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第四の石碑 ディゴバ
08話 ディゴバ、騒乱
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「ちょっとカナク、いいの?」
「いい! もうすぐ石碑巡りも終わりだし、なにより僕がユーリエにそれを贈りたいんだ!」
僕はお金を払い、ユーリエの胸元で光る青いペンダントに目を向けた。
「本当によく似合ってる。ユーリエにぴったりだよ」
ユーリエは青い石を握りしめると、頬を染めてやや顔を下に向ける。
「あ、ありがと。凄く、嬉しい……」
「なら、よかった。僕も嬉しいよ」
「カナクったら」
なんだか照れくさくなって、頭を掻く僕。
「ねえカナク、なんで私がこの石にしたか、わかる?」
「え、そ、それは……ユーリエが一番好きな色だから、かな?」
「ちがうよぉ」
えぇ……。
これは思わぬ難問だ。
「あ、でも半分はあってるかも」
「じゃあ残りの半分は?」
ユーリエは、にっ、と笑みを見せて振り返る。
「私がずーっと大好きな人の、瞳の色よ!」
そう言うと、たたた、と酒場に走って行った。
好きな人の瞳の色?
……あ、そうか。
僕、ブルーだ。
自然と口許が緩み、ユーリエを追った。
その後。
僕らは酒場でご飯を食べた後、そのまま宿屋に直行した。
そこでユーリエと、このディゴバ・アンダーグラウンドでの体験を語り合った。
「私、石碑巡りをして本当に良かったわ! まさか、ログナカンやトロルと杯を交わせる場所があったなんて!」
「本当に驚いたよ。あのログナカンら、ネウの件をめちゃくちゃ怒ってたね。ああいう闇種族がいるとは思わなかった。全てはマールのお陰だよ。マールは種族間の架け橋でもあったんだ。ああ、マールはやっぱり偉大すぎる……」
僕が興奮してそう言うと、ユーリエは一気に不機嫌になった。
「マールの偉大さは認めるけどさぁ、あんまり傾倒するのはどうかとおもうなぁ……」
「どうして? 信仰心に上限はないよ?」
「だってさぁ、マールを語るカナクの目って、まるで恋する男の子みたいなんだもん」
「ユーリエ」
「ん?」
「やきもち?」
「バカナク! 知らない!」
ふいっ、と、顔を背けるユーリエ。
「違うんだよユーリエ。僕が物心ついて、それからセレンディア・マール聖神殿に引き取られるまで暮らしていたあの養護施設は、聖神殿の管轄だったんだ。だから僕は幼い頃から、マールのご加護がありますようにと祈り、願い、パンを与えてもらった。だからさ、いうなればマールはお母さんみたいなものなんだ」
「…………」
しらーっとした瞳で僕を見るユーリエ。
「な、なに?」
「マザコン?」
「かなり違うよアホーリエ」
「あ、ほ? むむ~っかあああ~!」
「ちょ、なにを、うわああああ!」
瞬時に紅潮したユーリエが真正面から飛びついてきて、僕はそのままベッドに押し倒された。
「痛ったぁ……そろそろ加減ってものを――」
それ以上、僕は言葉を紡げなかった。
何故ならユーリエが唇で、僕の口を封じたからだ。
「カナク、大好き!」
「僕も、ユーリエが大好きだよ」
僕は上体を少し起こして、お腹に座っているユーリエの背中に腕を回すと、そのまま僕の胸に引き込んだ。
「わ!」
ユーリエから、驚きの声が漏れる。
「ユーリエ」
「カナク」
僕らはもう一度、唇を重ねる。
そのまま身体を反転させて、手を服の中に入れた。
「あ……灯り、ついたままだよ」
「そうだね」
「えぇ、恥ずかしいよ」
「うん。でも僕は綺麗な君を全部、この目に焼きつけたいから」
「もう」
唇を何度も重ね、僕はユーリエを、ユーリエは僕を感じ合った。
凄く、気持ちよくて。
凄く、幸せな時間だった。
この時間が、いつまでも続きますように。
僕は改めて、マールに感謝した。
翌朝。
僕らはディゴバ・マール聖神殿に行く準備をしていた。
話によれば、ネウが迎えにきてくれるはずだ。
ところが、いつまで待ってもネウはこなかった。
「見て、カナク!」
窓の外を眺めていたユーリエが声を掛けてくる。ユーリエと肩を並べると、外は昨日とは一変し、物々しい雰囲気に包まれていた。
