3 / 4
3.
しおりを挟む
おかしな事が続いた。お母さんが帰ってこない。お父さんはなにも言わない。部屋のなかがとても静かだ。お父さんは茶色の傘を捨ててしまった。きっともう使えなかったのだと思う。傘立ては空っぽだ。お父さんは小さな折り畳み傘を買ったらしい。最近お父さんのご飯は少ない。いつも何か考え事をしているようだ。お父さんのいつも使っているコートがなくなっていた。あの雨の日に着ていたコートだ。あれも捨ててしまったのだろうか。傘はどうして壊れてしまったのだろう。前にお母さんが風が強い日にはさすがにその傘も壊れてしまうかも、と話していた。それはお父さんのなかなか壊れない丈夫な大きな傘に対してで、笑いながら話していた。でもあの日はそれほど風が強かったのだろうか。風が強いとコートも壊れて使えなくなってしまうのかな。お父さんが部屋のゴミ箱に靴を持っていくのが見えた。靴も壊れてしまったのだろうか。少しだけ普段と違う匂いがした。そういえば、あの雨の日にしたのは雨の匂いだけだったのだろうか。靴にはシミができていた。お父さんはゴミ箱へ靴を詰め込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
白花の檻(はっかのおり)
AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。
その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。
この出会いは祝福か、或いは呪いか。
受け――リュシアン。
祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。
柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。
攻め――アーヴィス。
リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。
黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。
王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる