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本当の愛を知る時
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クリスマスイブ。
二人で山梨のホテルに行く日がやって来た。
「わあ、綺麗な雪!」
真っ白に雪化粧された景色に、花純は目を輝かせる。
「光星さん、早く早く!」
「ははっ、花純はここに来ると子どもになるな」
光星の手を引いて、花純はロビーを横切りフロントへと向かう。
「森川様、いつもご利用いただきありがとうございます。本日はロイヤルスイートルーム、2名様ご一泊でご用意しております」
「えっ、ロイヤルスイート?」
それはもしや、一番高価な部屋なのでは?と花純は首をひねった。
(いくら旅行会社の社員向けに優遇されるとは言え、さすがにそれはないんじゃ?)
疑問に思いつつもチェックインの手続きを済ませた。
「お部屋は既に入室可能でございます。どうぞごゆっくり」
「はい、ありがとうございます」
カードキーを受け取ると、早速部屋に向かう。
ピッとロックを解除してドアを開けると、広々とした空間に豪華なダイニングテーブルやソファセットが置かれていた。
ローテーブルの上には、美しいバラの花がゴージャスに飾られている。
さすがにこれはおかしい、と花純は光星を振り返った。
「光星さん? 何か、しました?」
「ん? 何かって、何を?」
すっとぼけた表情を見るだけで分かる。
きっと光星は、花純が予約したあとホテルに連絡してあれこれと手配したのだろう。
部屋をグレードアップし、花を用意してほしいと。
「もう……。会社の為にも今は節約しなきゃダメですよ?」
「何をケチくさいこと言ってんの。それにこれくらい何でもない。花純、早速プールに行こう。夕方にエステとネイルの予約も入れてあるから」
「ええ!? そんな贅沢……。節約は?」
「どこが贅沢だ。それにせっかくの旅行で節約なんてするもんか。これは景気づけ。ほら、ぼーっとしてないで早くプール行くぞ。なんなら俺がここで水着に着替えさせてやろうか?」
「だ、ダメ!」
顔を真っ赤にする花純に、光星は明るく笑った。
◇
「ひゃー、素敵! 外は雪なのにこんなに広いプールで泳ぐなんて、不思議な気分ね」
冬のせいか前回よりも空いていて、暖かい屋内プールで二人はゆったりと波に身を任せる。
「冬なのに花純の水着姿を見られるっていいな」
「ちょっと、光星さん? どこ見てるの?」
「ん? 花純のあちこち」
「もう! 何言ってるのよ」
「だって前に来た時は緊張して余裕もなくて、ほとんど見られなかったんだ。もったいない、こんなに可愛かったのに」
「えっ、そうだったの?」
あの時は自分も光星の身体にドキドキして、うつむいてばかりいたっけ、と思い出す。
「でもあの時はあの時で楽しかったな。初恋の中学生みたいに、目が合うだけでドキドキして。けど、花純の身体を知ってしまったらもう、ね?」
「はっ? ねって、なに?」
「だから、見るだけじゃすまないよね?って」
「光星さん! もう、変態なの?」
花純は真っ赤になって、光星にバシャバシャと水をかける。
「なんとでも言ってくれ。花純限定の変態だな」
「いやー!」
更に水を浴びせながら、花純は浮き輪のままバタ足する。
「こーら! 俺から離れて行かないの」
グイッと浮き輪を掴んで引き戻され、そのまま光星の腕の中に閉じ込められた。
「花純? 機嫌直して。むくれた顔も可愛いけど」
「もう! じゃあ怒るからね」
「怒った顔も可愛いよ」
「むーっ! じゃあ拗ねる」
「ああ、それもいいね」
「は?」
花純は呆れてキョトンとしてから笑い出す。
「なにそれ。結局どれがいいの?」
「どんな花純もいい。けど、一番はやっぱり笑ってる顔だな」
そう言って光星は、チュッと花純の鼻先にキスをした。
「ひゃあ!」
「こら、何をそんな大声出してんの」
