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第四章:愛を知らない獣
新生活の始まり
目覚まし時計が鳴る前に目が覚め、僕は布団から身体を起こす。カーテンの隙間から朝日が差し込んでおり、新しい一日の始まりを告げていた。時計を見ると、午前五時を少し過ぎたところだった。
ベッドから降り、廊下を抜けてキッチンへと向かう。足音を立てないように気をつけながら歩き、リビングに入った。鬼頭さんのマンションは広く、キッチンも使いやすい。最新の調理器具が揃っており、料理をするのが楽しい。
エプロンを身につけ、冷蔵庫を開ける。
三人分の朝食を用意するために、食材を取り出していく。昨日の夜に下ごしらえしておいた材料もあり、手際よく調理を始める。フライパンが温まる音が静かなキッチンに響き、ベーコンの香ばしい匂いが鼻をついた。
朝食を作りながら、お弁当も二つ作る。
鬼頭さんの分と僕の分だ。最初は節約のために自分の分を作っていたら、それを見た鬼頭さんに、「俺の分も」とせがまれるようになった。
それ以来、二つ作るようになり、鬼頭さんが毎日職場に持って行ってお昼に食べているらしい。
朝食の準備が整った頃、時計の針は六時半を指していた。
テーブルに三人分の食事を並べ、準備を終える。
七時になると、歩が部屋から出てきた。
「おはよう、お兄ちゃん」
眠そうな声で挨拶をしてきて、リビングに入ってくる。パジャマ姿で髪がぼさぼさになっており、可愛かった。
「おはよう。朝ごはんできてるよ」
僕は優しく声をかけ、歩が洗面所へと向かうのを見送る。水が流れる音が聞こえ、やがて顔を洗った歩が戻ってきた。
歩がテーブルにつくと僕も向かい側に座り、二人で朝食を食べ始めた。味噌汁の温かさが身体に染み渡り、焼き魚の塩気が舌に広がる。歩がご飯を頬張りながら、今日の予定を話してくれた。
「今日、算数のテストがあるんだ」
「勉強した?」
「うん、結構自信あるよ」
歩が楽しそうに学校の話をしている姿を見ると、引っ越しを決めて良かったと思う。
八時になると、歩がランドセルを背負って玄関へと向かった。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
僕は手を振り、歩が玄関を出ていくのを見送る。ドアが閉まる音が響き、静寂が戻ってきた。
キッチンに戻り、コーヒーを淹れ始める。豆を挽く音が静かな部屋に響き、芳醇な香りが広がっていく。ドリップしながら、湯気が立ち上るのを眺めた。淹れたてのコーヒーをカップに注ぎ、テーブルに置く。
(鬼頭さんを起こさないと)
ノックを三回してから鬼頭さんの寝室のドアをそっと開け、中を覗き込む。暗い部屋の中で、大きなベッドが見えた。鬼頭さんが裸で横になっており、規則正しい寝息を立てている。
静かに部屋に入り、窓に近づく。
カーテンを開けると、朝日が部屋に差し込んだ。明るい光が寝室を満たし、ベッドを照らしていく。鬼頭さんの黒い髪が枕に広がっており、筋肉質な背中が見えた。
「起きてください」
声をかけると、鬼頭さんが僅かに身体を動かした。
「何時だ?」
掠れた声で問いかけてきて、寝ぼけた様子で目を開ける。黒い瞳が僕を捉え、まだ焦点が合っていなかった。
「八時十五分です」
僕が答えると、鬼頭さんがゆっくりと身体を起こした。シーツが滑り落ち、鍛えられた上半身が露わになる。胸板が厚く、腹筋が割れている。朝日に照らされた身体が美しく、思わず見惚れてしまった。
鬼頭さんが手を伸ばしてきた。
手首を掴まれ、ベッドへと引き込まれる。バランスを崩し、鬼頭さんの上に倒れ込む。起き上がった鬼頭さんの上に跨る形になり、顔が近づく。
「おはよう」
低い声で囁かれ、唇が重なった。
朝の鬼頭さんの唇は少し乾いており、舌が侵入してくると甘い吐息が混じり合う。濃厚なキスをせがまれ、舌が絡み合っていく。
鬼頭さんの手が僕の身体を撫でた。
