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『凶なこと』
生物
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「秦裕一さんですか?」
奇妙な生物はそう語りかけてきた。
年齢は6歳程、身長も小学校低学年ぐらい、といったところだろうか。
顔立ちは整っており、とても大きな茜色の瞳が伺える。
髪は肩にかかるくらいのセミロングで、綺麗な艶のある黒。
靴は履いておらず、シンプルな黒いワンピースのようなものを身に纏っている。
ここまでだとどこが奇妙なのか、という具合だが、どこにでもいる女の子と違う点が3つある。
まず皮膚が疎らに赤い竜の鱗で覆われており、鱗の隙間からは色白の肌が覗かせている。
次に蝶の羽根ような形をした、薄い山吹色をした透明な羽根が背中から生えており、全く動かしている様子がないにも関わらず何故か浮いている。
最後に、そして何より、その生物の発する雰囲気に通常の人間が持っているようなレベルではない異質なものを感じる。
引き寄せられたかと思えば、遠ざけられたような、真上から押しつぶされたかと思えば、体が浮くような感覚が無数に襲う。
全身が自分の意思に反して動かされ、制御が効かなくなりつつあるといったような感覚だ。
動けない訳ではないものの、動かない方が得策だと本能的に思う。
痛みを伴うものではないとはいえ、この感覚は非常に不快であり、不気味さと恐怖を感じる。
勇気を振り絞り、声を出す。
「なんで俺の名前を知ってる…! というかお前は一体、なんなんだ…!」
「あ、当たった! やっと見つけたー!! わーい!! もー、探したんですよー??」
明るい声だ、そしてこの生物は日本語を話すことができるらしい。
見た目から発される声としてはとても合っているものの、素直に受け入れる状況ではない。
「帰宅部だし、友達も彼女もいないなら帰るしかないんだしー、授業終わったらすぐ教室から出て来るだろう、って思ってたのに何してたんですか、もうっ!!」
「あっ、ほら! こんなに待たせるからこの子も心なしか寂しそうにしてるじゃないですか!! ひどい人だよまったく! ねー、ひどい人よねー?」
と、自らの後ろにいる存在、もとい無表情の俺であろう存在の後ろに周り込み、頭を撫でながら話す。
情報が何も得られていない。
「おい、そいつは誰なんだよ!!! 俺に似てる、っていうか俺なんじゃないのか!!?」
突然のことで状況が掴めないということもあり、怒鳴るように捲し立てた。
「うわっ!! もー、大きい声出さないでくださいよー、質問には答えてあげますし、この子のことも教えますから!」
驚きから空中で多少のけぞりはしたものの、体勢を立て直し、軽く咳払いをしてからその生物は、こう話し出した。
「じゃー、まず私達の自己紹介から! あ、君のことはもう知ってるから自己紹介はしなくていいや!」
「えっと、私の名前は『エイレネ』、平和を司る存在です!」
「まぁ、君がわかりやすいところで言うと、精霊? みたいな感じ!」
「そしてこの子はお察しのとおり、秦裕一くんです! この子はねーー」
エイレネは続けた。
「この世界を生きる新しいあなた」
奇妙な生物はそう語りかけてきた。
年齢は6歳程、身長も小学校低学年ぐらい、といったところだろうか。
顔立ちは整っており、とても大きな茜色の瞳が伺える。
髪は肩にかかるくらいのセミロングで、綺麗な艶のある黒。
靴は履いておらず、シンプルな黒いワンピースのようなものを身に纏っている。
ここまでだとどこが奇妙なのか、という具合だが、どこにでもいる女の子と違う点が3つある。
まず皮膚が疎らに赤い竜の鱗で覆われており、鱗の隙間からは色白の肌が覗かせている。
次に蝶の羽根ような形をした、薄い山吹色をした透明な羽根が背中から生えており、全く動かしている様子がないにも関わらず何故か浮いている。
最後に、そして何より、その生物の発する雰囲気に通常の人間が持っているようなレベルではない異質なものを感じる。
引き寄せられたかと思えば、遠ざけられたような、真上から押しつぶされたかと思えば、体が浮くような感覚が無数に襲う。
全身が自分の意思に反して動かされ、制御が効かなくなりつつあるといったような感覚だ。
動けない訳ではないものの、動かない方が得策だと本能的に思う。
痛みを伴うものではないとはいえ、この感覚は非常に不快であり、不気味さと恐怖を感じる。
勇気を振り絞り、声を出す。
「なんで俺の名前を知ってる…! というかお前は一体、なんなんだ…!」
「あ、当たった! やっと見つけたー!! わーい!! もー、探したんですよー??」
明るい声だ、そしてこの生物は日本語を話すことができるらしい。
見た目から発される声としてはとても合っているものの、素直に受け入れる状況ではない。
「帰宅部だし、友達も彼女もいないなら帰るしかないんだしー、授業終わったらすぐ教室から出て来るだろう、って思ってたのに何してたんですか、もうっ!!」
「あっ、ほら! こんなに待たせるからこの子も心なしか寂しそうにしてるじゃないですか!! ひどい人だよまったく! ねー、ひどい人よねー?」
と、自らの後ろにいる存在、もとい無表情の俺であろう存在の後ろに周り込み、頭を撫でながら話す。
情報が何も得られていない。
「おい、そいつは誰なんだよ!!! 俺に似てる、っていうか俺なんじゃないのか!!?」
突然のことで状況が掴めないということもあり、怒鳴るように捲し立てた。
「うわっ!! もー、大きい声出さないでくださいよー、質問には答えてあげますし、この子のことも教えますから!」
驚きから空中で多少のけぞりはしたものの、体勢を立て直し、軽く咳払いをしてからその生物は、こう話し出した。
「じゃー、まず私達の自己紹介から! あ、君のことはもう知ってるから自己紹介はしなくていいや!」
「えっと、私の名前は『エイレネ』、平和を司る存在です!」
「まぁ、君がわかりやすいところで言うと、精霊? みたいな感じ!」
「そしてこの子はお察しのとおり、秦裕一くんです! この子はねーー」
エイレネは続けた。
「この世界を生きる新しいあなた」
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