「だ、だって、こんなところに……」
両手で鼻の頭を押さえていると、光星は「へえー」と感心する。
「花純の意外な弱点見つけた」
「弱点じゃないです!」
「そう? ならもう一回……」
「ダメ!」
バタ足で逃げようとするが、あっさり後ろから浮き輪を引き寄せられてまた抱きしめられた。
結局、何をやってもイチャイチャになる。
身体がふやけそうになる頃、ようやく水から上がり、プールサイドでランチにする。
そのあとは屋外ジャグジーで、雪を眺めながら身体を癒やした。
◇
「花純、このままエステ行っておいで。ちょうどいい時間だから」
プールから出ると、光星は腕時計を見ながら花純に声をかけた。
「はい、じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
見送られてエステサロンに行くと、前回よりも更にグレードアップしたフルコースのプランで予約が入っていた。
(もう光星さんたら……)
そう思いつつ、ありがたく気持ちを受け取らせてもらう。
全身ピカピカのスベスベになり、ネイルも淡いピンクで仕上げてもらった。
部屋に戻ると、パソコンに向かっていた光星が「おかえり。どうだった?」と笑顔で出迎える。
「とっても気持ち良かったです。ありがとう、光星さん」
「どういたしまして。じゃあ、早めにディナーに行こうか」
「はい」
二人で腕を組み、フレンチレストランに向かう。
天井まであるガラス張りのレストランで、静かに降り積もる雪を眺めながらお酒と食事を楽しんだ。
「なんだか別世界に来たみたいですね」
「そうだな、時間の流れ方も違う。あの騒動の時には考えられなかった、こんなにも穏やかな時間が過ごせることを」
「本当ですね」
景色に見とれながら、心静かに二人で語り合う。
「俺がいるべき場所はこの先もずっと花純のそばだ。それだけは変わらない」
「はい、私もです。たとえ何があっても、どこへ行っても、私も光星さんのそばを離れることはありません」
優しく見つめてくる光星の眼差しに、花純も微笑んで頷いた。
◇
レストランを出ると、少し外を散歩する。
踏みしめる雪はキュッと音を立て、その感覚に花純ははしゃいだ声を上げた。
「楽しい! 光星さん、足あとつけよう」
「はいはい、花純ちゃん」
光星も笑って花純のあとを歩いた。
二人で振り返り、足あとを見つめる。
「光星さんの足、大きいね。歩幅も広いし」
「花純ちゃんの足は小っちゃくて可愛いね。ちょこまかしてるし」
「もう! 光星さん、ずっと私を子ども扱いしてる」
「だってここに来ると、花純は子どもみたいに可愛くはしゃぐからな」
むくれる花純の肩を抱いて、光星はそっと頬に口づけた。
「これからもずっと一緒に歩いて行こう。こうやって、寄り添いながら」
「はい、光星さん」
二人は肩を寄せ合い、足あとを残しながら部屋へと戻った。
「寒かった! 今コーヒー淹れますね」
暖かい部屋でソファに座り、コーヒーを飲む。
「どうしよう。テラスの露天風呂に入りたいけど、さすがに寒いかな」
窓の外を見つめて花純が呟いた時だった。
「花純」
ふいに呼ばれて花純は振り返る。
次の瞬間、驚いて目を見開いた。
「えっ……」
「花純、これを受け取ってほしい」
光星が差し出していたのは、ブルーのリングケース。
中央の指輪にはまばゆいダイヤモンドが輝いていた。
「これって……」
「花純、俺は最初に君にこう言った。『試しにつき合おう、君に本物の恋愛を教える』と。あの時は、君が本当の愛を知るまでは諦めない、そう思っていた。だけど今はこう思う。あの時の自分は、本物の恋愛も本当の愛も、何一つ分かっていなかった。それを教えてくれたのは花純、君だよ」
「光星さん……」
「君が一緒にいてくれるだけで心が安らぎ、君が楽しそうにしていると世界が輝いて見えた。君が微笑んでくれると胸が切なく痛み、君を抱きしめると愛しさが込み上げてきた。これまで知らなかった感情が自分の中に次々と芽生えたんだ。そして……」