背中から腰へ、そしてお尻へと手が滑っていく。いやらしく揉まれ、身体が熱くなっていく。お尻に鬼頭さんの大きな熱の塊を感じ、ズボン越しに硬さが伝わってきた。
お互いの吐息が漏れ、キスが深くなっていく。唾液が混じり合い、舌が奥まで侵入してくる。息が苦しくなり、鼻で呼吸をしながらキスを続けた。
「……っ、だめです」
僕は鬼頭さんの胸を押し、唇を離した。赤く腫れた唇が糸を引き、鬼頭さんが不満げな表情で僕を見つめてくる。
「これ以上は――。大学に行かないと。鬼頭さんだって仕事ですよね?」
僕の問いかけに、鬼頭さんの顔が不満げになる。
「そんな顔をしてもだめですよ」
僕が釘を刺すと、鬼頭さんが残念そうに口をへの字にする。
「弁当は?」
「作りました。キッチンにあります」
鬼頭さんの腕の中から抜け出そうとするが、腰を掴まれて動けない。
「朝食もテーブルに置いてあります。コーヒーも淹れたてですから、温かいうちにどうぞ」
「あとは、柊を抱ければ最高なんだが?」
鬼頭さんが囁き、僕の腰に手を這わせてくる。
「僕は授業があるので、もう行きます」
再度、身体を起こそうとするが、鬼頭さんが離してくれない。
「五分だけ」
「だめです。そう言っていつも終わらなっ――」
断る僕の身体を、いとも簡単に押し倒された。
背中がベッドに沈み込み、鬼頭さんが覆い被さってくる。黒い瞳が僕を見下ろしており、欲望が宿っていた。
鬼頭さんが僕のズボンに手をかけた。
手早く脱がされ、下着も一緒に引き下ろされる。冷たい空気が肌に触れ、恥ずかしさで顔が熱くなった。鬼頭さんの指が秘所に触れ、すでに濡れているのを確認される。
「柊も期待してるんだろ? こんなにぐちゃぐちゃで」
意地悪な声で囁かれ、顔がさらに熱くなる。
「いっ、やぁ……だ」
抗議する間もなく、鬼頭さんの熱いものが押し当てられ、一気に奥まで貫かれる。
「ああああっん」
痛みはなく、ただ満たされる感覚だけが身体を支配していく。鬼頭さんの熱が奥まで届き、内壁が押し広げられていく。
最初から激しく奥を突いてくる。
容赦ない動きにベッドが軋む音が響き、僕の身体が前後に揺さぶられる。
(悔しいけど――気持ちいいっ)
弟と僕が鬼頭さんのマンションに引っ越してから、夜に抱かれることはなくなった。朝、弟が登校してから僕が大学に出発するまでの数分間で、どうにかしてこようとする。
「あっ、あっ、あっ」
奥を突かれるたびに、甘い叫びがあがってしまう。
堪えようとしても、声が勝手に漏れていく。鬼頭さんの動きは激しく、容赦なく弱いところを刺激してくる。
「……五分、だけ……あっ、あん、だからぁ……」
腰が浮き、甘い疼きに我慢できずに揺れてしまう。身体が勝手に反応し、鬼頭さんのリズムに合わせて腰が動いていく。
鬼頭さんが口の端を持ち上げた。
嬉しそうに笑い、さらに激しく突き上げてくる。前後に身体が揺さぶられ、ベッドのシーツを掴んだ。白い布が指の中で皺になり、爪が食い込んでいく。
「柊、イキそうだ」
鬼頭さんの低音ボイスが耳元で響いた。
絶頂が近づいてくるのがわかる。身体の奥から、何かが込み上げてきた。熱が、快感が、全てが一点に集中していく。
「ああああっ……ああぁ」
叫び声が口から漏れ、身体がビクビクと痙攣した。
内壁が鬼頭さんの熱杭を貪るように激しく噛み付き、収縮を繰り返す。鬼頭さんも奥に熱を放ち、温かい液体が中に広がっていく感覚があった。
乱れた呼吸を整えようと、肩で息をする。休む間もなく鬼頭さんが、また動き出した。
「ちょ……と、五分――」
抗議する間もなく、激しく奥を突かれる。さっきイったばかりなのに、身体が敏感になっており、すぐに快感が押し寄せてきた。
「まだあと二分あるだろ」
鬼頭さんが囁き、さらに奥を突き上げてくる。鬼頭さんは僕の中を堪能し、しっかり五分使って抱いてから解放してくれた。
「ほら、五分だ。遅刻するぞ」
鬼頭さんが動けないでいる僕のお尻をぺちっと叩いた。
(動けなくさせたのは鬼頭さんのなのでは?)
