恋雨空

NISHINO TAKUMI

文字の大きさ
上 下
7 / 14

7話

しおりを挟む
午後18時半


俺達はインターハイ上位を全員が奪い取るという
過去最高の結果を残していた。
里奈に1位をとられたものの七海は里奈の抜けた2位をまもり
玲香も大健闘し、3位獲得。
俺は雄介以上の結果を叩きだし、好一も全力ではしり
インターハイ初出場で4位という衝撃を残した。
インターハイが終わり里奈とも分かれてバスの中。
俺達は皆の待つ学校へもどっていた。
夏休みとともに…俺達の長い夏は終わろうとしていた。

一哉『zzz…』
七海『ねーねー、一哉~せっかくの優勝なんだからもっと
話して盛り上がろうよー』
玲香『七海…優勝したからこそ寝てるんだよ…』
七海『だって暇じゃんー…アドレナリンでて眠れないよ~』
玲香『まあわかるけど…って真春?どうしたの…』
真春『いや…皆さんの結果に感動してしまって…自分はまだまだぁなって思ったら…』
七海『ほんっと真春いいこ!食べちゃいたい!』
真春『食べられたいですぅ…』
玲香『(この2人…危ないな…)好一、来年もインターハイ狙うからね』
好一『もちろんです。来年は西野先輩の優勝を奪います!』
真春『じゃあ、私は七海さんの玲香さんの記録を抜きます!』
七海『負けないよ~?』
玲香『私も七海狙うよ~?』
七海『玲香はやめてぇ~(笑)』
🎶♪🎶♪~♪🎶♪🎶
玲香『この歌…なんだっけ…てか一哉のスマホだよね?…
でも寝かせてあげよっか』
真春『そうですね…この曲…』
七海『私、冒頭の歌詞なら歌えるよ!』
真春『え、聞きたいです!』
七海『いつもの夏と違うんだ、君は気づいていないけど~』
一哉『うるさーーーーーい!!!!』
4人『!?!?』
一哉『も…ゆっ…くり寝かせて…』
玲香『ね、寝言?げ、現実?』
七海『びっくりした…』
一哉『なんで君たちそんな元気なの…』
玲香『あ、起きてたんだ』
一哉『そりゃ…あんな大声で歌われたらね…ん?着信履歴…
真冬さんから!?なんで番号知ってるの!?』
七海『ま、真冬さん…』
玲香『相変わらず…いつの間に…』
一哉『かけ直すか…』
俺はそう言って着信履歴の番号にかけ直す。

TEL
真冬『もしもし~?』
一哉『あの…西野ですけど…なぜ番号を…』
真冬『優翔からきいたの…今どの辺かなぁって思って』
一哉『なるほど…(あいつがかければいいのに…)』
真冬『今、優翔がかければいいのに…って思った?』
一哉『え!あ…いや…すいません…』
真冬『ていうか、同期生なのになんで敬語?』
一哉『いや…なんとなく…』
真冬『まあいいけど…いまどこ?』
一哉『あと10分くらいでつきます』
真冬『優翔が学校にいるから合流して私の家来てね』
一哉『え、あぁ…わかりました…』
真冬『じゃあ、まってるね!ばいばーい!』
電話を切った途端、皆が色々聞いてくる。

七海『真冬ちゃんなんだって?』
一哉『優翔と合流してから家来てって』
玲香『他には?』
一哉『豪華に用意したからたのしみにしててだって』
真春『へぇ…料理うまいんですか?』
七海『かなりね!』
玲香『おいしかったし!』
一哉『あ、玲香はたべたことあるんた』
七海『わたしもあるよ?』
真春『えー!うらやましい!』
一哉『今日食べれるじゃん』
好一『ですね!』
玲香『まあ真冬の料理は期待していいと思うよ!』
真春『はい!』

俺たちがそんな話をしてると…やっと学校へとついた。

俺達が降りて正門の方へ歩いていくと優翔がいた。

優翔『おーい!みんな!お帰り!おめでとう!』
一哉『優翔…ただいま』
七海『ただいまー!』
玲香『やっほー!』
優翔『1年の2人もお疲れさま!』
真春『ありがとうございます!』
好一『ありがとうございます!!』
優翔『じゃ、真冬の家にいそごう!』
玲香『おー!』
真春『緊張します…』
一哉『緊張するなって…』
優翔『そうだよ~する必要なんてないよ~』
真春『は、はい…』
玲香『可愛い人だからって好一、好きになっちゃダメだよ~?』
優翔『そうだぞー!』
好一『な、なりませんよ!!』

