社長令息αの執着〜君を手放すくらいなら〜『年下幼馴染αの執着』シリーズ2

ひなた翠

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第一章:出会いと告白

高校二年〜卒業・遠距離恋愛

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 拓海が大学に入学してから、僕たちは週末にデートを重ねた。

 金曜日の夜、授業が終わった拓海が電車に乗って実家に帰ってきて、土曜日と日曜日を一緒に過ごす。日曜日の夜には、また大学のある街へと戻っていく拓海を駅で見送る日々が続いた。

 初めてのデートは、駅前の映画館だった。拓海が僕の手を握り、暗い館内で二人並んで座った時、心臓が早鐘を打ち続けた。映画の内容はほとんど頭に入ってこず、ただ繋いだ手の温もりと、隣に座る拓海の存在だけを感じ続けていた。

 映画が終わり、明るいロビーに出ると、拓海が「面白かったな」と笑いながら言ったが、僕は内容を覚えていなくて、曖昧に頷くことしかできなかった。

 拓海の大学は、家から電車で二時間かかる場所にあった。ある日、拓海に誘われて大学を見に行ったことがある。
広いキャンパスを案内してもらいながら、拓海が通う教室や、よく勉強する図書館、昼休みに友人と集まる食堂を見て回った。

 食堂で昼食を取っていると、拓海の同級生たちが次々と声をかけてきた。特にオメガの学生たちが、拓海に親しげに話しかける姿を見て、胸がチクリと痛んだ。

「拓海先輩、今度のサークルの飲み会、来てくださいね」

 可愛らしい声で話しかけてくるオメガの女子学生に、拓海は「考えとく」と軽く答えていた。笑顔で会話する拓海を見ながら、僕は自分の立場を思い知らされた。拓海は大学生で、周囲には魅力的なオメガたちがたくさんいる。

 それに比べて僕は、まだ高校生で、週末にしか会えない。ヤキモチだとはわかってはいるが、胸の奥がチクチクと痛んだ。

 帰りの電車の中で、拓海が僕の手を握ってきた。

「悠斗、さっきから元気ないけど、どうした?」
「別に……」
「嘘つくな。顔に出てるよ」

 拓海が優しく微笑み、僕の頭を撫でた。

「さっきの子たちのこと、気にしてるだろ」
 図星を突かれて、顔が熱くなった。

「俺、悠斗以外興味ないから。何人に誘われても、付き合う気ないから」
 拓海の言葉に、少しだけ胸の痛みが和らいだ。

 高校二年の夏休み、拓海が久しぶりに母校のバスケ部に顔を出してくれた。後輩たちは大喜びで、拓海を囲んで話を聞いていた。僕はマネージャーとして、いつも通りタオルや飲み物の準備をしながら、拓海の姿を遠くから眺めていた。

「じゃあ、ちょっと練習するか」

 拓海がジャージの上着を脱ぎ、シャツ姿で後輩たちと一緒にコートに立った。久しぶりの拓海のプレーに、後輩たちは目を輝かせながら必死についていこうとしていた。

 パスを回し、シュートを決め、ディフェンスで相手を抑える拓海の姿は、高校時代と変わらず美しかった。
 練習が終わり、汗だくになった拓海が僕のところへやってきた。

「タオル、もらえる?」

 用意していたタオルを手渡すと、拓海は「ありがとう」と言って顔を拭った。後輩たちがまだコートで練習を続けている中、拓海が僕の手首を掴んで体育館の隅へと連れて行った。

「拓海先輩?」
 名前を呼ぶと、拓海が僕の腰に手を回して抱き寄せた。

「ちょ、ちょっと……みんな見てるよ」
「いいんだよ。ちゃんと言っとかないと」

 拓海が僕の唇にキスをした。柔らかく、優しいキスだった。後輩たちのざわめく声が聞こえたが、拓海は気にせずに唇を重ね続けた。

 唇が離れると、拓海は後輩たちの方を向いて、大きな声で言った。

「お前ら、俺の恋人に手を出すなよ。悠斗は俺のものだからな」

 後輩たちが笑い声を上げ、「了解です、先輩!」と口々に答えた。僕は顔が真っ赤になり、拓海の胸に顔を埋めた。

「何、恥ずかしがってるんだよ」
 拓海が笑いながら僕の頭を撫でてくれて、胸がいっぱいになった。

 高校三年生になり、受験勉強が本格化した。僕は迷うことなく、拓海と同じ大学を第一志望に決めた。偏差値は高く、簡単に合格できる大学ではなかったが、拓海と同じ場所で学びたいという気持ちが強かった。

