スイートアンドビターエゴイスト〜淫乱生徒会長の調教日記〜

うめこ

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第十一章:彗星のように

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 波折にアダルト動画について尋ねるとしたらやはり昼休みかなぁ、なんて考えているうちに沙良は学校に着いた。早朝となると相変わらず人影はまばらである。ぼんやりとしながら自分の教室に向かって歩いていたときである。


「……!」


 向かい側に人影が。なんと今の今まで沙良の頭の中を支配していた人物・波折だ。

 方向的を見るに自販機コーナーにでも向かっているのだろうか、一人でこちらに向かってきている。

 まだ波折と話す心の準備ができていない沙良の頭はパニック状態に陥った。ここで捕まえてしまうか、今はやめておくか。昼まで待とうか、しかし待ったところでなにかいいことがあるのか。どうするべきか迷っているうちに、距離は縮まっていく。


「……あ」


 波折が沙良の存在に気付く。目が合ってそろそろ擦れ違うといった瞬間――自分でも何を考えたのかはわからない。焦ってしまったのかもしれない。


「えっ、」


 沙良は波折の手を掴む。そしてびっくりしたような顔を浮かべる波折を尻目に、すぐ近くにあった資料室に引っ張り込んでしまった。


「ちょ、ちょっと……なんだよいきなり」

「あっ……えっと、お、おはようございます」


 当然ながら波折はわけがわからないと言った風に怒っている。沙良はやってしまった、と心の中で後悔した。しかし連れ込んでしまっては後戻りできない。迷っている暇はない、と単刀直入に、聞いてみる。


「あのー……聞きたいことがありまして」

「なんだ」

「……波折先輩って動画サイトにエロ動画投稿していたりします?」


 ……ひねりも何もない。聞いたあとで質問の仕方を間違えたか、と思った。少しずつ確信に迫るような聞き方のほうがよかったかもしれない。こんなふうに聞かれて誰が「はいしてます」なんて言うだろうか。

 しかし波折は顔色も変えず、言ったのだ。


「……してたら何?」

「……エッ!?」

「用はそれだけ? もう行っていい?」

「ちょ、ちょっと!」


 あんまりにも淡々と肯定されて、沙良は反応が遅れてしまった。

 波折は、すでに鑓水にサイトのことを知られてしまっているため否定してもそのうちバレる、と思った。そして、沙良はチョコレートのこともすでに知っているため、このこともいずれ知るだろうと思っていた。そのため、サイトのことを否定しなかったのだが……沙良はこうもあっさり波折が認めるとは思っておらず、驚いてしまった。驚きのあまり言いたかったことも吹っ飛んでしまう。


「な、なんでそんなことしてるんですか」

「……俺に聞かれても」

「……え?」

「だから、ご主人様がやってることだから俺に聞かれてもわからないって言ってんだよ」

「ご、ご主人様……えっと、その人とは一体どういう関係」

「サイト見たんならわかるだろ。俺はあの人の奴隷だよ」

「お、おお……」


 ご主人様、とか、奴隷、とか。動画のなかでみるとあるあるくらいにしか思わなかった単語が、リアルで聞くとこうも違和感があるとは。波折の口からそんな言葉がぽんぽんとでてくるものだから沙良は目をひん剥きそうになった。


「ずっと小さいときからご主人様に俺は調教されていて、今もそれは続行中。もう俺はご主人様からは離れられないし、俺も離れる気はない。だからおまえがなんと言おうとああいうことをやめるつもりはない」


 ……ただ、驚きに徐々に慣れていくと、別の感情が湧いてくる。そして、朝から抱えていた想いが復活してくる。

 ――貴方のやっていることは、おかしい。そんな想いだ。まだ高校生の波折が、あんなふうに誰かに隷属してされるがままになって。身体はあの「ご主人様」の好きなように調教されきってしまっていて。そしてそれに本人が抵抗がないなんて。おかしい。どう考えても普通じゃない。


「……あの、やめてくださいよ、そういうこと」

「……やめないって言っただろ。沙良には関係ないし」

「あります! おおありですよ! 俺は波折先輩がす、好きだから! そうやって波折先輩がおかしなことをやっていると許せないんです! 波折先輩あなたは男子高生でしょ、普通の男子高生! あんなことやっていいわけがない!」