町の人が皆、手に槍や剣を持っている。
やがてカンカンカン、と、城門の方角から鐘の音が聞こえた。
この町に、なにかが起きようとしているのは明白だ。
「これは……ただごとじゃないね」
「うん。どう見ても戦闘の合図だわ」
「アンダーグラウンドがどこかに攻め込むなんて考えにくい。となると、逆だろうね」
「どこかなんて明白よ……ジェド連邦!」
僕はユーリエに力強く頷く。
「ネウが迎えにきてくれるって行ってたけれど、急いで聖神殿に向かおう!」
「うん!」
と、ちょうどその時。
部屋のドアを激しく叩|たた》く音がした。
「カナクさん、ユーリエさん、いますか!?」
僕はユーリエに支度を頼み、ドアを開ける。
そこには両膝に手を当てて、肩で息をするネウがいた。
「ああ、カナクさん、よかった!」
「ネウ、なにがあった?」
ネウは呼吸を整えて、怯えた表情で告げた。
「前々から議案は提出されていたらしいのですが、ジェド連邦の評議会が、昨日、アンダーグラウンドの壊滅を決議してしまいました。今、外にはジェド連邦軍が隊列を整えているそうです。まもなく一気に攻め込まれるでしょう。その前に、石碑を!」
「え! わ、わかった、すぐに行く!」
振り向くと、鞄とワンドが宙を舞っていた。
ユーリエが投げてよこしてくれたんだ。
僕はそれらを受け取って、素早く鞄を背負い、ワンドを腰に差した。
「行こう!」
僕の声に、ネウとユーリエが頷いた。
宿屋を出て、ネウを先頭に、僕とユーリエがその背中を追う。
町は天地をひっくり返したような騒ぎになっていた。
「ねえ、ジェド連邦って確か、多数決によって国策を決めているんだよね?」
僕がネウの背中に話しかけると、ネウは走りながら言った。
「はい。これまでも何度か、こういった議案書は出されていたらしいと聞いています。それでも却下されていたのは、ここが陽種族からの情報を集める場になっていたからです」
「なるほど……じゃあなんで急にこんなことに?」
「昨日の評議会で、情報は受け身ではなく自分で取りに行くものだから、聖神殿を邪神殿として取り返すべきだという方針が通ってしまったのです。でも、アンダーグラウンドはジェドからも認められた自治区です。だからあたしたちは剣を、弓を、棍棒を、ワンドを持って、戦います!」
その声は、とても力強かった。
「さあ、もう着きます。聖神官さまからは許可を得ていますので、すぐ石碑を見る準備を!」
「わかった!」
こうして僕らはディゴバ・マール聖神殿に駆け込むと、ネウの案内で石碑の間の扉へとやってきた。
「はあ、はあ、ここが、石碑の部屋です」
「ありがとう、ネウ」
ネウはかなり疲れているようだ。
元々、エルフ族はハーフエルフ以外、人間よりも体力がない上に、僕らの宿屋との往復だっただろうから、仕方ない。
「さあ、行って、下さい!」
ネウはワンドを腰から抜き、僕らに言った。
「ちょっと待ってネウ。あなた、これから前線に?」
ユーリエの問いに、ネウは弱々しくも、こくんと頷いた。
「私はマール信徒であり、邪信徒ではありません。だから、怖いけど……戦わなくちゃいけないんです」
「……ネウ、ちょっとこっちにきて」
「はい?」
ユーリエは僕から離れ、ネウを呼び寄せると、なにやら言葉を交わしていた。
ネウは口に手を当てて驚いていたようだけれど、深く、強く頷いた。
「では」
ネウは黒いワンドにマナを集めると、魔法陣を描いて叫んだ。
「『惑わしの魔法』!」
すると、目の前の扉の両脇に、ぼん、と同じ扉が出現する。
左右に目を向けると、五つずつ。合計十一個の扉が出現していた。
「ネウ、君も魔法使いだったの!?」
僕が言うと、ワンドを両手で握りしめて小首を傾げ、笑った。
「はい。幻術系なのであまりお役には立てませんが……時間稼ぎくらいにはなるはずです。本物はカナクさんの正面です。さあ、急いで!」
「わかった。ありがとう、ネウ。生きてまた会おうね」
何故か、頬を染めるネウ。
「約束、ですよ?」
「もちろんさ」
ネウはにっこりと笑って、この場を立ち去っていった。
「ねえカナク」
「うん?」
「カナクって女ったらしなの?」
「どうして!?」
ええと、そんなようなことを言ったっけ?
