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第7章 混乱へようこそ(新4日目)
7ー6 夜 チャンドリカ(新4日目)
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作業員のライトが当たった拍子に首に付いた縄の痕と変わり果てた形相が見えた。
映像を閉じ、
「第二目標処理完了」
シーツの下、タブレットから下書きに入力する。
正義感ぶった小僧を「人狼」にしたらどう困ってどう動くか楽しみにしていたが自滅するとは思わなかった。手間は省けたが。
男なのに悲劇のヒロイン気取りで述べ立てるのには閉口した。
我々のお客様はハイソサエティだ。安っぽいお涙ちょうだいドラマは止めてほしい。古いマサラムービーの見過ぎじゃないのか。
ただ、彼は俳優のような美形ではないが愛嬌があった。女性顧客には死に様は好評かもしれない。
昨日焼死体になった14番だって、「人狼」経験者という以外に年下の可愛い男の子だから連れ回したところもあるのではないか。
(私は好みじゃないけれど)
わざわざ死ななくても、敗北者となってお金持ちの奥方のペットに飼われたならそれなりに幸せな人生を送れたかもしれないのに、勿体ない。
(駄目だ)
彼は変成狼だから今日から自分と同チームだ。負けはあり得ない。
ゲームである以上ルールは厳格に守り、全滅した初回はともかく前回の勝者には規定の金額を渡しきちんと帰宅させている。
そう、「ルール」だ。
12番高慢女の演説は痛かった。警告放送のラール・エークから薬注入のラール・ドーを抜かして一気に殺害のラール・ティーンに行ったのは確かだ。
あの時は部屋にいて良かったと後から安堵した。
緊急連絡はタブレットの右上に小さな赤い点が入る。
シーツ下でチェックすれば建築屋が天井裏で何か見つけたようだと知らされ、モニター室の動画にアクセスすると写真を撮っているところだった。自室に引き込み違反を取って殺害する段取りをとっさに組んだのは、我ながら冴えている。
バスルームから天井裏に上がる際には光が漏れる。
ごまかすために作業用ライトを意味ありげな演出入りで点灯させた。案の定動きが止まった所で腕を引き、赤3で殺害、あったかもしれない証拠も隠滅する意味で床を引きずって向かいの部屋に体半分押し込んだ。
「ラール・ティーン」
小声で言って顔は下向き、そもそも赤外線カメラからは柱と梁の陰で映らない。
顧客には自動翻訳の英語字幕が入った映像がリアルタイムで流れるが、この部分の字幕だけは消させた。技術部は間に合わないかもと言っていたが結果は成功だ。小さな声は採りきれず字幕が抜けることはよくあるので問題にはならないだろう。
顧客からはルールは公正か、恣意的ではないのかとの問い合わせが相次ぎ、回答用の私室入室罰基準の作成で同僚たちは忙しいという。
競馬を例に出されたのもよくなかった。誰が生き残るかという掛けはひとりにブックする単勝の他、三人セット枠と競馬のようで、余計疑心を煽ったらしい。
腹は立つがラクシュミは貴重な「人狼」濡れ衣枠、すぐ処理するのは得策ではない。
その辺今回の「人狼」は大丈夫だろう。
彼女を含み「狼」役を押しつけられそうな人間には手を付けていない。
前回の「人狼」は怪しまれそうな者を片っ端から襲撃し、残りは自分だけとなって処刑に持ち込まれた。
今夜は任せるがどう動くだろうか。
残りひとりの「第三目標」を処理してくれれば楽だが期待はしない。
現場にいる自分には事務作業は回ってこないものの、手跡の件でボスからは叱責のメッセージが入った。
濡れたバスルームに置いたタブレットを取って手を拭かなかった。
プレイヤーの「人狼」が動く前にディヴィア殺害を完了させると時間ばかり気にして、「雑な仕事」と言われれば反論出来ない。
