和に笑いかけると、大和も微笑み返してくれる。
「佐倉、俺のオフに合わせてもらってもいいか?」
「もちろんです」
「じゃあ彩乃にも話しておくよ。また連絡する」
「はい!よろしくお願いします。楽しみー!」
恵真は待ち切れないとばかりに、ワクワクする。
(帰ったら早速、買うものをリストアップしよう)
そのあとも楽しくおしゃべりしながら、恵真は久しぶりの社食でのランチを満喫した。
◇
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昼寝をする時や、ソファでくつろぐ時に、よくこのオルゴールを聴いている。
ネジを目一杯巻いてから、恵真はスノードームを逆さにした。
雪の舞う中、男の子と女の子がツリーの周りを踊るように、くるくると回り始める。
しばらく二人で見つめていると、ふと大和が恵真に尋ねた。
「恵真。この『ラベンダーズ ブルー』の歌、何番まであるの?」
「えーっと、確か4番までかな?」
「ふうん。歌ってみて?」
「えっ!やだっ!前に歌ったもん」
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(歌いながら寝ちゃったもんな)
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「ね、ほら。他の歌詞も知りたいから。それにお腹の赤ちゃん達だって、きっとママの子守唄を聴きたがってるよ」
「え…、そうかな?」
「そうだよ!ね、ほら」
そう言われれば仕方ない。
恵真は、全部は覚えてないですよ?と断ってから、小さく口ずさみ始めた。
「Lavender's green, dilly, dilly, lavender's blue.
If you love me, dilly, dilly, I will love you.
Let the birds sing, dilly, dilly, and the lambs play.
We shall be safe, dilly, dilly, out of harm's way.
I love to dance, dilly, dilly, I love to sing.
When I am queen, dilly, dilly, you'll be my king.
Who told me so, dilly, dilly, who told me so?
I told myself, dilly, dilly, I told me so」
オルゴールの音色に合わせて口ずさむ恵真の透き通った歌声は、優しくて美しい。
うしろから恵真を抱きしめながら、大和はうっとりと聴き惚れた。
その時、恵真のお腹に手を当てていた大和が、あ!と声を上げる。
「恵真、今赤ちゃん動いたよな?」
「ええ、動きました」
「やっぱり!ママの子守唄が聴こえたんだなあ。喜んでるよ、きっと」
「そうだといいですけど」
「産まれたら、このオルゴールにどんな反応するかな?楽しみだな」
「そうですね」
振り返った恵真が、ふふっと大和に笑いかける。
大和は身体を起こすと、恵真の頬に手を添えてじっと瞳を覗き込んだ。
オルゴールの音色がだんだんテンポを落とし、ゆっくりと最後の音が鳴り響く中、大和は愛おしそうに恵真に優しくキスをした。
◇
「ベビーベッドはね、私は結局ほとんど使わなかったの。ちゃんと呼吸してるか気になっちゃうし、添い寝して寝かしつける方が楽だったから。リビングの一角の和室にお布団敷いて、ほぼずっとそこで寝かせてたかな」
なるほど、と恵真は頷く。
彩乃達との買い物の前に、恵真は交流会で知り合った双子ママの佐々木に電話で相談していた。
「レンタルしてもいいかもね。やっぱり使わないと思ったら、引き取りに来てくれるから」
「そうなんですね。じゃあ、購入するのはやめておきます」
「あとベビーカーはね、双子用の横並びのを買ったんだけど、縦に二人並ぶベビーカーの方が良かったかもって思った。横に幅取るから、狭いスーパーだとレジも並べないし、駅の改札も通れないの。今はきっと色々改良されたいいものがあるかもしれないけどね」
これもまた、なるほど、と恵真は頷く。
「抱っこ紐はどうされましたか?双子用の物もあるみたいなんですけど」
