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20 ハルヒが言われたこと
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「ハルヒちゃん。どうしたの?」
無神経なやつ・・・・、なんて一瞬だけ思ったけど。
さすがにそれは可哀想だから。
「ううん、ごめんね、遅くなっちゃった。」
「大丈夫だよ。行こうか?」
「うん。」
広い学内を二人で歩く。多分そんな珍しい事じゃない。友達だし。
誰も気にしない。
私も気にしないようなふりで広瀬君との距離感を微妙に保っていた。
「さすがにご飯は早いし、良かったら僕の部屋に来る?面倒だったらどこか考えるけど。」
世間話じゃないんだよね。
別れる前に誘われたのは「ちょっと一緒に帰っていい?」だった。
その前は・・・違う、ただランチに誘われただけ。
勝手に話があるのかなって思ったのは私。
そうか、・・・なんだ・・・・・。
ランチしたい誰かがたまたま私で、一緒に帰りたい誰かがたまたま私。
だってあのメンバーの中で私だけが午後学校に来てたから。
以上の理由で選ばれました。ちゃんちゃん♪
じゃあ、面倒ならどこか考えるとか、何のため?
一人で帰るより誰かと帰りたいだけ?
適当な誰か。
ちょうどいいくらいの仲良し友達の中の誰か。
もうモクモクなんていう楽しい予感と期待はぺシャンとつぶれて消えて行った。
黙って長く歩いたらしい。駅に着いた。
「ハルヒちゃん、ごめんね。勝手に。あの、話があるんだ。ちょっと家に来てもらえたらうれしい。」
「話・・・・・?」
やっぱりあったの?
「いいよ。時間あるし。」
普通に答えたけど、ちょっと寂しそうな顔をされた。
そんな嫌々感出てた?
そんなつもりはないけど、ちょっと心が疲れまして。
「お酒飲みたいんだけど。ちょっとだけでいいから買っていかない?」
「うん、いいよ。」
やっと明るい顔をしてくれた。
いつもの笑顔。この顔が好きかも。
誰にでもする優しい顔だけど。
「おつまみも買う?」
「うん、燻製のナッツが食べたい、チーカマか魚肉ソーセージ食べたい、チーズ食べたい。ポテチも食べたい。ガーリックフランスパンの美味しいの食べたい。」
「ハルヒちゃんバラバラなチョイスだね。全部はどうかな?いつものスーパーで買っていこう。」
「うん。」
俄然飲んでやるって気分になってきた。
さっきはちょっとだけでいいなんて言ったのに。
なんだか5本くらい軽々選びそう。悪酔いしそう。
せめて飲み物は可愛い甘いものにしよう。ガールズモード全開で。
でも魚肉ソーセージとか言った時点でどうかと思うか。
せめてドライフルーツとナッツの小袋にしよう。
ちょっとガールっぽい?
そうは思ったけど飲み物は4本にして、ナッツとチーズにした。
なんとかギリギリのガールズモードで堪えた感じ。
サキイカとかサラミはない。
2人とも20歳は超えてます。
学生証で確認してもらった。
ちらりと見た学生証の写真。広瀬君、何か幼い印象?何でだろう?
後で聞いてみよう。
でもいざ二人で部屋に入るとちょっと緊張してきた。
「なんだか広い、いつもはもっと大勢だから。」
「そうだね。」
広瀬君がグラスを洗っている。
あとお皿を一つ持ってくる。
テーブルとソファの間に座った私。
広瀬君の目がどこに座ろうかと横と正面で悩んでる。
「あ、ごめん。もっとずれる?」
私がテーブルの真ん中にいたから困っているらしいと気がついた。
横にずれる。
もっと困った顔になった?
そうすると隣に座るしかないのか。だって正面って変?
奈央さんとも兄ともその位置関係で不思議に思ったこともなかったけど。
おかしいのかな?
広く開いた私の横に座った広瀬君。
「ねえ、広瀬君の学生証っていつの写真?」
「もちろん4月に撮ったんだけど。」
確かにみんな取り直した。でも幼くない?
