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第3章84話:新たな技
しおりを挟むしかし。
「ぬぅぅううっ!!」
ネアはそれでも耐える。
精霊の意地を見せ付けるかのようだ。
ネアが起こす光の拡大と、サイコキネシスの空間圧縮が拮抗。
光が動かなくなった。
「ふむ……空間圧縮に耐えるか」
俺は【空間圧縮】では押し切れないと判断した。
いつかはネアの体力が尽きるかもしれないが、これだけ大きなサイコキネシスを使い続けるのは俺にとっても負担が大きい。
別の方法で決着をつけるべきだろう。
(よし……)
俺は新しい技を考えた。
構想はあったし、どんな相手にも大ダメージを与えられる技だ。
「先刻、俺はお前に畏敬はしないと述べたが、前言撤回しよう」
と俺は告げた。
さらに続ける。
「精霊ネアに敬意を表する。俺の【空間圧縮】をしのいだのは、お前がはじめてだ」
そのとき。
「ハァアアアアッ!!」
ネアがついに【空間圧縮】を跳ね返す。
しかし相打ちのような形となったようで、ネアの光も同時に霧散した。
周囲には発生していたうねるような旋風も、消失した。
……さすがだ。
ついに【空間圧縮】が破られた。
静けさが立ち込める中。
俺は言った。
「最大限の畏敬を以って、お前を抹殺すると誓う――――――死ね。空間切断」
そして俺は新技である【空間切断】を発動する。
この技は空間圧縮とは対照的な技だ。
空間を圧縮して敵を押しつぶすのが【空間圧縮】であるとするなら、まさにその逆。
まるで紙を左右に引きちぎるかのように、空間をひっぱって伸ばし、引きちぎる。
それが【空間切断】である。
敵を切断するのではなく、あくまで、空間を裂くもの。
しかし引き裂かれた位置に敵がいれば、空間ごと敵を切断することができるという原理だ。
「――――――――」
ズザァンッ!!
と、耳をつんざくような音がこだました。
空間が裂ける音である。
【空間切断】の発動。
それによってネアの右腕が吹き飛ぶ。
「あ、」
ネアが切断されて吹き飛んだ自分の右腕を見て、目を見開く。
次の瞬間。
「ああああああぁぁぁッ!!?」
絶叫を上げながらネアが、空中から落下していく。
体勢を崩したまま地面に落ちるネア。
俺は目を細めつつ、つぶやいた。
「……少し狙いがズレたか」
本当はネアの胴体を真っ二つにしてやるつもりだった。
しかし切断する位置がズレたせいで、胴体ではなく、腕を切り飛ばしてしまった。
はじめて使う【空間切断】なので、まだまだ操作に慣れていない。
ただ、一度使ったことで、だいたいの感覚がわかった。
次は外さないだろう。
「こんな力は……ありえない……」
ネアが切断された腕を、もう片方の腕でおさえながら、よろよろと立ち上がる。
「あなたの力は、許されない……人が有していい力じゃない……」
俺は、ネアに手をかざした。
これで終わりだ。
「空間切断」
次の瞬間。
ネアの身体がX字に切り裂かれ――――
さらに首もハネ飛ばされた。
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