79 / 97

キレるニッシュ

しおりを挟む
ニッシュが静かな怒気どきを込めて告げる。

「オレがザカルの下位互換だと? 斬られておいて調子に乗るなよクソガキ」

「まあ、初見でしたし。……でも、もう見切りましたよ」

「見切っただと」

ニッシュが目を見開く。

そして、クククと笑った。

「なあガキ? 今のがオレの本気だと思ってんのか? さっきの斬撃はせいぜい40%ぐらいだよ。まったく本気じゃねえ」

「えっと……そういうノリは、ジルさんとの決闘でさんざんやったんですよね」

私は続けて言った。

「だから、最初から本気で来てくださって構いませんよ。どうせジルさんと同じで、大したことないでしょうし」

「――――――――」

ニッシュが、さらに怒気を強めた。

彼は告げた。

「すこぶる腹立つクソガキだなぁテメエはよ! いいぜ、じゃあ本気の斬撃で切り刻んでやるよ!」

ニッシュが駆けはじめる。

二刀流を構え、私に飛びかかってきた。

「オラァッ!!!」

さっきより数段、速い!

ニッシュの振り下ろす斬撃。

私は後ろに回避する。

ニッシュの二撃目。

それを後ろにかわす。

次の攻撃も、

その次の攻撃も、

後ろにかわす。

「……!」

ニッシュも気づいたようだ。

私は告げる。

「だから言ったでしょう、あなたの攻撃は見切ったと」

さらに私は続ける。

「ニッシュさんのスキル――――【加撃斬火かげきざんか】は、横にしか発動しません。だから、あなたの攻撃を横に避けたら斬られますが、後ろに避けたら斬られないんですよね」

単純な話だ。

初見だと、まず回避できない攻撃であるのは確かだが……

タネがわかってしまえば、かわすのに造作もない。

しかし。

ニッシュは笑う。

「ははははは! ご名答だよクソガキ。よくこの短時間で見抜いたな! だがよ―――――」

ニッシュは告げる。

「その程度の対策ぐらいしてんだわ」

次の瞬間。

ニッシュが加速した。

疾走しながら、斬りかかってくる。

「……!」

後退して避けようとした私。

しかしニッシュのスピードが速すぎて、後退しきれない。

一瞬にして間合いを詰められる。

「ラァアッ!!!」

斬りかかってくるニッシュ。

このタイミングの攻撃は、横に避けるしかない。

後ろに避けられない。

だが。

「……!!?」

私が、チョコレート魔法を発動する。

自分のお腹から、無数の突起を出現させる。

チョコレート・ニードル。

チョコレートの針や突起を発生させる魔法だ。

勢いよく斬りかかろうとしてきたニッシュに、チョコレート・ニードルが炸裂する。

「くっ!!?」

このまま間合いを詰めたら、チョコレート・ニードルの餌食になると理解したのだろう――――

ニッシュは、慌てて立ち止まり、バックステップで後ろに下がった。

「相性の問題だと思いますが」

私は告げる。

「ニッシュさんのスキルは、間合いに入られなければ怖くありませんよね。そして私は、間合いに近づかせないすべを、いくつも持っています。なので……私にあなたのスキルは通用しません」

ニッシュが押し黙る。

そこで私は、小馬鹿こばかにしたように微笑んで、あおった。

「だから言ったじゃないですか? ザカルさんの下位互換だって」

「……ッ」

ニッシュがぶちぎれそうなほど、顔を真っ赤にした。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~

けろ
ファンタジー
【完結済み】 仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!? 過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。 救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。 しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。 記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。 偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。 彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。 「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」 強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。 「菌?感染症?何の話だ?」 滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級! しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。 規格外の弟子と、人外の師匠。 二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。 これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

死霊使いの花嫁

羽鳥紘
ファンタジー
死霊が住まうという屋敷で目覚めたミオは、自分が死霊使いである当主の花嫁であると聞かされる。覚えのないことに戸惑いながらも、当面の衣食住のため、ミオは当主ミハイルと契約を結ぶことにするが――◆小匙一杯ずつのラブとシリアスとコメディとバトルとミステリーとホラーが入ったファンタジー。番外編4コマ⇒https://www.alphapolis.co.jp/manga/452083416/619372892web◆拍手⇒http://unfinished-koh.net/patipati/ufpati.cgi

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

処理中です...