異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ

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第46話:聖女アリスの『異端審問』! 学園祭は断罪のステージ!?

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「……やっと見つけましたわ。『先代聖女』様?」

教室の空気が凍りついた。 転校生、アリス・サンクチュアリ。 彼女の放った言葉は、クラスメイトたちには「イタイ中二病発言」に聞こえただろう。 だが、私にとっては死刑宣告にも等しい一言だった。

「……何の冗談かな? アリスさん」

私は頬を引きつらせながら、精一杯の「無垢な中学生」スマイルを返した。

「聖女? ゲームの話? 私、そういうの詳しくなくて……」

「とぼけても無駄です」

アリスは私の机に歩み寄り、至近距離で私の瞳を覗き込んだ。 その碧眼(へきがん)は、透き通るように美しいが、同時に底知れない狂信的な光を宿している。

「私には視(み)えます。あなたの魂に刻まれた、かつて世界を救った『聖なる光』の残滓が。……そして、その光が今、どす黒い『欲望(カネ)』と『邪悪(魔王)』にまみれて濁っていることも!」

「……失敬な。濁ってるんじゃないよ、熟成されたんだよ」

おっと、本音が漏れた。

「えーっと、アリスちゃん? いきなり何の話?」 クラスの女子が戸惑って声をかける。

アリスはパッと笑顔になり、クラスメイトに向き直った。

「ごめんなさい! 私、日本の『アニメ』にすごく興味があって……つい、なりきってしまいましたの! テヘッ☆」

「なーんだ、ビックリしたー!」 「可愛い~! オタクなんだ!」

クラスの空気が一瞬で緩んだ。 ……こいつ、デキる。 「聖女の愛嬌(広範囲バフ)」というスキルを完璧に使いこなしている。外面の良さなら私も負けないが、彼女のそれは天然モノだ。

だが、私に向ける視線だけは、冷徹な異端審問官のそれだった。

***

昼休み。屋上。 私はアリスに呼び出された。 レオナルド(勇者)も、心配そうについてきている。

「……単刀直入に言いますわ」

アリスは修道服のような制服のスカートを翻し、私を指差した。

「小金沢ヒナ。あなたは『堕ち』ましたね?」

「……人聞きが悪いね。私はただ、第二の人生をエンジョイしているだけさ」

「嘘です! あなたの家からは、禍々しい魔王の気配と、吸血鬼、そして魔獣の悪臭がプンプンします!」

アリスが鼻をつまむ。 まあ、昨日はバッファロー(牛男)も加わったからね。獣臭さは否定できない。

「かつての聖女が、あろうことか魔王を匿い、使役しているなど……これは重大な『教義違反(ヘレシー)』です。即刻、教会へ連行し、再教育を行います!」

アリスが懐から、分厚い聖書(鈍器)を取り出した。

「待ってください、アリス!」

レオナルドが割って入った。

「彼女は……確かに怪しいですが、今はまだ『監視対象』です。魔王も力を失っていますし、今のところ人間に害はなしていません」

「レオナルド様! あなた、この魔女にたぶらかされているのですか!?」

アリスが悲痛な叫びを上げる。

「魔女ではありません。彼女は……その、僕の『友達』です」

「と、と……!?」

アリスが絶句した。 そして、私をギロリと睨んだ。

「……なるほど。勇者様まで籠絡(ろうらく)するとは。恐ろしい『年増』のテクニックですわね」

「誰が年増だ。ピチピチの14歳だよ」 中身88歳だけど。

「よろしいでしょう」

アリスは聖書を閉じた。

「力ずくで連行するのは簡単ですが、それではレオナルド様の目が覚めないかもしれません。……そこで、決闘を申し込みます」

「決闘? 野蛮だねぇ。まさか殴り合いかい?」

「いいえ。……聖女たるもの、人望で勝負です」

アリスはニヤリと笑った。

「来週の『学園祭』。……それぞれのクラスの『出し物』で勝負です。もし私のクラスが、あなたのクラスより多くの『売上』と『集客』を稼いだら……あなたの負け。大人しく浄化されていただきます」

「……ほう」

私の目が光った。 魔力勝負なら分が悪いが、「売上」勝負? 商売で私に挑もうって言うのかい?

「面白い。受けて立つよ」

私は腕を組んだ。

「逆に私が勝ったら?」

「……その時は、あなたの『堕落』を一時的に黙認しましょう。そして、私があなたの監視役(メイド)として、その腐った性根を叩き直して差し上げます!」

「メイドはいらないけど……まあいい。契約成立だ」

聖女vs元聖女。 どちらも「支援職」ゆえに、自分一人では戦えない。 だからこそ、他人を巻き込んだ「集客バトル」になるのは必然だ。

***

放課後。コガネ・タワー。 私は緊急家族会議を招集した。

「……というわけで。来週の学園祭、絶対に負けられない戦いが始まった」

私がちゃぶ台を叩くと、ルシファー(着物)、ヴェルベット(ジャージ)、バッファロー(作業着)、リオ、鏡、善さんが顔を上げた。

「学園祭か……。我も行ってよいのか?」 ルシファーが目を輝かせる。

「行くも何も、あんたたちが『主力』だよ」

私はホワイトボードに作戦名を書きなぐった。

【オペレーション・マネー・イズ・パワー】

「私のクラスの出し物は『喫茶店』に決まった。……だが、ただの喫茶店じゃない。アリスのクラスは、聖女のカリスマを使った『正統派メイドカフェ』で来るはずだ。真っ向勝負じゃ勝てない」