 週末、拓海が実家に帰ってくると、二人で図書館にこもって勉強した。拓海が僕の隣に座り、分からない問題を教えてくれた。数学の難しい問題も、拓海が丁寧に解説してくれると、不思議と理解できた。

「悠斗、この問題わかる?」
「うーん……ここがよくわからなくて」
「じゃあ、こうやって考えてみて」

 拓海がノートに図を描きながら説明してくれる声が、心地よく耳に響いた。集中しようとしても、拓海の横顔ばかり見てしまい、何度も視線を戻した。

 受験が近づくにつれて、不安が大きくなっていった。模試の結果が思うように伸びず、焦りばかりが募った。ある日、拓海の前で泣いてしまったことがある。

「無理かもしれない……拓海先輩と同じ大学、僕には無理かも」
「そんなことない。悠斗は頑張ってるよ」

 拓海が僕を抱きしめ、背中を優しく撫でてくれた。

「一緒に大学行きたいんだろ? だったら、最後まで諦めるな。俺も全力でサポートするから」

 拓海の言葉に励まされ、僕はもう一度勉強に向き合った。
 受験当日、拓海が朝早くから僕の家に来てくれた。

「緊張してる?」
「すごく……」
「大丈夫。悠斗ならできる」

 拓海が僕の額にキスをして、「頑張って」と言ってくれた。試験会場へ向かう電車の中で、拓海からのメッセージが届いた。「悠斗なら絶対大丈夫。待ってるから」という言葉を何度も読み返しながら、勇気をもらった。

 合格発表の日、僕は一人でパソコンの前に座っていた。時計の針が発表時刻を指すと、震える手でマウスを動かし、大学のホームページを開いた。受験番号を入力し、検索ボタンを押す。画面が切り替わり、「合格」の二文字が表示された瞬間、涙が溢れた。

 すぐに拓海に電話をかけた。

「受かった……受かったよ、拓海先輩!」
「本当か!? やったな、悠斗!」

 拓海の嬉しそうな声が聞こえて、胸が熱くなった。

「今からそっち行っていい?」
「当たり前だろ。待ってる」

 電車に飛び乗り、拓海のアパートへと向かった。駅から走り、息を切らしながらアパートの前に着くと、拓海が玄関で待っていてくれた。

「おめでとう、悠斗」

 拓海が僕を抱きしめ、何度もキスをしてくれた。玄関先でキスを繰り返しながら、拓海が「中、入ろう」と笑った。

 部屋に入ると、拓海が僕を抱き上げた。

「拓海先輩?」
「だって嬉しくて。悠斗と同じ大学に通えるなんて」

 拓海がベッドに僕を下ろし、覆いかぶさってきた。キスが深くなり、舌が絡み合う。息が苦しくなり、唇を離すと、拓海の瞳が僕を見つめていた。

「悠斗、いい?」

 拓海の問いかけに、僕は頷いた。ずっと待っていた。拓海と繋がりたいと、ずっと思っていた。

 拓海が僕のシャツのボタンを一つ一つ外していく。ゆっくりとした動作で、焦らすように肌を露わにしていく。シャツが脱がされ、冷たい空気が肌に触れて鳥肌が立った。拓海の手が胸を撫でる。

「ん……」
 声が漏れた。慌てて口を押さえようとすると、拓海が手を掴んで止めた。

「声、聞きたい。我慢しないで」

 拓海が胸の先端を指で転がし、軽く引っ張った。身体が跳ね、シーツを握りしめた。拓海の唇が首筋に這い、鎖骨を舐め、胸へと移動していく。先端を口に含まれ、舌で転がされるたびに、甘い声が漏れ続けた。