光星はうつむいて言葉を止める。
「人生で最も辛い時に、花純は俺のそばで俺の心を支え続けてくれた。何もしてやれないからと君を遠ざけようとした俺に、花純は今こそ一緒にいなければいけないと言ってくれた。どれほど心強く、どれほど救われたか分からない。花純の存在が俺の全てだ。どれだけ言葉を重ねても言い尽くせないほど、俺は花純を愛している」
「光星さん……、私もです。今まで誰かとこんなにも心を通わせたことはありませんでした。恋愛なんてしなくていい、結婚は条件の合う人とって、ずっと本気で思っていました。だけどあなたと過ごす時間は、そんな私を変えてくれました。あなたが自分の身を挺して私を守ってくれた時、こんなにも愛されているんだと知りました。あなたが辛い時は、絶対にそばであなたを支えるんだって、自然と強い気持ちが湧いてきました。私の心の奥深くから、私はあなたを愛しています。この気持ちは間違いなく本物です」
「花純……。俺たちは本当の愛で結ばれている。この先もずっと、離れることなんて出来ない。結婚しよう、花純」
「はい。これからもずっと、あなたのそばが私のいるべき場所です。結婚してください、光星さん」
二人で見つめ合い、込み上げる涙を堪えながら微笑む。
胸が震え、幸せでいっぱいになり、互いに求め合って抱きしめた。
「花純、ありがとう。心から君を愛している」
「私もです、光星さん。誰よりもあなただけを愛しています」
やがて光星はそっと身体を離すと、花純の左手薬指にゆっくりと指輪をはめる。
「俺の愛の証として、これを君に贈る」
そう言って花純の手をすくい、指輪にキスをした。
花純は腕を伸ばしてギュッと光星に抱きつく。
「ありがとう、光星さん。私にたくさんの幸せをくれて」
「まだまだだよ、もっともっと幸せにしてみせるから」
「うん。私もあなたを幸せにしたい」
「花純がそばにいてくれる限り、俺はずっと幸せでいられる」
見つめ合って交わすキス。
抱きしめ合って確かめる温もり。
心に届く互いの深い愛情。
ようやく二人は本当の愛を知った。
二人で山梨のホテルに行く日がやって来た。
「わあ、綺麗な雪!」
真っ白に雪化粧された景色に、花純は目を輝かせる。
「光星さん、早く早く!」
「ははっ、花純はここに来ると子どもになるな」
光星の手を引いて、花純はロビーを横切りフロントへと向かう。
「森川様、いつもご利用いただきありがとうございます。本日はロイヤルスイートルーム、2名様ご一泊でご用意しております」
「えっ、ロイヤルスイート?」
それはもしや、一番高価な部屋なのでは?と花純は首をひねった。
(いくら旅行会社の社員向けに優遇されるとは言え、さすがにそれはないんじゃ?)
疑問に思いつつもチェックインの手続きを済ませた。
「お部屋は既に入室可能でございます。どうぞごゆっくり」
「はい、ありがとうございます」
カードキーを受け取ると、早速部屋に向かう。
ピッとロックを解除してドアを開けると、広々とした空間に豪華なダイニングテーブルやソファセットが置かれていた。
ローテーブルの上には、美しいバラの花がゴージャスに飾られている。
さすがにこれはおかしい、と花純は光星を振り返った。
「光星さん? 何か、しました?」
「ん? 何かって、何を?」
すっとぼけた表情を見るだけで分かる。
きっと光星は、花純が予約したあとホテルに連絡してあれこれと手配したのだろう。
部屋をグレードアップし、花を用意してほしいと。
「もう……。会社の為にも今は節約しなきゃダメですよ?」
「何をケチくさいこと言ってんの。それにこれくらい何でもない。花純、早速プールに行こう。夕方にエステとネイルの予約も入れてあるから」
「ええ!? そんな贅沢……。節約は?」
「どこが贅沢だ。それにせっかくの旅行で節約なんてするもんか。これは景気づけ。ほら、ぼーっとしてないで早くプール行くぞ。なんなら俺がここで水着に着替えさせてやろうか?」
「だ、ダメ!」