「では、どうするのじゃ?」 ヴェルベットがポテチを食いながら聞く。

「……『コンセプト』で殴るんだよ」

私はニヤリと笑った。

「いいかい。あんたたちには、私のクラスの『特別ゲスト』として働いてもらう」

私はそれぞれの配役を発表した。

・ルシファー: 『イケオジ執事』。着物ではなく燕尾服を着せ、圧倒的覇気で客を沼らせる。

・ヴェルベット: 『生意気ロリ吸血鬼メイド』。罵倒接客でコアなファン層(ドM)を狙い撃ち。

・バッファロー: 『怪力着ぐるみマスコット』。中の人などいない設定で、子供と女性客を釣る。

・善さん: 『伝説の整体師による肩もみサービス』。疲れた保護者を根こそぎ癒やす。

・リオ&鏡: バックヤードでの調理と、SNSでのステルスマーケティング(情報操作)。

「……完璧だ」

私は自画自賛した。 魔王軍のカリスマと、現代のマーケティング理論の融合。 これで負ける要素はない。

「ヒナよ。……我は執事などせぬぞ。王だぞ」 ルシファーが不満げに言う。

「売上が一位になったら、最高級プリン『天国の口溶け(一個二千円)』を一年分やるよ」

「……『お帰りなさいませ、お嬢様』」 ルシファーが即座に膝をついた。 プライドの安売りだ。

「よし、準備開始だ! アリスの鼻を明かしてやるよ!」

***

そして、学園祭当日。

校門には『第XX回 文化祭』のアーチ。 だが、その空気は異様だった。

『いらっしゃいませ~! 聖女アリスの「奇跡のパンケーキ」はいかがですか~?』

校庭の一等地に、アリスのクラスが出店した巨大なテントがあった。 白を基調とした神聖な雰囲気。 アリス本人が、純白のエプロンドレスを着て、慈愛の微笑みで客引きをしている。

「……あ、アリス様……! 尊い……!」 「パンケーキを食べたら、なんか元気が出た!」 「疲れが吹き飛んだ! もう一皿!」

客たちが幸せそうな顔でパンケーキを食べている。 あれは……パンケーキに微弱な【体力回復】と【精神高揚】の支援魔法をかけているね。 ドーピングすれすれだが、聖女としては正しい力の使い方だ。

「……やるねぇ、現役聖女」

私は校舎の3階、自分たちの教室からそれを見下ろした。 アリスのテントには長蛇の列。 一方、ウチのクラスの喫茶店『魔界の誘惑』は……まだ客足が鈍い。

「……ヒナ。客が来ぬぞ。我の執事服が無駄になる」 ルシファーが暇そうに紅茶を淹れている。

「焦るんじゃないよ。……鏡、仕込みは?」

インカム越しに鏡の声。 『完了しました。……学園祭の公式SNS、および周辺の地域掲示板に、「ヤバい店がある」と拡散済みです』

「よし。……作戦開始だ!」

私が指を鳴らすと、教室の扉が開かれた。

「おい、人間ども! 妾の給仕を受けたい変態はどこじゃ!」

ヴェルベットが廊下に出て、通りがかりの男子生徒を指差した。

「そこの眼鏡! お前じゃ! さっさと入らぬか!」

「は、はいぃぃ! 入りますぅぅ!」 罵倒された男子が、幸せそうな顔で吸い込まれていく。

「グルルッ! モフモフシテモイイゾ!」 バッファロー(着ぐるみ設定だが、ほぼ生身)が、女子高生たちに囲まれて筋肉ポーズを決める。 「キャー! キモーい! でもすごーい!」

