異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ

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第39話:CIA、KGB、MI6! 世界のスパイがコガネ・タワーに大集合

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「……というわけで。今後、魔王軍の管理は当社が行う。その代わり、政府は当社に『特別防衛助成金』として年間百億円を支払う。……異論はないね?」

公安警察の撤収から数時間後。 私はコガネ・タワーの応接室で、堂門と向かい合っていた。 机の上には、急ごしらえの「業務提携契約書」。

「……分かった。呑もう」

堂門が苦虫を噛み潰したような顔でハンコを押す。

「ただし、釘を刺しておくぞ。もし魔物が一人でも暴走し、民間人に被害が出れば……契約は破棄し、即座にミサイルを撃ち込む」

「ご心配なく。うちはホワイト企業だからね。社員教育は徹底するよ」

私はニッコリと笑い、契約書を回収した。 ビル購入で80億使い、手元の現金が70億ほどに減っていたところだ。この年間100億の固定収入はデカい。これでキャッシュフローも安泰だ。

堂門たちが帰った後、私はソファに深く沈み込んだ。

「ふぅ……。疲れたねぇ」

「社長、お疲れ様です。……でも、休んでいる暇はありませんよ」

鏡がタブレットを見ながら眉をひそめる。

「……なんだい? またトラブルかい?」

「ええ。今回の騒動で、海外の諜報機関が嗅ぎつけました。……現在、タワーの周辺には、少なくとも五カ国のスパイが潜伏しています」

「……ハエみたいに湧くねぇ」

私は窓の外を見下ろした。 総資産150億相当のビルと現金、未知の魔法技術、そして魔王軍。 世界中の組織が喉から手が出るほど欲しい「お宝」の山だ。

「……よし。全員、集合!」

私は指を鳴らした。

***

その夜。コガネ・タワー。 最新鋭のセキュリティシステムが稼働するこの要塞に、数組の影が忍び寄っていた。

【侵入者A:アメリカ中央情報局(CIA)エージェント・スミス】

(……セキュリティはザルだな)

スミスは、清掃業者の変装をして、裏口から侵入に成功していた。 狙いは地下のメインサーバー。そこに眠る「未知のエネルギー技術(魔力)」のデータを奪取することだ。

彼は音もなく地下へと続く階段を降りる。 しかし、地下二階の廊下で、異様な光景を目にした。

薄暗い廊下の真ん中で、白衣を着た男(紫雲)が、床に魔法陣を描きながらブツブツと独り言を言っている。

「……ククク。この術式なら、プリンの増殖が可能になるはず……ヴェルベット様に褒めてもらえる……」

(……なんだあの男は? マッドサイエンティストか?)

スミスが麻酔銃を構えようとした、その時。

「……おい、貴様」

背後から声をかけられた。 スミスが振り返ると、そこには黒い燕尾服を着た男――鏡恭介が立っていた。

「……夜間の清掃は頼んでいませんが?」

「ちっ!」

スミスは即座にサプレッサー付きの銃を発砲した。 パスッ! 弾丸は鏡の胸を正確に捉え――

キンッ!

――弾かれた。 鏡の胸ポケットから、銀色に輝くメスが覗いている。

「……残念。ここ(胸ポケット)には、チタン合金製のメスセットを入れているんです」

鏡が眼鏡を光らせる。

「さて、不法侵入ですね。……ちょうど新しい『自白剤』の臨床試験がしたかったところです。協力していただけますね?」

鏡が注射器を構えて迫る。 スミスの悲鳴が地下に消えた。

【侵入者B:英国秘密情報部(MI6)エージェント・ボンド(仮)】

(……ターゲットは社長の板東善次郎。彼を懐柔すれば全て手に入る)

ボンドは、超一流の紳士を装い、最上階のパーティルーム(勝手に開催中)に潜入していた。 煌びやかなシャンデリアの下、ワイングラスを片手に善さんに近づく。

「やあ、板東先生。素晴らしい夜ですね」

「あ、どうも……えっと、どちら様で?」 善さんがキョトンとする。

「英国から来た投資家です。あなたのビジネスに、王室も興味を持っていましてね……」

ボンドの甘いマスクと巧みな話術。 善さんは完全に信じ込み、「へぇ~! 王室ですか!」と目を輝かせている。 チョロい。このまま個室に連れ込めば、情報は頂きだ。

そう思った瞬間。

「……おい、そこの優男」

ドスッ。 ボンドの目の前のテーブルに、巨大なハイヒールが突き刺さった。

「……なっ!?」

見上げると、ドレス姿の美女――リオが、不機嫌そうに仁王立ちしていた。

「ウチの社長に何吹き込んでんだ? ああ?」

「し、失礼な。私はただの投資家で……」

「投資家? ……その時計、靴、そして身のこなし。……MI6の『00(ダブルオー)』セクションだろ? 匂いで分かんだよ、同業者の匂いがな」

リオがニヤリと笑う。元マフィアの嗅覚は伊達じゃない。

「……バレては仕方ない」

ボンドが懐から拳銃を抜こうとする。 だが、リオの方が速かった。

「オラァッ!!」

突き刺さっていたハイヒールを引っこ抜き、ボンドの脳天にカカト落としを見舞う。

ドゴォッ!!

