異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ

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第38話:公安警察(ゼロ)の襲撃! ヒナ、国家反逆罪で指名手配!?

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「……は?」

月曜日の朝。 コガネ・タワーの最上階。優雅な朝食の時間。 私のスマホに、通販サイトからの無慈悲な通知が表示された。

【決済エラー:クレジットカードが利用できません。カード会社にお問い合わせください】

「……おい、鏡。どういうことだい?」

私はスプーンを止めた。 私のブラックカードは限度額無制限だ。プリンの大人買い(五万円分)如きで止まるはずがない。

「……オーナー。確認しました」

鏡がタブレットを見ながら、珍しく表情を強張らせている。

「……全口座、凍結されています」

「……何だって?」

「当社のメインバンク、および分散させていた海外口座、さらには板東先生の個人口座に至るまで……全て『取引停止』です。理由は……『テロ資金提供処罰法』および『外為法違反』の疑い」

「……テロ?」

私が眉をひそめた瞬間。

ウウウゥゥゥゥゥゥ――ッ!!

不穏なサイレンの音が、タワーの周囲で鳴り響いた。

「ヒナ! 外を見ろ! 包囲されてるぞ!」

リオが窓際に駆け寄る。 見下ろせば、タワーの周りを埋め尽くす装甲車とパトカー。 上空には、警察のヘリが三機、旋回している。

『通告する! コガネ・タワー内の全員に告ぐ! 直ちに武装を解除し、投降せよ!』

スピーカーからの警告。

「えええええ!? け、警察!? 僕たち何かしましたっけ!?」 善さんがパニックで味噌汁をこぼす。

「……何もしてないよ。ただ、稼ぎすぎて、目立ちすぎただけさ」

私は冷静に箸を置いた。 テロ資金? 笑わせるね。魔王軍をテーマパークで働かせているのが「テロリストへの資金提供」って解釈かい。

「……正面玄関、突破されました! SAT(特殊急襲部隊)突入! 目標は最上階!」 鏡が監視カメラの映像を切り替える。 黒い装備に身を包んだ部隊が、一階のエントランスを制圧し、エレベーターホールへ向かっている。

「……どうする? やっちまうか?」 リオが拳を鳴らす。 ソファではヴェルベットが「人間風情が……灰にしてくれる!」と立ち上がり、魔王ルシファーも「我が城(ここ)を荒らすか」と殺気立っている。

「待ちな。殺しはダメだよ」

私は立ち上がった。

「相手は国家権力だ。皆殺しにしたら、私たちは日本にいられなくなる。ビジネスも終わりだ」

「じゃあどうするんだよ! 口座も止められて、袋のネズミだぞ!」

「……交渉さ。ただし、ナメられないための『挨拶』は必要だね」

私は【世界樹の杖】を手に取った。

「鏡、エレベーターを停止。非常階段の防火シャッターを閉鎖。……リオ、迎撃準備。ただし『不殺(ころさず)』で頼むよ」

「へっ、難易度高いねぇ……。了解!」

***

数分後。 タワー最上階への直通エレベーターが、強制停止された。 SAT部隊は非常階段を駆け上がってくるが、そこには「最強の番犬」が待ち構えている。

ドゴォッ! ガシャーン! 『ぐあああっ!』

階段の方から、悲鳴と金属音が聞こえてくる。リオが鉄パイプ一本で特殊部隊を「掃除」している音だ。

その隙に、一機のヘリが屋上に接近し、ラペリング降下で数名の男たちがテラスに降り立った。 彼らはSATのような重装備ではない。 グレーのスーツに、防弾ベスト。そして手には、奇妙な形状の銃を持っていた。

「……動くな。公安部特務班だ」

先頭に立つ男が、銃口を私に向けた。 四十代半ば。白髪混じりの短髪に、感情のない目をした男。 資料にあった「危険人物」、公安の堂門(どうもん)だ。

「……土足で上がり込むなんて、礼儀を知らないねぇ」

私は畳の上に座ったまま、優雅にお茶を啜った。 善さんは私の後ろで震え、ルシファーとヴェルベットは左右に控えている。

「板東ヒナ。……いや、戸籍上の実態不明な『イレギュラー』と言うべきか」

堂門は私を真っ直ぐに見た。 善さん(社長)ではなく、私(中学生)を見ている。 完全に、私が黒幕だとバレているね。

「国家反逆罪、テロ準備罪、その他諸々の容疑で逮捕する。……抵抗すれば、即時射殺も許可されている」

「射殺? このか弱い中学生をかい?」

「『か弱い』? ……先日の東京湾での光。あれは既存の兵器ではない。お前は、国家の安全保障を脅かす『兵器』そのものだ」

堂門が合図すると、部下たちが一斉に引き金を引いた。

パスッ、パスッ!