心の中で抗議しながら、僕はティッシュに手を伸ばした。
中から出てくる鬼頭さんの精液を軽く拭い、下着を履く。ズボンも履き、乱れたシャツを整えた。鏡を見ると、顔が真っ赤になっており、唇も腫れている。髪も乱れていて、明らかに情事後とわかる顔だ。
(こんな顔で外に出たくないよ、もう!)
軽く身支度を整え、玄関へと小走りで向かう。
リビングを抜け、廊下を走る。玄関に用意しておいたリュックを背負っていると、ボクサーパンツ一枚の姿で鬼頭さんが見送りに出てきた。
「大学が終わったら、一度帰宅して、歩の夕飯を用意してからオフィスに行きますね」
僕が予定を伝えると鬼頭さんが頷き、満足そうに微笑む。
「ああ、待ってる」
「じゃ、行ってきます」
靴を履き、ドアに手をかける。
「柊、キスは?」
鬼頭さんが寂しそうな声で問いかけてきた。
「――は? 無理です。遅刻します」
鬼頭さんが寂しそうな表情を浮かべた。目を伏せ、唇を尖らせている。まるで子どものような仕草に、僕は勝てなかった。
「ああ、もう!」
玄関のドアに手をかけていたのをやめて引き返す。背伸びをして、鬼頭さんの唇に触れるだけのキスをした。鬼頭さんが満足そうに微笑むのを目にすると、なんだか悔しい気持ちになる。
「もう行きますから」
僕は言い残し、家を飛び出した。
駅までの道を小走りで急ぐ。
「やばい」
声に出しながら、足を速める。通勤途中の人たちとすれ違い、信号が変わる前に横断歩道を渡った。息が切れ、心臓が激しく跳ねている。
ありがたいことに、今の生活へのシフトチェンジはスムーズにいった。
鬼頭さんが歩に説明をしてくれた。父の仕事が遠方になったから預かることになったと。歩は素直に受け入れ、新しい学校にもすぐに馴染んだ。転校を不安に思っていたが、それも杞憂に終わった。
駅に着き、改札を抜ける。
ホームに滑り込むと、ちょうど電車が到着したところだった。ドアが開き、人が降りてくる。僕は電車に乗り込み、空いている席に座った。
ぎりぎり間に合った。
ホッと一安心し、深呼吸をする。電車が動き出し、窓の外の景色が流れていく。朝の光が車内に差し込み、乗客たちが静かに座っていた。
(朝からバタバタしたくないなあ)
そう思いながら、僕は窓の外を眺めた。
ベッドから降り、廊下を抜けてキッチンへと向かう。足音を立てないように気をつけながら歩き、リビングに入った。鬼頭さんのマンションは広く、キッチンも使いやすい。最新の調理器具が揃っており、料理をするのが楽しい。
エプロンを身につけ、冷蔵庫を開ける。
三人分の朝食を用意するために、食材を取り出していく。昨日の夜に下ごしらえしておいた材料もあり、手際よく調理を始める。フライパンが温まる音が静かなキッチンに響き、ベーコンの香ばしい匂いが鼻をついた。
朝食を作りながら、お弁当も二つ作る。
鬼頭さんの分と僕の分だ。最初は節約のために自分の分を作っていたら、それを見た鬼頭さんに、「俺の分も」とせがまれるようになった。
それ以来、二つ作るようになり、鬼頭さんが毎日職場に持って行ってお昼に食べているらしい。
朝食の準備が整った頃、時計の針は六時半を指していた。
テーブルに三人分の食事を並べ、準備を終える。
七時になると、歩が部屋から出てきた。
「おはよう、お兄ちゃん」
眠そうな声で挨拶をしてきて、リビングに入ってくる。パジャマ姿で髪がぼさぼさになっており、可愛かった。
「おはよう。朝ごはんできてるよ」
僕は優しく声をかけ、歩が洗面所へと向かうのを見送る。水が流れる音が聞こえ、やがて顔を洗った歩が戻ってきた。
歩がテーブルにつくと僕も向かい側に座り、二人で朝食を食べ始めた。味噌汁の温かさが身体に染み渡り、焼き魚の塩気が舌に広がる。歩がご飯を頬張りながら、今日の予定を話してくれた。
「今日、算数のテストがあるんだ」
「勉強した?」
「うん、結構自信あるよ」
歩が楽しそうに学校の話をしている姿を見ると、引っ越しを決めて良かったと思う。
八時になると、歩がランドセルを背負って玄関へと向かった。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
