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4 本当に・・・・急に予定がなくなることもある
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少しの回想にも浸る間はない。
周りからどんどんと食べ物が回ってくる。
自分たちで頼んだのも分け合って。
いつも会計がドンブリなのだ。
そんなところも人気のお店。
誰が得してるのか分からない。
ほとんど地元の人だけで成り立つお店だ。
たまに知らない人がいると誰だろうって思うくらいには。
それでも知り合いが知り合いを連れてきて、すっかり馴染んで、すっかり仲間になって帰れるお店なのだ。
「小愛、5月の連休は?帰ってくる?」
「へへへへへへへ・・・・、ずっと毎日春斗と一緒にいるのです。いろいろと計画してデートするのです。」
「そうなの?どこに行くの?」
「その期間やってるフェスに行く。今色々調べてるところ。」
「じゃあ、少しゆるっとした所見せてさ、反応見てみれば?」
「・・・・うん・・・。」
「もう、大丈夫だよ。じゃあ、その次の週にでも帰ってこれたら報告してよ、どうせ猫の毛皮が重くて疲れてるでしょう?」
「分かった。次の週予定しとくね。」
「うん、二人で来てもいいし。」
「う~ん・・・・それはないかな。」
「楽しみにしてるのに、小愛ご自慢の春斗くん。」
「その内にね。」
「会社はどう?」
「まあまあだよ。嫌じゃないから、今のところ満足してる。」
「そう、なんだか遠いよね。月一じゃあ寂しいよう。もっと帰って来てよ。」
「何を言うのよ、哲也がいるでしょう。任せてるから。」
「哲也は哲也、小愛は小愛。」
「でもさあ、祐介、まだ後悔してると思うよ。時々哲也から話聞いてるみたい。元気だって言ってたら安心してたって。今日来ることも教えたんだけど、まだ許されてないって。」
「・・・・。」
「連絡してみたら?」
「連絡先知らない。」
「教えるよ、哲也の携帯にあると思うし。」
「ううん、いい。必要ない。」
「小愛・・・・。一緒に飲むくらいはいいよね?誘ったら怒る、もちろん哲也もいるし。」
「分からない。考えたことないし。」
「・・・そう。」
あの時よりずっと変だと思う。ここにいる時は普通でも、もし東京で会ったら、また勝手に帰られそう。
それに今は春斗がいる。大好きな春斗が。
楽しみだなあ、連休。
早く計画立てよう!!
ここで出来ないのはしんみりと思い出に浸ること、内緒話、隠し事。
「小愛ちゃん、彼氏の事考えてたの?ニコニコしてるよ。」
「当たり前です。もう離れてても心は東京に少しだけ置いて来てます。」
「あ、オジサン、大福の具合はどうですか?」
商店街には何匹か野良猫がいる。
その内のボス猫が大福だ。
ボスと言っても雌猫で、4世代くらいは大福の子供がいる。
「それがダメそうなんだよ。もう15歳はいってると思うんだよね。そろそろ年かなぁ。今も家で箱に寝たまんま。ほとんど箱から出なくてね。ご飯もあんまり食べないし。」
「そうかあ。野良にしては長生きだもんね。もうおばあちゃんだよね。」
「これ、治療代にして。お金かかるでしょう?足りないと思うけど、もし余ったらあとは子猫募金箱に入れて。」
「ありがとうね。優しいねえ、小愛ちゃん。」
「だって一緒に育ったし。後で会いに行くから。」
「うん、誰かいるから、いなくても適当に入って。お店のところにいるから。」
「うん、わかった。」
トイレから帰って来た未希は哲也と一緒だった。
「おかえり、小愛。」
「ただいま哲也。家事終わったの?」
「ああ、完ぺき。」
「さすがだね、その内哲也が子供産むんじゃない?」
「だろう、俺も。そんな気がしてきてるんだよ。」
「子供の面倒より、奥さんの面倒見て、子供のしつけと一緒に奥さんをしつけるようだね。」
「ああ~、俺絶対楽できない。」
「喜んで選んだんでしょう?うらやましいなあ。」
「小愛、まだ今の彼氏と仲いいんだって?」