技術部からは死んだ建築屋のタブレットの写真と音声録音が送られて来た。何とでも言い逃れ出来そうな淡い汚れだが、プレイヤーたちが大挙して現場を見るとなればまずい。他の何が発見されないとも限らない。
服の繊維が削れていたことには全く気付かなかった。部屋で確認したがジャージの方だ。汚れ仕事だと安物を選んだのがいけなかったのか。
ルールへの非難に留まるならいいがーいや業務としてクレームは良くないがー顧客の批判が自分に集まったら洒落にならない。
幸い今のところその手のものはないという。
それにしても状況はあまり恵まれていない。第二ステージからの参加者は今や二人だ。
ハリーが初日にサラージを選んだ理由はわかる。
第二ステージからの新入りを殺して彼らの恐怖を煽り、元からのプレイヤーたちと分断を計る。
だがその前に11番のアルジュンが処刑され、ハリーは反撃で受けた怪我で粘らず退場、次の夜には14番を陥れるためディヴィアを殺すことは避けられず、結果として今では自分とトーシタだけだ。
そのトーシタは見た目からは信じられないがローティーンだ。
運営からの潜伏者が自分であることは顧客から丸わかりで見る目は厳しくなるだろう。今後は少しでも疑われることは避け、運営ならではの特権を持っていない演技に専念する。
仕事というのはある程度障害があるほど面白い。
それを乗り越えてステップアップするのはもっと楽しい。
それより何より一番の大きな問題は「脱出計画」だ。
14番が死んだのと入れ替わりのように浮き上がってきた。あれでも短絡的な行動を抑え安心させる効果はあったのだろうか。
それに昨夜は14番を非難していた風向きが、今日になるとくるりと変わったのも予想外だった。日頃怪我や発熱の手当に励んでいたことが「タントラ」看護師の信用を厚くしたのだろうか。
ミラーワークの布を多用しているのは彼らが言うように安物での経費節約ではない。ミラーの裏にカメラが付けやすいからだ。自分が見た時には映りやすいように布の位置を調整して被せ直している。
チャンドリカが目を通しているから、運営に隠しているつもりの行動は全く意味がない。誰の書き込みかを手首のアクセサリーやお守り、覗く袖などから判断するのに映像を使う。
だが「爆弾魔」は狡猾だ。
未だ誰かわからない。
元々あった品を別の段に移し、布巾を山積みにし、上にミラーワークの布をかけるのを全部別々の人間が行っている。おそらく依頼して手分けしたのだろう。
布下を見ろ、との囁きも多数に分けていてチャンドリカもアンビカと理屈っぽくない方の女子高生・レイチェルのふたりから声をかけられた。トーシタはファルハから聞いて見た後ラクシュミにも同じことを伝えられたという。
意外なのはそのラクシュミ、12番の高慢女が脱出計画にかなり乗り気で行動していることだ。
6番のお涙ちょうだいには泣かずむしろ茶化していた女が、危険で非現実的な計画に関与しようとするのが理解出来ない。
平静なようでも監禁生活が長くなって判断力が鈍ってきたのか。
それ自体は良い。
「人狼ゲーム」を知る二人が退場した今、次に会議をまとめるのは彼女くらいだろう。だがゲーム理解は経験者と差があり、加えて心理的にも揺らいできたなら混乱に寄与することが期待できる。
ともあれ現地には脱出計画があることを知らせ、車のキーは必ず室内で保管、夕方から夜はとりわけ警戒し一歩でも建物から出たらこちらの許可を待たず射撃、生存者は捕獲しておくよう伝えた。
通常は1名社員が常駐するが、今回はいざとなれば自分かハリーの判断を仰ぐということで、隣にある同じく途中で建設が放棄されたビルに雇いの現地作業員たちのみが控えている。別ルートで雇った武装ガードマン三人もそこだ。
「精神障害で有罪を免れた若年層犯罪加害者の試験的なリハビリキャンプ」
と伝えてあるがどこまで信じているのやら。
車は発進音などが響くのを防ぐため少し離れた草地に停めてある。
キーは確かに付けっぱなしだったと物資納入に行ったチーフのひとりがメッセージでぼやいていた。
