スイートアンドビターエゴイスト〜淫乱生徒会長の調教日記〜

うめこ

文字の大きさ
228 / 357
第十三章:予兆

6



 二人で生徒会室を出て、そして昇降口まで向かう。もうすっかり遅くなってしまった。校舎には、生徒は殆ど残っていない。これから篠崎の家にいくのか、と波折は少し憂鬱な気持ちで彼の後ろを着いていく。


「――ずいぶん、遅かったじゃねえか」

「……え」


 二人が昇降口まで来た時のことだ。下駄箱の影から……ふらりと人影が。鑓水だ。鑓水は「話をする」には遅すぎる二人に、訝しげな眼差しを向ける。


「いったい何の話をしていたんだよ」

「……慧太。先に帰ってって言ったのに」

「……帰る家が一緒なんだから待っていてもいいだろ」


 鑓水の言葉を聞いて、ふ、と篠崎が笑った。ぴくりと片眉を動かした鑓水の前に出ると……篠崎はしたり顔で言う。


「今日から冬廣会長は、貴方と同じ家には帰れませんよ」

「……あ?」

「彼は……僕と付き合うことになったので」


 鑓水の表情が、強張る。ちらり、篠崎の表情と波折の表情を見比べ……言う。


「付き合う?  なに?  コイビトドーシってこと?」

「はい。僕が告白して、冬廣会長がそれを受け入れました」

「……たいして話したこともないおまえの告白を、波折が受け入れるとは思えないけどな。適当なこといってんなよ」


 そう、自分だって想いを受け入れてもらうのにどれだけ苦労したか。篠崎の告白が成功するなんて、ありえない。篠崎の言っていることを信じることができなかった鑓水は、二人のもとへ寄っていって波折の手を掴む。


「帰るぞ、波折」

「……っ、」


 しかし、そうすれば波折は鑓水の手を振り払ってしまった。鑓水が驚いていれば……波折は言ったのだ。


「……篠崎くんの言ってること……本当だから。慧太とは、一緒に帰れない」

「え……」


 波折の言葉を聞いた鑓水は、うっかり納得しそうになってしまった。二人が本当に付き合っているなら、自分に邪魔をする資格はない――が、一瞬浮かんだそん考えはすぐに吹っ飛んだ。波折が、泣いたのだ。鑓水に触れられた瞬間、ぼろ、と涙をこぼしたのである。


「あっ……えっと……慧太、俺の家は、使っていていいから……俺は帰らないけど。……でも、もう……俺に触らないで。俺に……関わらないで……」


 一瞬その手に感じた、鑓水の温もり。波折はそれに泣いてしまったのだ。本当は鑓水に触れて欲しかったから。でも、篠崎の手前それは許されない。その口から、拒絶の言葉を吐く。


「……篠崎」


 そんな波折をみて……鑓水は腸が煮えくりかえりそうになった。どう考えても、何かしらの脅迫をうけて波折は恋人という関係を迫られている。鑓水は衝動のままに篠崎を殴り飛ばすと、胸ぐらを掴んで怒鳴りかかる。


「てめぇ……波折に何をした!  波折を傷つけたっていうなら、許さねえぞ!」

「……暴力を振るう人は大嫌いです。悔しいですか、冬廣会長を僕に奪われて。冬廣会長はちゃんと僕の告白を受け入れて僕の恋人になっているんですから……それ、見苦しいですよ、鑓水くん」

「ざっけんな!  だったらなんで波折は泣いてんだよ!  嫌がってんじゃねえか!」


「……嫌がってなんか、ない」


 突如、波折が二人のあいだに割ってはいる。ぐ、と押し黙った鑓水の手をとると、篠崎を庇うようにして彼の前に出た。涙をぬぐって、それ以上はやめろ、といった目で鑓水を睨みつける。


「……波折、」

「俺は、篠崎くんと付き合うことになったから。慧太は関わるなよ、もう俺と慧太は関係ないから」

「な、波折……!」


 驚きに固まる鑓水に、波折がついと近寄る。そして――


「――」


 ある言葉を囁いた。「え、」と鑓水が戸惑っていると……波折は篠崎の手をひいて、鑓水を横切り校舎を出て行ってしまう。


「……波折!」


 ワンテンポ遅れて、鑓水が叫ぶ。しかし……波折が振り返ることはなかった。


感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。