顔を真っ赤にする花純に、光星は明るく笑った。
◇
「ひゃー、素敵! 外は雪なのにこんなに広いプールで泳ぐなんて、不思議な気分ね」
冬のせいか前回よりも空いていて、暖かい屋内プールで二人はゆったりと波に身を任せる。
「冬なのに花純の水着姿を見られるっていいな」
「ちょっと、光星さん? どこ見てるの?」
「ん? 花純のあちこち」
「もう! 何言ってるのよ」
「だって前に来た時は緊張して余裕もなくて、ほとんど見られなかったんだ。もったいない、こんなに可愛かったのに」
「えっ、そうだったの?」
あの時は自分も光星の身体にドキドキして、うつむいてばかりいたっけ、と思い出す。
「でもあの時はあの時で楽しかったな。初恋の中学生みたいに、目が合うだけでドキドキして。けど、花純の身体を知ってしまったらもう、ね?」
「はっ? ねって、なに?」
「だから、見るだけじゃすまないよね?って」
「光星さん! もう、変態なの?」
花純は真っ赤になって、光星にバシャバシャと水をかける。
「なんとでも言ってくれ。花純限定の変態だな」
「いやー!」
更に水を浴びせながら、花純は浮き輪のままバタ足する。
「こーら! 俺から離れて行かないの」
グイッと浮き輪を掴んで引き戻され、そのまま光星の腕の中に閉じ込められた。
「花純? 機嫌直して。むくれた顔も可愛いけど」
「もう! じゃあ怒るからね」
「怒った顔も可愛いよ」
「むーっ! じゃあ拗ねる」
「ああ、それもいいね」
「は?」
花純は呆れてキョトンとしてから笑い出す。
「なにそれ。結局どれがいいの?」
「どんな花純もいい。けど、一番はやっぱり笑ってる顔だな」
そう言って光星は、チュッと花純の鼻先にキスをした。
「ひゃあ!」
「こら、何をそんな大声出してんの」
「だ、だって、こんなところに……」
両手で鼻の頭を押さえていると、光星は「へえー」と感心する。
「花純の意外な弱点見つけた」
「弱点じゃないです!」
「そう? ならもう一回……」
「ダメ!」
バタ足で逃げようとするが、あっさり後ろから浮き輪を引き寄せられてまた抱きしめられた。
結局、何をやってもイチャイチャになる。
身体がふやけそうになる頃、ようやく水から上がり、プールサイドでランチにする。
そのあとは屋外ジャグジーで、雪を眺めながら身体を癒やした。
◇
「花純、このままエステ行っておいで。ちょうどいい時間だから」
プールから出ると、光星は腕時計を見ながら花純に声をかけた。
「はい、じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
見送られてエステサロンに行くと、前回よりも更にグレードアップしたフルコースのプランで予約が入っていた。
(もう光星さんたら……)
そう思いつつ、ありがたく気持ちを受け取らせてもらう。
全身ピカピカのスベスベになり、ネイルも淡いピンクで仕上げてもらった。
部屋に戻ると、パソコンに向かっていた光星が「おかえり。どうだった?」と笑顔で出迎える。
「とっても気持ち良かったです。ありがとう、光星さん」
「どういたしまして。じゃあ、早めにディナーに行こうか」
「はい」
二人で腕を組み、フレンチレストランに向かう。
天井まであるガラス張りのレストランで、静かに降り積もる雪を眺めながらお酒と食事を楽しんだ。
「なんだか別世界に来たみたいですね」
「そうだな、時間の流れ方も違う。あの騒動の時には考えられなかった、こんなにも穏やかな時間が過ごせることを」
「本当ですね」
景色に見とれながら、心静かに二人で語り合う。
「俺がいるべき場所はこの先もずっと花純のそばだ。それだけは変わらない」
「はい、私もです。たとえ何があっても、どこへ行っても、私も光星さんのそばを離れることはありません」
優しく見つめてくる光星の眼差しに、花純も微笑んで頷いた。
◇
レストランを出ると、少し外を散歩する。
踏みしめる雪はキュッと音を立て、その感覚に花純ははしゃいだ声を上げた。