「ぐふっ……!」 英国紳士、一撃で沈没。

【侵入者C:ロシア対外情報庁(SVR)暗殺者・ナターシャ】

(……面倒な駆け引きは不要。全員殺して奪えばいい)

ナターシャは、窓の外からロープで降下し、リビングの窓を音もなく切断して侵入した。 闇に紛れ、ソファで寝ているターゲット(銀髪の少女)に近づく。 資料によれば、この少女が「魔王軍」を操る鍵だという。

(……死ね)

ナターシャがナイフを振り上げた。

ガシッ!!

その腕が、闇の中から伸びた「剛腕」に掴まれた。

「……ぬ? 何じゃ、蚊か?」

ソファで寝ていたはずの少女――ヴェルベットが、不機嫌そうに片目を開けた。 そして、ナターシャの腕を掴んでいるのは、彼女の護衛として影に潜んでいた、巨体のオーク将軍だった。

「グオオオッ! ヴェルベット様ノ安眠ヲ妨ゲル奴ハ、食ッテヨイデスカ!?」

「ひっ……!?」 ナターシャが見上げると、身長三メートルの豚の怪物が、よだれを垂らして見下ろしている。

「……騒々しい。殺すな。……そいつ、何か金目の物を持っておらんか?」

ヴェルベットがあくびをしながら言う。

「……コノ宝石、高ソウデス」 オークがナターシャの指から指輪を引き抜く。

「よし、没収じゃ。あと、そやつを厨房へ連れて行け。皿洗いが足りんと言うておったぞ」

最強の暗殺者、皿洗いとして強制徴用。

***

「……で? これが昨晩の収穫かい?」

翌朝。 私はリビングで、捕縛され、正座させられた三人のスパイ(と数名の下っ端)を見下ろしていた。 スミスはラリった目(自白剤の影響)で笑い、ボンドは頭に包帯を巻き、ナターシャは手が洗剤で荒れていた。

「……CIA、MI6、SVR。豪華な顔ぶれだねぇ」

私はコーヒーを啜りながら言った。

「殺せ。……任務に失敗したスパイに生きる価値はない」 ボンドが潔く言う。

「殺さないよ。死体の処理代もタダじゃないんだ」

私は電卓を弾いた。

「不法侵入、器物破損、殺人未遂、そして……私の睡眠妨害。慰謝料込みで、一人十億円。……それぞれの国に請求書を送るから、払ってもらうよ」

「じゅ、十億!? ふざけるな! 国家がテロリストに金を払うわけがない!」 スミスが叫ぶ。

「払わないなら、あんたらの尋問映像と、恥ずかしい姿(皿洗いとか)を全世界に配信するよ? 『伝説のスパイ、魔王軍の厨房でバイト中!』ってね。……国のメンツ、丸潰れだねぇ」

私がスマホを向けると、三人は青ざめて黙り込んだ。

「……分かった。……上に掛け合う」 ボンドが屈辱に震えながら言った。

「商談成立だ」

私はニッコリと笑った。 ビル購入で減った資産が、これで少し補填できる。

こうして、コガネ・タワーは、日本政府だけでなく、世界の大国からも「アンタッチャブルな独立国家」として認知されることになった。

スパイたちは解放され(身代金はしっかり振り込まれた)、私はまた一つ、資産を増やした。

「……ふぅ。これでしばらくは静かになるかねぇ」

私は窓の外、青い空を見上げた。 平和だ。 金もある。権力もある。 今度こそ、理想の隠居生活が……。

「ヒナちゃん! 大変です!」 善さんが血相を変えて飛び込んできた。

「……今度はなんだい? 宇宙人でも来たかい?」

「違います! ……学校です!」

「……学校?」

「中学校から電話がありました! 『小金沢ヒナさん、出席日数が足りません。このままでは内申点がゼロです。高校受験は諦めてください』って!」

「……」

私は固まった。 世界のスパイを撃退し、魔王を手玉に取る私。 その私が……「内申点」で詰む?

「……忘れてたよ。義務教育ってやつを」

さらに善さんが青ざめて続ける。

「それだけじゃないんです……。『最近、様子がおかしいので、本日、担任と学年主任が家庭訪問に伺います』って……」

「はぁ!?」

私は素っ頓狂な声を上げた。 家庭訪問? ここにかい? この魔王とスパイとマッドサイエンティストが同居する、魔窟(コガネ・タワー)にかい!?

「まずいよ! 先生が来たら、魔王軍のことがバレる! 『教育環境に問題あり』として、児童相談所に通報されちまう!」

最強の魔女、最大のピンチ。 それは「家庭訪問」だった。

次回、「担任来襲! 魔王を『おじいちゃん』と誤魔化せるか!? 地獄の三者面談・再び」 お楽しみに!
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