「なんだかすごく可愛かった気がする。幼いような。」
「多分髪型のせいだよ。」
「そう?見せて?」
おねだりは飛び切りの笑顔で。
照れながら見せてくれた。
「やっぱり弟キャラだね。春に比べると随分男っぽくなったんだね。」
広瀬君と知り合ったのは3年になってからだった。だからその前は知らない。
「なんでそこで照れるの?」
「だって、じゃあハルヒちゃんのも見せてよ。」
自分のを取り出す。
「ちょっと不愛想で嫌だけどしょうがない。見せてもらったから見せる。あんまりじっくり見ないでね。」
広瀬君の手に置いて目を見てお願いした。
うんとうなずく広瀬君。
私はお酒を開けて飲む。
「美味しい。」
横を見るとじっくり見てるじゃない。
「もう、あんまり見ないでって言ったのに。」
思わず手帳を手で隠す。
取り上げた私と取り上げられた手のままの広瀬君。
「写真嫌い。絶対気に入らない。」
「そう?」
「うん。」
「そこはお兄さんに似てないんだ。」
「他にも色々似てません。」
「そんなことお兄さんが聞いたら『やだなあ、ハルヒ。似てるじゃん』とか言いそうじゃない?」
さらっと物真似のようなことをされた。
その中で呼び捨てもされた。
確かに言いそう。
お酒を飲んで照れくささをごまかす。
何だか心が楽しい。こんな時間を過ごしたい、2人で。
そう思う、願う。
「かわいいよ。さっきの写真も。」
そう言ってくれた広瀬君。
「そんなわけないじゃない。」
つぶやいたけど顔は見ない。
もう顔が熱い。真っ赤かも。
ねえ、話は?お願いだからキューピット指名はやめてね。
心で祈る。
「ねえ、ハルヒちゃん、好きな人いるの?」
いきなり聞かれたストレートな質問。
「なんで・・・・そんな・・・・。」
「さっき『初めてのお泊り』って言ったよね。」
さすがに顔を向けた。何のこと?
「お昼に、ランチのお店で。」
「・・・・ああ、アホ兄の事?ん?何?」
訳わからなくなった。
えっと。・・・・酔っぱらったわけではない。
おかしいのは質問の並びだと思う。
「だから、ハルヒちゃんが彼氏と初めてお泊りしたこともちゃんとお兄さんに報告しちゃうくらい仲良しだとか・・・・・。」
「え?ええっ?そんな報告してないし・・・・。」
いつ誰が誰と泊ったというの?彼氏???誰?
広瀬君が真っ赤になって視線を逸らす。
「今、付き合ってる人いるの?」
「・・・・・いない。」
「好きな人は?」
「・・・・・・・。」
目の前に。見れなくて膝に視線を落とす。
「いるんだ。すごく好きなの?」
知らない。
ちょっとづつ昨日から気が付いた気がして、今日は随分はっきりして。
すごく好きかもしれない。
今日の私はちょっと変だったと思うけど、・・・・気が付いてないのかな?
さすがに昨日までは私も気が付いてなかったくらいだし。
何でこんなにいきなり気が付いたんだろう?
兄の恥ずかしい写真を見られてしまった。
一番一緒に見たらいけない相手だと思った。
だって意識しちゃうから。
全然別の人だったら『もう、エロい写真。』とか言えたのに。
あの時は恥ずかしくて。
「ハルヒちゃん、こっちを見てくれませんか?」
いきなり丁寧語。
ゆっくり顔を向ける。
「あの、僕ハルヒちゃんが好きなんだけど。ダメかな?彼女になってもらいたいって思ってたんだ、ずっと。」
「・・・・・・いいよ。」
小さい声で言う。
「ごめん、よく聞こえなかった。」
わざとか?と思って顔をあげたら、本当に困った顔で。
本当に弟キャラ。
かわいい雰囲気があって、それでもあの写真よりはずっと男っぽくなったみたい。
「彼女にしてください。」ちゃんと言った。
「本当?いいの?」
凄く近くで確認してきた。うなずくとすごくうれしそうな顔をした。
そのまま顔が寄ってきて、肩を掴まれてキスされたから目を閉じた。
チーカマとか魚肉ソーセージはやめて正解だったと思う。
初めてが甘いお酒の味だったらうれしいけど。
そして心のモクモクはハッピーな色に塗り替えられて大きくなった。
目を開けて抱きついた。
「全然気が付かなかった。」
