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24 大阪での日々 ~萩原~
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今日の昼の時間も自分の片側が姦しい。
時間がずれていても、南田の前には食事を終えて午後の始業までの時間を有効に使いたい女性が群がる。
座られる位置によっては離れた場所で食事する琴の姿が見えにくくなる。
『おい!』
心の中で怒りを抑える。
つい、片眉が上がりそうになるが我慢する。
時間が来たらしくふさがれていた視界が開かれていく。
南田もよく愛想を振りまきながら食べられるものだ。
黙々と食べている自分とそれほど差がなく食事を終えるのも才能の一つか。
尊敬はしないが。
「珍しいよね、今日は4人の日みたいだね。」
いきなりで何のことか分からなかったけど、奴の視線を追っていくと琴とその友達。
いつもの二人コンビじゃなく今日は4人で食事をしている。
「珍しい残りの二人の名前も知ってるのか?」
「当たり前でしょう。里香ちゃんと詩織ちゃん。みんなかわいいよね。」
琴と一緒にいてもさほど観察したことはなかった。
琴込みですれ違うと仲良い子の一人だなって思うくらいだ。
琴無しだと分からないくらい。
普通に女性らしい、以上。
自分にとってはそれくらいの意味しかない。
「でさ、もしだったら誰がいい?」
もしだったらってなんだよ、と思ったけど即答するわけにもいかず、無視。
「南田は?」
「え~、困るなあ~。琴ちゃんの控えめな感じと香ちゃんの明るさと詩織ちゃんの気配りと里香ちゃんの落ち着き。みんないい。」
琴の一般的な印象はそうだろうなあ。俺も最初はそう思ったし。
実際は・・・、誰にも教えるつもりはない。
彼女のいろんな面を知り、からかいながら楽しむのが自分の大きな楽しみだから。
「でもやっぱり琴ちゃん可愛くなってるよね。今日着てる服も今までの服とは違うよ。似合ってる。香ちゃんも知らないって言ってたけど何かいい事あったんじゃないかなあ?本人に聞いても真っ赤になって否定するし。」
ん?琴に聞いたのか?勝手に話しかけたのか?いつだ?聞いてないぞ!
「お前それはセクハラじゃないか?」
「違うよ、円滑なコミュニケーション。」
「その『琴ちゃん』が勘違いしたりしたらどうするんだ?」
「それはない。彼女は僕には興味ないと思うよ。ちゃんとわかってるよ、その辺は。」
むしろ・・・とか言いながらこっちを見る気配に気がつかないふりをする。
うっすらと何か感じてるのだろうか?
まあ、その手の話題は疑問が確信に変わったら直接聞いてくるだろうから、今は敢えて無視。
しっかし油断ならないやつだ。勝手に話しかけてるなんて。
『極秘のチーム大阪』
静かに社内で動き出す。
大坂、一か月。
彼女にはうっすらと伝えた。
極秘らしいので表向きと同じように支社のヘルプという理由で。
『あと二週間あるけどね。』なんて言ってたのに
一週間は早く過ぎ、とうとう日曜日は前泊移動になる。
まだ前泊が許されるだけでもいいか、なんてのんびりなことじゃなく前夜会議なんてものがあるらしい。
こんな調子で週末に東京に帰れるのか、琴に来てもらって観光デートできるのか。
もしかしたら楽天的なことは無理かも。
金曜日から一緒に過ごす時間。
毎週のことで心も体も馴染んでいるサイクル。
一ケ月も無しなんて耐えられそうもない。
腕の中でぴったりと体を寄せている彼女を見下ろすと、目を開けてはいるようだが。
よくある独り言をつぶやくでもなくぼんやりしている。
頭を撫でてやるとおでこをピタッと付けてくる。
「琴、出来るだけメールじゃなくて電話するから。声を聞かせてね。」
頭が揺れる。
「時間があるようだったら遊びに来て。俺も帰ってくるから。」
揺れた頭が手のひらから一瞬離れる。
翌朝新幹線の改札まで送ってもらう。
「行ってらっしゃい。」手を振って笑う彼女に手を振り返す。
「一ケ月なんてあっという間だから。元気でね。」
本当にそう思いたい。
時間が迫る。くるりと背中を向ける。
改札を一人で入り、エスカレーターの登り口で振り返るとまだこっちを見ていた。
もう一度手を振って視界から外れる。
到着した新幹線に乗り込んで落ち着くと早速メールする。
まだまだ、大阪に着くまでは仕事のことは考えたくない。
会社でとってもらったホテルはなかなか居心地がよかった。
一ケ月もの間宿泊すると考えるとこれはありがたい。
その反面どうなるんだという激しいプレッシャーがのしかかる。
早速夜から会議の招集がかかる。
上の階に行くと広い部屋のついた一部屋だった。
ここが臨時会議室・・・?