僕は手を振り、歩が玄関を出ていくのを見送る。ドアが閉まる音が響き、静寂が戻ってきた。
キッチンに戻り、コーヒーを淹れ始める。豆を挽く音が静かな部屋に響き、芳醇な香りが広がっていく。ドリップしながら、湯気が立ち上るのを眺めた。淹れたてのコーヒーをカップに注ぎ、テーブルに置く。
(鬼頭さんを起こさないと)
ノックを三回してから鬼頭さんの寝室のドアをそっと開け、中を覗き込む。暗い部屋の中で、大きなベッドが見えた。鬼頭さんが裸で横になっており、規則正しい寝息を立てている。
静かに部屋に入り、窓に近づく。
カーテンを開けると、朝日が部屋に差し込んだ。明るい光が寝室を満たし、ベッドを照らしていく。鬼頭さんの黒い髪が枕に広がっており、筋肉質な背中が見えた。
「起きてください」
声をかけると、鬼頭さんが僅かに身体を動かした。
「何時だ?」
掠れた声で問いかけてきて、寝ぼけた様子で目を開ける。黒い瞳が僕を捉え、まだ焦点が合っていなかった。
「八時十五分です」
僕が答えると、鬼頭さんがゆっくりと身体を起こした。シーツが滑り落ち、鍛えられた上半身が露わになる。胸板が厚く、腹筋が割れている。朝日に照らされた身体が美しく、思わず見惚れてしまった。
鬼頭さんが手を伸ばしてきた。
手首を掴まれ、ベッドへと引き込まれる。バランスを崩し、鬼頭さんの上に倒れ込む。起き上がった鬼頭さんの上に跨る形になり、顔が近づく。
「おはよう」
低い声で囁かれ、唇が重なった。
朝の鬼頭さんの唇は少し乾いており、舌が侵入してくると甘い吐息が混じり合う。濃厚なキスをせがまれ、舌が絡み合っていく。
鬼頭さんの手が僕の身体を撫でた。
背中から腰へ、そしてお尻へと手が滑っていく。いやらしく揉まれ、身体が熱くなっていく。お尻に鬼頭さんの大きな熱の塊を感じ、ズボン越しに硬さが伝わってきた。
お互いの吐息が漏れ、キスが深くなっていく。唾液が混じり合い、舌が奥まで侵入してくる。息が苦しくなり、鼻で呼吸をしながらキスを続けた。
「……っ、だめです」
僕は鬼頭さんの胸を押し、唇を離した。赤く腫れた唇が糸を引き、鬼頭さんが不満げな表情で僕を見つめてくる。
「これ以上は――。大学に行かないと。鬼頭さんだって仕事ですよね?」
僕の問いかけに、鬼頭さんの顔が不満げになる。
「そんな顔をしてもだめですよ」
僕が釘を刺すと、鬼頭さんが残念そうに口をへの字にする。
「弁当は?」
「作りました。キッチンにあります」
鬼頭さんの腕の中から抜け出そうとするが、腰を掴まれて動けない。
「朝食もテーブルに置いてあります。コーヒーも淹れたてですから、温かいうちにどうぞ」
「あとは、柊を抱ければ最高なんだが?」
鬼頭さんが囁き、僕の腰に手を這わせてくる。
「僕は授業があるので、もう行きます」
再度、身体を起こそうとするが、鬼頭さんが離してくれない。
「五分だけ」
「だめです。そう言っていつも終わらなっ――」
断る僕の身体を、いとも簡単に押し倒された。
背中がベッドに沈み込み、鬼頭さんが覆い被さってくる。黒い瞳が僕を見下ろしており、欲望が宿っていた。
鬼頭さんが僕のズボンに手をかけた。
手早く脱がされ、下着も一緒に引き下ろされる。冷たい空気が肌に触れ、恥ずかしさで顔が熱くなった。鬼頭さんの指が秘所に触れ、すでに濡れているのを確認される。
「柊も期待してるんだろ? こんなにぐちゃぐちゃで」
意地悪な声で囁かれ、顔がさらに熱くなる。
「いっ、やぁ……だ」
抗議する間もなく、鬼頭さんの熱いものが押し当てられ、一気に奥まで貫かれる。
「ああああっん」
痛みはなく、ただ満たされる感覚だけが身体を支配していく。鬼頭さんの熱が奥まで届き、内壁が押し広げられていく。
最初から激しく奥を突いてくる。
容赦ない動きにベッドが軋む音が響き、僕の身体が前後に揺さぶられる。
(悔しいけど――気持ちいいっ)
弟と僕が鬼頭さんのマンションに引っ越してから、夜に抱かれることはなくなった。朝、弟が登校してから僕が大学に出発するまでの数分間で、どうにかしてこようとする。
