27 / 47
27.
しおりを挟む
弥伊子は授業中、ふと窓から校門を覗きみた。校門に明らかに光沢の質が異なる高級車が乗り付けられていた。「あれは確か」
授業の終わるチャイムと共に校内放送で呼び出しがかかった。獅童宰都が職員室へ呼び出された。
「何事だと思う?」真澄が弥伊子ににやにやしながら話しかけた。
「わからないよ、そんなの」
真澄には経緯を話していたこともあり、弥伊子が放課後に図書室へ獅童宰都に会いに行っていることはバレている。弥伊子は腹痛を言い訳に教室を離れた。弥伊子は学内を移動する。職員室は一階にある。短な授業の間の休み時間に通る生徒はそう多くない。弥伊子は職員室を開いている引戸から覗くが中に獅童宰都の姿はなかった。
「話を聞いてよ」
弥伊子は驚き飛び退いた。職員室のとなりの部屋から声が聞こえた。どうにも穏やかな調子ではなさそうだ。弥伊子は閉じられた扉に耳を当てる。
「宰都さん、最近帰りが普段以上に遅くなっているのは自覚しているね?」
「はい、、でもそこで何か支障はありましたか?」
「そういうことを話しているんじゃないんだ」
「僕は課題も成績も落としていません」
「お母さんはもっと他にして欲しいことがあるの」
「学生の本分は学業でしょう?」
「そう、その話はしました。卒業はさせてあげます」
「だったら」
「卒業に必要な時間はあげます。宰都さんには無駄にしていい時間はないの。学校にかけている時間が多いから削って欲しい、そういう話」
「そんなの通っていると言えない」
「そもそも、通わせたいとは考えていない、それは話したはず」
「僕は大学にも行きたい」
「ええ、好きにすればいいわ大学なんていつでも通える」
「穿った物の捉え方をしているよ」
「社会で役に立つのは人脈という話もしましたね」
「二人が苦労した話はもう聞きあきたよ」
「学業は今宰都さんが体現しているようにどこでも身に付けることはできる」
「人脈は違うよって?会食に出向くことの方が重要なんだ?」
「分かってるじゃない」
「学校でも人脈は作れる」
「相手を選んで。この先意味のある関係を作りなさい」
「そんなこと今から分かるわけがない」
「だからこそ、より意味のある相手を大切にして」
「時間は作っている」
「足りていない」
「僕は一人しかいないんだ無理を言わないで」
「わかっているから、無駄な時間を持たないで欲しいって言っているの」
「押し付けだよ」
「親は子どもに期待を押しつけるの」
「傲慢だね」
「それでいいから帰りましょう」
弥伊子は扉から耳を話した。平行線のやり取りが続いている。そこまでする必要があるのだろうか。弥伊子にはわからない世界の話らしい。扉が開いた。「あ、」弥伊子が思わず声を漏らしたときに部屋から出てくる獅童宰都と視線があった。獅童宰都はばつが悪そうに視線を逸らして廊下を歩きだした。
獅童宰都はその日そのあとすぐに校門に停められた車で学校を去った。
授業の終わるチャイムと共に校内放送で呼び出しがかかった。獅童宰都が職員室へ呼び出された。
「何事だと思う?」真澄が弥伊子ににやにやしながら話しかけた。
「わからないよ、そんなの」
真澄には経緯を話していたこともあり、弥伊子が放課後に図書室へ獅童宰都に会いに行っていることはバレている。弥伊子は腹痛を言い訳に教室を離れた。弥伊子は学内を移動する。職員室は一階にある。短な授業の間の休み時間に通る生徒はそう多くない。弥伊子は職員室を開いている引戸から覗くが中に獅童宰都の姿はなかった。
「話を聞いてよ」
弥伊子は驚き飛び退いた。職員室のとなりの部屋から声が聞こえた。どうにも穏やかな調子ではなさそうだ。弥伊子は閉じられた扉に耳を当てる。
「宰都さん、最近帰りが普段以上に遅くなっているのは自覚しているね?」
「はい、、でもそこで何か支障はありましたか?」
「そういうことを話しているんじゃないんだ」
「僕は課題も成績も落としていません」
「お母さんはもっと他にして欲しいことがあるの」
「学生の本分は学業でしょう?」
「そう、その話はしました。卒業はさせてあげます」
「だったら」
「卒業に必要な時間はあげます。宰都さんには無駄にしていい時間はないの。学校にかけている時間が多いから削って欲しい、そういう話」
「そんなの通っていると言えない」
「そもそも、通わせたいとは考えていない、それは話したはず」
「僕は大学にも行きたい」
「ええ、好きにすればいいわ大学なんていつでも通える」
「穿った物の捉え方をしているよ」
「社会で役に立つのは人脈という話もしましたね」
「二人が苦労した話はもう聞きあきたよ」
「学業は今宰都さんが体現しているようにどこでも身に付けることはできる」
「人脈は違うよって?会食に出向くことの方が重要なんだ?」
「分かってるじゃない」
「学校でも人脈は作れる」
「相手を選んで。この先意味のある関係を作りなさい」
「そんなこと今から分かるわけがない」
「だからこそ、より意味のある相手を大切にして」
「時間は作っている」
「足りていない」
「僕は一人しかいないんだ無理を言わないで」
「わかっているから、無駄な時間を持たないで欲しいって言っているの」
「押し付けだよ」
「親は子どもに期待を押しつけるの」
「傲慢だね」
「それでいいから帰りましょう」
弥伊子は扉から耳を話した。平行線のやり取りが続いている。そこまでする必要があるのだろうか。弥伊子にはわからない世界の話らしい。扉が開いた。「あ、」弥伊子が思わず声を漏らしたときに部屋から出てくる獅童宰都と視線があった。獅童宰都はばつが悪そうに視線を逸らして廊下を歩きだした。
獅童宰都はその日そのあとすぐに校門に停められた車で学校を去った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】悪の尋問令嬢、″捨てられ王子″の妻になる。
Y(ワイ)
ファンタジー
尋問を生業にする侯爵家に婿入りしたのは、恋愛戦略に敗れた腹黒王子。
白い結婚から始まる、腹黒VS腹黒の執着恋愛コメディ(シリアス有り)です。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
☘ 注意する都度何もない考え過ぎだと言い張る夫、なのに結局薬局疚しさ満杯だったじゃんか~ Bakayarou-
設楽理沙
ライト文芸
☘ 2025.12.18 文字数 70,089 累計ポイント 677,945 pt
夫が同じ社内の女性と度々仕事絡みで一緒に外回りや
出張に行くようになって……あまりいい気はしないから
やめてほしいってお願いしたのに、何度も……。❀
気にし過ぎだと一笑に伏された。
それなのに蓋を開けてみれば、何のことはない
言わんこっちゃないという結果になっていて
私は逃走したよ……。
あぁ~あたし、どうなっちゃうのかしらン?
ぜんぜん明るい未来が見えないよ。。・゜・(ノε`)・゜・。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
初回公開日時 2019.01.25 22:29
初回完結日時 2019.08.16 21:21
再連載 2024.6.26~2024.7.31 完結
❦イラストは有償画像になります。
2024.7 加筆修正(eb)したものを再掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる