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第五章:風邪の夜の訪問
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朝の光が瞼を透して、目を覚ました。身体はまだ重かったが、昨夜よりは楽になっている気がした。頭の痛みも和らぎ、喉の痛みも少しましになっていた。
何かが私を包んでいる。温かく、大きなもの。ゆっくりと目を開けると、視界いっぱいにダリウスの顔があった。
私は彼の腕の中にいた。
(――帰ってなかったんだ)
私は彼の胸に顔を埋めると、彼の腕が私の背中を優しくさすってくれた。彼の体温が伝わってきて、心臓の音が聞こえる。
「起きたか」
ダリウスの声が、頭上から聞こえた。低く、少し掠れた声。寝起きの声だった。私は顔を上げ、彼を見た。濃紺の髪が少し乱れ、灰青色の瞳が私を見つめている。
「熱、下がったみたいでよかった」
ダリウスが私の額に手を当てた。大きく温かい手が、私の額を包み込む。昨夜よりも熱が下がっているのが分かった。
そして、ダリウスが微笑んだ。
優しく、穏やかな笑顔に胸が熱くなり、涙が出そうになった。
「ありがとう、ダリウス」
私は小さく呟いた。彼の手が私の髪を撫で、頬に触れる。
「もう少しゆっくり休んでいろ」
ダリウスが言った。でも彼はベッドから離れ、立ち上がる。朝日が彼の背中を照らし、影が床に落ちた。
「もう行かないと。カレルが起きてくる前に帰らないと」
ダリウスはバルコニーへと向かった。私はベッドに座ったまま、彼の背中を見つめた。行かないで、という言葉が喉まで出かかったが、飲み込んだ。
バルコニーの手すりに手をかけたダリウスが、振り返った。
「また、来てくれる?」
思わず、私は聞いていた。声が震えている。ダリウスの灰青色の瞳が、私を見つめた。
「ああ、すぐ来るよ」
ダリウスはバルコニーから身を乗り出し、屋敷の壁を伝って降りていった。朝日の中、彼の姿が遠ざかっていく。私は窓際に駆け寄り、彼の姿を見送った。
ダリウスの背中が、庭の木々の向こうに消えていく。私は胸に手を当てた。心臓が、まだ激しく打っている。
私が熱だから、心配で来てくれたのなら嬉しい。
胸の奥が、じんわりと温かくなるのを感じた。熱が下がったのに、心は熱かった。ダリウスへの想いが、胸の中で燃えている。
私は窓に額を押し当てた。冷たいガラスが、熱を持った額を冷やしてくれる。
「ダリウス」
小さく呟いた。
私はベッドに戻り、彼が横になっていた場所に手を置いた。まだ僅かに温もりが残っている。枕に顔を埋めると、彼の香りがした。石鹸と木の香り。ダリウスの香りだった。
涙が溢れそうになるのを堪え、私は目を閉じた。
何かが私を包んでいる。温かく、大きなもの。ゆっくりと目を開けると、視界いっぱいにダリウスの顔があった。
私は彼の腕の中にいた。
(――帰ってなかったんだ)
私は彼の胸に顔を埋めると、彼の腕が私の背中を優しくさすってくれた。彼の体温が伝わってきて、心臓の音が聞こえる。
「起きたか」
ダリウスの声が、頭上から聞こえた。低く、少し掠れた声。寝起きの声だった。私は顔を上げ、彼を見た。濃紺の髪が少し乱れ、灰青色の瞳が私を見つめている。
「熱、下がったみたいでよかった」
ダリウスが私の額に手を当てた。大きく温かい手が、私の額を包み込む。昨夜よりも熱が下がっているのが分かった。
そして、ダリウスが微笑んだ。
優しく、穏やかな笑顔に胸が熱くなり、涙が出そうになった。
「ありがとう、ダリウス」
私は小さく呟いた。彼の手が私の髪を撫で、頬に触れる。
「もう少しゆっくり休んでいろ」
ダリウスが言った。でも彼はベッドから離れ、立ち上がる。朝日が彼の背中を照らし、影が床に落ちた。
「もう行かないと。カレルが起きてくる前に帰らないと」
ダリウスはバルコニーへと向かった。私はベッドに座ったまま、彼の背中を見つめた。行かないで、という言葉が喉まで出かかったが、飲み込んだ。
バルコニーの手すりに手をかけたダリウスが、振り返った。
「また、来てくれる?」
思わず、私は聞いていた。声が震えている。ダリウスの灰青色の瞳が、私を見つめた。
「ああ、すぐ来るよ」
ダリウスはバルコニーから身を乗り出し、屋敷の壁を伝って降りていった。朝日の中、彼の姿が遠ざかっていく。私は窓際に駆け寄り、彼の姿を見送った。
ダリウスの背中が、庭の木々の向こうに消えていく。私は胸に手を当てた。心臓が、まだ激しく打っている。
私が熱だから、心配で来てくれたのなら嬉しい。
胸の奥が、じんわりと温かくなるのを感じた。熱が下がったのに、心は熱かった。ダリウスへの想いが、胸の中で燃えている。
私は窓に額を押し当てた。冷たいガラスが、熱を持った額を冷やしてくれる。
「ダリウス」
小さく呟いた。
私はベッドに戻り、彼が横になっていた場所に手を置いた。まだ僅かに温もりが残っている。枕に顔を埋めると、彼の香りがした。石鹸と木の香り。ダリウスの香りだった。
涙が溢れそうになるのを堪え、私は目を閉じた。
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