さりげなく他のメンバーの鍵を見ると、それぞれの部屋は横並びというわけではなく分散しているようだ。
まだまだ今の段階では攻める方法を決めている段階で固まってきたら営業と交渉ということになりそうだ。
どこでうまいポイントを見切りウィンウィンの折衷案が出せきるか。
にわかに緊張する時間。
新鮮であり興味深くその進行を見る。
おぼろげな形が出来上がってる段階で明日からの予定を決める。
相手の望む形を調べシュミレートしたプランを作り、ライバル会社の状況を盛り込みこちらが売り込むポイントを効果的に見せる提案ができるかどうか。
2時間だけなのにぐったり疲労を覚える。
手渡された書類は前に見せられたものだった。
対象となる会社の中の主要人物、交渉相手としてのプロフィールが前回よりかなり詳しく調べあげられている。
これを参考にしてアプローチしろということだろう。
本当にこういうことをしていくものなんだなあと改めて思う。
大きな会社の企業戦略室なんてほとんどスパイのような情報取りだと話には聞いていたが、これ以上の熾烈な戦略が毎日のように話し合われているのだろう、疲れそうだ。
資料はまた回収された。
パソコンでアクセスして見れるらしい。パスワードを渡された。
また、このメンバー同士食事になどと動くことは今回の1ケ月間では一切なしと言われる。
大坂の同期を誘ったりするのはいいがあくまでも情報は極秘ということだった。
翌日からの予定を確認して散会。
部屋に戻り携帯を見る。
電話を掛けるとすぐに出た。
その姿が目に浮かぶようだ。
今朝別れたばかりだというのに。
「琴、何してた?」
「テレビ見てました。」
耳をすませても背後には何の音もしないが。
「はぁ~。」
「お疲れですか?」
「そうだね。思った以上にこき使われて精神的にも疲れそう。琴の声に癒される予定。」
「よくわかんないですけど、大阪も楽しめたらいいですね。美味しいものとか。」
「そうだね。そう願いたい。」
当たり障りない会話。
小さな機械の向こうから聞こえる声が懐かしくて、でもどこか遠くて。
1日でホームシックになりそうだった。
翌日からは本当にすさまじかった。
集合時間に上の臨時会議室に集まり、その時々で数人と相手の会社に面会に出かけたり、支社へ行き支社長ほか数名と話をしたり。
一番の下っ端なりにいろいろと連れまわされているような気がする。
ほとんど発言の機会もなく、聞いてるだけのような。
もしかしてこの現場を体験させるだけのおまけで、もとより戦力外の立場だったのでは・・・・・とか思ったり。
それでも気は抜けない。
自分なりになんとか存在意義をと逆に燃えてきた。
議事録を眺め自分なりにシュミレートしていく。
忙しく充実してきた日々を楽しんでいる自分。
うっかり時間を過ごし過ぎて彼女に連絡が出来ない夜もあったり。
とても大阪を楽しんでいるということもなく、話せる内容でもないため電話でしゃべるのに気を遣うようになってしまった。
彼女の日常を聞いても特にそれ程変化はないだろうし。
1週間もするとメールで夜おやすみの挨拶をするくらいに落ち着く。
週末も当然のように接待に連れていかれる。
一日のんびりなんて無理だった、観光とか東京に戻るとか・・・無。
彼女も気を遣ってくれたのか何も触れず。
どうやって過ごしてるのか、正直考えてやる余裕を持たなかった。
何も変わらない日常があるとしか思ってなかったし。
2週目もあっという間に過ぎる。
いよいよ相手の会社とは攻めの話し合いを重ねていた。
お互いに詰めるポイントを持ち帰り煮詰めていく。
その頃には大分自分も意見を言えるようになった。
反面、意欲を見せて取り組んでいたその頃には彼女へのメールもかなり間を置くようになっていた。
同じこのチームのメンバーで業務の必要性以外で東京に帰った人もいない。
そんな状況だからと甘えていた。
彼女の寂しさや不安などまったく考えていなかった。
時間がずれていても、南田の前には食事を終えて午後の始業までの時間を有効に使いたい女性が群がる。
座られる位置によっては離れた場所で食事する琴の姿が見えにくくなる。
『おい!』
心の中で怒りを抑える。
