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5 動き出したら突き進むのみ、自分の役目もあと少しと思った七瀬。
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本当に妹?
あと少し盛り上げてから席を外したいのに。
なんとなく南雲君が気がついた気がするんだけど。
さっき小田君を見る目がそう言ってた。
その後全然里玖の方を見てない。
やばいなあ・・・・・とか思ってる?
焦ってる?それとも少しは前向きに考えてくれてる?
視界の隅で南雲君をとらえながら、空になった里玖のグラスを見る。
「里玖、次何飲む?」
そう言ったら目の前の小田君がちょっとごめんと席を外した。
携帯を持ったまま真面目な顔をして。
里玖と南雲君を見る。
三人でどうしたんだろうって感じで。
南雲君のお酒の注文も聞いて席を立つ。
「小田君の妹ちゃんの相談に乗ってたの。ちょっと気になるから注文をしながら様子を見てくる。」
ちょっとぎこちない感じの二人だったけど、もう広げようもないと思ってその場を後にした。
わざとだと里玖は思ってるだろう。
でも半分は本当。
嘘じゃないんだろうし、ちょっと真剣な顔をして出ていったのが気になるし、なにかあったんだろうか?
すぐに店員さんを捕まえてお酒を頼んで、小田君を探した。外にいた。
「小田君、大丈夫?どうかした?」
「ああ、大丈夫。愚痴を聞いてほしかったらしい。電話で話して聞いてあげたらスッキリしたみたい。」
「そう。良かった。」
「どうかな?やっと海が気がついた気がしたけど。」
「うん、私もそう思うけど、沈黙のままだった。帰るに帰れない。」
「何か合図をもらえることになってるの?」
「ううん。里玖のことだから見たらわかるかなって思って。」
「二人が暗かったらがっかりだね。」
「多分どっちかは席を立つよ。むしろ二人残ってたら何も言ってないんだなって思う。」
「その判断は七瀬さんに任せる。」
「了解。」
「じゃあ、様子を見にちょっとだけ戻る?」
「そうだね。」
二人で遠くからのぞいたら南雲君がいなかった。
え~、南雲君がいなくなるパターンって何?
ぼんやりしてる里玖を見ても判断に迷う。
でも今なら聞ける。
「先に帰る。トイレにでも行って来て。」
「分かった。」
席に戻って里玖を見る。
ぼんやりのままの里玖。
「どうした?」
小声で聞いた。
「どうもしてない・・・・。」
「言ってないの?」
うなずいた里玖。最悪じゃないらしい。
「南雲君はトイレ?」
「多分。」
里玖も南雲君にバレたって気がついたかな?
「この後時間もらってみれば。中途半端も嫌でしょう?」
「うん、そう言ってみたい。そう思うんだけどね・・・・・。」
「言えないなら私が言ってあげるよ。」
「最悪お願い。」
「うん、こっそり教えてね。」
「でも本当に小田君の名前知らなかったの?」
「覚えてなかった。酷いかな?失礼かな?」
「他に覚えてる人いるの?」
「ほとんどいない。名字はうっすら出るかも。」
「じゃあ、いいよ。特別な名前だけ覚えて後はまあまあって事で。」
こんなに何度も飲んで、しかもバックアップまでしてもらって、その他大勢って可哀想だけど、しょうがない。里玖なら許されるだろう。
本当にそんな子はいる。
周りが思わず助けたくなる子。
そして私はついつい助けてしまう方だ。
そういうものなんだろう、ちょうどいい具合の組み合わせだったらしい。
忘れられない一日目、入社日の朝。
指定された部屋の前でコートについた鳥のうんちを教えてあげた時。
驚いて泣きそうな顔でその部分を見ようとした里玖。
最初からそういう役割だったのかもしれない。
そのままトイレに一緒に行って、そのまま隣の席に座ったその時から。
あと少し盛り上げてから席を外したいのに。
なんとなく南雲君が気がついた気がするんだけど。
さっき小田君を見る目がそう言ってた。
その後全然里玖の方を見てない。
やばいなあ・・・・・とか思ってる?
焦ってる?それとも少しは前向きに考えてくれてる?
視界の隅で南雲君をとらえながら、空になった里玖のグラスを見る。
「里玖、次何飲む?」
そう言ったら目の前の小田君がちょっとごめんと席を外した。
携帯を持ったまま真面目な顔をして。
里玖と南雲君を見る。
三人でどうしたんだろうって感じで。
南雲君のお酒の注文も聞いて席を立つ。
「小田君の妹ちゃんの相談に乗ってたの。ちょっと気になるから注文をしながら様子を見てくる。」
ちょっとぎこちない感じの二人だったけど、もう広げようもないと思ってその場を後にした。
わざとだと里玖は思ってるだろう。
でも半分は本当。
嘘じゃないんだろうし、ちょっと真剣な顔をして出ていったのが気になるし、なにかあったんだろうか?
すぐに店員さんを捕まえてお酒を頼んで、小田君を探した。外にいた。
「小田君、大丈夫?どうかした?」
「ああ、大丈夫。愚痴を聞いてほしかったらしい。電話で話して聞いてあげたらスッキリしたみたい。」
「そう。良かった。」
「どうかな?やっと海が気がついた気がしたけど。」
「うん、私もそう思うけど、沈黙のままだった。帰るに帰れない。」
「何か合図をもらえることになってるの?」
「ううん。里玖のことだから見たらわかるかなって思って。」
「二人が暗かったらがっかりだね。」
「多分どっちかは席を立つよ。むしろ二人残ってたら何も言ってないんだなって思う。」
「その判断は七瀬さんに任せる。」
「了解。」
「じゃあ、様子を見にちょっとだけ戻る?」
「そうだね。」
二人で遠くからのぞいたら南雲君がいなかった。
え~、南雲君がいなくなるパターンって何?
ぼんやりしてる里玖を見ても判断に迷う。
でも今なら聞ける。
「先に帰る。トイレにでも行って来て。」
「分かった。」
席に戻って里玖を見る。
ぼんやりのままの里玖。
「どうした?」
小声で聞いた。
「どうもしてない・・・・。」
「言ってないの?」
うなずいた里玖。最悪じゃないらしい。
「南雲君はトイレ?」
「多分。」
里玖も南雲君にバレたって気がついたかな?
「この後時間もらってみれば。中途半端も嫌でしょう?」
「うん、そう言ってみたい。そう思うんだけどね・・・・・。」
「言えないなら私が言ってあげるよ。」
「最悪お願い。」
「うん、こっそり教えてね。」
「でも本当に小田君の名前知らなかったの?」
「覚えてなかった。酷いかな?失礼かな?」
「他に覚えてる人いるの?」
「ほとんどいない。名字はうっすら出るかも。」
「じゃあ、いいよ。特別な名前だけ覚えて後はまあまあって事で。」
こんなに何度も飲んで、しかもバックアップまでしてもらって、その他大勢って可哀想だけど、しょうがない。里玖なら許されるだろう。
本当にそんな子はいる。
周りが思わず助けたくなる子。
そして私はついつい助けてしまう方だ。
そういうものなんだろう、ちょうどいい具合の組み合わせだったらしい。
忘れられない一日目、入社日の朝。
指定された部屋の前でコートについた鳥のうんちを教えてあげた時。
驚いて泣きそうな顔でその部分を見ようとした里玖。
最初からそういう役割だったのかもしれない。
そのままトイレに一緒に行って、そのまま隣の席に座ったその時から。
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