出会い~静かに月を愛したい人のこと~

羽月☆

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9 宮藤 ~四人が二組×2になった夜~

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「宮藤君、大丈夫?すごく酔ってるとか?それとも、あれが地なのかな?」

「そんなにかな?」

「どうだろう、ビックリした。意外にやるなあって。でもすごくうれしい、私はちっとも褒められたことはないけど、ちゃんと華乃の事を見て褒めてくれてすごくうれしい。」

「梶原さんは小室に褒めてもらってて、それで十分だろう。」

そう言ったらすごく恥ずかしそうに俯いた。

何だ?


「もしかして、いい事あった?小室が気がついたかな?」

「今度お礼を言う。もしくはしばらくしてから小室君に聞いて。」

「うん、喜んでいい?」

「多分。」

顔が赤いままだ。

よし、やるじゃないか、小室。
揶揄ってやりたいが、そこはお互い、見ざる聞かざる言わざるにしよう。

「ID交換してもらったよ。今度二人で会って欲しいとも言って、OKももらったんだ。いい子だなあ。」

「良かった、じゃあよろしく。でも、本当に泣かせたりしたら全力で復讐するから。見ての通り、まったく慣れてないと思うから、無理じいはしないで。あんまり強くないから、優しく守って。何かあったらすぐ相談して。」

さっきまで赤い顔してたのに、凄いきつい顔で守るべき約束事を誓わされた気分だ。

「分かった。泣かせない、傷つけない、すぐに相談する。」


「よろしく。惚気報告は結構です。あ、ねえ、多香子さんだけ知らないのも可哀そうで、妹を紹介したこと教えていい?」

「ああ、いいよ。」

「広めないようにはするから信じて。」

「そっちも言いふらさないから。ああ、でも知らない奴が俺と華乃さんが歩いてるの見かけたりすると誤解するよな。」

「それはそれで面白い。」

「小室の信頼は裏切れない。」

「当たり前でしょう。」

「・・・・なるほど。」

そう言ったらふいっと横を向かれたけど、小室が帰ってくるのが見えたらしく、正面を向いた。
なかなかだ、最初に感じた印象よりはいい。
可愛い所があるじゃないか。
こんなに小室に時間を使ったのもそうなんだろう。
妹思いの時はちょっと怖いが。
仲がいいのがよくわかる。



「ねえ、華乃さん、遅くない?」

「あ、見てくる。」

そう言って梶原さんが立ち上がった。
同じように立ち上がってついて行く。

トイレから一緒に出てきた二人。
似てるけど、分かる。
やっぱり間違えない。

すれ違った人が一人、おもわず二度見している。
その気持ちも分かる。

「大丈夫?飲ませ過ぎたかな?」

「いいえ、大丈夫です。気分が悪い訳じゃないです。ちょっと混んでたので。」

「そう、良かった。」

大丈夫だろう。
顔色も悪くない。

楽しく飲めた、それはここにいるみんながそう思ってる、そう思いたい。

三人前後して席に着く。

何となく落ち着くところに落ち着き過ぎたらしい、誰も声を出さず。

時計を見るとそろそろ時間だった。

「じゃあ、そろそろ終わりにする?」

「そうだね。」

「華乃、せっかくだから宮藤君に送って行ってもらったら。途中までまあまあついでだから。」

「うん、全然いいよ。むしろ喜んで。」

「ありがとう。じゃあ、宮藤君よろしくね。信じてるから。」

「了解。梶原さんも随分飲んだだろうから、小室に少し付き合ってもらって、酔いをさましてから帰ればいいよ。」

そう言ったら立ち上がりかけた二人がちょっとだけ止まった気がした。

ああ、本当に勘のいい自分、ただ可哀想だから誤魔化すように華乃さんへ向く。

「華乃さん、どこかでコーヒー飲んでいく時間はあるかな?」

細い腕に巻かれた時計を確認してる彼女。

「はい、少しだけなら。」

「じゃあ、そうしようか。」

お会計を同期三人で割った。

「華乃の就職祝いだからいいよ。」

そう言われて恐縮しながらも、ごちそうさまでしたとお礼を言われる。

そのまま背中に手をやり外に出て、駅に向かう。

別に待たなくてもいいだろう。
それでもさすがに後ろが気になるみたいで、彼女が振り向いたときに一緒に振り向いて手を振った。
向こうでも二人が手を振り返してるのが見える。
そのまま止まることなく一緒に前を向いて歩いた。
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