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Butterfly~序章
しおりを挟む「ねぇ、おばあちゃん。僕にはなぜ蝶が見えるの?」
「そうだねぇ…それはきっと、神様がくれたプレゼントだよ」
【青い蝶】
-某大学病院-
医者A「輸血!急いで!」
看護師「バイタル低下!」
腫瘍を取り除こうとした場所は、検査では見つからなかった場所に無数に転移していて、もうすでに手術ではどうすることも出来ない位進行していた。
医者A「どういうことだ…」
医者B「先生!どうしますか?早急に判断を!」
医者A「……仕方ない……縫合します…」
廊下をバタバタと走る看護師とすれ違った。
シウ「……ったく、なんなんだよ」
ユン・シウは研修医としてこの大学病院で働いている。
今日は手術が入っていた為、見学する予定だったのに急遽中止になってしまった。
外科に異動して来て2度目。
都合が悪いと、こういう場所はすぐに何かを隠そうとする。
行き場を失ったシウは、病院を出ていつもの川原へと向かった。
時間を潰す為に使っている川原の原っぱに寝転がって、川を眺めながら大きく体を伸ばす。
陽射しも気温も昼寝するにはちょうどいい。
鳥のさえずりと微かに肌を擽る風に、うとうとし始めていた。
??「……隣、良い?」
心地良く響く、男性の低い声。
シウがゆっくりと目を開いて声のする方へ顔を向けると、端正な顔立ちの綺麗な男が立っていた。
シウ「……どうぞ…」
??「ありがとう」
特に会話をする訳でもなく、ちょうどいい距離感で隣にいる男。
なんだか気になり、シウは思い切って話しかけた。
シウ「あ…あの……」
??「ん?」
シウ「今日は……お休みとかですか?」
??「……あぁ、まぁそんなとこ」
2人の間に流れる空気感は不思議と嫌じゃないのに、いまいち会話は弾まない。
シウ「俺、そこの大学病院で働いてるんです…まだ、研修医ですけど…」
??「へぇ…そうなんだ」
シウ「あっ……俺、シウって言います」
??「……僕は……ハンソン」
シウ「ハンソンさんはお仕事何されてるんですか?」
ハンソン「……ふふっ、内緒」
笑った顔は最初の印象と違って柔らかく、優しい雰囲気がする。
ハンソンは急に立ち上がると、体についた草を払ってシウを見つめた。
ハンソン「ねぇ、シウ君」
シウ「何ですか?」
ハンソン「……左手の人差し指」
シウ「えっ?」
ハンソン「気をつけてね」
シウ「えっ?気をつけるって?」
ハンソン「じゃあね」
シウ「え?ちょっと、どういうことですか?!」
ハンソンは、こちらを向かずに手を振りながら去って行ってしまった。
シウ「ったく…何なんだよ……」
-ミン動物病院-
ハンソン「ただいま」
ヒョヌ「ハンソン、どこに行ってたんだよ」
ハンソン「ちょっと……散歩?」
ヒョヌ「……この子、見てくれないか?」
ハンソン「なに、どしたのこの猫」
ヒョヌ「風邪の症状と似てるけど、なんか違う気がするんだよな…」
ハンソン「………」
ハンソンは静かに集中して瞳を閉じた。
再びゆっくりと瞳を開けると…
青い蝶は優雅にひらひらと飛んで、ハンソンの前を通り過ぎて行く。
どこからともなく飛んで来たその蝶は、猫の体の真ん中辺りに止まって、羽を静かに揺らしてからスっと消えて行った。
ヒョヌ「どうだ……見えるか?」
ハンソン「……腎臓?辺り」
ヒョヌ「腎臓か!どおりで分かりにくいわけだ」
ハンソン「……ヒョヌもまだまだだね」
ヒョヌ「おい……気にしてること言うなよ……まぁ、お前がいてくれて助かってるよ」
ハンソンには物心ついた時から、青い蝶が見える。
人間や動物の、病気の場所やこれから怪我をする場所に、蝶は止まって教えてくれる。
どうして見えるかは分からない。
ハンソンは、この動物病院で動物たちを助けていた。
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