「それより石碑だよ。この扉の奥に、石碑巡り最後の石碑がある。早く行こう」
「そーねぇ……」
何故か複雑な表情のユーリエを連れて、僕は扉を開けて中に入った。
例によってそこは、真っ暗な空間だった。
そして、またぴとっとユーリエがくっついてくる。
何故だろう。
もう何度もユーリエに触れたのに、全然馴れない。
僕は顔を熱くしながら辺りを探ると、前に見た石碑同様、小さな明かりを見つけた。
「ユーリエ、行くよ」
「あん、ちょ、待って」
僕がユーリエの肩に手を回し、そのまま明かりに向かって歩いて行く。
やがて大きなポータルの前にやってきた。
青と水色が入り交じった不思議なポータルだった。
ユーリエに顔を向けると、目を開いていたけれど、離れるような様子はなかった。
「よし、入ろう!」
「うん!」
僕らはそのポータルの中に、身体を入れた。
この先にあるのは僕とユーリエが行ってきた石碑巡りの、終着点でもあった。
「いい! もうすぐ石碑巡りも終わりだし、なにより僕がユーリエにそれを贈りたいんだ!」
僕はお金を払い、ユーリエの胸元で光る青いペンダントに目を向けた。
「本当によく似合ってる。ユーリエにぴったりだよ」
ユーリエは青い石を握りしめると、頬を染めてやや顔を下に向ける。
「あ、ありがと。凄く、嬉しい……」
「なら、よかった。僕も嬉しいよ」
「カナクったら」
なんだか照れくさくなって、頭を掻く僕。
「ねえカナク、なんで私がこの石にしたか、わかる?」
「え、そ、それは……ユーリエが一番好きな色だから、かな?」
「ちがうよぉ」
えぇ……。
これは思わぬ難問だ。
「あ、でも半分はあってるかも」
「じゃあ残りの半分は?」
ユーリエは、にっ、と笑みを見せて振り返る。
「私がずーっと大好きな人の、瞳の色よ!」
そう言うと、たたた、と酒場に走って行った。
好きな人の瞳の色?