近くに集落はなく、万一車を奪われても国道に出る前にガードマンが追撃し全員始末する。最終結果が撃ち抜かれた死体の山というのも顧客にはまた一興だろう。
初回の「リアル人狼ゲーム」ではお膳立ての甲斐なくゲームは崩壊、全員が死体となった。こちらは頭を抱えたが顧客は楽しかったそうだ。このあたりの感覚はチャンドリカにはよくわからない。
今回はゲームは順調に進行しているのに全滅エンドへ流れ始めた。
(……)
本来なら13番、パンジャーブのシークを利用してかき回す予定だった。
だが思った以上にヒンディー語が通じない。監視人たちの方がマシなレベルだ。
その癖聞く耳を持たずごく簡単なヒンディーで自己主張ばかりする。使えるようなら保護するつもりだったが放置し結果プレイヤー「人狼」の餌食になった。
逆にパンジャーブ男と比べてわかったのは、監視人たちのヒンディー語能力が上がっているということだ。
これは由々しき問題だ。
採用時には英語が駄目でヒンディー語能力もかなり低い者を選び、業務上の指示はPC上の自動翻訳で彼らの母語、アッサム語だのマラヤラム語だのタミル語などに変えて意志の疎通を図っている。
だが考えてみればチーフ間はヒンディーと英語で会話、モニターの中も基本ヒンディーとヒンディー語まみれだ。
今時全く学校に通ったことがない人間は少なく皆基礎の基礎くらいは習っている。その上ヒンディー語漬けの日々では監視員の語学力が上がってもおかしくない。
秘密を守るためには、やっていることの意味がわからない単純労働者を高給で囲い込めばいいーとのメソッドが揺らいでいる。かといって使い捨てで大量の人員を使ったら秘匿が難しい。
報告書に入れ戻ったら協議しよう。
今日は仕切り直しの四日目。ボス厳命の一週間で終わらせるためにはあと三日。
6番が最後に作った資料の<村人敗北最短ルート>よりも現況は自分たち「人狼」に有利だ。ただし途中ファルハのような「事故死」がなければ期限には収まらない。ここまでスムーズに進行していると場外乱闘は望み薄だ。
(なければ対立は作ればいい)
クリスティーナでそれは有効に働いた。
ターゲットは勿論忌々しいー
映像を閉じ、
「第二目標処理完了」
シーツの下、タブレットから下書きに入力する。
正義感ぶった小僧を「人狼」にしたらどう困ってどう動くか楽しみにしていたが自滅するとは思わなかった。手間は省けたが。
男なのに悲劇のヒロイン気取りで述べ立てるのには閉口した。
我々のお客様はハイソサエティだ。安っぽいお涙ちょうだいドラマは止めてほしい。古いマサラムービーの見過ぎじゃないのか。
ただ、彼は俳優のような美形ではないが愛嬌があった。女性顧客には死に様は好評かもしれない。
昨日焼死体になった14番だって、「人狼」経験者という以外に年下の可愛い男の子だから連れ回したところもあるのではないか。
(私は好みじゃないけれど)
わざわざ死ななくても、敗北者となってお金持ちの奥方のペットに飼われたならそれなりに幸せな人生を送れたかもしれないのに、勿体ない。
(駄目だ)
彼は変成狼だから今日から自分と同チームだ。負けはあり得ない。
ゲームである以上ルールは厳格に守り、全滅した初回はともかく前回の勝者には規定の金額を渡しきちんと帰宅させている。
そう、「ルール」だ。
12番高慢女の演説は痛かった。警告放送のラール・エークから薬注入のラール・ドーを抜かして一気に殺害のラール・ティーンに行ったのは確かだ。
あの時は部屋にいて良かったと後から安堵した。
緊急連絡はタブレットの右上に小さな赤い点が入る。
シーツ下でチェックすれば建築屋が天井裏で何か見つけたようだと知らされ、モニター室の動画にアクセスすると写真を撮っているところだった。自室に引き込み違反を取って殺害する段取りをとっさに組んだのは、我ながら冴えている。
バスルームから天井裏に上がる際には光が漏れる。
