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第六章:親子対決
関係修復
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神宮寺の父に僕たちとの関係を認めてもらったと、神宮寺から連絡がきたときは驚いた。ザ・アルファな父親をどうやって、認めさせたのか聞いてみたが、「なんか、認めてくれた」と詳しく言ってくれなかった。
恋人同士になった僕たちは今までとあまり変わらない生活だ。日中は仕事をして、夜は少しだけ神宮寺と電話をする。神宮寺が夜勤の日は、電話はせずにメッセージを数回だけやり取りした。
土曜日になると、夜勤明けの神宮寺がクリニックにやってくる。午前中からカウンセリング業務をこなして、患者たちに丁寧に対応してくれた。神宮寺の優しい対応を見ていると、医師として尊敬できる一面が見えて、改めて好きになる。
夕方になり最後の患者が帰って、クリニックに僕と神宮寺だけが残る。カルテを整理していると、後ろから神宮寺が抱きついてきた。大きな身体が僕を包み込んで、神宮寺の温もりが背中に伝わってくる。神宮寺の腕が僕の腰に回って、逃げられないように抱き締められた。
「やめろ」
僕が神宮寺の腕を払おうとするが、力が強くて離れてくれない。神宮寺が僕の首筋に顔を埋めて、深く息を吸い込んだ。鼻先が首筋に触れて、くすぐったい感覚が走る。
「先輩、いい匂い」
神宮寺が囁いて、僕の首筋にキスを落とす。唇が肌に触れて、くすぐったくて僕は身体を捩った。
「仕事しろ」
僕が言うと、神宮寺の口元が緩む。
「もう仕事は終わりましたよ」
神宮寺が僕を抱き締めたまま、離してくれない。僕は諦めて、神宮寺の腕に身を任せた。
「そうか。じゃあ。これ」
僕が口を開いて、神宮寺の腕から抜け出す。机の引き出しを開けて、封筒を取り出した。
「これからは、きちんと給料を払いたい」
僕が封筒を神宮寺に差し出すと、神宮寺が首を振る。
「いりません」
神宮寺が封筒を受け取らず、首を振る。
「もうただ働きはだめだ」
僕が封筒を神宮寺の手に押し付けると、神宮寺が困った顔をする。
「恋人として抱かれたいから受け取ってほしい」
僕が言うと、神宮寺の顔がぱっと明るくなる。
「そういうことなら」
神宮寺が封筒を受け取って、満足そうな顔をした。封筒を開けて、中身を確認している。
「じゃあこのお給料でラブホにいきませんか? 先輩……」
「はあ?」
僕が聞き返すと、神宮寺が急に神妙な面持ちになった。
「ホテルでしたとき、先輩の声が廊下中に響き渡っていたらしいんです」
言われた瞬間、僕の顔が熱くなる。恥ずかしさで顔を背けて、神宮寺を睨んだ。
「先輩のアパートでしたら、近隣の人たちに聞かれるから。それは嫌だな……って」
神宮寺が心配そうに言って、僕の手を握る。
「あんときはお前が、僕の言うことを聞かずにガンガン突っ込んでくるからだろうが!」
神宮寺の足を蹴ると、神宮寺が愉快そうに肩を揺らす。
「じゃあ、あんな気持ちいいセックスを経験したあとに、声我慢できる?」
真顔で聞いてくる神宮寺に、言葉が詰まった。
「――できるわけないだろ」
小さく呟くと、神宮寺が勝ち誇ったような顔をした。
「じゃあ、ラブホテルで決定で!」
神宮寺がクリニックのパソコンを起動して、ホテルの検索を始める。真剣な顔でマウスを動かしていて、僕は呆れた。
「職場のパソコンでいかがわしい検索をするな! 自分のスマホを使え」
神宮寺の椅子を蹴ると、神宮寺が振り返る。
「ここでホテルの検索したなあって仕事中に思い出してほしいから、ここで探します」
神宮寺が笑顔で言って、また画面に視線を戻す。
「思い出したくないから言ってるんだ。仕事中は患者と真剣に向き合いたい」
言うと、神宮寺が優しい目で僕を見つめた。
「先輩らしくて好きです」
神宮寺がにっこりと笑って、僕は思わず視線を逸らした。
「お、おう」
返事をすると、神宮寺が満足げに頷いた。
「でも、俺のことも考えてほしいから、パソコンの検索はやめませんよ」
神宮寺が言って、マウスをクリックする音が響く。
「お前なあ……」
呆れると、神宮寺がすぐにいい場所を見つけたのか、「今夜はここで」と住所を確認していた。画面に映るホテルの写真を見て、耳まで熱くなる。
「今日は車で来てるんで」
神宮寺が言う。
「……朝からホテルに行く気だったと?」
聞くと、神宮寺が頷いた。
「そうですよ。先輩の声を隣に聴かせないために、車できました」
当然のように言われて、僕は深くため息をついた。
(呆れた奴だ)
「あ、はーい」