耳元でそう言った。
「え~、本当?だっていつも近くにいて話しかけてたよ。他の誰よりも。」
「ごめん。昨日自分でも初めて自分の気持ちに気がついて、奈央さんに相談したの。でも誰にでも優しいし、特別なことなんて何もないって思い返して。だから夜に携帯のメッセージに気が付いたときはすごくうれしかったけど。全然、やっぱり全然普通だったじゃない。」
「そんなことないよ。すごく緊張してたし、ドキドキしてたし。」
「待ち合わせした所に女の子がいた・・・・・。」
「ああ、同じ授業を受けてた子。ちゃんと断った。今から彼女と帰るからって。」
「それは私の事?」
「うん、もしハルヒちゃんに振られてもその子と付き合うことはないだろうから。はっきり言った方がいいかなって思って。冷たいかな?」
「・・・・分からない。でもごめんなさい。私はすごくうれしいかも。嫌な女かな?」
「ううん。ハルヒちゃんもはっきり断ってね。」
「その時はね。」
「誰かにとられないかずっと気にしてた。だから絶対彼氏だと思われるように近くにいたのに。」
「そうなの?」顔を見て言う。
「誰にも聞かれなかったけど。」
「みんな知ってるよ、多分。」
「え、なんで。」
「だっていつもハルヒちゃんの横が空いてるもん。僕が座れるように。」
「知らない、誰もそんな事教えてくれなかったし。」
「だって僕が言わないとダメでしょう。誰かに聞きたかった?」
「・・・・・ううん。」
「ごめんね、なかなか勇気だせなくて。断られたら友達にもなれない気がして。昨日いろいろ話をしてやっぱり思ったんだ。みんなが帰ってもハルヒちゃんだけは残ってくれればいいのにって。いつも帰った後が寂しくて。」
知らない、そんな事。
私が鈍感なの?
それとも広瀬君が気持ちを隠すのがうますぎるの?
「でも良かった。ハルヒちゃんが好きだったんだ。結構会った後すぐから。」
顔を見てまた言われた。
「あ、ありがとう。全然気がつかなくてごめんなさい。」
「本当に。長かった、片思い。」
私はたった一日以下でした。
あとで奈央さんに報告しよう。きっと喜んでくれる。
写真撮ろうっかな?見せたい。私の彼氏ですって。
・・・・なんだかアホ兄と同じ行動してる・・・・・。
どうしよう、思った以上に頭が花畑。
認めたくないけど、兄と妹だから。同じパターンをたどりそう。
でもあのアホ兄が幸せな今、私もそこを目指したい!
目の前の幸せの元に視線を戻した。
「よろしくお願いします。」
真っ赤になった広瀬君が可愛くて。
ゆっくりもたれるように抱ついた。
無神経なやつ・・・・、なんて一瞬だけ思ったけど。
さすがにそれは可哀想だから。
「ううん、ごめんね、遅くなっちゃった。」
「大丈夫だよ。行こうか?」
「うん。」
広い学内を二人で歩く。多分そんな珍しい事じゃない。友達だし。
誰も気にしない。
私も気にしないようなふりで広瀬君との距離感を微妙に保っていた。
「さすがにご飯は早いし、良かったら僕の部屋に来る?面倒だったらどこか考えるけど。」
世間話じゃないんだよね。
別れる前に誘われたのは「ちょっと一緒に帰っていい?」だった。
その前は・・・違う、ただランチに誘われただけ。
勝手に話があるのかなって思ったのは私。
そうか、・・・なんだ・・・・・。
ランチしたい誰かがたまたま私で、一緒に帰りたい誰かがたまたま私。
だってあのメンバーの中で私だけが午後学校に来てたから。
以上の理由で選ばれました。ちゃんちゃん♪
じゃあ、面倒ならどこか考えるとか、何のため?
一人で帰るより誰かと帰りたいだけ?
適当な誰か。
ちょうどいいくらいの仲良し友達の中の誰か。
もうモクモクなんていう楽しい予感と期待はぺシャンとつぶれて消えて行った。
黙って長く歩いたらしい。駅に着いた。
「ハルヒちゃん、ごめんね。勝手に。あの、話があるんだ。ちょっと家に来てもらえたらうれしい。」
「話・・・・・?」
やっぱりあったの?
「いいよ。時間あるし。」
普通に答えたけど、ちょっと寂しそうな顔をされた。
そんな嫌々感出てた?
