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猫
しおりを挟む夏が過ぎて、秋になった。
山の秋は、ほんとうに美しい。
樹木が紅葉や黄葉に色づいて、情趣にあふれた景色が広がる。
――――ある日のこと。
昼。
いつものように、私は寝室に寝かされていたのだが……
寝室の開け放った窓から、忍び込んできた猫がいた。
猫はニャーニャーと鳴きながら、ベッドに飛び乗って……
なんと、私を肉球で殴り始めた。
肉球は可愛いんだけど、痛い。
こんにゃろう、猫のくせに……!
と思った私は、チョコレート魔法を使って猫を追い出すことにした。
まず、チョコレートをヒジ辺りから伸ばすイメージをする。
すると、にょきっ、と右腕のヒジからチョコレートが生えてきた。
その生えてきたチョコレートを、伸ばして、伸ばして、伸ばして……
ロープのような長さまで伸ばし……
ゆっくりと狙いを定め……
サッと猫に巻きつけた!
「ニャー!? ニャニャ、ニャー!!」
と、猫がビビり散らしていたが、もう動けない。
チョコレート・ロープに捕縛された猫を、私はぐいっと宙へ持ち上げる。
ふははは、見たか!
これがチョコレート魔法だ!
さて、あとは窓の外へ帰すだけだ。
二度と戻ってこないように、猫を追い出したあとは、部屋の窓もチョコレート魔法で閉めておくか。
と、そのときだった。
「おい。なんか猫の声がしたが、―――――!?」
クレアベルが、部屋に入ってきた。
空中に浮かぶ猫。
私の腕から生えたチョコレート。
そう。
このときはじめて、クレアベルにチョコレート魔法を見られてしまった。
「な、なんだ!?!? 茶色い糸が、伸びて、ええ!?」
と、クレアベルがめちゃくちゃ困惑していた。
このとき私も動揺して、チョコレート・ロープの束縛をゆるめてしまった。
猫がすかさず、ロープから逃れ……
そのまま窓から脱出する。
あとには私と、混乱したクレアベルが残った。
ややあって、クレアベルは状況を理解したらしく、以下のように言った。
「なるほど。セレナ……お前、もう魔法が使えるのか」
驚きを含んだ様子でクレアベルが続ける。
「ははは、すごい子だ。将来立派な魔法使いになるぞ」
そう言って、クレアベルが頭を撫でてきた。
相変わらず言語が不明なので、何を言っているのかよくわからなかったが……
たぶん褒められたのだろう、と私は理解した。
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