眠れる獅子と眠らない獅子

ひなた翠

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第一幕 ハイランドとローランドの締結

契りの紅き徴6

「…で、今日も無いのですか?」
 今日も今日とて、ドリュがソファに座っている俺を睨む。

紅い徴が無いかとベッドを舐めるように見てから、いつものごとく俺を、目を細くして威嚇する。

 まるで俺がいけない……俺が悪いと責めるかのように。別に俺のせいじゃねえし……なんていつものように心の中で言い訳を繰り返す。

「昨晩も来なかったし、徴がついてるわけがない」
 俺はコクンと大きく頷くと、腕を組んで満足気に笑った。俺と入れ替わるまで……絶対に徴がつくことはねえんだよ。

 心の中で、俺は笑う。

「では、貴方にはカイト様のお好みの女性になってもらいましょうか?」
「は?」

 俺はドリュの意味不明な言葉に、首を傾げた。

「貴方に教育係をお付けしましょう。特別に! カイト様好みの女性になっていただけるように、しっかりと女性としての身だしなみ、言葉遣い、教養をつけていだきます。普通なら、嫁いでくる前に全てを学んできているはずなんですけど、ね」

 ぎろりとドリュの眼球が動いて、俺を睨んだ。俺の身体が氷のように冷たくなる。

 何だって? 俺が……女としての躾を受けるのか? 男の俺が…あいつの好みの女になるように?
 あり得ねえだろ。絶対に、何をどう努力したら好みの女になるっつうんだよ! 土台からして違うだろ。

 俺は男だ。女じゃねえよ。

 俺の表情が固まったのを読み取ったドリュが、満足げにニヤリと笑い、そして俺に背を向けた。ドリュの勝ち誇った顔が、俺には悪魔のように見えた。

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