「なんかひっかる言い方ね。春斗です。優しくてかわいい私の彼氏です。まだまだラブラブです。」
「そうか。」
哲也のグラスも運ばれてきて乾杯する。
三人でいろんな友達の話をしたり、私が職場の話をしたり、春斗の話もしたり。
昼前から夕方にかけてずっぷりと飲んで。5000円。
その後酒臭い息で、大福のお見舞いに行った。
名前を呼んでも軽く顎をあげるくらい。
その弱弱しさに涙が出た。
いつも堂々と商店街を闊歩していたのだ。
あんまり愛想良くはなかったけど、喧嘩も強いし、媚びない所もよく。
でも、すっかりおばあちゃんになっていた。
実家に戻って着替えをする。
さすが酒臭いので歯磨きをして、珈琲を飲んで。
「小愛、今度はいつ帰ってくる予定?」
「連休明けに帰ってくるよ。」
「どうせ飲みに帰ってくるんでしょう?」
「まあね。」
「でも、なんでそんなに小愛だけお酒が強いのかしら。お父さんも小愛くらい飲めたら、もっと偉くなってたのにね。」
「何でだろうね。」
母親と父親の仕事は商店街とは関係ない。
それでも子供のころから入り浸ってるし、お買い物もするのでお互い知ってはいる。
ちなにみ母親似の私。2人とも穏やかな人なのに、なんで私はこんな大酒のみの・・・・おおらかな子に育ったんだろう。
もっとしおらしく育ってれば、会社でももっと自分らしくいれるし、春斗も連れて帰ってこれるのに。
でも全然嫌いじゃないんだよなあ。
だって楽しいと思う、こっちの明るい自分の方が。
それをはっきり認めると悲しいから、こっそり認めるにとどめるけど。
やっぱりどっちも自分だから。
OFF状態が文字通りなだけで。
少しのんびりして着替えて部屋に戻った。
実家からここに帰って来ても、ものすごくホッとするわけでもないし、重たくなるわけでもない。
ただの今の自分の居場所だと思うくらい。
ゆっくりお風呂に入り、春斗にただいまのメッセージを送る。
すぐに返事が来た。
『楽しかったの?』
『うん、すごく。』
『良かったね。』
『うん。また来週だね。』
『うん。』
『いろいろと連休の計画立てるから、楽しみにしててね。』
『うん。』
月曜日、また一週間が始まる。
仕事は嫌じゃなくても、でもやっぱり寝坊してゆっくりしたい。
会社では挨拶がとても愛想良く、でもそれ以外男性と話することなんて実は少ないのだ。
一緒にランチをするのも同じ女性の同期だし、夜に飲みに行こうと誘われるのも他の人経由。
まして男性に個人的に誘われることなんてない。
そのあたりが自分の実力だ。
金曜日、やっと金曜日。
今週はひたすらゴールデンウィークのデートプランに力を注いだ。
聞ける人にはほとんど聞いたかもしれない。
話す機会があって話しやすそうだった男性にまで聞いてみた。
「毎日、いろんなところに出かけられて、絶対楽しい連休にしたい。」
そう言い切る私にに賛同してくれる人は少なかった。
「そんなに?毎日はちょっとなあ。1人でいたい日はないの?」
ある男性の意見。
そんなもったいないじゃない。
せっかくのお休みだもんね。
1人で何するの?
女性からは普通にデートする場所は教えてもらったが、あんまり計画性はないらしい。
もしくは旅行を計画したという意見も少数あり。
なるほど。
人それぞれ。
ただ、楽しみにしてたのに、金曜日の夜デートはなしになった。
明日春斗の家に行くことになっている。
『ごめんね。金曜日はダメなんだ。土曜日、お昼ごろ、うちに来れないかな。』
『うん、いいよ。じゃあ、お昼ごろね。楽しみにしてる。』
そういうやりとりがあり、金曜日の夜は1人部屋に戻った。
一応予定表は完成。
天気によってはちょっとずらして楽しめるように、そのあたりもしっかり考慮してる。
土曜日のお昼ごろ、春斗の部屋に行った。
ゆっくり玄関のドアを開けてくれた春斗。
いつもの笑顔で喜んだのに、春斗と目が合わなくて。
「入って。」そう言って先に歩いて行く後姿を見つめながら、ついて行った。
それに春斗が部屋着のままで。
具合悪いの?大丈夫?