「……鬱陶しいな」


 波折が顔をしかめて、沙良に背を向ける。沙良が慌てて波折の手を掴んだところで――扉に人影が映った。誰かが教室に入ってくる……そう悟った瞬間、思わず二人は教室の奥の方に逃げるようにして走ってゆく。資料室は普段生徒が入ることがない教室のため、教員に見られたりしたら面倒だ、と思ったのだった。

 本棚やごちゃごちゃと置いてある物を避けて奥へ入って行く。入ってきた人物は色々と物を漁っては資料を確認して、という作業を繰り返していた。これはしばらく出ていけないなー、と思った沙良は波折にしか聞こえない小さな声で先ほどの話を続ける。


「動画のこと……鑓水先輩は知ってるんですか」

「慧太?  知ってるけど」

「……ふうん」


 鑓水は動画のことを知っていながら波折のことを好きらしい、と沙良は鑓水もなかなか本気で波折のことが好きなのだと焦ってしまう。沙良も動画のことを知っても波折への恋心が薄れることはなかったが、どうしてもそういったことをやめて欲しいという気持ちが湧いてくる。波折がなんと言おうと、波折のことを好きである以上波折がおかしなことをしていると嫌だと思ってしまうのだ。


「……ご主人様って誰ですか」

「言えない」

「成人ですか?」

「うん」

「……犯罪じゃないですか」


 大人の男に波折は色々といやらしいことをされているらしい。あの動画のような。大人が男子高生にそんなことをするなんて許せない、そう思いつつうっかり沙良は動画の内容を思い出して赤面してしまう。波折よりも体格がしっかりしていて肌も少し黒くて、そんな男がこの華奢な波折をイジメているのかぁ……なんて。


「……!」


 悶々と沙良がしだした時。足音が近づいてきた。二人はギョッとして辺りを見渡すが、もう奥まできてしまっていて隠れようがない。やばい、そう思った沙良は咄嗟に近くに合ったロッカーの中に波折を引っ張り込んだ。そして音がたたないようにそっと扉を閉める。


「……あっ」


 扉に空いた穴からそっと外を覗けば、教室に入って来ていたのは堅苦しく厳しいことで有名な教員だった。これは見つかったら面倒なことになるぞ……と二人は息を呑む。彼は色々と細かく資料を見たりしているためなかなか外に出ていこうとしない。ロッカーに二人で入るのは結構狭く苦しさを感じ始めたため、早く出て行ってくれないかなあと必死に願う。


「……」


 それにしても。

 近い。自分と波折の距離があまりにも近い、というか密着していて、沙良は冷や汗が止まらなかった。


 波折は沙良に抱きつくような体勢でいるため、目の前には波折の白くて綺麗なうなじがある。いい匂いがするし、抱きしめれば波折の身体は柔らかくて、細くて……なんだかいけない気分になってしまう。

 そう、波折の体つきはいやらしい。たしかに男の身体で、女の子と並べばたくましく見える。でも、ゴツゴツはしていなくて滑らかだ。肌がすべすべとしていて少しやわらかい。華奢なのに抱きしめるとふかふかする。

 ……そんな体つきになっているのは、幼いころから調教なんてされているからだろうか。小さい頃から、まるで奴隷のように抱かれていやらしいことばかりされていたから。


「んっ……」


 波折先輩がエロいのはちょっとどきどきするけど、それにしても腹立つな、「ご主人様」とやらはほんとなんなんだよ、と沙良がイライラとし始めたとき。波折が小さく身動ぐ。どうしたかな、と思ったがすぐにその原因を理解する。

 自分の手が、波折のお尻に触れている。故意ではないにしろ、波折のお尻をナデナデとしてしまっていたらしい。

 しかしロッカーが狭すぎて上手く手を移動できない。ごめんね波折先輩、と心の中で謝った……が、手が変なものに触れる。波折のお尻の割れ目のあたりに、何かがある。もちろん、服の中に仕込んでいるようではたからみてもバレないようにはなっている。なんだこれ、と思って沙良がそれを布の上から掴んでグイグイと動かすと……