そんなつもりはないけど、ちょっと心が疲れまして。
「お酒飲みたいんだけど。ちょっとだけでいいから買っていかない?」
「うん、いいよ。」
やっと明るい顔をしてくれた。
いつもの笑顔。この顔が好きかも。
誰にでもする優しい顔だけど。
「おつまみも買う?」
「うん、燻製のナッツが食べたい、チーカマか魚肉ソーセージ食べたい、チーズ食べたい。ポテチも食べたい。ガーリックフランスパンの美味しいの食べたい。」
「ハルヒちゃんバラバラなチョイスだね。全部はどうかな?いつものスーパーで買っていこう。」
「うん。」
俄然飲んでやるって気分になってきた。
さっきはちょっとだけでいいなんて言ったのに。
なんだか5本くらい軽々選びそう。悪酔いしそう。
せめて飲み物は可愛い甘いものにしよう。ガールズモード全開で。
でも魚肉ソーセージとか言った時点でどうかと思うか。
せめてドライフルーツとナッツの小袋にしよう。
ちょっとガールっぽい?
そうは思ったけど飲み物は4本にして、ナッツとチーズにした。
なんとかギリギリのガールズモードで堪えた感じ。
サキイカとかサラミはない。
2人とも20歳は超えてます。
学生証で確認してもらった。
ちらりと見た学生証の写真。広瀬君、何か幼い印象?何でだろう?
後で聞いてみよう。
でもいざ二人で部屋に入るとちょっと緊張してきた。
「なんだか広い、いつもはもっと大勢だから。」
「そうだね。」
広瀬君がグラスを洗っている。
あとお皿を一つ持ってくる。
テーブルとソファの間に座った私。
広瀬君の目がどこに座ろうかと横と正面で悩んでる。
「あ、ごめん。もっとずれる?」
私がテーブルの真ん中にいたから困っているらしいと気がついた。
横にずれる。
もっと困った顔になった?
そうすると隣に座るしかないのか。だって正面って変?
奈央さんとも兄ともその位置関係で不思議に思ったこともなかったけど。
おかしいのかな?
広く開いた私の横に座った広瀬君。
「ねえ、広瀬君の学生証っていつの写真?」
「もちろん4月に撮ったんだけど。」
確かにみんな取り直した。でも幼くない?
「なんだかすごく可愛かった気がする。幼いような。」
「多分髪型のせいだよ。」
「そう?見せて?」
おねだりは飛び切りの笑顔で。
照れながら見せてくれた。
「やっぱり弟キャラだね。春に比べると随分男っぽくなったんだね。」
広瀬君と知り合ったのは3年になってからだった。だからその前は知らない。
「なんでそこで照れるの?」
「だって、じゃあハルヒちゃんのも見せてよ。」
自分のを取り出す。
「ちょっと不愛想で嫌だけどしょうがない。見せてもらったから見せる。あんまりじっくり見ないでね。」
広瀬君の手に置いて目を見てお願いした。
うんとうなずく広瀬君。
私はお酒を開けて飲む。
「美味しい。」
横を見るとじっくり見てるじゃない。
「もう、あんまり見ないでって言ったのに。」
思わず手帳を手で隠す。
取り上げた私と取り上げられた手のままの広瀬君。
「写真嫌い。絶対気に入らない。」
「そう?」
「うん。」
「そこはお兄さんに似てないんだ。」
「他にも色々似てません。」
「そんなことお兄さんが聞いたら『やだなあ、ハルヒ。似てるじゃん』とか言いそうじゃない?」
さらっと物真似のようなことをされた。
その中で呼び捨てもされた。
確かに言いそう。
お酒を飲んで照れくささをごまかす。
何だか心が楽しい。こんな時間を過ごしたい、2人で。
そう思う、願う。
「かわいいよ。さっきの写真も。」
そう言ってくれた広瀬君。
「そんなわけないじゃない。」
つぶやいたけど顔は見ない。
もう顔が熱い。真っ赤かも。
ねえ、話は?お願いだからキューピット指名はやめてね。
心で祈る。
「ねえ、ハルヒちゃん、好きな人いるの?」
いきなり聞かれたストレートな質問。
「なんで・・・・そんな・・・・。」
「さっき『初めてのお泊り』って言ったよね。」
さすがに顔を向けた。何のこと?
「お昼に、ランチのお店で。」
「・・・・ああ、アホ兄の事?ん?何?」
訳わからなくなった。
えっと。・・・・酔っぱらったわけではない。
おかしいのは質問の並びだと思う。
「だから、ハルヒちゃんが彼氏と初めてお泊りしたこともちゃんとお兄さんに報告しちゃうくらい仲良しだとか・・・・・。」
「え?ええっ?そんな報告してないし・・・・。」
いつ誰が誰と泊ったというの?彼氏???誰?