……あ、そうか。
僕、ブルーだ。
自然と口許が緩み、ユーリエを追った。
その後。
僕らは酒場でご飯を食べた後、そのまま宿屋に直行した。
そこでユーリエと、このディゴバ・アンダーグラウンドでの体験を語り合った。
「私、石碑巡りをして本当に良かったわ! まさか、ログナカンやトロルと杯を交わせる場所があったなんて!」
「本当に驚いたよ。あのログナカンら、ネウの件をめちゃくちゃ怒ってたね。ああいう闇種族がいるとは思わなかった。全てはマールのお陰だよ。マールは種族間の架け橋でもあったんだ。ああ、マールはやっぱり偉大すぎる……」
僕が興奮してそう言うと、ユーリエは一気に不機嫌になった。
「マールの偉大さは認めるけどさぁ、あんまり傾倒するのはどうかとおもうなぁ……」
「どうして? 信仰心に上限はないよ?」
「だってさぁ、マールを語るカナクの目って、まるで恋する男の子みたいなんだもん」
「ユーリエ」
「ん?」
「やきもち?」
「バカナク! 知らない!」
ふいっ、と、顔を背けるユーリエ。
「違うんだよユーリエ。僕が物心ついて、それからセレンディア・マール聖神殿に引き取られるまで暮らしていたあの養護施設は、聖神殿の管轄だったんだ。だから僕は幼い頃から、マールのご加護がありますようにと祈り、願い、パンを与えてもらった。だからさ、いうなればマールはお母さんみたいなものなんだ」
「…………」
しらーっとした瞳で僕を見るユーリエ。
「な、なに?」
「マザコン?」
「かなり違うよアホーリエ」
「あ、ほ? むむ~っかあああ~!」
「ちょ、なにを、うわああああ!」
瞬時に紅潮したユーリエが真正面から飛びついてきて、僕はそのままベッドに押し倒された。
「痛ったぁ……そろそろ加減ってものを――」
それ以上、僕は言葉を紡げなかった。
何故ならユーリエが唇で、僕の口を封じたからだ。
「カナク、大好き!」
「僕も、ユーリエが大好きだよ」
僕は上体を少し起こして、お腹に座っているユーリエの背中に腕を回すと、そのまま僕の胸に引き込んだ。
「わ!」
ユーリエから、驚きの声が漏れる。
「ユーリエ」
「カナク」
僕らはもう一度、唇を重ねる。
そのまま身体を反転させて、手を服の中に入れた。
「あ……灯り、ついたままだよ」
「そうだね」
「えぇ、恥ずかしいよ」
「うん。でも僕は綺麗な君を全部、この目に焼きつけたいから」
「もう」
唇を何度も重ね、僕はユーリエを、ユーリエは僕を感じ合った。
凄く、気持ちよくて。
凄く、幸せな時間だった。
この時間が、いつまでも続きますように。
僕は改めて、マールに感謝した。
翌朝。
僕らはディゴバ・マール聖神殿に行く準備をしていた。
話によれば、ネウが迎えにきてくれるはずだ。
ところが、いつまで待ってもネウはこなかった。
「見て、カナク!」
窓の外を眺めていたユーリエが声を掛けてくる。ユーリエと肩を並べると、外は昨日とは一変し、物々しい雰囲気に包まれていた。
町の人が皆、手に槍や剣を持っている。
やがてカンカンカン、と、城門の方角から鐘の音が聞こえた。
この町に、なにかが起きようとしているのは明白だ。
「これは……ただごとじゃないね」
「うん。どう見ても戦闘の合図だわ」
「アンダーグラウンドがどこかに攻め込むなんて考えにくい。となると、逆だろうね」
「どこかなんて明白よ……ジェド連邦!」
僕はユーリエに力強く頷く。
「ネウが迎えにきてくれるって行ってたけれど、急いで聖神殿に向かおう!」
「うん!」
と、ちょうどその時。
部屋のドアを激しく叩|たた》く音がした。
「カナクさん、ユーリエさん、いますか!?」
僕はユーリエに支度を頼み、ドアを開ける。
そこには両膝に手を当てて、肩で息をするネウがいた。
「ああ、カナクさん、よかった!」
「ネウ、なにがあった?」
ネウは呼吸を整えて、怯えた表情で告げた。
「前々から議案は提出されていたらしいのですが、ジェド連邦の評議会が、昨日、アンダーグラウンドの壊滅を決議してしまいました。今、外にはジェド連邦軍が隊列を整えているそうです。まもなく一気に攻め込まれるでしょう。その前に、石碑を!」
