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『凶なこと』
試練Ⅲ
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「…っ!! 嘘だろ!?」
こちらに砲丸を投げる体勢になっている人形を確認し、慌てて身構える。
「そりゃそうか、身体能力が10倍になってるなら腕力だって10倍になってるよなっ!!!」
当たり前の話である。
もし捕まえる側を無力化し、行動不能にできれば、人形は逃げる必要がなくなり、残りの制限時間が経過するのをただ待つだけになる。
それができれば、逃げ回るよりも圧倒的に効率が良い。
身構えた俺を確認し、人形が追ってこようとしている。
このままでは脚力の違いからして、5秒もあればまず間違いなく追いつかれる。
足止めをするしかない。
とっさに身体中の力を振り絞り、体育館の扉を閉め、そばにある掃除用具入れから箒やモップを無造作に取り出しつっかえ棒のような形で扉を簡易的に封鎖する。
砲丸をあの速度で投げてくる腕力の持ち主が相手である以上、おそらくあの簡易バリケードは持って5~6秒といったところだろう。
その後全力で2階へ向かって走りつつ、プランを固めた。
そして決める、向かう先は化学準備室である。
そこであの人形と決着をつける。
人形を捕まえるために必要な時間は最低でも" 強化 "を念じる2秒と準備の時間を合わせて約10秒。
「…間に合わせるしかない!!」
校門からほぼ走っているということもあり、両膝が悲鳴を上げているが、立ち止まるわけにはいかない。
全力で階段を駆け上がる。
2階に辿り着いたと同時に1階で何かが折れる音と共に扉が開く音が聞こえた。
どうやらバリケードは破られてしまったらしい。
加えて" 強化 "人形の聴力によって、2階で俺が走る足音など瞬時に聞こえるだろうし、例え足音を殺すように移動したところで少し耳をすませばすぐにバレるに決まっている。
足を止めずに走り続ける。
やっとの思いで化学準備室に着き、扉を空ける、が鍵がかかっていた。
大変大きなタイムロスだが扉をブチ破るしかない。
「なんで鍵かかってんだよ!」
化学準備室の扉を、疲れ果てた足で全力で蹴る。
もう息が切れてしょうがない、教科書に載せてもいいくらいの肩で呼吸をする男の図である。
そんな疲れた状態でも体当たりを2度ほどすると、扉が少し古かったのか、奇跡的に室内方向に歪み、鍵に手がかかった。
そして外から鍵を開け、入ろうとした時俺からみて左側に、階段を登り切った人形の姿が視界に入る。
「やばっ、見つかっ…!」
声を出すと同時に左肩に何かが当たった。
…ゴキっ。
それは砲丸だった。
「あ゛あ゛ぁぁあぁぁ!! ……痛ぇえ!!!」
当たった時の音と痛み、そして左肩への力の入らなさ具合からして、折れているだろう。
しかし燻っている場合ではない、急いで化学準備室に入って用意しなくては。
俺は急いで室内に入り、ある探し物をする。
狭い室内ではあるものの、いざ探し物となると意外に探しどころはあるものだ。
急いで周りを見渡し、それらしきものを探す。
「あっ! っっ…痛いけど、、あった…!!」
その探し物は、化学薬品。
先週授業で使ったものであるため、あるのは知っていたがどこにあるのかまでは知らなかった。
理科が好きであれば小学生でも知っているものだ。
アンモニア水である。
鍵のかかるタイプのガラスケースに仕舞われていたため、近くにあった懐中電灯でガラスを割り、アンモニア水の入った瓶を手にする。
これで必要なものは揃った。
そして人形がこちらに向かってくる間の僅かな時間に" 強化 "を行う。
こういう時こそ落ち着かなくてはならない。
" 強化 "対象はスマートフォン。
そして俺はほくそ笑みながら呟く。
「なぁ、人形。」
「お前は俺個人の記憶をはじめとしたあらゆるものが備わってるだろ。」
「…けどな、俺にだけあってお前にない知識が一つだけある。」
「それは、" 強化 "に関する知識だ。」
「これがあるってことがどういうことか、お前に教えてやる。」
「俺は指一本で時間を止められるんだぜ?」