いつもならそう聞くのに、本当に目が合わない。
キッチンでコーヒーを注ぐ音が聞こえる。
テレビも音楽もなし。
「ごめんね。話があるんだ。」
そう言いだしても、顔が斜めを向いたまま。
何だか心が暗くなってきた。
優しい人はこうして悩んで決めて答えを出す。
そのパターン、そんな予感で。
自分からは言い出したくないのに。
それでも耐えられなくて自分から言い出した。
「春斗、いいよ。」
「ごめん。本当に。小愛の事大好きだけど、この先一緒にいても何も変わらない、きっともっと悪くなると思う。そんな思いしかしない。多分お互いそうだよね?」
春斗がそう私の気持ちまで決めつけた。
「私は春斗が好き。ずっと一緒にいたいと思ってる。勝手に決めないで。でも、春斗がそう思うなら、優しいからちゃんと考えてくれたよね。他に好きな人が出来たって嘘つかれるのとどっちが良かったかなぁ。」
「本当にごめん。連休を楽しみにしてるのも分かってる。でも、多分無理だと思う。うまく言えないけど、ズレてるって感じる。何かが。」
「僕のせいかもしれないけど。・・・・だから、もう会うのをやめたい。」
「分かった。ごめんね。でもすごく楽しかった。大好きだった、今も大好き。ねえ、私の気持ちを疑ったことあった?」
「・・・・・ううん、でも少し・・・・・やっぱり・・・うまく言えない。」
「そう。春斗、元気でね。」
静かに立ち上がって駅に向かった。
春斗なら大丈夫かもって、今までで一番感じてたのに、期待してたのに。
でもダメだった。
電車に乗って部屋に戻ってきた。
途端に涙が出た。
日曜日、あんなに大好きを連発してたのに、未希も哲也も楽しみにしてくれてるのに。
すごく、私にしてはすごく長く付き合えたと思ったのに。
結局ダメだった。
週末どこにも出かけず、パジャマのまま部屋でじっとしてた。
テーブルの前に座ってるだけでいつの間にか時間が過ぎてて。
寝てたのかもしれないって思うほど記憶が飛んでいて。
日曜日の夕方になって、さすがに仕事の事を考えた。
ブラウスにアイロンをかけて、バッグを準備して。
眠った。
周りからどんどんと食べ物が回ってくる。
自分たちで頼んだのも分け合って。
いつも会計がドンブリなのだ。
そんなところも人気のお店。
誰が得してるのか分からない。
ほとんど地元の人だけで成り立つお店だ。
たまに知らない人がいると誰だろうって思うくらいには。
それでも知り合いが知り合いを連れてきて、すっかり馴染んで、すっかり仲間になって帰れるお店なのだ。
「小愛、5月の連休は?帰ってくる?」
「へへへへへへへ・・・・、ずっと毎日春斗と一緒にいるのです。いろいろと計画してデートするのです。」
「そうなの?どこに行くの?」
「その期間やってるフェスに行く。今色々調べてるところ。」
「じゃあ、少しゆるっとした所見せてさ、反応見てみれば?」
「・・・・うん・・・。」
「もう、大丈夫だよ。じゃあ、その次の週にでも帰ってこれたら報告してよ、どうせ猫の毛皮が重くて疲れてるでしょう?」
「分かった。次の週予定しとくね。」
「うん、二人で来てもいいし。」
「う~ん・・・・それはないかな。」
「楽しみにしてるのに、小愛ご自慢の春斗くん。」
「その内にね。」
「会社はどう?」
「まあまあだよ。嫌じゃないから、今のところ満足してる。」
「そう、なんだか遠いよね。月一じゃあ寂しいよう。もっと帰って来てよ。」
「何を言うのよ、哲也がいるでしょう。任せてるから。」
「哲也は哲也、小愛は小愛。」
「でもさあ、祐介、まだ後悔してると思うよ。時々哲也から話聞いてるみたい。元気だって言ってたら安心してたって。今日来ることも教えたんだけど、まだ許されてないって。」
「・・・・。」
「連絡してみたら?」
「連絡先知らない。」
「教えるよ、哲也の携帯にあると思うし。」
「ううん、いい。必要ない。」
「小愛・・・・。一緒に飲むくらいはいいよね?誘ったら怒る、もちろん哲也もいるし。」
「分からない。考えたことないし。」
「・・・そう。」
あの時よりずっと変だと思う。ここにいる時は普通でも、もし東京で会ったら、また勝手に帰られそう。
それに今は春斗がいる。大好きな春斗が。
楽しみだなあ、連休。
早く計画立てよう!!
ここで出来ないのはしんみりと思い出に浸ること、内緒話、隠し事。
「小愛ちゃん、彼氏の事考えてたの?ニコニコしてるよ。」
「当たり前です。もう離れてても心は東京に少しだけ置いて来てます。」
「あ、オジサン、大福の具合はどうですか?」
商店街には何匹か野良猫がいる。
その内のボス猫が大福だ。
ボスと言っても雌猫で、4世代くらいは大福の子供がいる。
「それがダメそうなんだよ。もう15歳はいってると思うんだよね。そろそろ年かなぁ。今も家で箱に寝たまんま。ほとんど箱から出なくてね。ご飯もあんまり食べないし。」
「そうかあ。野良にしては長生きだもんね。もうおばあちゃんだよね。」
「これ、治療代にして。お金かかるでしょう?足りないと思うけど、もし余ったらあとは子猫募金箱に入れて。」
「ありがとうね。優しいねえ、小愛ちゃん。」
「だって一緒に育ったし。後で会いに行くから。」
「うん、誰かいるから、いなくても適当に入って。お店のところにいるから。」
「うん、わかった。」
トイレから帰って来た未希は哲也と一緒だった。
「おかえり、小愛。」
「ただいま哲也。家事終わったの?」
「ああ、完ぺき。」
「さすがだね、その内哲也が子供産むんじゃない?」
「だろう、俺も。そんな気がしてきてるんだよ。」
「子供の面倒より、奥さんの面倒見て、子供のしつけと一緒に奥さんをしつけるようだね。」
「ああ~、俺絶対楽できない。」
「喜んで選んだんでしょう?うらやましいなあ。」
「小愛、まだ今の彼氏と仲いいんだって?」
「なんかひっかる言い方ね。春斗です。優しくてかわいい私の彼氏です。まだまだラブラブです。」
「そうか。」
哲也のグラスも運ばれてきて乾杯する。
三人でいろんな友達の話をしたり、私が職場の話をしたり、春斗の話もしたり。
昼前から夕方にかけてずっぷりと飲んで。5000円。
その後酒臭い息で、大福のお見舞いに行った。
名前を呼んでも軽く顎をあげるくらい。
その弱弱しさに涙が出た。
いつも堂々と商店街を闊歩していたのだ。
あんまり愛想良くはなかったけど、喧嘩も強いし、媚びない所もよく。
でも、すっかりおばあちゃんになっていた。
実家に戻って着替えをする。
さすが酒臭いので歯磨きをして、珈琲を飲んで。
「小愛、今度はいつ帰ってくる予定?」
「連休明けに帰ってくるよ。」
「どうせ飲みに帰ってくるんでしょう?」
「まあね。」
「でも、なんでそんなに小愛だけお酒が強いのかしら。お父さんも小愛くらい飲めたら、もっと偉くなってたのにね。」
「何でだろうね。」
母親と父親の仕事は商店街とは関係ない。
それでも子供のころから入り浸ってるし、お買い物もするのでお互い知ってはいる。
ちなにみ母親似の私。2人とも穏やかな人なのに、なんで私はこんな大酒のみの・・・・おおらかな子に育ったんだろう。
もっとしおらしく育ってれば、会社でももっと自分らしくいれるし、春斗も連れて帰ってこれるのに。
でも全然嫌いじゃないんだよなあ。
だって楽しいと思う、こっちの明るい自分の方が。
それをはっきり認めると悲しいから、こっそり認めるにとどめるけど。
やっぱりどっちも自分だから。
OFF状態が文字通りなだけで。
少しのんびりして着替えて部屋に戻った。
実家からここに帰って来ても、ものすごくホッとするわけでもないし、重たくなるわけでもない。
ただの今の自分の居場所だと思うくらい。
ゆっくりお風呂に入り、春斗にただいまのメッセージを送る。
すぐに返事が来た。
『楽しかったの?』
『うん、すごく。』
『良かったね。』
『うん。また来週だね。』
『うん。』
『いろいろと連休の計画立てるから、楽しみにしててね。』
『うん。』
月曜日、また一週間が始まる。
仕事は嫌じゃなくても、でもやっぱり寝坊してゆっくりしたい。
会社では挨拶がとても愛想良く、でもそれ以外男性と話することなんて実は少ないのだ。
一緒にランチをするのも同じ女性の同期だし、夜に飲みに行こうと誘われるのも他の人経由。
まして男性に個人的に誘われることなんてない。
そのあたりが自分の実力だ。
金曜日、やっと金曜日。
今週はひたすらゴールデンウィークのデートプランに力を注いだ。
聞ける人にはほとんど聞いたかもしれない。
話す機会があって話しやすそうだった男性にまで聞いてみた。
「毎日、いろんなところに出かけられて、絶対楽しい連休にしたい。」
そう言い切る私にに賛同してくれる人は少なかった。
「そんなに?毎日はちょっとなあ。1人でいたい日はないの?」
ある男性の意見。
そんなもったいないじゃない。
せっかくのお休みだもんね。
1人で何するの?
女性からは普通にデートする場所は教えてもらったが、あんまり計画性はないらしい。
もしくは旅行を計画したという意見も少数あり。
なるほど。
人それぞれ。
ただ、楽しみにしてたのに、金曜日の夜デートはなしになった。
明日春斗の家に行くことになっている。
『ごめんね。金曜日はダメなんだ。土曜日、お昼ごろ、うちに来れないかな。』
『うん、いいよ。じゃあ、お昼ごろね。楽しみにしてる。』
そういうやりとりがあり、金曜日の夜は1人部屋に戻った。
一応予定表は完成。
天気によってはちょっとずらして楽しめるように、そのあたりもしっかり考慮してる。
土曜日のお昼ごろ、春斗の部屋に行った。
ゆっくり玄関のドアを開けてくれた春斗。
いつもの笑顔で喜んだのに、春斗と目が合わなくて。
「入って。」そう言って先に歩いて行く後姿を見つめながら、ついて行った。
それに春斗が部屋着のままで。
具合悪いの?大丈夫?
いつもならそう聞くのに、本当に目が合わない。
キッチンでコーヒーを注ぐ音が聞こえる。
テレビも音楽もなし。
「ごめんね。話があるんだ。」
そう言いだしても、顔が斜めを向いたまま。
何だか心が暗くなってきた。
優しい人はこうして悩んで決めて答えを出す。
そのパターン、そんな予感で。
自分からは言い出したくないのに。
それでも耐えられなくて自分から言い出した。
「春斗、いいよ。」
「ごめん。本当に。小愛の事大好きだけど、この先一緒にいても何も変わらない、きっともっと悪くなると思う。そんな思いしかしない。多分お互いそうだよね?」
春斗がそう私の気持ちまで決めつけた。
「私は春斗が好き。ずっと一緒にいたいと思ってる。勝手に決めないで。でも、春斗がそう思うなら、優しいからちゃんと考えてくれたよね。他に好きな人が出来たって嘘つかれるのとどっちが良かったかなぁ。」
「本当にごめん。連休を楽しみにしてるのも分かってる。でも、多分無理だと思う。うまく言えないけど、ズレてるって感じる。何かが。」
「僕のせいかもしれないけど。・・・・だから、もう会うのをやめたい。」
「分かった。ごめんね。でもすごく楽しかった。大好きだった、今も大好き。ねえ、私の気持ちを疑ったことあった?」
「・・・・・ううん、でも少し・・・・・やっぱり・・・うまく言えない。」
「そう。春斗、元気でね。」
静かに立ち上がって駅に向かった。
春斗なら大丈夫かもって、今までで一番感じてたのに、期待してたのに。
でもダメだった。
電車に乗って部屋に戻ってきた。
途端に涙が出た。
日曜日、あんなに大好きを連発してたのに、未希も哲也も楽しみにしてくれてるのに。
すごく、私にしてはすごく長く付き合えたと思ったのに。
結局ダメだった。
週末どこにも出かけず、パジャマのまま部屋でじっとしてた。
テーブルの前に座ってるだけでいつの間にか時間が過ぎてて。
寝てたのかもしれないって思うほど記憶が飛んでいて。
日曜日の夕方になって、さすがに仕事の事を考えた。
ブラウスにアイロンをかけて、バッグを準備して。
眠った。
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