「楽しい! 光星さん、足あとつけよう」
「はいはい、花純ちゃん」
光星も笑って花純のあとを歩いた。
二人で振り返り、足あとを見つめる。
「光星さんの足、大きいね。歩幅も広いし」
「花純ちゃんの足は小っちゃくて可愛いね。ちょこまかしてるし」
「もう! 光星さん、ずっと私を子ども扱いしてる」
「だってここに来ると、花純は子どもみたいに可愛くはしゃぐからな」
むくれる花純の肩を抱いて、光星はそっと頬に口づけた。
「これからもずっと一緒に歩いて行こう。こうやって、寄り添いながら」
「はい、光星さん」
二人は肩を寄せ合い、足あとを残しながら部屋へと戻った。
「寒かった! 今コーヒー淹れますね」
暖かい部屋でソファに座り、コーヒーを飲む。
「どうしよう。テラスの露天風呂に入りたいけど、さすがに寒いかな」
窓の外を見つめて花純が呟いた時だった。
「花純」
ふいに呼ばれて花純は振り返る。
次の瞬間、驚いて目を見開いた。
「えっ……」
「花純、これを受け取ってほしい」
光星が差し出していたのは、ブルーのリングケース。
中央の指輪にはまばゆいダイヤモンドが輝いていた。
「これって……」
「花純、俺は最初に君にこう言った。『試しにつき合おう、君に本物の恋愛を教える』と。あの時は、君が本当の愛を知るまでは諦めない、そう思っていた。だけど今はこう思う。あの時の自分は、本物の恋愛も本当の愛も、何一つ分かっていなかった。それを教えてくれたのは花純、君だよ」
「光星さん……」
「君が一緒にいてくれるだけで心が安らぎ、君が楽しそうにしていると世界が輝いて見えた。君が微笑んでくれると胸が切なく痛み、君を抱きしめると愛しさが込み上げてきた。これまで知らなかった感情が自分の中に次々と芽生えたんだ。そして……」
光星はうつむいて言葉を止める。
「人生で最も辛い時に、花純は俺のそばで俺の心を支え続けてくれた。何もしてやれないからと君を遠ざけようとした俺に、花純は今こそ一緒にいなければいけないと言ってくれた。どれほど心強く、どれほど救われたか分からない。花純の存在が俺の全てだ。どれだけ言葉を重ねても言い尽くせないほど、俺は花純を愛している」
「光星さん……、私もです。今まで誰かとこんなにも心を通わせたことはありませんでした。恋愛なんてしなくていい、結婚は条件の合う人とって、ずっと本気で思っていました。だけどあなたと過ごす時間は、そんな私を変えてくれました。あなたが自分の身を挺して私を守ってくれた時、こんなにも愛されているんだと知りました。あなたが辛い時は、絶対にそばであなたを支えるんだって、自然と強い気持ちが湧いてきました。私の心の奥深くから、私はあなたを愛しています。この気持ちは間違いなく本物です」
「花純……。俺たちは本当の愛で結ばれている。この先もずっと、離れることなんて出来ない。結婚しよう、花純」
「はい。これからもずっと、あなたのそばが私のいるべき場所です。結婚してください、光星さん」
二人で見つめ合い、込み上げる涙を堪えながら微笑む。
胸が震え、幸せでいっぱいになり、互いに求め合って抱きしめた。
「花純、ありがとう。心から君を愛している」
「私もです、光星さん。誰よりもあなただけを愛しています」
やがて光星はそっと身体を離すと、花純の左手薬指にゆっくりと指輪をはめる。
「俺の愛の証として、これを君に贈る」
そう言って花純の手をすくい、指輪にキスをした。
花純は腕を伸ばしてギュッと光星に抱きつく。
「ありがとう、光星さん。私にたくさんの幸せをくれて」
「まだまだだよ、もっともっと幸せにしてみせるから」
「うん。私もあなたを幸せにしたい」
「花純がそばにいてくれる限り、俺はずっと幸せでいられる」
見つめ合って交わすキス。
抱きしめ合って確かめる温もり。
心に届く互いの深い愛情。
ようやく二人は本当の愛を知った。
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