そう言い終わった直後、人形によって化学準備室の歪んだ扉が凄い勢いで開かれる。
数十秒後、この戦いに決着がつく。
こちらに砲丸を投げる体勢になっている人形を確認し、慌てて身構える。
「そりゃそうか、身体能力が10倍になってるなら腕力だって10倍になってるよなっ!!!」
当たり前の話である。
もし捕まえる側を無力化し、行動不能にできれば、人形は逃げる必要がなくなり、残りの制限時間が経過するのをただ待つだけになる。
それができれば、逃げ回るよりも圧倒的に効率が良い。
身構えた俺を確認し、人形が追ってこようとしている。
このままでは脚力の違いからして、5秒もあればまず間違いなく追いつかれる。
足止めをするしかない。
とっさに身体中の力を振り絞り、体育館の扉を閉め、そばにある掃除用具入れから箒やモップを無造作に取り出しつっかえ棒のような形で扉を簡易的に封鎖する。
砲丸をあの速度で投げてくる腕力の持ち主が相手である以上、おそらくあの簡易バリケードは持って5~6秒といったところだろう。
その後全力で2階へ向かって走りつつ、プランを固めた。
そして決める、向かう先は化学準備室である。
そこであの人形と決着をつける。
人形を捕まえるために必要な時間は最低でも" 強化 "を念じる2秒と準備の時間を合わせて約10秒。
「…間に合わせるしかない!!」
校門からほぼ走っているということもあり、両膝が悲鳴を上げているが、立ち止まるわけにはいかない。
全力で階段を駆け上がる。
2階に辿り着いたと同時に1階で何かが折れる音と共に扉が開く音が聞こえた。
どうやらバリケードは破られてしまったらしい。
加えて" 強化 "人形の聴力によって、2階で俺が走る足音など瞬時に聞こえるだろうし、例え足音を殺すように移動したところで少し耳をすませばすぐにバレるに決まっている。
足を止めずに走り続ける。
やっとの思いで化学準備室に着き、扉を空ける、が鍵がかかっていた。
大変大きなタイムロスだが扉をブチ破るしかない。
「なんで鍵かかってんだよ!」
化学準備室の扉を、疲れ果てた足で全力で蹴る。
もう息が切れてしょうがない、教科書に載せてもいいくらいの肩で呼吸をする男の図である。
そんな疲れた状態でも体当たりを2度ほどすると、扉が少し古かったのか、奇跡的に室内方向に歪み、鍵に手がかかった。
そして外から鍵を開け、入ろうとした時俺からみて左側に、階段を登り切った人形の姿が視界に入る。
「やばっ、見つかっ…!」
声を出すと同時に左肩に何かが当たった。
…ゴキっ。
それは砲丸だった。
「あ゛あ゛ぁぁあぁぁ!! ……痛ぇえ!!!」
当たった時の音と痛み、そして左肩への力の入らなさ具合からして、折れているだろう。
しかし燻っている場合ではない、急いで化学準備室に入って用意しなくては。
俺は急いで室内に入り、ある探し物をする。
狭い室内ではあるものの、いざ探し物となると意外に探しどころはあるものだ。
急いで周りを見渡し、それらしきものを探す。
「あっ! っっ…痛いけど、、あった…!!」
その探し物は、化学薬品。
先週授業で使ったものであるため、あるのは知っていたがどこにあるのかまでは知らなかった。
理科が好きであれば小学生でも知っているものだ。
アンモニア水である。
鍵のかかるタイプのガラスケースに仕舞われていたため、近くにあった懐中電灯でガラスを割り、アンモニア水の入った瓶を手にする。
これで必要なものは揃った。
そして人形がこちらに向かってくる間の僅かな時間に" 強化 "を行う。
こういう時こそ落ち着かなくてはならない。
" 強化 "対象はスマートフォン。
そして俺はほくそ笑みながら呟く。
「なぁ、人形。」
「お前は俺個人の記憶をはじめとしたあらゆるものが備わってるだろ。」
「…けどな、俺にだけあってお前にない知識が一つだけある。」
「それは、" 強化 "に関する知識だ。」
「これがあるってことがどういうことか、お前に教えてやる。」
「俺は指一本で時間を止められるんだぜ?」
そう言い終わった直後、人形によって化学準備室の歪んだ扉が凄い勢いで開かれる。
数十秒後、この戦いに決着がつく。
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