つい、片眉が上がりそうになるが我慢する。
時間が来たらしくふさがれていた視界が開かれていく。
南田もよく愛想を振りまきながら食べられるものだ。
黙々と食べている自分とそれほど差がなく食事を終えるのも才能の一つか。
尊敬はしないが。
「珍しいよね、今日は4人の日みたいだね。」
いきなりで何のことか分からなかったけど、奴の視線を追っていくと琴とその友達。
いつもの二人コンビじゃなく今日は4人で食事をしている。
「珍しい残りの二人の名前も知ってるのか?」
「当たり前でしょう。里香ちゃんと詩織ちゃん。みんなかわいいよね。」
琴と一緒にいてもさほど観察したことはなかった。
琴込みですれ違うと仲良い子の一人だなって思うくらいだ。
琴無しだと分からないくらい。
普通に女性らしい、以上。
自分にとってはそれくらいの意味しかない。
「でさ、もしだったら誰がいい?」
もしだったらってなんだよ、と思ったけど即答するわけにもいかず、無視。
「南田は?」
「え~、困るなあ~。琴ちゃんの控えめな感じと香ちゃんの明るさと詩織ちゃんの気配りと里香ちゃんの落ち着き。みんないい。」
琴の一般的な印象はそうだろうなあ。俺も最初はそう思ったし。
実際は・・・、誰にも教えるつもりはない。
彼女のいろんな面を知り、からかいながら楽しむのが自分の大きな楽しみだから。
「でもやっぱり琴ちゃん可愛くなってるよね。今日着てる服も今までの服とは違うよ。似合ってる。香ちゃんも知らないって言ってたけど何かいい事あったんじゃないかなあ?本人に聞いても真っ赤になって否定するし。」
ん?琴に聞いたのか?勝手に話しかけたのか?いつだ?聞いてないぞ!
「お前それはセクハラじゃないか?」
「違うよ、円滑なコミュニケーション。」
「その『琴ちゃん』が勘違いしたりしたらどうするんだ?」
「それはない。彼女は僕には興味ないと思うよ。ちゃんとわかってるよ、その辺は。」
むしろ・・・とか言いながらこっちを見る気配に気がつかないふりをする。
うっすらと何か感じてるのだろうか?
まあ、その手の話題は疑問が確信に変わったら直接聞いてくるだろうから、今は敢えて無視。
しっかし油断ならないやつだ。勝手に話しかけてるなんて。
『極秘のチーム大阪』
静かに社内で動き出す。
大坂、一か月。
彼女にはうっすらと伝えた。
極秘らしいので表向きと同じように支社のヘルプという理由で。
『あと二週間あるけどね。』なんて言ってたのに
一週間は早く過ぎ、とうとう日曜日は前泊移動になる。
まだ前泊が許されるだけでもいいか、なんてのんびりなことじゃなく前夜会議なんてものがあるらしい。
こんな調子で週末に東京に帰れるのか、琴に来てもらって観光デートできるのか。
もしかしたら楽天的なことは無理かも。
金曜日から一緒に過ごす時間。
毎週のことで心も体も馴染んでいるサイクル。
一ケ月も無しなんて耐えられそうもない。
腕の中でぴったりと体を寄せている彼女を見下ろすと、目を開けてはいるようだが。
よくある独り言をつぶやくでもなくぼんやりしている。
頭を撫でてやるとおでこをピタッと付けてくる。
「琴、出来るだけメールじゃなくて電話するから。声を聞かせてね。」
頭が揺れる。
「時間があるようだったら遊びに来て。俺も帰ってくるから。」
揺れた頭が手のひらから一瞬離れる。
翌朝新幹線の改札まで送ってもらう。
「行ってらっしゃい。」手を振って笑う彼女に手を振り返す。
「一ケ月なんてあっという間だから。元気でね。」
本当にそう思いたい。
時間が迫る。くるりと背中を向ける。
改札を一人で入り、エスカレーターの登り口で振り返るとまだこっちを見ていた。
もう一度手を振って視界から外れる。
到着した新幹線に乗り込んで落ち着くと早速メールする。
まだまだ、大阪に着くまでは仕事のことは考えたくない。
会社でとってもらったホテルはなかなか居心地がよかった。
一ケ月もの間宿泊すると考えるとこれはありがたい。
その反面どうなるんだという激しいプレッシャーがのしかかる。
早速夜から会議の招集がかかる。
上の階に行くと広い部屋のついた一部屋だった。
ここが臨時会議室・・・?
