恋雨空

NISHINO TAKUMI

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8話

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里奈が転校してきて、早1ヶ月。
俺達は明日に迫った秋の修学旅行の予定を確認していた
俺と里奈は途中参加のため、班に所属していなかった。
しかし、佐々木先生の考慮で
沖縄に行くという優翔、玲香、七海の班に入ることになった。
沖縄の国際通りや美ら海水族館という定番のコース巡りを
することになっているらしい。
里奈も馴染んで来てはいたが…俺といるときのリーダーシップは
クラスにいるときはまだ発揮できていない。

しかし、部活になるとうって変わって…
インターハイ1位の俺と里奈のツートップに
皆はついてくる…という形に変わっていた。
玲香には『最強コンビに部活のメニューは任せる』と
言われるぐらいだった。
しかし…里奈と俺の練習のしかたは兎に角真逆だった。
里奈の方向性はとにかく基礎だけを徹底する。
実践練習は最後の20分ぐらいしかやらない…というもの。
俺の方向性は基礎をしっかり前半でやって、
後半は各種目ごとに練習。そして最後に実践練習も30分以上しっかりやる…というもの。

一哉『だから…そんなに基礎だけやっても実力は延びないでしょ…』
里奈『わかってないなぁ…練習は基礎にあり!って沢木さんに言われたでしょ!』
一哉『基礎ばっかやってたら本来の実力がつかないっていってるの!基礎を否定してるわけじゃない!』
七海『里奈…一哉…ちょっと落ち着きなって…2人で仲良く決めてよ…』
2人『落ち着いてます!!』
玲香『またやってるの…?相変わらず…息ぴったりだな…合宿の時と全然違う…』
一哉『はぁ…少しは変わったかな…って合宿で思ったのに…
まったくかわってない…雄介も大変だったろうな…』
里奈『はぁ!?今、雄介は関係ないでしょ!
雄介じゃなくて一哉が死んでもよかったんじゃなくて!?』
一哉『なんだと…!?』
玲香『はい!里奈!そこまで!!!』
好一『西野先輩もそこまで!!!』
俺は好一に止められ、里奈は玲香に止められる…ということが
日常茶飯事になっていた。
七海『もう…里奈さんも一哉ももっと仲良くしなよ…
合宿の時みたいに…』

一哉『里奈がもっとおとなしくなれば…はぁ』
里奈『一哉がもっと雄介みたいに優しくなれば……はぁ…』
俺達は再び睨みあう。
玲香『やめなさいっていってるでしょ!』
七海『玲香がお母さんに見えてきた…』
玲香『やめてよ…はぁ…』
七海『仲良く仲良く!…一哉の好きなグループもいってたじゃん!ポジ○ースって!!』
一哉『はあ…玲香…メニュー決めてよ…里奈じゃ話にならない…』
俺が最後まで言い終わる前に七海に口を塞がれた。
七海『一哉!!シッ!』
玲香『わかったわかった…今日も私が決めるよ…
今日は大会形式でタイムを測ります。もちろん練習前に走り込みをやってから…皆!いくよ!』
一同『はい!』
皆が一斉に走り出す…。
教室では普通の友達のように静かなのに…。
部活になると…必ずこの喧嘩が繰り広げられる。
玲香『じゃあ…次!短距離!七海と…一哉!』
七海『一哉!!よろしくね!』
一哉『もちろん!負けないよ』
もちろん…俺が勝ち、44秒という記録を叩き出した。
七海『男女とはいえここまで差があると悔しい…』
一哉『まあまあ~体の作りがちがうからね…』

その日の練習も無事に終わり…
俺と里奈は普通に戻っていた。
里奈『一哉、帰ろうよ』
一哉『あぁ、いいよ…ああー疲れた…』
七海『(本当にこの2人不思議…)私も一緒に帰る!』
一哉『よし、帰ろう!』
俺達は4人で帰るのが日課のようになっていた。

一哉『なぁ?』
七海『ん?どうしたの?』
里奈『??』
玲香『どうしたの?一哉』
一哉『沖縄のさ部屋…1人の部屋あったよね?』
里奈『あ、あったね』
玲香『優翔がじゃんけんで負けてなかった?』
一哉『俺が1人部屋になっていいかな?』
里奈『え、なんで?病んでるの?』
一哉『そうそう…最近疲れちゃって……って違うわ!!』
七海『あははは(笑)』
里奈『じゃあ、なんで?』
一哉『んー…1人のほうが気がらくだから』
玲香『じゃ、優翔にたのめばいいじゃん?』
里奈『そうだよ』
一哉『わかった…じゃ、俺が1人部屋ってことで』
里奈『修学旅行…楽しみ!!!』
玲香『だね!!!インターハイのお祝いの感じで遊びまくろう!!!』
七海『うん!!!』



その日の夜
七海達とLINEで会話をしていた。

LINE

里奈『修学旅行たのしみだね!』
一哉『いやーゆっくり楽しもうっと…』
玲香『もう明後日だもんね!』
七海『一哉?優翔にきいたの?』
優翔『え?なんのこと?』
一哉『あ、そうだった…優翔、1人部屋変わってくれない?』
優翔『え、まじ!?いいの!?』
一哉『ああ』
優翔『じゃ、頼んだ!』
一哉『おう』
里奈『良かったね…病んでる一哉くん』
優翔『え、病んでるの?』
一哉『里奈💢…だから病んでないって』
玲香『まあまあ…とにかく遅刻しないようにね!明日!おやすみ!!』
里奈『うん!おやすみ!』
七海『一哉!皆!おやすみ!』
一哉『おやすみ~』
優翔『グッドドリームアメージング!最高に驚く夢見ろよ!おやすみ!』

という普通の高校生の会話をして俺は眠りについた?
















AM6時30分…
学校に集合していた俺達。
長い長い校長の挨拶がおわり俺達はバスへと乗り込んだ。


里奈『一哉!写真とって!』
一哉『優翔に頼めよ…zzz…』
七海『優翔も寝てるんだもん…ねぇねぇ…撮って?』
一哉『わ、わかったよ』
俺は言われた通り写真を撮る。

その後も寝てたら起こされ…の繰り返し。

お昼時になれば外での写真撮影…
一哉『(女子の写真好きという気持ちがわからない…)』
里奈達を見ると玲香を見て爆笑している。
俺は気になったので声をかけてみることにした。
一哉『なに笑ってんの?』
七海『あ、一哉…れ、玲香が…壊れた(笑)』
玲香『七海がやれっていったんじゃん!』
一哉『ん?なにを?…見せてよ』
玲香『えー……箸君箸君…』
一哉『それ俺が好きなアーティストがやってたやつ(笑)』
七海『そう!昨日番組見てたらやってて…面白いからやってもらったらにてて…ククク…』

などといつもの明るい会話をしながら空港までの
時間を俺達は楽しく過ごした。




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