131 / 207
第4章131話:ファンアイテム
しおりを挟む
そういえば……友達を家に連れてくるなんて何年ぶりだろう?
大学に入るまではぼっち期間が長かったからなぁ……。
ルミは感慨深い思いを抱いた。
「適当に座ってください。とりあえずお茶を淹れますね」
「あ。お構いなく!」
コトリがリビングの座布団の上に座る。
ルミはキッチンで麦茶を淹れてから、テーブルに持っていった。
「どうぞ」
「ありがとー! すごく居心地の良い部屋だね」
「あはは。地味な部屋ですよね」
「そんなことないよ! 11階だから、夜の眺めとか良さそうだし」
まあ夜景は綺麗かな。
さて……。
ルミは意を決する。
「あ、あの……実は、話したいことがありまして」
「ん?」
コトリが首をかしげる。
ルミは、髪の毛をポニーテールへと結い上げた。
さらに、アイテムバッグから仮面を取り出して、顔に装着する。
これで……きっとコトリも気づいただろう。
ルミは言った。
「私が……ルミです」
そう告白する。
コトリは目を見開いていた。
そりゃ驚くよね。
ルミが口を開こうとすると、コトリが興奮したように言った。
「あーーー! それ、ルミちゃんも持ってるんだ!?」
「え?」
「私も持ってるんだよ。じゃーん! ルミさん仮面!!」
「!?」
コトリが自身のアイテムバッグから、仮面を取り出す。
その仮面はまさしく、ルミが持っているものと同一の代物であった。
ルミは驚愕して尋ねた。
「ど、どうしてコトリさんがそれを?」
「どうしてって、ファンアイテムだし」
「ファン、アイ……テム」
想定外の答えが返ってきて、ルミは固まってしまう。
コトリが言う。
「まあどこにでも売ってる仮面だしね! でも、ルミちゃんも持ってたなんて驚いたよ! 実はルミさんのファンだったんだね!?」
「い、いやっ、そうではなくっ!」
私が持ってるのはファンアイテムじゃなくて本物です!!
「それにしてもルミちゃん、コスプレ極まってるね? ルミさんと同じ黒髪だし、ポニーテールの長さも同じぐらいじゃない?」
同じぐらいっていうか……同一人物なので!
コトリが、自身の仮面を顔に装着したあと、言った。
「ルミちゃん見て見て! 私もルミでーすっ!」
「……」
もうどうしたらいいんだ……
まさかこんなふうに切り返されるとは思ってなかったので、ルミは途方に暮れるしかなかった。
大学に入るまではぼっち期間が長かったからなぁ……。
ルミは感慨深い思いを抱いた。
「適当に座ってください。とりあえずお茶を淹れますね」
「あ。お構いなく!」
コトリがリビングの座布団の上に座る。
ルミはキッチンで麦茶を淹れてから、テーブルに持っていった。
「どうぞ」
「ありがとー! すごく居心地の良い部屋だね」
「あはは。地味な部屋ですよね」
「そんなことないよ! 11階だから、夜の眺めとか良さそうだし」
まあ夜景は綺麗かな。
さて……。
ルミは意を決する。
「あ、あの……実は、話したいことがありまして」
「ん?」
コトリが首をかしげる。
ルミは、髪の毛をポニーテールへと結い上げた。
さらに、アイテムバッグから仮面を取り出して、顔に装着する。
これで……きっとコトリも気づいただろう。
ルミは言った。
「私が……ルミです」
そう告白する。
コトリは目を見開いていた。
そりゃ驚くよね。
ルミが口を開こうとすると、コトリが興奮したように言った。
「あーーー! それ、ルミちゃんも持ってるんだ!?」
「え?」
「私も持ってるんだよ。じゃーん! ルミさん仮面!!」
「!?」
コトリが自身のアイテムバッグから、仮面を取り出す。
その仮面はまさしく、ルミが持っているものと同一の代物であった。
ルミは驚愕して尋ねた。
「ど、どうしてコトリさんがそれを?」
「どうしてって、ファンアイテムだし」
「ファン、アイ……テム」
想定外の答えが返ってきて、ルミは固まってしまう。
コトリが言う。
「まあどこにでも売ってる仮面だしね! でも、ルミちゃんも持ってたなんて驚いたよ! 実はルミさんのファンだったんだね!?」
「い、いやっ、そうではなくっ!」
私が持ってるのはファンアイテムじゃなくて本物です!!
「それにしてもルミちゃん、コスプレ極まってるね? ルミさんと同じ黒髪だし、ポニーテールの長さも同じぐらいじゃない?」
同じぐらいっていうか……同一人物なので!
コトリが、自身の仮面を顔に装着したあと、言った。
「ルミちゃん見て見て! 私もルミでーすっ!」
「……」
もうどうしたらいいんだ……
まさかこんなふうに切り返されるとは思ってなかったので、ルミは途方に暮れるしかなかった。
26
あなたにおすすめの小説
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる