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9 ただ礼儀正しく感謝して終わった日。
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「夏越はいい奴だよね。」
「はい、本当に。頼りがいがあるし、さり気なく気を遣ってもくれます。」
褒めた。
何度かありがとうと思ったエピソードを思い浮かべて。
「それに人気あるみたいです。多分近くに行きたい子はいると思います。落ち着いた子が好きだと言ってましたし、そんな子がお似合いです。」
ちょっとだけ話を盛ったかもしれないけど、多分そう。
多分だけど、どちらか一人は近くに行きたかったんだと思う。
あの子とどうなったのか、私は知らない。
飯田君と四人で飲んでる仲間が私と鞠だけとは限らないから。
「落ち着いた子?そうなのかな?」
「前にそう言ってました。」
「ふ~ん。」
「久松さんは?どんな人がいいの?」
それは目の前の浅田さんのような・・・・。
「大人で、落ち着いてて、優しくて、頼りがいがあって、・・・・・、変なことをしても、呆れながらも笑ってくれる人です。」
「なるほどね。」
それが感想ですか?
浅田さん、ぴったりですよ。
「落ち着いた子か・・・・。」
あれ?私のタイプの話が・・・、会話が巻き戻ってますが。
それは夏越君のタイプです。
「今日ね、夏越が女の子を呼ぶって言って、連れてきたのが久松さんでなるほどって思ったんだけど。」
「なるほどですか?」
「うん、なるほどって思った。・・・・。そういえば、もう一人の権堂とも仲がいいの?」
「普通です。権堂君はもっとあからさまにモテるので、うっかり近寄れないです。この間鞠と三人で話をしてたら、鞠が取り巻きに先制攻撃されてました。彼氏いるよねって感じで。それなのに私は一瞥されただけでスルーされたんです。ちょっと酷くないですか?ものすごく悲しかったです。」
「分かるなあ。たまに女の人のそんなバトル見るよ。男も気がつくのに、何で陰でやらないんだろうってがっかりするよ。」
「浅田さん、最初の『分かるなあ』と言うのは、私がスルーされた理由じゃないですよね?」
「ああ、勿論。そこはノーコメントでいい?」
「・・・あえて言わないでください。いいです。どうせ、相手にされてないんです。権堂君はすごくかっこいいですし、釣り合わないとその子たちは思ったんです。」
「関係ないのにライバル視されたら面倒でしょう?権堂を奪い合いたいならともかく。」
「まさかです。そんなこと思ってません。ただ、ちょっとしたプライドの問題です。」
「そんな感じでいつも夏越とも話をしてるの?」
「そんな感じ・・・・・?」
「なかなか素直だね。ストレートだし。」
素直とか、ストレートとか、もし本当にそうだったら今お礼が言えてるのに。
チラリと見渡しても二人の姿はない。
「あの、4月の事ですが、朝の満員電車で痴漢にあってた女の人に声かけませんでしたか?」
思い出そうとしてる浅田さん。
「違いましたか?具合悪いなら警察に声かけようかって。」
「ああ、うん、そうかも。」
「あれは私でした。あの時、ああ言ってもらえて、気持ち悪い手は離れたんです。ずっとお礼が言いたかったんです。最初は会社の人だとは気がつかなくて、似てると思ってました。いつか話す機会があったら聞いてみようと思ってました。だから、今日お礼が言えてスッキリしました。あの時は本当にありがとうございました。」
「うん、ごめんね、あんまりどんな子だったかは覚えてなくて。地味な色味の感じが新人だろうなあって思って、気の毒だと思って聞いてみたんだ。効果あったんなら良かった。あれから大丈夫?」
「はい。30分早い電車に乗るようにしました。今はすっかり慣れて端の場所をキープして満員電車をやり過ごしてます。」
「本当にどうしようもない男はいるから。気を付けてね。夏越も同じ通勤ラインだよ。またそんな事があったら、一緒に乗ってもらって守ってもらうといいよ。」
「大丈夫です。そんな関係ないのに甘えたりはしませんよ。確かに背が高いし、怖い顔をしたら威圧的に見えるかも。近くにいたら寄ってこられそうにないですね。いいなあ。」
普通に話しが出来てる。
妄想してたもじもじモードも甘いやり取りも全然なくて、すっかり普通の知り合いみたいに。
本当に今夜の落ち込みはどうなる?
鞠が帰って来て、その内夏越君も帰って来た。
二人とも結構遅かったと思うけど。
普通にトイレよね?
交代で私もトイレに行く。
何だか希望が無くなったかわりに、悩みも消えて、いっそスッキリしたよね。
それでもがっかりしてる自分には気がついてしまう。
彼女はどんな人なんだろう?
