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25 筋肉馬鹿×趣味悪い後輩
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朝。思ったよりスッキリと目が覚めた。
「先輩、朝です。起きましょう。」
「何で?」
「お仕事ですよ。平日ですから。」
「違うよ、何で先輩って呼ぶの?」
「だって・・・普通の時はそう呼びます。」
「普通?いま普通?」
いきなり抱きついて抱えられた。
「これ普通?」
「仕事です・・・離してください、起きますよ。」
「嫌だ。」
「りょうた!」
「やればできるのに・・・・。」
「だって職場でそう呼んだらみんな凍り付きます。恥ずかしくてその場に座りこんでしまいます。」
「じゃあ、家の外では先輩でいいから。こことリビングとお風呂場は『りょうた』にしてよ。」
「そんな器用じゃないです。絶対間違えます。」
それに、何でお風呂場が入ってるの?
「いいよ、そうしたら、『どうしたの?』って言ってあげるから、『びっくりしたなあ。』って言う。」
絶対うれしそうな顔で言いそう。
余計にややこしくなりそう。
でもこの状態ではどうしようもない。
「りょうた、起きますよ。」
「は~い。」
朝から走ってたくらいで寝起きはいいのだ。ぐずらなければ。
朝の支度をして一緒に会社に行く。
途中までしっかり手をつないで。
先輩の家からの方が通勤は楽。
レディース車両はないけど、人の乗り降りが結構あって空気も新鮮になるし、混み具合も少し楽。
そして、くっついて乗ってられる。
恥ずかしいから顔はあげない。
ずっと俯いて手をつないで腕にくっついている。
私のところから通勤するときは出来ないから。
今日は自分の部屋に帰らないと。
百合先輩とコアラさんの様に一緒に住むと楽だと思うけど。
そうしたら先輩が走りに行っても寂しくない。
一時間だけ我慢すればいいって思えるし。
あっという間に駅に着いたみたいで頭の上で降りるよと言われて顔をあげた。
朝からうれしい笑顔。
吐き出される人に流されて離れないように、手はつないだまま。
それでも改札を出る時に離して、そのまま少し距離を置いて歩く。
噂になってるし、もう一緒に出勤するくらいはいいでしょう?
ほっといても誰に何を言うか、安心できないし。なんて思いながら。
だって本当に油断できない。
思ったより軽いノリで、からかってると思っても。
そして、もう一人。違う意味で油断ならない。
無理・・・とお手上げなレベル。
百合先輩。
綺麗で上品な印象を保ったまま、ニヤリと見透かしたような笑いで。
朝から背中に汗をかく。
挨拶をして仕事にとりかかろうとしてるのに、微かに視界に入った先輩が百合先輩と見つめ合ってて・・・・・・。
目で会話してる。
ヘラヘラとしてる先輩。
「『筋肉馬鹿×趣味悪い後輩』って面倒。」
百合先輩がそう呟いた。
もとより隠そうとする意思もないらしい。
何かがあったと嬉しそうにヘラヘラ顔が語っていたんだろう。
大きな声で叱りたい、今こそ。
『諒太!!』と。
がっくりと肩から力が抜ける。
趣味悪い後輩・・・・・応援してくれてたのに、百合先輩、それはないじゃない?ある?
でも、いいんです。
それでも時々は普通で、頼りになって、いつでも筋肉はかっこいいから。
そう思って横を見たらまだヘラヘラと浮かれた笑顔だった。
先輩、やっぱり変。
三日もかからずに慣れてしまった私も変かもしれない。
潔く認めたらそれはそれでいいと思えてきた。
『筋肉馬鹿×趣味悪い後輩』その通りです。
「先輩、朝です。起きましょう。」
「何で?」
「お仕事ですよ。平日ですから。」
「違うよ、何で先輩って呼ぶの?」
「だって・・・普通の時はそう呼びます。」
「普通?いま普通?」
いきなり抱きついて抱えられた。
「これ普通?」
「仕事です・・・離してください、起きますよ。」
「嫌だ。」
「りょうた!」
「やればできるのに・・・・。」
「だって職場でそう呼んだらみんな凍り付きます。恥ずかしくてその場に座りこんでしまいます。」
「じゃあ、家の外では先輩でいいから。こことリビングとお風呂場は『りょうた』にしてよ。」
「そんな器用じゃないです。絶対間違えます。」
それに、何でお風呂場が入ってるの?
「いいよ、そうしたら、『どうしたの?』って言ってあげるから、『びっくりしたなあ。』って言う。」
絶対うれしそうな顔で言いそう。
余計にややこしくなりそう。
でもこの状態ではどうしようもない。
「りょうた、起きますよ。」
「は~い。」
朝から走ってたくらいで寝起きはいいのだ。ぐずらなければ。
朝の支度をして一緒に会社に行く。
途中までしっかり手をつないで。
先輩の家からの方が通勤は楽。
レディース車両はないけど、人の乗り降りが結構あって空気も新鮮になるし、混み具合も少し楽。
そして、くっついて乗ってられる。
恥ずかしいから顔はあげない。
ずっと俯いて手をつないで腕にくっついている。
私のところから通勤するときは出来ないから。
今日は自分の部屋に帰らないと。
百合先輩とコアラさんの様に一緒に住むと楽だと思うけど。
そうしたら先輩が走りに行っても寂しくない。
一時間だけ我慢すればいいって思えるし。
あっという間に駅に着いたみたいで頭の上で降りるよと言われて顔をあげた。
朝からうれしい笑顔。
吐き出される人に流されて離れないように、手はつないだまま。
それでも改札を出る時に離して、そのまま少し距離を置いて歩く。
噂になってるし、もう一緒に出勤するくらいはいいでしょう?
ほっといても誰に何を言うか、安心できないし。なんて思いながら。
だって本当に油断できない。
思ったより軽いノリで、からかってると思っても。
そして、もう一人。違う意味で油断ならない。
無理・・・とお手上げなレベル。
百合先輩。
綺麗で上品な印象を保ったまま、ニヤリと見透かしたような笑いで。
朝から背中に汗をかく。
挨拶をして仕事にとりかかろうとしてるのに、微かに視界に入った先輩が百合先輩と見つめ合ってて・・・・・・。
目で会話してる。
ヘラヘラとしてる先輩。
「『筋肉馬鹿×趣味悪い後輩』って面倒。」
百合先輩がそう呟いた。
もとより隠そうとする意思もないらしい。
何かがあったと嬉しそうにヘラヘラ顔が語っていたんだろう。
大きな声で叱りたい、今こそ。
『諒太!!』と。
がっくりと肩から力が抜ける。
趣味悪い後輩・・・・・応援してくれてたのに、百合先輩、それはないじゃない?ある?
でも、いいんです。
それでも時々は普通で、頼りになって、いつでも筋肉はかっこいいから。
そう思って横を見たらまだヘラヘラと浮かれた笑顔だった。
先輩、やっぱり変。
三日もかからずに慣れてしまった私も変かもしれない。
潔く認めたらそれはそれでいいと思えてきた。
『筋肉馬鹿×趣味悪い後輩』その通りです。
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