「ああ、抱っこ紐はね。最初は一人用のを二つ買ったの。ほら、夫と私で一人ずつ抱っこしたり、一人はベビーカーに乗せて、ぐずってる子を抱っこしたり出来るでしょ?それに新生児のうちは、横に寝かせて抱っこしたいし」
「確かに」
「それで、生後7か月頃に双子用の抱っこ紐を買ったの。前後で二人を同時に抱っことおんぶが出来て、単独でも使えるものがあって」
「あ、カタログで見ました。海外のメーカーのものですよね?」
「そう。腰のベルトもしっかりしてて、思ったより楽だったわよ。実際に店頭で使ってみてから買ったの」
「じゃあ、私もそれを検討してみます」
恵真はメモを取りながら、熱心に耳を傾けた。
「佐々木さん、本当にありがとうございました!とっても助かります」
「いいえ。またいつでも電話してきて。あ、今度の交流会は海外フライトで残念ながら欠席なの。お便り楽しみにしてるわね」
恵真は、はい!と笑顔で返事をした。
◇
そして翌週の月曜日。
恵真と大和は、例の赤ちゃんグッズのお店で彩乃や野中と落ち合った。
「わあっ!恵真さんの方がお腹大きいわね。さすがは双子ちゃん」
「そうなんですよー。まだ6ヶ月なのにこの大きさ。この先どうなるんでしょう」
「本当ね。でも私は今7ヶ月だけど、産むのはきっと恵真さんとほぼ同じ頃よね?」
「あ、そうですね」
「ええ。だからゴールは同じだと思って、一緒に頑張りましょ!」
「はい!」
手を取り合う二人を、大和と野中も微笑ましく見守る。
皆で早速、大型のベビーグッズのコーナーを覗いた。
「あ、大和さん!これだと思う。話してた、トラベルシステムのベビーシート」
恵真は、メモを手に大和に説明する。
ベビーシート・ベビーカー・ベビーキャリーの3役をこなす、新生児から使えるシートだった。
車のベビーシートとしても使えるが、寝ている赤ちゃんを起こすことなくシートごとベビーカーに付け替えられ、更には室内に運び込んでベビーキャリーとしても使える優れものだ。
「へえー、凄いな。こんな多機能なのがあるんだ」
大和は実際に、取り外したり付け替えたりしながらしきりに感心する。
「何年も使える物ではないので、レンタルや中古でもいいと思うんですが」
恵真がそう言うと、即座に大和は首を振る。
「いや、新品を買おう。衛生面を考えて真っさらな方がいいし、何より大事な赤ちゃんの命を守るシートだ。中古で不具合があったら、大変だ」
そうか、確かにその通りだと恵真も納得する。
早速レジに行き、自宅に配送してもらうよう頼んで会計を済ませる。
あとは彩乃と一緒に、抱っこ紐や授乳クッション、哺乳瓶、赤ちゃんの肌着や、授乳服も選んだ。
「おむつは、実際に産まれてから産院で使ってみて、合うものを退院前にネットで注文するのがいいみたい」
「そうですね。じゃあひとまずこれくらいでしょうか?」
「ええ。あっ!恵真さん、これ見て。育児日記!」
「本当だ。可愛い日記!写真もたくさん貼れるんですね」
「私、これ買うわ」
「私も買います!使うのが楽しみ」
「実際はてんやわんやで、ゆっくり書いてる暇なんてないかも?」
声のトーンを落とす彩乃に、確かに…と恵真も真顔になる。
「でもそれも良い思い出よね。書ける時はたくさん書こうっと」
「そうですよね」
二人はにっこり笑って、仲良くレジに向かった。
買い物のあとは、四人でカフェに入る。
「ねえ、恵真さんと大和さんの結婚式の写真、見せてもらえない?今、持ってる?」
彩乃が身を乗り出して聞いてくる。
「あ、えっと…」
恵真はバッグを膝に載せて中を探った。
「実は、これを野中さんにお渡ししようか迷ってて…」
そう言って、伊沢に渡したのと同じフォトフレームカードを取り出した。
「え?どれ」
野中は受け取ると、カードを開いた。
「わあっ!凄い…」
野中と一緒にカードを見た彩乃が、口元を押さえて息を呑む。
「お二人とも、とっても素敵!お似合いねえ。それに飛行機をバックにこんなにたくさんの方が…。なんて良いお写真なの」
「藤崎ちゃん、ありがとう!どうして渡すかどうか迷ってたの?」
野中が顔を上げて恵真を見る。
「それは、あの。上司の方に、私達のプライベートな写真をお渡ししても、ご迷惑なだけかなと思って…」
「そんな事ある訳ないよ。ありがとう!」
「恵真さん、大和さん、ありがとうございます!真一さんもかっこいい制服姿で写ってるし、大事に飾らせてもらいますね」
恵真はホッとして頷いた。
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