さりげなく他のメンバーの鍵を見ると、それぞれの部屋は横並びというわけではなく分散しているようだ。
まだまだ今の段階では攻める方法を決めている段階で固まってきたら営業と交渉ということになりそうだ。
どこでうまいポイントを見切りウィンウィンの折衷案が出せきるか。
にわかに緊張する時間。
新鮮であり興味深くその進行を見る。
おぼろげな形が出来上がってる段階で明日からの予定を決める。
相手の望む形を調べシュミレートしたプランを作り、ライバル会社の状況を盛り込みこちらが売り込むポイントを効果的に見せる提案ができるかどうか。
2時間だけなのにぐったり疲労を覚える。
手渡された書類は前に見せられたものだった。
対象となる会社の中の主要人物、交渉相手としてのプロフィールが前回よりかなり詳しく調べあげられている。
これを参考にしてアプローチしろということだろう。
本当にこういうことをしていくものなんだなあと改めて思う。
大きな会社の企業戦略室なんてほとんどスパイのような情報取りだと話には聞いていたが、これ以上の熾烈な戦略が毎日のように話し合われているのだろう、疲れそうだ。
資料はまた回収された。
パソコンでアクセスして見れるらしい。パスワードを渡された。
また、このメンバー同士食事になどと動くことは今回の1ケ月間では一切なしと言われる。
大坂の同期を誘ったりするのはいいがあくまでも情報は極秘ということだった。
翌日からの予定を確認して散会。
部屋に戻り携帯を見る。
電話を掛けるとすぐに出た。
その姿が目に浮かぶようだ。
今朝別れたばかりだというのに。
「琴、何してた?」
「テレビ見てました。」
耳をすませても背後には何の音もしないが。
「はぁ~。」
「お疲れですか?」
「そうだね。思った以上にこき使われて精神的にも疲れそう。琴の声に癒される予定。」
「よくわかんないですけど、大阪も楽しめたらいいですね。美味しいものとか。」
「そうだね。そう願いたい。」
当たり障りない会話。
小さな機械の向こうから聞こえる声が懐かしくて、でもどこか遠くて。
1日でホームシックになりそうだった。
翌日からは本当にすさまじかった。
集合時間に上の臨時会議室に集まり、その時々で数人と相手の会社に面会に出かけたり、支社へ行き支社長ほか数名と話をしたり。
一番の下っ端なりにいろいろと連れまわされているような気がする。
ほとんど発言の機会もなく、聞いてるだけのような。
もしかしてこの現場を体験させるだけのおまけで、もとより戦力外の立場だったのでは・・・・・とか思ったり。
それでも気は抜けない。
自分なりになんとか存在意義をと逆に燃えてきた。
議事録を眺め自分なりにシュミレートしていく。
忙しく充実してきた日々を楽しんでいる自分。
うっかり時間を過ごし過ぎて彼女に連絡が出来ない夜もあったり。
とても大阪を楽しんでいるということもなく、話せる内容でもないため電話でしゃべるのに気を遣うようになってしまった。
彼女の日常を聞いても特にそれ程変化はないだろうし。
1週間もするとメールで夜おやすみの挨拶をするくらいに落ち着く。
週末も当然のように接待に連れていかれる。
一日のんびりなんて無理だった、観光とか東京に戻るとか・・・無。
彼女も気を遣ってくれたのか何も触れず。
どうやって過ごしてるのか、正直考えてやる余裕を持たなかった。
何も変わらない日常があるとしか思ってなかったし。
2週目もあっという間に過ぎる。
いよいよ相手の会社とは攻めの話し合いを重ねていた。
お互いに詰めるポイントを持ち帰り煮詰めていく。
その頃には大分自分も意見を言えるようになった。
反面、意欲を見せて取り組んでいたその頃には彼女へのメールもかなり間を置くようになっていた。
同じこのチームのメンバーで業務の必要性以外で東京に帰った人もいない。
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