異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ

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第48話:地底の主、激怒! ヒナのタワーが沈没の危機!? 決死の杭打ち作戦

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「……おい、ヒナ。茶柱が……斜めに立っておるぞ?」

コガネ・タワー最上階のリビング。 魔王ルシファーが、自身の湯呑みを凝視して言った。 確かに、湯呑みの中のお茶の水面が、不自然に傾いている。

「……気のせいだよ、おじいちゃん。三半規管が弱ってるんじゃないのかい?」

私がそう返した直後だった。

ズズズズズ……ガクンッ!!

巨大な衝撃と共に、リビングの床が大きく傾いた。 ちゃぶ台が滑り落ち、ヴェルベットが「きゃあ!」と転がり、善さんが「ひぃぃぃ!」と窓枠にしがみつく。

「な、なんだ!? 地震か!?」 レオナルドが聖剣のケースを掴んで立ち上がる。

「違う! ……タワーが『沈んで』いる!」

私は窓の外を見た。 景色が……動いている。 隣のビルとの比較で分かる。このタワー全体が、ズルズルと地下へ引きずり込まれているのだ!

「鏡! 状況報告!」

壁のスピーカーから鏡の悲鳴に近い声が響く。

『オーナー! 地下5階の「大穴」が拡大しています! ……その奥から、「何か」がタワーの基礎(パイル)を食い破っています!』

「食ってるだって!? 私の80億円の資産をかい!?」

『映像送ります!』

モニターに映し出されたのは、地獄のような光景だった。 紫雲が掘った大穴の底から、巨大な「口」が出現している。 無数の牙が回転する、直径50メートルはあろうかという巨大なミミズ――いや、地竜だ。

『……解析完了。個体名「エンシェント・グランド・イーター」。……太古の昔から地底に眠る、伝説のS級魔獣です!』

「……また伝説級かよ!」

私は頭を抱えた。 こいつ、私たちが地下で採掘した鉱石の匂いと、タワーの魔力炉のエネルギーに釣られて目覚めたんだ。 このままじゃ、コガネ・タワーは地下深くに引きずり込まれ、あいつの餌食になる。

「……許さないよ」

私はギリリと歯ぎしりをした。

「私の城を……私の安住の地を……土足で荒らす害虫め!」

私は叫んだ。

「総員、迎撃! ……いや、『基礎工事』を行うよ!」

***

私たちは傾いたエレベーター(非常用ブレーキが作動中)を無理やり降下させ、地下5階へとたどり着いた。 そこはもう、足場がないほど崩落が進んでいた。 大穴からは巨大なミミズの頭部がせり出し、タワーの鉄骨やコンクリートをバリバリと咀嚼している。

『グオオオオオ……! 美味ナ魔力ダ……!』

「……汚い食べ方だねぇ」

私は瓦礫の上に仁王立ちした。

「おい、ミミズ野郎! ここは私有地だ! 退去しな!」

『……小サキ人間ヨ……。我ハ空腹ナノダ……。貴様ラモ食ッテヤル……』

ミミズが巨大な口を開け、私たちに向かって突進してくる。 その口からは、溶解液がドロドロと垂れている。

「レオくん! アリス! 防御陣形!」

「はいッ! させません!」 アリスが前に飛び出し、杖を掲げる。

(――防御術式。【聖域の壁(サンクチュアリ・ウォール)】!)

