連続放火事件

ヨージー

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 靴が床と擦れて高い音をたてている。学内体育館は、日によって運動部毎に貸し出されている。今日は半分をバドミントン部、残りをバレー部に貸し出されていた。バドミントン部ではサーブを返す、レシーブ練習がなされていた。かごにためられたロケットを次々に高学年部員が反対のコートへ打ち込んでいく。練習する部員たちはローテーションでまわりながら次々に打ち返していく。サーブは練習を受ける部員たちの列の向かいのコーナーへ素早く打ち込まれていた。駆け込みに失敗して転倒する部員もいた。サーブを担当する部員はその年の県大会ダブルスで上位まで上り詰めた猛者である。サークル活動は学生主体ということもあり、娯楽としての面を強く持つ団体が多いが、バドミントン部は毎年大会で好成績を残す本格派だった。一かご打ち終わり、次のかごがサーブを打つ部員の手前に配置された。サーブが打たれる。二、三、四、五とリズムよく打たれていくサーブ。しかし、サーブを打っていた部員が突如動きを止める。レシーブ側の部員がつんのめった。
「なにか、匂わないか」

 学内の図書館は学生にとって自由に使える休憩スペースのように扱われている。もちろんその仕様上、談笑や食事には使えないが、日々、自習室として活用されている。テスト期間前などは団体で利用する学生も多い。一人一台端末を持つことが当たり前ということもあり、端末を使ってレポート作成に取り組む学生もいた。友也たちはその方面で図書館を利用していた。
友也は提出期限が明日に迫ったレポートを鬼気迫る表情でまとめている。
「なあ、友也」
 幸也が彼にしては比較的小さな声で話しかけてきた。彼の前には勉強の教材も、端末も用意されてはいない。
「…なに」
 友也はかなり無愛想に返事をして幸也を睨んだ。
「この辺で続いてた連続不審火あったじゃん」
 幸也は自身の携帯を見ながら話を続けた。どうやら友也の不機嫌アピールは、向かいの席にたどり着く前にフィルターにかかってしまったようだ。
「それが?」
「うん、遂に死者でたらしい」
「え、ほんと?」
「昨日の深夜だな。家屋半焼の上、住人が一人死亡」
「出火元は?」
「ベランダの古新聞だって。ゴミはちゃんと処分しないとな」
「いや、その人はゴミ出しの期日までそこにためおいていたんじゃないの?」
「ああ、ゴミって日ごとに回収内容変わるんだっけ」
「あのさ、幸也も独り暮らしじゃなかった?」
「あまり大きな声だすなよ。恥ずかしい」
 友也は目一杯幸也を睨み付けてから、レポートの作業に戻った。幸也は不真面目な生活態度のようだが、レポートはすでに終わらせていた。友也は遊び回る幸也がいつ提出課題を終わらせているのか疑問に感じている。きっと何か裏があるに違いないとまで考えていた。
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