俺達は優翔に案内されて真冬さんの家へとついた。

玲香『でか!?』
七海『うそ!?』
優翔『やっぱりいった(笑)』
一哉『真冬さんって…なんなの…』
玲香『普通の大きさなのかもしれないけど…なんか豪華』
七海『豪華なオーラなせいで大きく見える…?』
優翔『そうかもね~』
真春『優翔先輩…どうしたんですか?』
玲香『なんか他人事のような……』
優翔『まあ、皆が合宿いってる間に色々あって。まあ気にしない気にしない!』
玲香『(なんかあった…?…一哉が誘われたことと関係あるのかな…)』
七海『じゃ入ろう!』

俺達は七海に促され、動き出した。
インターホンを鳴らすと…。
真冬『あ!皆いらっしゃーい!丁度準備できたの!入って!』
一哉『お邪魔します…』
七海『お邪魔しまーす!』
真春『お、お邪魔します…』

俺達は奥のリビングに通された。

真冬『じゃあ!今日は皆!おめでとう!
インターハイ…西野君は制覇!七海と玲香は2.3位!
真春ちゃんは惜しかったけど…成宮君は4位!
この結果に……かんぱーーーい!』
一同『乾杯!!』
俺達は食事を始めた。
玲香『うっわ!おいしー!!』
真春『こんなに美味しいの食べたことないです!』
七海『ヤバイよぉ~』
真冬『西野君?どう?』
一哉『はい…おいしいです…優翔も幸せだな』
優翔『あぁ。だろ!』
一哉『おう!』
玲香『いやぁインターハイ…我ながらいい試合だった…』
七海『里奈さんがここにいないのが悔しいね…』
一哉『だな…でも…里奈がいたらえらいことになるぞ…』
真冬『里奈って誰??』
七海『一哉の幼なじみで今年の女子優勝の人だよ!めちゃくちゃ速いんだよ!』
玲香『速いよね…今日の一哉もかなり速かったけど…』
真春『動画見ますか!?決勝の動画ありますよ!』
優翔『あ!いいじゃん!見ようよ!』
玲香『なんか恥ずかしいなぁ~』
一哉『いいんじゃない?見ようよ』

俺達はまず男子決勝の動画を見た。
真冬『え!?これ!?速くない!?』
玲香『めちゃくちゃ速いでしょ!?』
優翔『す、ずげぇ…』
七海『…あ!これ!これが里奈さん!!』
一哉『あいつもやっぱ速いな…』
優翔『あ、もしかして一哉の好きな人ってこの人?』
一哉『昔のな』
優翔『へぇー!見る目はあるじゃん?』
玲香『でも、今の好きな人教えてくれないんだよね~』
七海『まあ、いつかは聞き出すけどね!』
一哉『おれは教える気ないけどね?まあ、今は楽しもうよ!』

俺達はその後2時間ほど騒ぎ続けた。
時間ももう9時をまわっていた。
しかし、せっかくの夏休みということで
真冬さんの家に全員泊まることになったのだった。
俺達は2人1部屋で空き部屋を借りることになった。

一哉『まあ、男子は3人…女子は4人…誰か1人部屋か…』
優翔『俺、好一と仲良くなりたい』
好一『俺も優翔さんともっと話したいです!』
この2人はなぜか意気投合し…師弟関係のようになっていた。
一哉『わかったよ…どうぞ』
俺はその結果…1人部屋になった。

俺が1人で真冬さんに案内された部屋で音楽を聴いていた。
『(1人でいるのが1番楽だった…か…
確かにそーだったかもしれないな…
今は…皆がいてくれる。里奈も俺を許してくれた…この曲はもう俺には必要…ない…かな?保存はしておこう…)』
『(空の下は自由だと言ってる…未来とは今が入り口か…
今…俺がこうしてる間にも未来への扉は開けようとしてるのか…)』
『(失敗しても前を向いて…君ならできる…か
このアーティスト…俺やっぱ好きだ…)』
そう思っていたとき…不意に肩をつつかれた。
俺はイヤホンを片方外して後ろを向くと七海がいた。
七海『なに聞いてるの?』
一哉『この曲…』
俺は真冬さんにイヤホンの片方を差し出した。
七海『本当にこのアーティストが好きなんだね…』
一哉『あぁ…他にもこんな曲もきいてるよ』
七海『あ…この曲は…』
一哉『決心のきっかけは理屈ではない…いつだってこの胸の衝動から始まる』
七海『いい歌詞だね…』
一哉『俺さ合宿行ってよかったよ』
七海『え?』
一哉『だって…里奈にもしっかり話せて…わだかまりが消えた』
七海『今頃…里奈さんなにしてるかなあ』
一哉『あいつのことだから…練習してるんじゃないかな?』
七海『あー、…って!夜何時だとおもってるの!(笑)』
一哉『(俺は…この七海の笑顔が好きなんだよな…)』
七海『ん?な、なに?…そんな見つめられたら恥ずかしいよ…』
一哉『ごめん…みとれてた(笑)』