「あっ、あっ、あっ」
奥を突かれるたびに、甘い叫びがあがってしまう。
堪えようとしても、声が勝手に漏れていく。鬼頭さんの動きは激しく、容赦なく弱いところを刺激してくる。
「……五分、だけ……あっ、あん、だからぁ……」
腰が浮き、甘い疼きに我慢できずに揺れてしまう。身体が勝手に反応し、鬼頭さんのリズムに合わせて腰が動いていく。
鬼頭さんが口の端を持ち上げた。
嬉しそうに笑い、さらに激しく突き上げてくる。前後に身体が揺さぶられ、ベッドのシーツを掴んだ。白い布が指の中で皺になり、爪が食い込んでいく。
「柊、イキそうだ」
鬼頭さんの低音ボイスが耳元で響いた。
絶頂が近づいてくるのがわかる。身体の奥から、何かが込み上げてきた。熱が、快感が、全てが一点に集中していく。
「ああああっ……ああぁ」
叫び声が口から漏れ、身体がビクビクと痙攣した。
内壁が鬼頭さんの熱杭を貪るように激しく噛み付き、収縮を繰り返す。鬼頭さんも奥に熱を放ち、温かい液体が中に広がっていく感覚があった。
乱れた呼吸を整えようと、肩で息をする。休む間もなく鬼頭さんが、また動き出した。
「ちょ……と、五分――」
抗議する間もなく、激しく奥を突かれる。さっきイったばかりなのに、身体が敏感になっており、すぐに快感が押し寄せてきた。
「まだあと二分あるだろ」
鬼頭さんが囁き、さらに奥を突き上げてくる。鬼頭さんは僕の中を堪能し、しっかり五分使って抱いてから解放してくれた。
「ほら、五分だ。遅刻するぞ」
鬼頭さんが動けないでいる僕のお尻をぺちっと叩いた。
(動けなくさせたのは鬼頭さんのなのでは?)
心の中で抗議しながら、僕はティッシュに手を伸ばした。
中から出てくる鬼頭さんの精液を軽く拭い、下着を履く。ズボンも履き、乱れたシャツを整えた。鏡を見ると、顔が真っ赤になっており、唇も腫れている。髪も乱れていて、明らかに情事後とわかる顔だ。
(こんな顔で外に出たくないよ、もう!)
軽く身支度を整え、玄関へと小走りで向かう。
リビングを抜け、廊下を走る。玄関に用意しておいたリュックを背負っていると、ボクサーパンツ一枚の姿で鬼頭さんが見送りに出てきた。
「大学が終わったら、一度帰宅して、歩の夕飯を用意してからオフィスに行きますね」
僕が予定を伝えると鬼頭さんが頷き、満足そうに微笑む。
「ああ、待ってる」
「じゃ、行ってきます」
靴を履き、ドアに手をかける。
「柊、キスは?」
鬼頭さんが寂しそうな声で問いかけてきた。
「――は? 無理です。遅刻します」
鬼頭さんが寂しそうな表情を浮かべた。目を伏せ、唇を尖らせている。まるで子どものような仕草に、僕は勝てなかった。
「ああ、もう!」
玄関のドアに手をかけていたのをやめて引き返す。背伸びをして、鬼頭さんの唇に触れるだけのキスをした。鬼頭さんが満足そうに微笑むのを目にすると、なんだか悔しい気持ちになる。
「もう行きますから」
僕は言い残し、家を飛び出した。
駅までの道を小走りで急ぐ。
「やばい」
声に出しながら、足を速める。通勤途中の人たちとすれ違い、信号が変わる前に横断歩道を渡った。息が切れ、心臓が激しく跳ねている。
ありがたいことに、今の生活へのシフトチェンジはスムーズにいった。
鬼頭さんが歩に説明をしてくれた。父の仕事が遠方になったから預かることになったと。歩は素直に受け入れ、新しい学校にもすぐに馴染んだ。転校を不安に思っていたが、それも杞憂に終わった。
駅に着き、改札を抜ける。
ホームに滑り込むと、ちょうど電車が到着したところだった。ドアが開き、人が降りてくる。僕は電車に乗り込み、空いている席に座った。
ぎりぎり間に合った。
ホッと一安心し、深呼吸をする。電車が動き出し、窓の外の景色が流れていく。朝の光が車内に差し込み、乗客たちが静かに座っていた。
(朝からバタバタしたくないなあ)
そう思いながら、僕は窓の外を眺めた。
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