ごまかすために作業用ライトを意味ありげな演出入りで点灯させた。案の定動きが止まった所で腕を引き、赤3で殺害、あったかもしれない証拠も隠滅する意味で床を引きずって向かいの部屋に体半分押し込んだ。
「ラール・ティーン」
小声で言って顔は下向き、そもそも赤外線カメラからは柱と梁の陰で映らない。
顧客には自動翻訳の英語字幕が入った映像がリアルタイムで流れるが、この部分の字幕だけは消させた。技術部は間に合わないかもと言っていたが結果は成功だ。小さな声は採りきれず字幕が抜けることはよくあるので問題にはならないだろう。
顧客からはルールは公正か、恣意的ではないのかとの問い合わせが相次ぎ、回答用の私室入室罰基準の作成で同僚たちは忙しいという。
競馬を例に出されたのもよくなかった。誰が生き残るかという掛けはひとりにブックする単勝の他、三人セット枠と競馬のようで、余計疑心を煽ったらしい。
腹は立つがラクシュミは貴重な「人狼」濡れ衣枠、すぐ処理するのは得策ではない。
その辺今回の「人狼」は大丈夫だろう。
彼女を含み「狼」役を押しつけられそうな人間には手を付けていない。
前回の「人狼」は怪しまれそうな者を片っ端から襲撃し、残りは自分だけとなって処刑に持ち込まれた。
今夜は任せるがどう動くだろうか。
残りひとりの「第三目標」を処理してくれれば楽だが期待はしない。
現場にいる自分には事務作業は回ってこないものの、手跡の件でボスからは叱責のメッセージが入った。
濡れたバスルームに置いたタブレットを取って手を拭かなかった。
プレイヤーの「人狼」が動く前にディヴィア殺害を完了させると時間ばかり気にして、「雑な仕事」と言われれば反論出来ない。
技術部からは死んだ建築屋のタブレットの写真と音声録音が送られて来た。何とでも言い逃れ出来そうな淡い汚れだが、プレイヤーたちが大挙して現場を見るとなればまずい。他の何が発見されないとも限らない。
服の繊維が削れていたことには全く気付かなかった。部屋で確認したがジャージの方だ。汚れ仕事だと安物を選んだのがいけなかったのか。
ルールへの非難に留まるならいいがーいや業務としてクレームは良くないがー顧客の批判が自分に集まったら洒落にならない。
幸い今のところその手のものはないという。
それにしても状況はあまり恵まれていない。第二ステージからの参加者は今や二人だ。
ハリーが初日にサラージを選んだ理由はわかる。
第二ステージからの新入りを殺して彼らの恐怖を煽り、元からのプレイヤーたちと分断を計る。
だがその前に11番のアルジュンが処刑され、ハリーは反撃で受けた怪我で粘らず退場、次の夜には14番を陥れるためディヴィアを殺すことは避けられず、結果として今では自分とトーシタだけだ。
そのトーシタは見た目からは信じられないがローティーンだ。
運営からの潜伏者が自分であることは顧客から丸わかりで見る目は厳しくなるだろう。今後は少しでも疑われることは避け、運営ならではの特権を持っていない演技に専念する。
仕事というのはある程度障害があるほど面白い。
それを乗り越えてステップアップするのはもっと楽しい。
それより何より一番の大きな問題は「脱出計画」だ。
14番が死んだのと入れ替わりのように浮き上がってきた。あれでも短絡的な行動を抑え安心させる効果はあったのだろうか。
それに昨夜は14番を非難していた風向きが、今日になるとくるりと変わったのも予想外だった。日頃怪我や発熱の手当に励んでいたことが「タントラ」看護師の信用を厚くしたのだろうか。
ミラーワークの布を多用しているのは彼らが言うように安物での経費節約ではない。ミラーの裏にカメラが付けやすいからだ。自分が見た時には映りやすいように布の位置を調整して被せ直している。
チャンドリカが目を通しているから、運営に隠しているつもりの行動は全く意味がない。誰の書き込みかを手首のアクセサリーやお守り、覗く袖などから判断するのに映像を使う。
だが「爆弾魔」は狡猾だ。
未だ誰かわからない。