広瀬君が真っ赤になって視線を逸らす。
「今、付き合ってる人いるの?」
「・・・・・いない。」
「好きな人は?」
「・・・・・・・。」
目の前に。見れなくて膝に視線を落とす。
「いるんだ。すごく好きなの?」
知らない。
ちょっとづつ昨日から気が付いた気がして、今日は随分はっきりして。
すごく好きかもしれない。
今日の私はちょっと変だったと思うけど、・・・・気が付いてないのかな?
さすがに昨日までは私も気が付いてなかったくらいだし。
何でこんなにいきなり気が付いたんだろう?
兄の恥ずかしい写真を見られてしまった。
一番一緒に見たらいけない相手だと思った。
だって意識しちゃうから。
全然別の人だったら『もう、エロい写真。』とか言えたのに。
あの時は恥ずかしくて。
「ハルヒちゃん、こっちを見てくれませんか?」
いきなり丁寧語。
ゆっくり顔を向ける。
「あの、僕ハルヒちゃんが好きなんだけど。ダメかな?彼女になってもらいたいって思ってたんだ、ずっと。」
「・・・・・・いいよ。」
小さい声で言う。
「ごめん、よく聞こえなかった。」
わざとか?と思って顔をあげたら、本当に困った顔で。
本当に弟キャラ。
かわいい雰囲気があって、それでもあの写真よりはずっと男っぽくなったみたい。
「彼女にしてください。」ちゃんと言った。
「本当?いいの?」
凄く近くで確認してきた。うなずくとすごくうれしそうな顔をした。
そのまま顔が寄ってきて、肩を掴まれてキスされたから目を閉じた。
チーカマとか魚肉ソーセージはやめて正解だったと思う。
初めてが甘いお酒の味だったらうれしいけど。
そして心のモクモクはハッピーな色に塗り替えられて大きくなった。
目を開けて抱きついた。
「全然気が付かなかった。」
耳元でそう言った。
「え~、本当?だっていつも近くにいて話しかけてたよ。他の誰よりも。」
「ごめん。昨日自分でも初めて自分の気持ちに気がついて、奈央さんに相談したの。でも誰にでも優しいし、特別なことなんて何もないって思い返して。だから夜に携帯のメッセージに気が付いたときはすごくうれしかったけど。全然、やっぱり全然普通だったじゃない。」
「そんなことないよ。すごく緊張してたし、ドキドキしてたし。」
「待ち合わせした所に女の子がいた・・・・・。」
「ああ、同じ授業を受けてた子。ちゃんと断った。今から彼女と帰るからって。」
「それは私の事?」
「うん、もしハルヒちゃんに振られてもその子と付き合うことはないだろうから。はっきり言った方がいいかなって思って。冷たいかな?」
「・・・・分からない。でもごめんなさい。私はすごくうれしいかも。嫌な女かな?」
「ううん。ハルヒちゃんもはっきり断ってね。」
「その時はね。」
「誰かにとられないかずっと気にしてた。だから絶対彼氏だと思われるように近くにいたのに。」
「そうなの?」顔を見て言う。
「誰にも聞かれなかったけど。」
「みんな知ってるよ、多分。」
「え、なんで。」
「だっていつもハルヒちゃんの横が空いてるもん。僕が座れるように。」
「知らない、誰もそんな事教えてくれなかったし。」
「だって僕が言わないとダメでしょう。誰かに聞きたかった?」
「・・・・・ううん。」
「ごめんね、なかなか勇気だせなくて。断られたら友達にもなれない気がして。昨日いろいろ話をしてやっぱり思ったんだ。みんなが帰ってもハルヒちゃんだけは残ってくれればいいのにって。いつも帰った後が寂しくて。」
知らない、そんな事。
私が鈍感なの?
それとも広瀬君が気持ちを隠すのがうますぎるの?
「でも良かった。ハルヒちゃんが好きだったんだ。結構会った後すぐから。」
顔を見てまた言われた。
「あ、ありがとう。全然気がつかなくてごめんなさい。」
「本当に。長かった、片思い。」
私はたった一日以下でした。
あとで奈央さんに報告しよう。きっと喜んでくれる。
写真撮ろうっかな?見せたい。私の彼氏ですって。
・・・・なんだかアホ兄と同じ行動してる・・・・・。
どうしよう、思った以上に頭が花畑。
認めたくないけど、兄と妹だから。同じパターンをたどりそう。
でもあのアホ兄が幸せな今、私もそこを目指したい!
目の前の幸せの元に視線を戻した。
「よろしくお願いします。」
真っ赤になった広瀬君が可愛くて。
ゆっくりもたれるように抱ついた。
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