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第2章 これは生き残りのゲーム(2日目)
2ー1 惨劇の序章
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その朝は怒号と悲鳴のパニックで始まった。
男子棟での死亡者が2人、渡り廊下で1人、女子棟では2人。他に外へ出たとの行方不明者が多数ー
とスティーブンが把握したのは起床時刻から1時間以上後の6時過ぎだった。
死者の葬送が出来るのは6時半からの30分間だけだ。
やらなければならないことが多すぎる!
土葬にするムスリムのアティフは中央窓の前に、それ以外は火葬室の前へとラジューに命じ遺体を移動させ男性は完了した。
(後は)
「女子棟にはいつ入れるかー」
「おれが聞いてくるよ!」
火葬室前に集まっていた中からヤトヴィックが立ち上がった。
広間の絨毯の上で何人かの女子が啜り泣いている。中央窓の前には白いシーツが敷かれひとり安置されている。
「悪いけど、女子棟に入れるか聞いてくれってスティーブンが」
彼の名前を出せば女子が反発しないのは知っている。前は惨めに感じたものだが今はそう思わない。
少しして女子棟側の渡り廊下からコマラが走ってきた。
普段は少し高い位置から編み込んでいるが今朝は二つにわけた三つ編みを下げている。丸い顔に涼やかな目、果実のような頬。いつもなら半月のように優しく笑っている目には酷い怯えが見える。だがヤトヴィックを見ると素早く輝きが走った。
「君が無事で良かった」
周りの誰にも聞こえないよう低く呟く。女子にも死者がと聞いてから胸が潰される思いだった。他のクラスメートが死んでいいとは無論思わないが彼女だけはー
「あなたも」
細いが深みのある声。何とも表せない辛さを浮かべた目でこちらも小さく返す。
「スティーブンのことだよね。こっちは準備出来たから入ってくださいって」
「誰が亡くなったの?」
「パドミニとガヤトリ」
ラジューだけでは間に合わないとアッバースとナラヤンも手伝って女子ふたりの遺体を運び、火葬室前でシーツ上に寝かせたのは6時半ギリギリだった。
集まれる者は火葬室前にと触れ回ったが、部屋に閉じ籠る者、女子棟のロビーで泣き止まない者たちなどいるようで人数は少なかった。
(いや)
多数の死者と不明で、この建物内にいるクラスメート自体が減っている。
暗澹たる気持ちを隠しまず女子ふたりを火葬室内に送った。
(次は)
出来るだけ多くの人間に確認してもらうべきことがある。それぞれに祈る時間を見計らって声をかけようとしたところ、遠くに悲鳴が聞こえた。
騒然とする中にアッバースが走り込んで来る。
彼は広間のアティフへ同じイスラム教徒のダウド、シャキーラと祈りを捧げていたはずだ。この30分間のおよその動きは彼とナラヤンには伝えておいたが。
「どうしたんだ」
「ルクミニー先生が……」
目を見開き、ガクガクと顎を振るわせてアッバースは絶句した。
最初に駆け出したのはヴィノードだ。先生、との言葉になだれをうって皆広間の方へ走る。一度振り返り、シーツに包まるラーフルとハルジートの亡骸を一瞥してからスティーブンも広間に急いだ。
男子棟での死亡者が2人、渡り廊下で1人、女子棟では2人。他に外へ出たとの行方不明者が多数ー
とスティーブンが把握したのは起床時刻から1時間以上後の6時過ぎだった。
死者の葬送が出来るのは6時半からの30分間だけだ。
やらなければならないことが多すぎる!
土葬にするムスリムのアティフは中央窓の前に、それ以外は火葬室の前へとラジューに命じ遺体を移動させ男性は完了した。
(後は)
「女子棟にはいつ入れるかー」
「おれが聞いてくるよ!」
火葬室前に集まっていた中からヤトヴィックが立ち上がった。
広間の絨毯の上で何人かの女子が啜り泣いている。中央窓の前には白いシーツが敷かれひとり安置されている。
「悪いけど、女子棟に入れるか聞いてくれってスティーブンが」
彼の名前を出せば女子が反発しないのは知っている。前は惨めに感じたものだが今はそう思わない。
少しして女子棟側の渡り廊下からコマラが走ってきた。
普段は少し高い位置から編み込んでいるが今朝は二つにわけた三つ編みを下げている。丸い顔に涼やかな目、果実のような頬。いつもなら半月のように優しく笑っている目には酷い怯えが見える。だがヤトヴィックを見ると素早く輝きが走った。
「君が無事で良かった」
周りの誰にも聞こえないよう低く呟く。女子にも死者がと聞いてから胸が潰される思いだった。他のクラスメートが死んでいいとは無論思わないが彼女だけはー
「あなたも」
細いが深みのある声。何とも表せない辛さを浮かべた目でこちらも小さく返す。
「スティーブンのことだよね。こっちは準備出来たから入ってくださいって」
「誰が亡くなったの?」
「パドミニとガヤトリ」
ラジューだけでは間に合わないとアッバースとナラヤンも手伝って女子ふたりの遺体を運び、火葬室前でシーツ上に寝かせたのは6時半ギリギリだった。
集まれる者は火葬室前にと触れ回ったが、部屋に閉じ籠る者、女子棟のロビーで泣き止まない者たちなどいるようで人数は少なかった。
(いや)
多数の死者と不明で、この建物内にいるクラスメート自体が減っている。
暗澹たる気持ちを隠しまず女子ふたりを火葬室内に送った。
(次は)
出来るだけ多くの人間に確認してもらうべきことがある。それぞれに祈る時間を見計らって声をかけようとしたところ、遠くに悲鳴が聞こえた。
騒然とする中にアッバースが走り込んで来る。
彼は広間のアティフへ同じイスラム教徒のダウド、シャキーラと祈りを捧げていたはずだ。この30分間のおよその動きは彼とナラヤンには伝えておいたが。
「どうしたんだ」
「ルクミニー先生が……」
目を見開き、ガクガクと顎を振るわせてアッバースは絶句した。
最初に駆け出したのはヴィノードだ。先生、との言葉になだれをうって皆広間の方へ走る。一度振り返り、シーツに包まるラーフルとハルジートの亡骸を一瞥してからスティーブンも広間に急いだ。
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