そして、極めつけは。

「……迷える子羊たちよ。癒やしを求めているかね?」

ルシファーが、低音ボイス(覇気マシマシ)で、PTAのマダムたちに微笑みかけた。

「……ッ!!」

ズキュゥゥゥン! マダムたちのハートが撃ち抜かれる音が聞こえた。

「す、素敵……!」 「あの方、誰なの!? 校長先生!?」 「いいえ、もっと高貴な……王族のオーラよ!」

マダムたちが雪崩のように教室に押し寄せる。

「いらっしゃいませー!!」 クラスメイトたちが悲鳴のような歓声を上げる。

私の作戦は的中した。 アリスの「回復」に対し、こちらは「支配」と「中毒性」で対抗する。 午後には、ウチのクラスの廊下は満員電車のような有様になった。

「……ぐぬぬ……! 何ですの、あの邪悪な行列は!」

グラウンドのアリスが、悔しそうにこちらを睨んでいる。 彼女のパンケーキも売れているが、こちらの「魔王執事の紅茶(一杯千円)」の利益率には勝てない。

勝負あったか。 そう思った時だった。

『キャアアアアアッ!!』

校庭から悲鳴が上がった。

「……なんだい!?」

窓から見下ろすと、アリスのテントの横で、地面が割れ、黒い煙が噴き出していた。

「……時空の亀裂!?」

煙の中から現れたのは、巨大な芋虫のような魔物。 『魔界ワーム』だ。 なぜこんな時に!? おそらく、ここに集まったルシファーたちの魔力に引き寄せられたんだ。

「……ふふっ。チャンスですわ!」

アリスが叫んだ。

「皆様! 逃げてください! 私が食い止めます!」

アリスがエプロンを脱ぎ捨て、修道服姿に戻る。 そして、光り輝く杖(本物)を取り出した。

「聖なる盾よ! 我らを守り給え!」

(――防御術式展開。【聖域の盾(サンクチュアリ・シールド)】!)

アリスの前に、巨大な光の障壁が出現した。 ワームが頭から突っ込むが、バィィィン! と弾かれる。

「……おおっ! すごい!」 「アリスちゃんが守ってくれた!」

生徒たちから歓声が上がる。 しかし。

「……くっ、重い……!」

アリスの顔が歪む。 ワームは巨大な体で、何度も何度も障壁に体当たりをしてくる。 ドガン! ドガン!

そう、聖女は「守る」ことはできても、「倒す」ことはできない。 攻撃魔法を持たない彼女には、決定打(DPS)がないのだ。 普段なら勇者(レオナルド)が剣を振るうところだが、彼は今、別の場所で警備に当たっていて間に合わない。

「……誰か! 攻撃を! 私の手が塞がっている間に!」

アリスが叫ぶが、周りにいるのはただの生徒たちだ。 ワームは障壁の下の土を掘り返し、アリスの足元から侵入しようとしている。

「……まずいね。あの子、食われるよ」

私は教室の窓から身を乗り出した。 私も聖女(元)だ。攻撃魔法は使えない。 アリスと同じく、私にも決定打はない。

だが、私には「手駒(筋肉)」がいる。

「……バッファロー! 善さん! 出番だよ!」

「ヒナ! どうするのじゃ!?」 ヴェルベットが聞く。

「……『人間砲弾』だ!」

私は善さんの背中をバシッと叩いた。

(――支援術式。【鋼鉄の肉体(アイアン・ボディ)】・【衝撃吸収(ショック・アブソーブ)】!)

「バッファロー! 善さんを投げろ! あのワームの眉間を狙え!」

「承知! 食ラエ!」

バッファローが、金色のオーラを纏ってカチカチになった善さんを、片手でひっつかんだ。

「ええええええええ!?」 善さんが手足をバタつかせる。

「パパ・ミサイル、発射!!」

ドヒュオオオオッ!!

バッファローの剛腕から放たれた善さんが、音速で空を飛んだ。

「ひぃぃぃぃぃぃ!!」

ドゴォォォォォン!!!

鋼鉄と化した善さんの頭突きが、ワームの眉間にクリーンヒットした。 アリスの障壁を越え、物理的な質量攻撃がワームの脳天を砕く。

ワームは「ギュエッ!?」と鳴き声を上げ、校庭の真ん中に落下して気絶した。 善さんは反動でバウンドし、花壇にスポッと埋まった。

静まり返る校庭。 土煙の中、アリスがへたり込む。

「……な、何ですの……今の……」

花壇から這い出した善さん(無傷)が、震えながら手を振った。

「……あ、あの……肩こり解消にいかがですか?」

『おおおおおーーーっ!!』

割れんばかりの拍手が巻き起こった。 「すげえ! あの整体師、体当たりで魔物を倒したぞ!」 「さすがゴッドハンド!」 「演出か!? すごいショーだ!」

アリスが、ポカンと口を開けてその光景を見ていた。 彼女の「守るだけの奇跡」よりも、善さんの「体を張った攻撃(?)」が、観客の心を掴んでしまったのだ。

「……勝負あり、だね」

私はニヤリと笑った。 聖女に必要なのは祈りじゃない。物理(タンクとアタッカー)を指揮する能力さ。

後日。 売上集計の結果、私たちのクラスが圧勝。 アリスは悔し涙を流しながら、約束通り私の元へやってきた。

「……約束ですわ。しばらくの間、あなたの『メイド』になって監視してあげます」

「だからいらないって」

「いいえ! 敵を知るには懐からです! ……それに」

アリスは私の部屋(コガネ・タワー)を見回し、ボソッと言った。

「……ここ、教会の寮よりご飯が美味しそうですし」

こうして。 勇者に続き、聖女までもが我が家に居候することになった。 魔王、四天王、マッドサイエンティスト、勇者、聖女。 ……これ、何のパーティだっけ?

だが、平穏(カオス)は束の間。 新たな脅威は、空からでも、異世界からでもなく。 「地下」から迫っていた。

コガネ・タワーの地下深層。 紫雲が掘り進めていた「魔力炉」のさらに奥で。 ついに「それ」が目を覚ます。

次回、「地下ダンジョン発見!? ヒナ、埋蔵金(あくま)を掘り当てて大儲け?」 お楽しみに!
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