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第一幕 ハイランドとローランドの締結
契りの紅き徴1
セシルSIDE
カイトⅢ世の従兄ドリュが、細くきつい視線を俺に向けている。腕を組み、足を肩幅に広げ、まるで敵を見るかのごとく俺を睨んでいる。
敵……と言えば敵なのだろう。ローランドとハイランドは、同じ国内だけれども戦い続けてきた仲だ。結婚しました。ハイ、仲良くしましょう、という気には俺もなれないし、あいつらだって同じだろう。
俺はきついコルセットに苛つきながら、ソファに腰をかけ、ベッドシーツの確認を終えたばかりのドリュの睨みを一身に受けた。
別に俺のせいじゃねえし……なんて心の中で思っていても、誰かに睨まれるのは好きじゃない。
「今日で1週間が過ぎました」
ドリュの低く感情の籠らない言葉が、淡々と唇から吐き出される。
「夫婦になって、ちょうど1週間になりますね」
「なぜこんなにも綺麗なんでしょうか?」
ドリュの指先が、シーツをさす。ちょうど人の股があたる位置を。
「汚すのが嫌いなので」
唯一、夫婦の情事後のベッドを見ても良いとされているのが、このカイトⅢ世の従兄ドリュだ。
きちんと契ったのか……を確認する責務がドリュには課せられているのだ。が、しかし、一向に契りの形跡が、ベッドにはなく、ドリュの表情が日に日に曇り、いつしか俺を憎しみの籠る目で見るようになっていた。
「貴方は何をしているんです?」
「ベッドで……という意味かしら? それはもちろん、日中の疲れを癒し、睡眠をとっています。ベッドですから」
俺は作り笑顔をドリュに向ける。ドリュがゴホンとわざとらしく咳をすると、じろりと俺を睨んだ。
「妻の勤めを果たしているのか、という意味で聞いているんです」
「ああ、それは初めてドリュの耳から聞きました」
「遠まわしに今まで、ずっと毎日のように言ってきていますけど」
「直接的に言ってもらわないと。私、ローランドの言葉ってあまりよくわからないの」
ローランドとハイランド、使用している母国語が違う。まあ、似ている部分もある。同じ国だし…だけど祖先が違う。
俺たち民族は、アルバの土地にもともとからいた。先住民というヤツだ。
ローランドに住み着いたカイトたちの祖先は、海を渡り、俺たち祖先と戦って土地を得た民族だ。戦いに敗れた俺らの祖先は北へ逃げ、山の中で生活するようになり、アルバ王国はローランドとハイランドの2つの民族が共有する国となった。
カイトⅢ世の従兄ドリュが、細くきつい視線を俺に向けている。腕を組み、足を肩幅に広げ、まるで敵を見るかのごとく俺を睨んでいる。
敵……と言えば敵なのだろう。ローランドとハイランドは、同じ国内だけれども戦い続けてきた仲だ。結婚しました。ハイ、仲良くしましょう、という気には俺もなれないし、あいつらだって同じだろう。
俺はきついコルセットに苛つきながら、ソファに腰をかけ、ベッドシーツの確認を終えたばかりのドリュの睨みを一身に受けた。
別に俺のせいじゃねえし……なんて心の中で思っていても、誰かに睨まれるのは好きじゃない。
「今日で1週間が過ぎました」
ドリュの低く感情の籠らない言葉が、淡々と唇から吐き出される。
「夫婦になって、ちょうど1週間になりますね」
「なぜこんなにも綺麗なんでしょうか?」
ドリュの指先が、シーツをさす。ちょうど人の股があたる位置を。
「汚すのが嫌いなので」
唯一、夫婦の情事後のベッドを見ても良いとされているのが、このカイトⅢ世の従兄ドリュだ。
きちんと契ったのか……を確認する責務がドリュには課せられているのだ。が、しかし、一向に契りの形跡が、ベッドにはなく、ドリュの表情が日に日に曇り、いつしか俺を憎しみの籠る目で見るようになっていた。
「貴方は何をしているんです?」
「ベッドで……という意味かしら? それはもちろん、日中の疲れを癒し、睡眠をとっています。ベッドですから」
俺は作り笑顔をドリュに向ける。ドリュがゴホンとわざとらしく咳をすると、じろりと俺を睨んだ。
「妻の勤めを果たしているのか、という意味で聞いているんです」
「ああ、それは初めてドリュの耳から聞きました」
「遠まわしに今まで、ずっと毎日のように言ってきていますけど」
「直接的に言ってもらわないと。私、ローランドの言葉ってあまりよくわからないの」
ローランドとハイランド、使用している母国語が違う。まあ、似ている部分もある。同じ国だし…だけど祖先が違う。
俺たち民族は、アルバの土地にもともとからいた。先住民というヤツだ。
ローランドに住み着いたカイトたちの祖先は、海を渡り、俺たち祖先と戦って土地を得た民族だ。戦いに敗れた俺らの祖先は北へ逃げ、山の中で生活するようになり、アルバ王国はローランドとハイランドの2つの民族が共有する国となった。
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