ー4日後ー
4日後…俺達は学校が始まり教室にいた。
いつものように4人で登校して教室にやって来ていた。
しかし…俺は…この日、目と耳を疑うことを目にしてしまった。

佐々木『はい、では…夏休みも終わり…またこのクラスに
転校生がやってきました。新しくこのクラスの仲間になる
人がいます』
一哉『(懐かしい…俺もこんなことあったんだよな)』
などと他人事のような気持ちで転校生が入ってくるのを
待っていた。
佐々木『じゃあ…堀さん?入ってきて?』
一哉『!?』
七海『え!?』
玲香『あれって…!』
佐々木先生に呼ばれて入ってきたのは…。
佐々木『じゃ、自己紹介よろしくね』
堀『兵庫の星稜高校からやってきました。堀里奈です』
一哉『里奈!?』
佐々木『あら?知り合い?…あ、西野君も星稜だったわね…』
里奈『あ、一哉…』
同級生A『え、なになにこの展開…』
同級生B『え…まさかの知り合い?』
同級生C『ていうか…堀里奈って…一哉と一緒に新聞に載ってなかった?』
同級生A『あ!インターハイ女子優勝!?』
里奈『まあ…そうです』
一同『えー!!』
佐々木『こんな偶然ってあるものなのね…まあいいわ…
じゃあ、堀さんの席は西野くんの真後ろの席で…隣はいないけど前の2人から色々教えてもらって?』
里奈『わかりました』
里奈は何気無い顔で俺たちの後ろの席に座った。

一哉『里奈…なんで転校!?』
七海『そ、そうだよ!星陵は!?』
里奈『なんだろ…親の転勤とでも言っとく』
一哉『うそつけ…』
里奈『んー…転勤は本当だけど…転勤先は北海道
遠すぎるからって私を東京の家に預けたの』
一哉『なんかにたような感じ…』
七海『陸上部入ってくれる…?』
里奈『もちろん!』
一哉『雄介のことは…もう大丈夫?』
里奈『私はもう吹っ切れた…よ』
一哉『そっか…まあ今日から…よろしくな!』
玲香『一哉、顔がにやけてるよ~?』
里奈『私、一応雄介の彼女だよ?…まあ死んでるし…別れたも同然だけど』
一哉『そんな顔してないから!…なんか悲しいこと言うなよ…』

突然やって来たことに俺は最初戸惑ってしまったけど
実際に仲間になってみるとなんも違和感がなかった。
一哉『(昔に戻ったみたいだな…雄介…里奈が俺達の…
ところへ戻ってきたよ)』

俺そんなことを思いながらその日の授業を受けていた。


昼休み…いつもの4人に里奈を加えた5人で食事をしていた

優翔『一応俺だけ面識ないから…北野優翔!
サッカー部だけど…よろしくな!優翔って呼んでよ!』
里奈『私は一応…堀里奈だよ…よろしく優翔』
優翔『おう!……ん?あ、真冬!!こっちきて!』
入口にいた真冬さんを優翔が呼び寄せる。
里奈『だれ?』
玲香『あ、優翔の彼女の山下真冬だよ!』
真冬『山下真冬です!よろしくね!』
真冬が里奈にウィンクをする。
一哉『(やばいな…里奈が嫌いなタイプ…抑えてくれよ…)』
里奈『わたしは堀里奈。よろしく』
一哉『(ほっ…)』おれがほっとしたのも束の間…。
里奈『真冬さんって…あざといんだね』
真冬『うっ…そ、そうかな…』
優翔『ちょ!?里奈ちゃん!?目が怖い目が!』
一哉『里奈…』
里奈『…ハッ!ん?どうしたの?優翔も真冬ちゃんもそんな怯え……』
その様子を見てた七海が小声で聞いてくる。
七海『もしかして里奈さんって…』
一哉『うん…真冬さんみたいなタイプが苦手なんだ…
だから…無意識に毒をはく…』
七海『意外…』

……と、里奈の別の一面を知って、小さな恐怖を覚える
七海達であった………。

8話に続く
しおりを挟む

処理中です...