光の障壁が出現し、ミミズの突進を受け止める。 ズガガガガッ!! 激しい火花が散る。

「くっ……重い……! 私一人では……!」 アリスの足が地面にめり込む。

「僕が支えます!」 レオナルドがアリスの背中を支え、聖剣でこぼれてくる溶解液を切り払う。

「……持ちこたえている間に、あいつを黙らせるよ!」

私は紫雲の胸倉を掴んだ。

「紫雲! さっき掘り出した『オリハルコンの原石』はどこだ!?」

「へ? あ、あそこにあるコンテナに……」

「それを全部溶かして、一本の巨大な『杭(パイル)』に錬成しな!」

「はあ!? 今ここでですか!? 設備もなしに!?」

「やれ! 失敗したらあんたをミミズの餌にするよ!」

「ひぃぃ! やりますぅぅ!」

紫雲が狂ったように錬金術の魔法陣を描き始める。 私はさらに指示を飛ばす。

「バッファロー! あんたは『ハンマー』だ! その杭をあいつの脳天にぶち込むんだ!」

「御意! ……シカシ、相手ガ巨大過ギマス! 私ノ筋力デモ、一撃デ貫通サセルノハ……」

バッファローが不安げに言う。 確かに、相手はS級魔獣。生半可な打撃では表皮すら貫けないだろう。

「……だから、『重り』を使うのさ」

私は視線を横に向けた。 そこには、着物姿の魔王ルシファーが、優雅に腕を組んでいた。

「……ぬ? 何じゃヒナよ。嫌な予感がするぞ」

「おじいちゃん。あんた、『重力魔法』が得意だったね?」

「うむ。かつては星一つ落とせたが、今の魔力では漬物石程度じゃ」

「十分だ。……バッファローに乗っかって、あんた自身の体重を『一万倍』にしな」

「な、何だと!? 我を『重り』扱いするか!?」

「やるんだよ! 今夜の夕飯は『松阪牛のすき焼き(リベンジ)』だ!」

「……乗ろう」 即答。

「よし、準備完了だ!」

紫雲の錬成が終わり、全長10メートルの巨大なオリハルコンの杭が完成した。 銀色に輝くその杭を、バッファローが抱え上げる。

「グヌヌヌ……! 重イ!」

「おじいちゃん、乗れ!」

ルシファーがバッファローの肩に飛び乗る。

「よいしょっと。……ヒナよ、すき焼きの卵はヨード卵・光にしてくれよ?」

「分かったよ! ……アリス、障壁解除! レオくん、道を開けろ!」

「はいッ!」 アリスが障壁を消すと同時に、レオナルドが聖剣を一閃。 ミミズの顔面に一太刀浴びせ、怯ませる。

『ギャオッ!?』

「今だ! バッファロー!」

私は杖(代わりの鉄パイプ)をバッファローに向けた。 私の全魔力を注ぎ込む、最大級の支援(バフ)だ!

(――支援術式展開。【超・剛力招来(ギガント・パワー)】・【硬化貫通(ピアシング)】・【落下速度上昇(メテオ・ドライブ)】!!)

「ウオオオオオオオオオッ!!」

バッファローが全身から赤い蒸気を噴き出しながら跳躍した。 地下の大空洞の天井スレスレまで飛び上がる。

そして、ルシファーが指を鳴らす。

「……重力操作。【万有引力(グラビティ・プレス)】」

ズシンッ!!!

バッファローとルシファーの質量が、一瞬で超高密度化する。 彼らは、オリハルコンの杭を構えたまま、流星となってミミズの脳天へ落下した。

「必殺! 筋肉(マッスル)・パイル・ドライバー!!!」

ドッゴオオオオオオオオオン!!!!

凄まじい轟音が響き渡り、地下空洞が激しく揺れた。 オリハルコンの杭は、ミミズの硬い表皮を豆腐のように貫き、その巨体を地下の岩盤ごと深々と縫い止めた。

『ギ……ギャ……ア……』

ミミズは断末魔を上げ、ビクンと痙攣して動かなくなった。 杭はミミズを貫通し、さらに下の地脈(レイライン)まで達している。

「……決まったね」

私は土煙の中でニヤリと笑った。

杭が地脈に刺さったことで、そこから溢れる純粋な魔力が、杭を通して逆流してくる。 それはそのまま、コガネ・タワーの新たな、そして強大な「エネルギー源」となった。

「……タワーの傾き、修正されました!」 鏡がモニターを確認して叫ぶ。

「魔力炉出力、安定! ……すごい! これなら東京中の電力を賄えますよ!」 紫雲が狂喜乱舞する。

「……ふぅ。やれやれ」

バッファローが、元のサイズ(それでもデカいが)に戻ったルシファーを肩に乗せて戻ってきた。

「主ヨ、軽カッタデス」 「うむ。良い眺めであった」

「……信じられませんわ」 アリスが呆然としている。 「S級魔獣を、一撃で……。これが『先代』の指揮能力……」

「……勉強になります」 レオナルドも剣を収め、敬意を表した。

「ま、こんなもんさ」

私は瓦礫に座り込んだ。 タワーは守られた。 そして、地下には莫大な資源と、無限の魔力源。 さらには、この大穴を利用して、地下深層までの直通エレベーターを作れば……。

「……鏡」

「はい」

「ここを『コガネ・アンダーグラウンド・ダンジョン』として開放するよ」

「……え?」

「入場料を取って冒険者に開放するんだ。魔物は湧くし、レア鉱石も採れる。……最高のテーマパークになるじゃないか」

私は電卓を弾いた。 地上は「魔王城」。地下は「ダンジョン」。 コガネ・タワーは、世界最大のアミューズメント施設にして、魔力エネルギー供給公社へと進化する。

「……社長。あなたは本当に……転んでもただでは起きませんね」 鏡が苦笑する。

「当たり前さ。……さあ、帰ろう。すき焼きが待ってるよ!」

こうして、私たちは地下の危機を乗り越え、さらなる富を手に入れた。

だが。 私が調子に乗っている時こそ、最大の落とし穴があるのが世の常だ。

数日後。 タワーのリビングで、優雅にすき焼きを食べていた私たちのもとに、一通の封筒が届いた。 差出人は……『国税局・査察部』。

「……マルサかい」

中身は、コガネ・グループに対する、大規模な税務調査の通告だった。 魔王軍の雇用形態、ダンジョンの資源採掘権、異世界技術の特許……。 法的にグレー(というかブラック)な案件の数々が、ついに国家のメスを入れられようとしている。

そして、査察官としてやってきたのは、あの男だった。

「……お久しぶりですね、ヒナさん」

眼鏡を光らせ、電卓片手に現れたのは……かつて私に融資を断り続けた、あの銀行員・冷泉(れいぜい)だった。 彼は銀行を辞め、国税局のエースとして戻ってきたのだ。

「……今度こそ、あなたの『錬金術』の化けの皮を剥がして見せますよ」

最強の魔女 vs 最強の徴税人。 魔法の通じない「税金バトル」の幕開けだ!

次回、「マルサの男、襲来! 脱税疑惑(100億円)を回避せよ!」 お楽しみに!
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