発射されたのは弾丸ではない。 太い針がついた、テイザー弾のようなものだ。

「……!」

私は杖を振るい、風圧で針を弾き飛ばそうとした。 だが。

バチバチバチッ!!

針が空中で網のように展開し、強力な電磁パルスを放った。

「ぐっ……!?」

私の杖を持つ手が痺れる。 魔力が……霧散する。 これは、紫雲の「ジャマー」と同じ原理か!?

「紫雲博士の研究データは、警察庁のデータベースにも共有されていたのでな。……魔力干渉型捕縛網(マナ・ネット)だ」

堂門が冷淡に告げる。 網が私と善さんたちを覆い尽くす。

「しまっ……魔王! ヴェルベット!」

「ぐぬぅ……! 力が……入らぬ……!」 「貴様ら……!」

魔王とヴェルベットも、まだ本調子ではない上に、このネットの影響を受けて膝をつく。

「確保せよ」

捜査員たちが私たちを取り押さえる。 善さんが手錠をかけられ、「うわぁぁん! 逮捕だぁぁ!」と泣き叫ぶ。

「……終わりだ、板東ヒナ。お前の資産も、技術も、全て国家が管理する」

堂門が私を見下ろす。

万事休す。 口座凍結、資産没収、そして逮捕。 私の夢見た平穏な老後は、冷たい独房の中で終わるのか?

……いいや。 終わらせないよ。

私は床に這いつくばりながら、ニヤリと笑った。

「……いいのかい? 私たちを捕まえて」

「負け惜しみか?」

「……『東京デビルズ・キャッスル』。あそこのキャスト(魔物)たちが大人しいのは、誰のおかげだと思ってるんだい?」

堂門の眉がピクリと動く。

「彼らはね、私との『雇用契約』で縛られているんだ。……もし、私が逮捕されて、給料(食料)が支払われなくなったら……どうなると思う?」

私は、堂門の目をまっすぐに見た。

「数千体の魔物、腹を空かせたオーク、人間を恨むスケルトン……。彼らの『首輪』が外れるんだよ」

ゴゴゴゴゴ……。

その時、タワーが揺れた。 地震ではない。 東京湾の方角から、空気が震えるような咆哮が聞こえたのだ。

『魔王様ヲ返セェェェェ!!』 『社長ヲ解放シロォォォ!!』 『給料(エサ)ヲ寄越セェェェェ!!』

海を越えて、数万の魔物の叫びが届く。

「……なっ!?」

堂門が無線機に耳を当てる。

『ほ、本庁より緊急入電! 東京湾の魔王城から、魔物の群れが出撃しました! 数、測定不能! お台場方面へ侵攻中!』 『海保の巡視船、突破されました! 止められません!』

「……馬鹿な。制御下にあるのではなかったのか!?」

「制御してたさ。……たった今まではね」

私はネットの中で笑った。 私が捕まれば、契約は自動的に「緊急モード」に移行する。 つまり、『社長奪還作戦』の決行だ。

「さあ、どうする? 私を連行して、東京を火の海にするかい? それとも……」

私は手錠をかけられた両手を突き出した。

「今すぐこの手錠を外して、口座の凍結を解除して……『業務提携』の話をするかい?」

堂門の顔に、脂汗が滲む。 国家の威信か、首都の壊滅か。 究極の二択。

その時。 ドォォォォン!!

タワーの窓の外に、巨大な黒い影が現れた。 魔王軍の飛竜部隊(ワイバーン)だ。 その背中には、完全武装したオークたちが乗っている。

『人間ドモ! 直チニ降伏セヨ! サモナクバ、コノ塔ヲ倒壊サセル!』

ガラス越しに、ワイバーンが火炎のブレスを溜めている。

「……ひぃぃぃ! 焼かれるぅぅ!」 善さんが絶叫する。

堂門は、ワイバーンと、私を交互に見て……。 ギリリ、と歯ぎしりをした。

「……総員、武装解除」

堂門が苦渋の決断を下した。

「……ネットを解け。……交渉に応じる」

「賢明な判断だね」

私はネットから解放されると、痺れた手を振った。

「さあ、商談といこうか。……高くつくよ、私の保釈金は」

国家権力vs魔女。 勝者は、圧倒的な「暴力装置」を味方につけた私だった。

だが。 この騒動は、日本国内だけで収まるものではなかった。 世界中の諜報機関が、日本の「魔王軍」と「謎の少女」に注目し始めていたのだ。

次回、「CIA、KGB、MI6! 世界のスパイがコガネ・タワーに大集合」 お楽しみに!
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