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駅がどっちかなんて、この際どうでもいい。距離を空けたかった。東雲が明夏を見失ってくれるだけでいい。あとはスマホの地図アプリを使って、駅まで歩けばいいんだ。
近くの路地を適当に曲がろうとしたところで、肘を掴まれた。
「どこに行く?」
ぐいっと引っ張られて後ろに足が戻って、トンと後頭部が東雲の厚い胸にあたった。
(そうだ……こいつ、体育教師じゃん。走るの早いに決まってる……)
運動が得意じゃない明夏だ。基礎体力の差がまざまざと当てられて、イライラした。
「家に……帰る、だけ」
「送っていく」
「いらない。駅前で遊んでいくから」
「今、家に帰るだけって言った」
「遊んでから帰るんだ」
明夏は息が切れているのに、東雲の呼吸はいつも通り。
(ずるい、だろ……息も乱さないで追いつくって)
「遊ぶってなに?」
「遊びは……遊びだし。離してくれないかな? 家で南野が待ってるんだろ? 帰れよ」
「……遊ぶって……」
明夏の肩を掴んで、くるっと振り向かせた東雲が上唇に噛みつてきた。チュッと音をたてて吸い上げてから、舌をねじ込んできた。
「……ん、んぁ」
予想外のキスに明夏の身体がゾクッと快感が走った。東雲の腕を掴むと、無意識に深いキスをせがんでいた。
キスをしながら、道の端へと寄っていく。ドンっと背中に壁があたると、東雲の背中に手を回した。
東雲は膝を軽く折って、壁に手をついて、さらに深いキスを求めてきた。
「先生、だめっ……んぅ、んふっ……これ以上は」
(シタくなる)
下半身の熱が目覚める感覚で、足を擦り合わせた。
抵抗で身体を捩じろうとする明夏を無視して、東雲は擦り合わせている足の間に膝を割って入ってくる。半勃ちになりつつ股間に太ももを押し付けて、刺激を与えてきた。
(だめ……だって。これ以上の刺激は……)
「あっ……汗臭いんだよっ。これ以上、くっつくな!」
叫ぶように明夏が言うと、やっと東雲が離れてくれた。
(東雲の汗のにおいですら……身体が反応してしまう)
「汗……の臭いは、西森は嫌いか?」
(好きだから……困ってるんだよ。あんたの匂いは媚薬みたいだ)
明夏はスッと視線を外した。
「……わかった。次はシャワーを浴びてから触る」
「え?」
「嫌いなんだろ?」
「……嫌い……」
(じゃないから、困ってるんだろ)
スッと東雲が距離を空けて、明夏の手を掴んだ。
「車で家まで送っていく」
「……だからっ、一人で……」
「遊ぶんだろ?」
「……塾に行くだけだし……」
(こんな早い時間から家になんかに帰りたくない)
ぼそっと呟くと、フッと少しだけ微笑んだ東雲が手の握り方を変えてきた。互いの指を絡め合うと恋人繋ぎをして歩き出した。
明夏はアパートの駐車場に停まっている東雲の白い乗用車に連れられていく。助手席の席を東雲に開けられてしまい……逃げられなくなっていた。
駅前の統進と、でかでかと看板が掲げられている建物の入り口にスッと、東雲の車が停まった。
「あ……りがと」
塾の受付に視線を向けたまま、明夏は礼を告げる。塾の中に、中学からの友人である千夏と知夏がいるのが見えた。
(だいぶ……待たせてしまった)
助手席のドアを押し開けようとすると「明夏」と東雲にいきなり呼ばれて、驚いて振り返った。
近くの路地を適当に曲がろうとしたところで、肘を掴まれた。
「どこに行く?」
ぐいっと引っ張られて後ろに足が戻って、トンと後頭部が東雲の厚い胸にあたった。
(そうだ……こいつ、体育教師じゃん。走るの早いに決まってる……)
運動が得意じゃない明夏だ。基礎体力の差がまざまざと当てられて、イライラした。
「家に……帰る、だけ」
「送っていく」
「いらない。駅前で遊んでいくから」
「今、家に帰るだけって言った」
「遊んでから帰るんだ」
明夏は息が切れているのに、東雲の呼吸はいつも通り。
(ずるい、だろ……息も乱さないで追いつくって)
「遊ぶってなに?」
「遊びは……遊びだし。離してくれないかな? 家で南野が待ってるんだろ? 帰れよ」
「……遊ぶって……」
明夏の肩を掴んで、くるっと振り向かせた東雲が上唇に噛みつてきた。チュッと音をたてて吸い上げてから、舌をねじ込んできた。
「……ん、んぁ」
予想外のキスに明夏の身体がゾクッと快感が走った。東雲の腕を掴むと、無意識に深いキスをせがんでいた。
キスをしながら、道の端へと寄っていく。ドンっと背中に壁があたると、東雲の背中に手を回した。
東雲は膝を軽く折って、壁に手をついて、さらに深いキスを求めてきた。
「先生、だめっ……んぅ、んふっ……これ以上は」
(シタくなる)
下半身の熱が目覚める感覚で、足を擦り合わせた。
抵抗で身体を捩じろうとする明夏を無視して、東雲は擦り合わせている足の間に膝を割って入ってくる。半勃ちになりつつ股間に太ももを押し付けて、刺激を与えてきた。
(だめ……だって。これ以上の刺激は……)
「あっ……汗臭いんだよっ。これ以上、くっつくな!」
叫ぶように明夏が言うと、やっと東雲が離れてくれた。
(東雲の汗のにおいですら……身体が反応してしまう)
「汗……の臭いは、西森は嫌いか?」
(好きだから……困ってるんだよ。あんたの匂いは媚薬みたいだ)
明夏はスッと視線を外した。
「……わかった。次はシャワーを浴びてから触る」
「え?」
「嫌いなんだろ?」
「……嫌い……」
(じゃないから、困ってるんだろ)
スッと東雲が距離を空けて、明夏の手を掴んだ。
「車で家まで送っていく」
「……だからっ、一人で……」
「遊ぶんだろ?」
「……塾に行くだけだし……」
(こんな早い時間から家になんかに帰りたくない)
ぼそっと呟くと、フッと少しだけ微笑んだ東雲が手の握り方を変えてきた。互いの指を絡め合うと恋人繋ぎをして歩き出した。
明夏はアパートの駐車場に停まっている東雲の白い乗用車に連れられていく。助手席の席を東雲に開けられてしまい……逃げられなくなっていた。
駅前の統進と、でかでかと看板が掲げられている建物の入り口にスッと、東雲の車が停まった。
「あ……りがと」
塾の受付に視線を向けたまま、明夏は礼を告げる。塾の中に、中学からの友人である千夏と知夏がいるのが見えた。
(だいぶ……待たせてしまった)
助手席のドアを押し開けようとすると「明夏」と東雲にいきなり呼ばれて、驚いて振り返った。
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