「ッ……! ~~ッ!!」


 波折がビクビクッ、と震えて首をふるふると振りながら沙良にしがみついた。

 こ、これはもしかして。

 沙良は波折のお尻の間にあるものの正体を察する。おそらく、波折はお尻の中にオモチャを挿れているのだ。触った感触からすると、ディルドだろうか。バイブ機能はないにしてもこんなものを挿れて登校してくるとは……。


「……波折先輩……生徒会長がこんなことしちゃだめでしょ……」

「んっ……ん~~ッ」


 ぼそ、と囁きながら沙良はオモチャをグイグイと動かす。声をあげれば外にいる先生にバレる、と波折は必死に声を堪えながら震えていた。沙良の肩口に顔をうずめてはふはふと辛そうに息をしている。動画サイトの件で気が立っていた沙良はエッチなことばかりしている波折にオシオキでもしてやろうと波折のお尻を責め立てた。


「波折先輩……だめなんですよ、こういうことばっかりしちゃ」

「ぁっ……ふ、……んっ……ぁあ……」

「ご主人様に調教とかされて……せめて特定の恋人でもつくってそういうことしてください」

「んっんっ……」

「……俺なら、ちゃんと波折先輩のことを愛します。あんなことしません」

「ぁぅっ……んっ……ふっ……ぁあん……」

「波折先輩……俺にしてよ」

「んんっ……ぁッ……~~ッ……んっ、んっ、ん~~ッ」


 ビクンッ、ビクンッ、と波折が震える。ガクガクと脚を震わせ、必死に沙良にしがみつきながら、波折はイッてしまった。


「……、」


 外から、ガラッと扉が閉められる音が聞こえた。どうやら、教員が教室から出て行ったらしい。

 しかし、沙良の衝動は収まらなかった。自分の腕の中で甘い声をあげている彼が、知らない誰かの奴隷になっていることが許せなかった。


「……ッ、さら……!?」


 沙良はロッカーからでようとはしない。そのままの状態で、波折のベルトを外していく。いつもよりも遠慮のない沙良の行動に波折は驚いてしまったようだ。目をパチパチとさせながら沙良の行動を見守っている。


「……どうして、「ご主人様」から離れることができないんですか」

「……っ、俺が……ご主人様に染まっているから……」

「今からだって逃げられるでしょう」

「無理……」

「どうして!」

「無理なものは無理……!」


 波折は下を完全に脱がされてしまって硬直してしまう。そして、再びお尻の間のオモチャを握られて、ビクッとのけぞった。


「波折先輩……あなたがされていることは、おかしいんですよ。そして、逃げようとしないあなたも!」

「わかってる……あっ……あうっ……! わかってるよ、……あんっ……!」

「わかってるならやめてください」

「できないっていってるっ……ひゃっ……ああっ……!」


 波折のなかに突っ込まれていたものは、やはりディルドだった。直接触れることになったため、先ほどよりも激しい抽挿が可能になる。苛々のままに沙良はディルドでめちゃくちゃに波折のなかを掻き回してゆく。


「やっ……さら……! ほっといて、……おれのことは、ほっといて、……はぁんっ……! あぁっ……あっ……!」

「放っておくわけないだろ、俺は波折先輩がそんなことをしていることが許せない、もっと普通の高校生らしい生き方をして欲しいのに、」

「かんけいないっ……さらには、かんけい……あっ……ひゃあっ……! あんっ、あっ、あぁっ……!」


 ぐちゅぐちゅとロッカーの中に激しい水音が響く。波折がばたばたと暴れるせいで、ロッカーがガタガタと揺れてうるさい。波折は沙良にしがみつきながらも立っていることが苦しいようで、ぼろぼろと泣きながら喘いでいる。


「――波折先輩にとっては関係無くても……! 俺は波折先輩のことが好きだから放っておけないんだよ!」

「あッ……! あぁッ! ~~ッ!!」


 波折は二度目の絶頂を迎える。ぎゅうっとお尻のなかが締まったせいか、ディルドが押し出されて外にでてきた。ディルドが転げ落ちてしまわないように押し戻してやれば、波折が一層激しく震える。


