眠れる獅子と眠らない獅子

ひなた翠

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第一幕 ハイランドとローランドの締結

契りの紅き徴5

「俺はあんたらと共存するつもりはない! ましてや、妹の代わりにあんたと交わる気もさらさらねえんだよ」
「そんなことはわかっている。私だってお前などと、ベッドを共にしたいとは全く思わない。いくら欲求不満でもな」

「おっ、おおう! 当たり前だっつうの。欲求不満ってだけで乗っかられるなんてあり得ねえよ。欲求不満なら、他の女を抱けっつう話なんだよ」

「わかりきったことを言うな。すでにそうしている」
「なら、いいんだ……て、違うっ」

 俺は崩れて乱れた髪を、ぐしゃっと掴んだ。

「違わない。お前は、私に抱かれたいのか?」
「はあ? 違う! 話の論点がズレてんだよ。俺が今、話をしたいのは、この結婚が破談にならないための話であって……欲求不満の解消法じゃねえんだよ」

「それなら、もうすでに理解した。今さら一々、解説などしなくとも良い」
「へ? は? 何、もう理解してんの? あっ! やっぱなかったことにするっつうのはナシだぞ」

「だからそのための弁明を今まで、していたのだろ」
「あ、ああ、まあ。なんでかわかんねえけど、欲求不満な話になっちまったけど」

 カイトがニヤっと笑う。

「結婚生活は仕方がないからこのまま続けてやろう。本物のイザベラにさっさと元気になるように、手紙でも書いておけ。でなければ、毎朝、ドリュの嫌味と睨みが続くだけだ」
「お…お前からやんわりとセックスはあり得ないくらいの話をしておけよ!」

「なぜ有り得ないのだ? この部屋にいるのはイザベラなのに。それともお前が男だとドリュに話すのか? 話せばお前のプライドも、私のプライドもガタ落ちだぞ。ハイランド貴族の信用も落ちる。それでもいいなら……」
「わ、わかった! 言わなくていい。妹に手紙を書いて送っておく。くそっ。あいつの嫌味くらい……なんてことはねえよ」

 カイトが面白可笑しそうに、肩を小刻みに揺らして失笑している姿が、何とも小憎らしかった。

「してやったり」感が大いに感じられて、むかつく以外の感情など記憶喪失で忘れてしまったくらいに、腹立たしかった。
感想 1

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