異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ

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第59話:カオス・ディフェンス! 米軍と魔術師が社食でカレーを食う日

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「撃てェェェ! ロビーのシャンデリア(特注品)には当てるなよ!!」

コガネ・タワー1階エントランス。 私の怒号が、銃声と爆音にかき消される。

「Fire! Keep suppressing!(撃て! 制圧射撃を続けろ!)」 「我らが魔術の深淵を見せてやる! 【火球(ファイア・ボール)】!」 「オラァ! どけ魔物ども! 社長の資産を守れぇ!」

米軍特殊部隊デルタフォース。 魔術結社グリモワール。 元・黒竜会(現・コガネ警備保障)。 そして魔王軍。

本来なら殺し合うはずの四勢力が、背中合わせで円陣を組み、全方位から押し寄せる古代のアンデッド軍団と戦っていた。 まさにカオス。呉越同舟の極みだ。

「……Shit!(クソッ!) こいつら、硬すぎるぞ!」

デューク大佐がアサルトライフルを連射するが、錆びついた鎧を着たスケルトンナイトは、銃弾を弾き返して前進してくる。 物理耐性が高い上位種だ。

「……退きなさい、科学使い。魔法が効くわ! 【氷結の矢(アイス・アロー)】!」

賢者クロウリーの弟子たちが氷の魔法を放つが、今度はゾンビ集団が数に物を言わせて肉の壁となり、魔法を受け止める。 魔法耐性を持つ腐肉だ。

「……効率が悪いねぇ!」

私は瓦礫の上に立ち、杖(指揮棒)を振るった。

「……いいかい! 科学と魔法を混ぜるんだよ!」

「……What?(なに?)」

「お前たちの銃弾に、魔法使いがエンチャント(付与)をかけるんだ! ……クロウリー! 兵士の銃に『火属性』を付与しな!」

「なっ、軍人の武器になど……!」 クロウリーが渋る。

「やるんだよ! カレーに福神漬けをつけるのと同じだ! 相乗効果(マリアージュ)だよ!」

「……ええい、ままよ! 若い衆、やってみせい!」

魔術師たちが杖を兵士の銃にかざす。

(――付与術式。【紅蓮の弾丸(フレイム・バレット)】!)

兵士たちのライフルの銃口が赤く輝いた。

「……Magic ammo?(魔法弾薬だと?) ……Hah! Interesting!(面白い!)」

デューク大佐がニヤリと笑い、トリガーを引く。 ダダダダダッ!! 放たれた弾丸は空中で炎を纏い、着弾と同時に爆発した。

ドカァァァン!!

「ギャアアアアッ!」

物理耐性を持つスケルトンが、炎の爆発で粉々に砕け散る。 ゾンビたちも一瞬で炭化していく。

「……Excellent!(最高だ!)」 「おお! ワシらの魔力が、あのような連射速度で!」

科学の連射力 × 魔法の破壊力。 最強のコラボレーションが誕生した。

「……すごい」 レオナルドが聖剣でガーゴイルを斬り伏せながら感心している。

「私たちも負けてられませんわね! レオナルド様!」 アリスが【聖光】でアンデッドを弱体化させ、そこをレオナルドが刈り取る。

そして、極めつけは。

「……邪魔じゃ雑魚ども」

幼児化したルシファー(ショタおじいちゃん)が、バッファローの肩に乗って戦場を見下ろす。 魔力切れで派手な魔法は使えないが、魔王の威厳は健在だ。

「……バッファローよ。あれを使え」

「御意! ……新兵器、行キマス!」

バッファローが背負っていた巨大なタンクのノズルを構える。 中身は、アリスが生成した「高濃度聖水」だ。

「……【聖水消毒(ホーリー・シャワー)】!!」

ブシャアアアアアアアッ!!