「はぁっ……さら……」


 はあはあと息をしている波折を抱きながら、沙良はロッカーの扉をあける。熱気が一気に冷やされて、清々しい空気が肌に触れた。立っているのが辛そうな波折をそっと本棚に寄りかかるように座らせると、沙良はその正面に座る。波折は沙良の視線から逃げるように目を逸らしていた。


「……さら。ほっといて」

「嫌です」

「……ほっといてよ……」


 波折がぐしぐしと濡れた目を擦りながら乱れた服を直している。ディルドをちゃんと挿れて、そして服を着る。一日中挿れてるつもりかよ、と沙良は口元をひきつらせながら尋ねてみた。


「……それも、『ご主人様』ですか?」

「……それ?」

「……だから、波折先輩が挿れてるやつ……」

「これ? ちがうよ、これは慧太」

「……ああ!?」


 まさかの名前に沙良がびっくり仰天していると、波折がディルドの玉袋のあたりを服の上からさすさすと擦って、顔を赤らめる。自分で擦っておきながらその微妙な振動に「んっ」といやらしい声をあげてなんかいた。


「これ、慧太のだと思って挿れていろって」

「えっ、ええ……無理やりじゃないんですよね……それは」

「無理やりじゃないよ。これ太いから、ずっとはいっているって感じがしてドキドキして、俺すごく気持ちいい」

「……」


 鑓水の変態っぷりに思わず引きそうになったが、彼は波折のことを好きというし、「ご主人様」みたいに波折を洗脳じみたことはしていない。鑓水の言動について自分は咎める権利はない、と沙良はディルドについての言及はやめた。

 しかし。鑓水のやっていることに嫌悪感は抱かないが嫉妬は抱いてしまう。鑓水のペニスとしてディルドをアナルに挿れていることに、波折が悦んでいるのだから。沙良はむっとして波折のカーディガンとシャツを一緒にめくり上げた。


「さら?」

「じゃあこれ、俺だと思って一日すごしてください」

「へっ?」


 沙良は鞄から絆創膏を取り出すと、波折の両方の乳首に貼ってやる。ぎゅっと乳首を潰すようにして押し込んで貼ってやれば、波折が「ひんっ……」と鳴いた。


「……鑓水先輩と付き合ってないんですよね」

「つきあってない、よ……あ、……ふぁっ……」


 絆創膏の上から、指でくるくると乳首を撫でてやる。波折がぴくぴくと身体を震わせながらのけぞって、沙良を涙目で見つめた。


「さらぁ……やっ、ん……」

「『ご主人様』とやらは許せないし鑓水先輩には負けたくないです……」

「んっ……んっ……うぅ……」

「俺、波折先輩のことすっごく想っているんですよ」

「やっ……だめっ……さら、だめ……」


 乳首にもどかしい刺激を与えられながら沙良の想いを聞かされて、波折はひんひんと鳴きながら首を振る。絆創膏越しの刺激が直接触られる時とはまた違って、腰が砕けてしまう。気付けば波折はぱかりとだらしなく開脚して悶えていた。


「あっ……」


 廊下からパタパタと誰かが走る音がきこえて、二人は我にかえる。パッと時計を見てみれば、そろそろ朝のホームルームが始まる時間だ。沙良は波折の服を直してやると、彼を抱きかかえるようにして立たせてやる。


「波折先輩……ちゃんと『ご主人様』から離れようって考えてみてくださいよ」

「……」


 波折の涙を指で拭ってやれば、波折はきゅ、と唇を噛んで沙良を見つめてきた。濡れた瞳で、切なげにそんな風に見つめられて思わず沙良の心臓が高なってしまう。衝動的にキスをしてしまいそうになったがそれは耐えて、波折の手を引いて教室の出口まで誘導してやる。


「……」


 教室からでる瞬間、波折が自らもう一度涙を拭い、いつもの「生徒会長」顔に戻ったのは……やっぱり変だな、と思った。そこまでして自分を偽る必要がどこにあるのだろう、と。


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