「拓海せんぱっ……」
 名前を呼ぶと、拓海が顔を上げて微笑んだ。

「可愛い」

 拓海の手が腹を撫で、ズボンのボタンに手をかけた。ゆっくりとズボンが下ろされ、下着も一緒に脱がされていく。全裸にされた僕を、拓海がじっと見つめた。

「恥ずかしい……見ないで」
「綺麗だよ、悠斗」

 拓海が太腿を撫で、内側へと手を滑らせていく。敏感な場所に触れられ、腰が浮いた。拓海の指が孔を探り、ゆっくりと撫でていく。濡れていく自分が分かり、羞恥心が込み上げてきた。

「力、抜いて」

 拓海の優しい声に従い、身体の力を抜く。指が入口を探り、ゆっくりと侵入してきた。異物感に身体が強張ったが、拓海がキスをしながら優しく指を動かしてくれた。

「痛くない?」
「平気……」

 拓海の指が中を探るように動き、何かを探している。奥の一点を擦られた瞬間、身体が跳ねた。

「あっ」
「ここか」

 拓海が同じ場所を何度も擦ってくる。快楽が波のように押し寄せ、息が荒くなった。指が増え、二本になり、中を広げられていく。出し入れを繰り返され、身体が勝手に反応して腰が動いてしまう。

「悠斗、すごく濡れてる」

 拓海の囁きに、顔が熱くなった。指が抜かれ、物足りなさが残る。拓海が自分の服を脱ぎ始め、上半身が露わになった。鍛えられた身体が目の前に現れ、思わず見とれてしまった。ズボンも脱ぎ捨てられ、拓海の全裸が晒される。
 視線が下に動き、大きく反り返る拓海のものを見て、目を見開いた。

「入るかな……」
 不安が口をついて出ると、拓海が優しく微笑んだ。

「大丈夫。ゆっくり入れるから」

 拓海が僕の足を開き、間に入り込んだ。一度離れてベッドサイドの引き出しから小さな箱を取り出し、中から避妊具を取り出して装着する姿が見えた。準備を終えた拓海が戻ってきて、僕の頬に優しくキスをした。

 熱いものが蜜口に押し当てられ、ゆっくりと押し込まれていく。

「あ、ああっ……」
 入口が押し広げられ、鋭い痛みが走った。思わず拓海の腕を掴み、爪を立ててしまった。

「痛い……」
「ごめん。もう少しだけ我慢して」

 拓海がゆっくりと腰を進め、さらに奥へと侵入してくる。

「ああっ……」
「全部入った。よく頑張ったな」

 拓海が涙を拭い、唇にキスを落としてくれた。しばらく動かず、僕の身体が慣れるのを待ってくれる。痛みが徐々に和らいでいき、奥に異物がある感覚に少しずつ慣れていった。

「動くよ」

 拓海がゆっくりと腰を引き、また押し込んだ。痛みは残っていたが、次第に奇妙な感覚が広がっていった。奥を擦られるたびに、身体が震える。

「んっ……あ」

 拓海の動きが少しずつ速くなり、ベッドが軋む音が響く。深く突き上げられ、奥に何かが当たると、身体が跳ねた。

「ここ、気持ちいい?」

 拓海が同じ場所を何度も突いてくる。快楽が波のように押し寄せ、理性が溶けていく。痛みは消え、気持ちよさだけが残った。

「もっと……」

 自分でも信じられない言葉が口から出た。拓海の動きが激しくなり、身体が揺さぶられる。汗が額に滲み、髪が顔に張り付いた。

「悠斗、愛してる」

 拓海が耳元で囁き、首筋にキスを落とした。身体の中心から、何かが弾ける感覚があった。全身が痙攣し、声にならない叫びが喉から漏れる。拓海が奥で大きく震え、低い呻き声を上げながら達した。

 身体の力が抜け、ぐったりとベッドに沈み込んだ。拓海がゆっくりと抜き、避妊具を処理してから僕の隣に横たわった。拓海が僕を抱き寄せ、額にキスを落とした。

「ありがとう、悠斗」

 拓海の優しい声が聞こえて、涙が溢れた。嬉しくて、幸せで、胸がいっぱいになった。拓海に抱かれたまま、僕は目を閉じた。拓海の心臓の音が耳に心地よく響き、その音を聞きながら、深い眠りに落ちていった。
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