バッファローが高圧洗浄機のように聖水を撒き散らす。

「ギャアアアア!?」 「浄化サレルゥゥゥ!」

アンデッドたちが聖水を浴びて次々と成仏していく。 地獄絵図なのか天国なのか分からない光景だ。

数十分後。 最後のモンスターである巨大なデュラハン(首なし騎士)が、デューク大佐のロケットランチャー(聖属性付与ver.)によって爆散し、戦いは終わった。

「……Clear.(クリアだ)」

硝煙と魔力の残滓が漂うエントランス。 兵士も、魔術師も、半グレも、その場に座り込んだ。 全員、泥と煤まみれだ。

「……終わったね」

私は大きく息を吐いた。 タワーは……ボロボロだ。壁は穴だらけ、床は焦げ跡だらけ。 だが、倒壊は免れた。

「……Hey, Little Girl.(おい、小娘)」

デューク大佐が立ち上がり、私に歩み寄ってきた。 その隣には、賢者クロウリーもいる。

「……約束はどうなった?」 「うむ。……『報酬』があると言ったな?」

彼らの目は、死線を越えた男たちの飢えた目だった。

「……分かってるよ」

私は指を鳴らした。

「リオ! 鏡! ……社食(カフェテリア)を開放しな!」

***

コガネ・タワー2階、社員食堂。 普段は魔王軍がたむろしている場所が、今日は異様な光景になっていた。

長テーブルには、米軍兵士とローブ姿の魔術師、そしてチンピラ風の男たちが交互に座っている。 彼らの前には、湯気を立てる大盛りの皿。

『コガネ特製・牛すじカレー(大盛り)』だ。 (※スーパーの半額肉を、紫雲が開発した圧力鍋で煮込んだもの)

「……Eat up.(食え)」 「……いただくとするか」

兵士たちがスプーンを口に運ぶ。 一口食べて……目を見開いた。

「……Oh my god.」 「……美味い!」

「スパイスの調合が絶妙じゃ! これも錬金術か!?」 「肉が……口の中で溶けるぞ!」

ガツガツガツッ! むさぼるような音が食堂に響く。 戦いの後の空腹に、濃厚なカレーが染み渡る。

「……おかわり!」 「Me too!」

「はいはい、並んでくださいねー」 エプロン姿のアリスとヴェルベットが、給仕係として走り回っている。 聖女と吸血鬼に給仕される米軍と魔術師。どんな接待だ。

「……悪くない味だ」

デューク大佐が、食後のコーヒー(インスタント)を飲みながら私に言った。

「……このタワーの地下には、まだ『脅威』が眠っているようだな」

「……ああ。あの扉はまだ開いている」

「……我々米軍は、引き続きこのエリアを監視する。……ただし、強硬手段は控えてやろう」

大佐はチラリとカレーの鍋を見た。

「……ここの食事が食えるなら、駐留するのも悪くない」

「ワシらもじゃ」 クロウリーが口髭についたカレーを拭う。 「あの地下の扉……魔法的な封印が必要じゃろう。我らグリモワールが、技術協力を惜しまないでおこう。……ま、タダとは言わんが、このカレーを賄いに出すなら考えてやる」

どうやら、彼らの胃袋は掴んだらしい。 『ドラゴン・ハート』の所有権についても、なし崩し的に「株式会社コガネが管理し、米軍と魔術師が監視(という名目で居座る)」というグレーな決着に落ち着いた。

「……やれやれ。食い扶持が増えただけじゃないか」

私はため息をついた。 魔王軍に加えて、米軍と魔術師まで入り浸るタワー。 私の平穏な老後はどこへ消えたのか。

その夜。 全てが終わり、静けさを取り戻したリビングで。 私は一枚の請求書を前に、頭を抱えていた。

【タワー修繕見積書】 合計金額:3億8千万円

「……赤字だ」

ダンジョンのオリハルコンを売っても、修繕費と今回の戦闘経費(弾薬代、カレー代、そして黒竜会の治療費)で相殺される。 むしろマイナスだ。

「……働こう」

私は涙を流しながら決意した。

「……明日から、ダンジョン入場料を値上げするよ。あと、米軍と魔術師からも『駐留費』を徴収してやる!」

こうして。 コガネ・タワー防衛戦は幕を閉じた。 タワーは守られたが、私の財布は守られなかった。

だが、休む暇はない。 翌朝、私のスマホに一件の通知が届いた。 それは、世界の裏側じゃなく、もっと身近で、もっと逃げられない場所からの呼び出しだった。

『件名:三者面談の再調整について』 『本文:小金沢ヒナ様。度重なる欠席により、進級が危ぶまれています。至急、保護者同伴で学校へ来てください。担任より』

「……忘れてた」

世界を救っても、出席日数は増えない。 最大の敵は、地下でも空でもなく、「義務教育」だった。
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