乾いた返事をして、立ち上がる。クリニックの電気を消して、鍵を閉めた。神宮寺が僕の手を取って、上機嫌で歩き出す。
神宮寺の車に乗って、ホテルへと向かった。神宮寺が運転しながら、鼻歌を奏でる姿が愛らしくて僕は、自然と顔が緩んでいた。
恋人同士になった僕たちは今までとあまり変わらない生活だ。日中は仕事をして、夜は少しだけ神宮寺と電話をする。神宮寺が夜勤の日は、電話はせずにメッセージを数回だけやり取りした。
土曜日になると、夜勤明けの神宮寺がクリニックにやってくる。午前中からカウンセリング業務をこなして、患者たちに丁寧に対応してくれた。神宮寺の優しい対応を見ていると、医師として尊敬できる一面が見えて、改めて好きになる。
夕方になり最後の患者が帰って、クリニックに僕と神宮寺だけが残る。カルテを整理していると、後ろから神宮寺が抱きついてきた。大きな身体が僕を包み込んで、神宮寺の温もりが背中に伝わってくる。神宮寺の腕が僕の腰に回って、逃げられないように抱き締められた。
「やめろ」
僕が神宮寺の腕を払おうとするが、力が強くて離れてくれない。神宮寺が僕の首筋に顔を埋めて、深く息を吸い込んだ。鼻先が首筋に触れて、くすぐったい感覚が走る。
「先輩、いい匂い」
神宮寺が囁いて、僕の首筋にキスを落とす。唇が肌に触れて、くすぐったくて僕は身体を捩った。
「仕事しろ」
僕が言うと、神宮寺の口元が緩む。
「もう仕事は終わりましたよ」
神宮寺が僕を抱き締めたまま、離してくれない。僕は諦めて、神宮寺の腕に身を任せた。
「そうか。じゃあ。これ」
僕が口を開いて、神宮寺の腕から抜け出す。机の引き出しを開けて、封筒を取り出した。
「これからは、きちんと給料を払いたい」
僕が封筒を神宮寺に差し出すと、神宮寺が首を振る。
「いりません」
神宮寺が封筒を受け取らず、首を振る。
「もうただ働きはだめだ」
僕が封筒を神宮寺の手に押し付けると、神宮寺が困った顔をする。
「恋人として抱かれたいから受け取ってほしい」
僕が言うと、神宮寺の顔がぱっと明るくなる。
「そういうことなら」
神宮寺が封筒を受け取って、満足そうな顔をした。封筒を開けて、中身を確認している。
「じゃあこのお給料でラブホにいきませんか? 先輩……」
「はあ?」
僕が聞き返すと、神宮寺が急に神妙な面持ちになった。
「ホテルでしたとき、先輩の声が廊下中に響き渡っていたらしいんです」
言われた瞬間、僕の顔が熱くなる。恥ずかしさで顔を背けて、神宮寺を睨んだ。
「先輩のアパートでしたら、近隣の人たちに聞かれるから。それは嫌だな……って」
神宮寺が心配そうに言って、僕の手を握る。
「あんときはお前が、僕の言うことを聞かずにガンガン突っ込んでくるからだろうが!」
神宮寺の足を蹴ると、神宮寺が愉快そうに肩を揺らす。
「じゃあ、あんな気持ちいいセックスを経験したあとに、声我慢できる?」
真顔で聞いてくる神宮寺に、言葉が詰まった。
「――できるわけないだろ」
小さく呟くと、神宮寺が勝ち誇ったような顔をした。
「じゃあ、ラブホテルで決定で!」
神宮寺がクリニックのパソコンを起動して、ホテルの検索を始める。真剣な顔でマウスを動かしていて、僕は呆れた。
「職場のパソコンでいかがわしい検索をするな! 自分のスマホを使え」
神宮寺の椅子を蹴ると、神宮寺が振り返る。
「ここでホテルの検索したなあって仕事中に思い出してほしいから、ここで探します」
神宮寺が笑顔で言って、また画面に視線を戻す。
「思い出したくないから言ってるんだ。仕事中は患者と真剣に向き合いたい」
言うと、神宮寺が優しい目で僕を見つめた。
「先輩らしくて好きです」
神宮寺がにっこりと笑って、僕は思わず視線を逸らした。
「お、おう」
返事をすると、神宮寺が満足げに頷いた。
「でも、俺のことも考えてほしいから、パソコンの検索はやめませんよ」
神宮寺が言って、マウスをクリックする音が響く。
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呆れると、神宮寺がすぐにいい場所を見つけたのか、「今夜はここで」と住所を確認していた。画面に映るホテルの写真を見て、耳まで熱くなる。
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「……朝からホテルに行く気だったと?」
聞くと、神宮寺が頷いた。
「そうですよ。先輩の声を隣に聴かせないために、車できました」
当然のように言われて、僕は深くため息をついた。
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