「え! わ、わかった、すぐに行く!」
振り向くと、鞄とワンドが宙を舞っていた。
ユーリエが投げてよこしてくれたんだ。
僕はそれらを受け取って、素早く鞄を背負い、ワンドを腰に差した。
「行こう!」
僕の声に、ネウとユーリエが頷いた。
宿屋を出て、ネウを先頭に、僕とユーリエがその背中を追う。
町は天地をひっくり返したような騒ぎになっていた。
「ねえ、ジェド連邦って確か、多数決によって国策を決めているんだよね?」
僕がネウの背中に話しかけると、ネウは走りながら言った。
「はい。これまでも何度か、こういった議案書は出されていたらしいと聞いています。それでも却下されていたのは、ここが陽種族からの情報を集める場になっていたからです」
「なるほど……じゃあなんで急にこんなことに?」
「昨日の評議会で、情報は受け身ではなく自分で取りに行くものだから、聖神殿を邪神殿として取り返すべきだという方針が通ってしまったのです。でも、アンダーグラウンドはジェドからも認められた自治区です。だからあたしたちは剣を、弓を、棍棒を、ワンドを持って、戦います!」
その声は、とても力強かった。
「さあ、もう着きます。聖神官さまからは許可を得ていますので、すぐ石碑を見る準備を!」
「わかった!」
こうして僕らはディゴバ・マール聖神殿に駆け込むと、ネウの案内で石碑の間の扉へとやってきた。
「はあ、はあ、ここが、石碑の部屋です」
「ありがとう、ネウ」
ネウはかなり疲れているようだ。
元々、エルフ族はハーフエルフ以外、人間よりも体力がない上に、僕らの宿屋との往復だっただろうから、仕方ない。
「さあ、行って、下さい!」
ネウはワンドを腰から抜き、僕らに言った。
「ちょっと待ってネウ。あなた、これから前線に?」
ユーリエの問いに、ネウは弱々しくも、こくんと頷いた。
「私はマール信徒であり、邪信徒ではありません。だから、怖いけど……戦わなくちゃいけないんです」
「……ネウ、ちょっとこっちにきて」
「はい?」
ユーリエは僕から離れ、ネウを呼び寄せると、なにやら言葉を交わしていた。
ネウは口に手を当てて驚いていたようだけれど、深く、強く頷いた。
「では」
ネウは黒いワンドにマナを集めると、魔法陣を描いて叫んだ。
「『惑わしの魔法』!」
すると、目の前の扉の両脇に、ぼん、と同じ扉が出現する。
左右に目を向けると、五つずつ。合計十一個の扉が出現していた。
「ネウ、君も魔法使いだったの!?」
僕が言うと、ワンドを両手で握りしめて小首を傾げ、笑った。
「はい。幻術系なのであまりお役には立てませんが……時間稼ぎくらいにはなるはずです。本物はカナクさんの正面です。さあ、急いで!」
「わかった。ありがとう、ネウ。生きてまた会おうね」
何故か、頬を染めるネウ。
「約束、ですよ?」
「もちろんさ」
ネウはにっこりと笑って、この場を立ち去っていった。
「ねえカナク」
「うん?」
「カナクって女ったらしなの?」
「どうして!?」
ええと、そんなようなことを言ったっけ?
「それより石碑だよ。この扉の奥に、石碑巡り最後の石碑がある。早く行こう」
「そーねぇ……」
何故か複雑な表情のユーリエを連れて、僕は扉を開けて中に入った。
例によってそこは、真っ暗な空間だった。
そして、またぴとっとユーリエがくっついてくる。
何故だろう。
もう何度もユーリエに触れたのに、全然馴れない。
僕は顔を熱くしながら辺りを探ると、前に見た石碑同様、小さな明かりを見つけた。
「ユーリエ、行くよ」
「あん、ちょ、待って」
僕がユーリエの肩に手を回し、そのまま明かりに向かって歩いて行く。
やがて大きなポータルの前にやってきた。
青と水色が入り交じった不思議なポータルだった。
ユーリエに顔を向けると、目を開いていたけれど、離れるような様子はなかった。
「よし、入ろう!」
「うん!」
僕らはそのポータルの中に、身体を入れた。
この先にあるのは僕とユーリエが行ってきた石碑巡りの、終着点でもあった。
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