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第十五章:とある狂人の育成記
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お風呂からあがって沙良の部屋に戻ると、沙良がベッドに座って待っていた。なんとなく、行きづらい。沙良を望むことは、「ご主人様」に逆らうことに繋がる。そう考えると、足がこわばってしまう。でも……
「先輩、こっち」
沙良が笑って、自分のそばをぽんぽんと叩いた。その柔らかい音と、彼の笑顔にひっぱられるようにして……足は動いてゆく。波折は沙良のそばまでいくと、隣にぽふっと座って、そして頭を沙良に寄せる。
やっぱり、沙良の隣は心地よい。ひだまりのようだ。太陽の光が眩しいと感じることもあるけれど、明るいところは気持ちいい。いっそ全てを忘れて彼に身を任せたいと思うほどに。
「先輩。あんまり、聞いて欲しくなさそうだから詳しくは聞きませんけど……俺、もっと波折先輩のこと、助けてあげたい」
「……」
「いつも、どこか不思議なところがあって、俺の知らないなにかが波折先輩にはあるのかもしれないけれど、俺、波折先輩の苦しんでいるところ、みたくないんです」
手を、重ねられる。そして、もう片方の手は肩を抱いてきて。
「先輩……俺じゃ、だめですか」
唇を、重ねられた。
自分が彼の嫌いないきものだと知りながら、こちらから彼に寄り添っていくことは酷いことだと、わかっている。それでも、「ご主人様」の意向に反したことを考えてしまうくらいに、自分は沙良のことを好いている。波折はぐるぐると心のなかで回る様々な想いにさいなまされながらも、目を閉じて沙良のキスを受け入れた。
「んっ……」
沙良とのキスは心がぽかぽかとしてくる。同時に胸がぎゅっと締め付けられる。
沙良に抱きつけば、腰を抱かれて引き寄せられた。なんだか前よりもかっこよくなったかな、なんて思う。こうした行為のなかに少し余裕がでてきて、大人っぽくなったというか。
愛してくれているんだな、と思った。いつもよりも優しいこのキスは、きっと波折が苦しんでいるから、慰めようとしてくれているキス。波折に恋して、恋して、ただ好きだと想いをぶつけてくるだけの前の彼だったらできないかもしれない。波折に恋をするなかで、沙良は成長したのかもしれない。
「は……」
唇を離すと、沙良が愛おしげに見つめてきていた。甘ったるいな、と思う。まるで、ドラマなんかにでてくる恋人同士のような雰囲気。彼らに憧れを抱いたことはないけれど、こうして似通った雰囲気のなかにいるとそれもやっぱりいいものだなと思えてくる。ふわふわとした心地に身を任せて、それがずっと続いていったらきっと楽しいんだろうな、と思う。
「先輩」
「あ……」
そのまま、押し倒される。見下ろしてくる瞳が、優しい。色々と沙良との先のことを考えて苦しくなって彼を拒みたいのに、彼の優しさに流される。このまま流れて行きたい。覆い被さられてキスをされると、飛んでしまいそうになる。彼の背に腕をまわして、舌を絡めて、じわりと流れ込んでくる熱を堪能した。ちょっと前は、こっちから彼を手ほどきするように行動を起こしていたのに、今はこうして彼のほうから動いてくる。こうして沙良の変わり様ばかり意識しているのは……別れが近い、そんなことを感じているからだろうか。
「先輩、こっち」
沙良が笑って、自分のそばをぽんぽんと叩いた。その柔らかい音と、彼の笑顔にひっぱられるようにして……足は動いてゆく。波折は沙良のそばまでいくと、隣にぽふっと座って、そして頭を沙良に寄せる。
やっぱり、沙良の隣は心地よい。ひだまりのようだ。太陽の光が眩しいと感じることもあるけれど、明るいところは気持ちいい。いっそ全てを忘れて彼に身を任せたいと思うほどに。
「先輩。あんまり、聞いて欲しくなさそうだから詳しくは聞きませんけど……俺、もっと波折先輩のこと、助けてあげたい」
「……」
「いつも、どこか不思議なところがあって、俺の知らないなにかが波折先輩にはあるのかもしれないけれど、俺、波折先輩の苦しんでいるところ、みたくないんです」
手を、重ねられる。そして、もう片方の手は肩を抱いてきて。
「先輩……俺じゃ、だめですか」
唇を、重ねられた。
自分が彼の嫌いないきものだと知りながら、こちらから彼に寄り添っていくことは酷いことだと、わかっている。それでも、「ご主人様」の意向に反したことを考えてしまうくらいに、自分は沙良のことを好いている。波折はぐるぐると心のなかで回る様々な想いにさいなまされながらも、目を閉じて沙良のキスを受け入れた。
「んっ……」
沙良とのキスは心がぽかぽかとしてくる。同時に胸がぎゅっと締め付けられる。
沙良に抱きつけば、腰を抱かれて引き寄せられた。なんだか前よりもかっこよくなったかな、なんて思う。こうした行為のなかに少し余裕がでてきて、大人っぽくなったというか。
愛してくれているんだな、と思った。いつもよりも優しいこのキスは、きっと波折が苦しんでいるから、慰めようとしてくれているキス。波折に恋して、恋して、ただ好きだと想いをぶつけてくるだけの前の彼だったらできないかもしれない。波折に恋をするなかで、沙良は成長したのかもしれない。
「は……」
唇を離すと、沙良が愛おしげに見つめてきていた。甘ったるいな、と思う。まるで、ドラマなんかにでてくる恋人同士のような雰囲気。彼らに憧れを抱いたことはないけれど、こうして似通った雰囲気のなかにいるとそれもやっぱりいいものだなと思えてくる。ふわふわとした心地に身を任せて、それがずっと続いていったらきっと楽しいんだろうな、と思う。
「先輩」
「あ……」
そのまま、押し倒される。見下ろしてくる瞳が、優しい。色々と沙良との先のことを考えて苦しくなって彼を拒みたいのに、彼の優しさに流される。このまま流れて行きたい。覆い被さられてキスをされると、飛んでしまいそうになる。彼の背に腕をまわして、舌を絡めて、じわりと流れ込んでくる熱を堪能した。ちょっと前は、こっちから彼を手ほどきするように行動を起こしていたのに、今はこうして彼のほうから動いてくる。こうして沙良の変わり様ばかり意識しているのは……別れが近い、そんなことを感じているからだろうか。
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