きっと可愛い人なんだろうなあ。
寂しいなあ。会社に行って今日は会えるかなあって一つの楽しみにしてたのに、その楽しみもちょっと減ってしまった。でも知り合いになれたし、声をかけてもらえるかもって期待する?鞠と一緒だと挨拶くらいは出来ると思う。じゃあ、今までよりずっといいじゃん。そうじゃん。
元気出して自分。
よし。
席に戻る。そろそろ終わりの時間だったらしい。
あぁ、残念。
「久松さん、飲み足りなそうだね。明日の予定は?」
「・・・・特にないです。」
そう答えても誘ってくれませんよね。
「この後、夏越と一緒に飲みに行けば?週末空いてるらしいから遅くまで付き合ってもらって、ついでに送ってもらえばいいよ。近くにいると変な男は寄って来ないから安心って言ってたよね。」
そう言われても夏越君は何も言わず、スッと先にお会計に立った。
「夏越君は虫よけですか?さすがにそれは・・・・。それにあれから本当にないです。人生に一度あれば十分です。」
「そうだね。」
お会計をして外に出た。
金曜日、かつてない楽しい金曜日だった。
鞠と別れて三人同じ電車に乗る。
さすがに混んでる。
さり気なく夏越君が空いてるところに立たせてくれた。
「ありがとう。」
本当に今日は素直な私です。
それもこれも夏越君のお陰です。感謝です。
その意味を込めてのありがとうです。
先に降りたのは浅田さんだった。
二人で手を振って、私はおやすみなさいを言って。
少し空いた電車。
浅田さんがいなくなって緊張も緩んだ。
「誘ってくれて、ありがとう。楽しかった。てっきり飯田君と飲むんだと思ってた。」
ちょっと見上げながら会話をする。
「本当に、明日暇なら、もう少し付き合わない?」
今から?ビックリな誘いだけど。
でも、一人になったら寂しいかもと思う。
がっかり落ち込んでうなだれそう。
時計を見ると、まだ全然大丈夫。
「どこで飲むの?」
「どっちかの駅がいいかな?」
「じゃあ、夏越君のところでいいよ。そっちの方がきっとお店もあると思う。」
「じゃあ、あと二つ先で。」
「うん。」
初めての二次会。
今まで同期で集まっても遅くはならないように帰っていた。
鞠がいないなら行かない私。
一部の人は二次会に行ってたんだろうか?
夏越君は?
「はい、本当に。頼りがいがあるし、さり気なく気を遣ってもくれます。」
褒めた。
何度かありがとうと思ったエピソードを思い浮かべて。
「それに人気あるみたいです。多分近くに行きたい子はいると思います。落ち着いた子が好きだと言ってましたし、そんな子がお似合いです。」
ちょっとだけ話を盛ったかもしれないけど、多分そう。
多分だけど、どちらか一人は近くに行きたかったんだと思う。
あの子とどうなったのか、私は知らない。
飯田君と四人で飲んでる仲間が私と鞠だけとは限らないから。
「落ち着いた子?そうなのかな?」
「前にそう言ってました。」
「ふ~ん。」
「久松さんは?どんな人がいいの?」
それは目の前の浅田さんのような・・・・。
「大人で、落ち着いてて、優しくて、頼りがいがあって、・・・・・、変なことをしても、呆れながらも笑ってくれる人です。」
「なるほどね。」
それが感想ですか?
浅田さん、ぴったりですよ。
「落ち着いた子か・・・・。」
あれ?私のタイプの話が・・・、会話が巻き戻ってますが。
それは夏越君のタイプです。
「今日ね、夏越が女の子を呼ぶって言って、連れてきたのが久松さんでなるほどって思ったんだけど。」
「なるほどですか?」
「うん、なるほどって思った。・・・・。そういえば、もう一人の権堂とも仲がいいの?」
「普通です。権堂君はもっとあからさまにモテるので、うっかり近寄れないです。この間鞠と三人で話をしてたら、鞠が取り巻きに先制攻撃されてました。彼氏いるよねって感じで。それなのに私は一瞥されただけでスルーされたんです。ちょっと酷くないですか?ものすごく悲しかったです。」
「分かるなあ。たまに女の人のそんなバトル見るよ。男も気がつくのに、何で陰でやらないんだろうってがっかりするよ。」
「浅田さん、最初の『分かるなあ』と言うのは、私がスルーされた理由じゃないですよね?」
「ああ、勿論。そこはノーコメントでいい?」
「・・・あえて言わないでください。いいです。どうせ、相手にされてないんです。権堂君はすごくかっこいいですし、釣り合わないとその子たちは思ったんです。」
「関係ないのにライバル視されたら面倒でしょう?権堂を奪い合いたいならともかく。」
「まさかです。そんなこと思ってません。ただ、ちょっとしたプライドの問題です。」
「そんな感じでいつも夏越とも話をしてるの?」
「そんな感じ・・・・・?」
「なかなか素直だね。ストレートだし。」
素直とか、ストレートとか、もし本当にそうだったら今お礼が言えてるのに。
チラリと見渡しても二人の姿はない。
「あの、4月の事ですが、朝の満員電車で痴漢にあってた女の人に声かけませんでしたか?」
思い出そうとしてる浅田さん。
「違いましたか?具合悪いなら警察に声かけようかって。」
「ああ、うん、そうかも。」
「あれは私でした。あの時、ああ言ってもらえて、気持ち悪い手は離れたんです。ずっとお礼が言いたかったんです。最初は会社の人だとは気がつかなくて、似てると思ってました。いつか話す機会があったら聞いてみようと思ってました。だから、今日お礼が言えてスッキリしました。あの時は本当にありがとうございました。」
「うん、ごめんね、あんまりどんな子だったかは覚えてなくて。地味な色味の感じが新人だろうなあって思って、気の毒だと思って聞いてみたんだ。効果あったんなら良かった。あれから大丈夫?」
「はい。30分早い電車に乗るようにしました。今はすっかり慣れて端の場所をキープして満員電車をやり過ごしてます。」
「本当にどうしようもない男はいるから。気を付けてね。夏越も同じ通勤ラインだよ。またそんな事があったら、一緒に乗ってもらって守ってもらうといいよ。」
「大丈夫です。そんな関係ないのに甘えたりはしませんよ。確かに背が高いし、怖い顔をしたら威圧的に見えるかも。近くにいたら寄ってこられそうにないですね。いいなあ。」
普通に話しが出来てる。
妄想してたもじもじモードも甘いやり取りも全然なくて、すっかり普通の知り合いみたいに。
本当に今夜の落ち込みはどうなる?
鞠が帰って来て、その内夏越君も帰って来た。
二人とも結構遅かったと思うけど。
普通にトイレよね?
交代で私もトイレに行く。
何だか希望が無くなったかわりに、悩みも消えて、いっそスッキリしたよね。
それでもがっかりしてる自分には気がついてしまう。
彼女はどんな人なんだろう?
きっと可愛い人なんだろうなあ。
寂しいなあ。会社に行って今日は会えるかなあって一つの楽しみにしてたのに、その楽しみもちょっと減ってしまった。でも知り合いになれたし、声をかけてもらえるかもって期待する?鞠と一緒だと挨拶くらいは出来ると思う。じゃあ、今までよりずっといいじゃん。そうじゃん。
元気出して自分。
よし。
席に戻る。そろそろ終わりの時間だったらしい。
あぁ、残念。
「久松さん、飲み足りなそうだね。明日の予定は?」
「・・・・特にないです。」
そう答えても誘ってくれませんよね。
「この後、夏越と一緒に飲みに行けば?週末空いてるらしいから遅くまで付き合ってもらって、ついでに送ってもらえばいいよ。近くにいると変な男は寄って来ないから安心って言ってたよね。」
そう言われても夏越君は何も言わず、スッと先にお会計に立った。
「夏越君は虫よけですか?さすがにそれは・・・・。それにあれから本当にないです。人生に一度あれば十分です。」
「そうだね。」
お会計をして外に出た。
金曜日、かつてない楽しい金曜日だった。
鞠と別れて三人同じ電車に乗る。
さすがに混んでる。
さり気なく夏越君が空いてるところに立たせてくれた。
「ありがとう。」
本当に今日は素直な私です。
それもこれも夏越君のお陰です。感謝です。
その意味を込めてのありがとうです。
先に降りたのは浅田さんだった。
二人で手を振って、私はおやすみなさいを言って。
少し空いた電車。
浅田さんがいなくなって緊張も緩んだ。
「誘ってくれて、ありがとう。楽しかった。てっきり飯田君と飲むんだと思ってた。」
ちょっと見上げながら会話をする。
「本当に、明日暇なら、もう少し付き合わない?」
今から?ビックリな誘いだけど。
でも、一人になったら寂しいかもと思う。
がっかり落ち込んでうなだれそう。
時計を見ると、まだ全然大丈夫。
「どこで飲むの?」
「どっちかの駅がいいかな?」
「じゃあ、夏越君のところでいいよ。そっちの方がきっとお店もあると思う。」
「じゃあ、あと二つ先で。」
「うん。」
初めての二次会。
今まで同期で集まっても遅くはならないように帰っていた。
鞠がいないなら行かない私。
一部の人は二次会に行ってたんだろうか?
夏越君は?
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