元々あった品を別の段に移し、布巾を山積みにし、上にミラーワークの布をかけるのを全部別々の人間が行っている。おそらく依頼して手分けしたのだろう。
布下を見ろ、との囁きも多数に分けていてチャンドリカもアンビカと理屈っぽくない方の女子高生・レイチェルのふたりから声をかけられた。トーシタはファルハから聞いて見た後ラクシュミにも同じことを伝えられたという。
意外なのはそのラクシュミ、12番の高慢女が脱出計画にかなり乗り気で行動していることだ。
6番のお涙ちょうだいには泣かずむしろ茶化していた女が、危険で非現実的な計画に関与しようとするのが理解出来ない。
平静なようでも監禁生活が長くなって判断力が鈍ってきたのか。
それ自体は良い。
「人狼ゲーム」を知る二人が退場した今、次に会議をまとめるのは彼女くらいだろう。だがゲーム理解は経験者と差があり、加えて心理的にも揺らいできたなら混乱に寄与することが期待できる。
ともあれ現地には脱出計画があることを知らせ、車のキーは必ず室内で保管、夕方から夜はとりわけ警戒し一歩でも建物から出たらこちらの許可を待たず射撃、生存者は捕獲しておくよう伝えた。
通常は1名社員が常駐するが、今回はいざとなれば自分かハリーの判断を仰ぐということで、隣にある同じく途中で建設が放棄されたビルに雇いの現地作業員たちのみが控えている。別ルートで雇った武装ガードマン三人もそこだ。
「精神障害で有罪を免れた若年層犯罪加害者の試験的なリハビリキャンプ」
と伝えてあるがどこまで信じているのやら。
車は発進音などが響くのを防ぐため少し離れた草地に停めてある。
キーは確かに付けっぱなしだったと物資納入に行ったチーフのひとりがメッセージでぼやいていた。
近くに集落はなく、万一車を奪われても国道に出る前にガードマンが追撃し全員始末する。最終結果が撃ち抜かれた死体の山というのも顧客にはまた一興だろう。
初回の「リアル人狼ゲーム」ではお膳立ての甲斐なくゲームは崩壊、全員が死体となった。こちらは頭を抱えたが顧客は楽しかったそうだ。このあたりの感覚はチャンドリカにはよくわからない。
今回はゲームは順調に進行しているのに全滅エンドへ流れ始めた。
(……)
本来なら13番、パンジャーブのシークを利用してかき回す予定だった。
だが思った以上にヒンディー語が通じない。監視人たちの方がマシなレベルだ。
その癖聞く耳を持たずごく簡単なヒンディーで自己主張ばかりする。使えるようなら保護するつもりだったが放置し結果プレイヤー「人狼」の餌食になった。
逆にパンジャーブ男と比べてわかったのは、監視人たちのヒンディー語能力が上がっているということだ。
これは由々しき問題だ。
採用時には英語が駄目でヒンディー語能力もかなり低い者を選び、業務上の指示はPC上の自動翻訳で彼らの母語、アッサム語だのマラヤラム語だのタミル語などに変えて意志の疎通を図っている。
だが考えてみればチーフ間はヒンディーと英語で会話、モニターの中も基本ヒンディーとヒンディー語まみれだ。
今時全く学校に通ったことがない人間は少なく皆基礎の基礎くらいは習っている。その上ヒンディー語漬けの日々では監視員の語学力が上がってもおかしくない。
秘密を守るためには、やっていることの意味がわからない単純労働者を高給で囲い込めばいいーとのメソッドが揺らいでいる。かといって使い捨てで大量の人員を使ったら秘匿が難しい。
報告書に入れ戻ったら協議しよう。
今日は仕切り直しの四日目。ボス厳命の一週間で終わらせるためにはあと三日。
6番が最後に作った資料の<村人敗北最短ルート>よりも現況は自分たち「人狼」に有利だ。ただし途中ファルハのような「事故死」がなければ期限には収まらない。ここまでスムーズに進行していると場外乱闘は望み薄だ。
(なければ対立は作ればいい)
クリスティーナでそれは有効に働いた。
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